先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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本編とは進行度以外ほぼ関係ありません。
むしろ若干別物です。


そして、前に出てきた外来人よりオリキャラらしいオリキャラが出てきます。
おふざけで出来た子なのでギャグ補正による能力などもひどいです。



それでも平気だよって方のみどうぞ


番外編 見た目に騙されちゃいけない

今日は私も博麗神社で少ない参拝客の相手をしてみた。

…なんでか知らないけど、霊華が怖いのか、妖怪が1人として来ない。

 

いや、対応が楽になるとはいえ、なんていうか…霊華が先代の巫女としてなにをしてきたのかよーく分かるね。

 

んで、今急に鳥居の方にありえないのが現れたんだけど、霊華はどこにいったっけかな。

 

 

 

 

…え?いやいや、絶対あれはありえない。立つわけもないし。

なんであの子は…

 

 

「霊夢、おまたs……って誰よ、あの子。外来人?」

 

「外来人であんな二足歩行できる赤ちゃんなんて普通いないわよね!?しかも、なんか背中に担いでるじゃない!どう見たって外の世界にあるような銃よ!おまけにあれってスナイパー系っぽいものじゃないの!?」

 

そんな赤ちゃんいてたまるか!

という気持ちを込めて叫んだ。

 

いや、実際信じられないし。

だっておしゃぶりもつけてるんだよ?!

 

 

「あ、あぅー…。ばぶばぶ?」

※『すまない、そこの君たち…。ここはどこなのか教えてくれないか?』

 

「……?え、えーと、なんて言ったのかもう一度言ってもらってもいいかしら?」

 

(そりゃ霊夢も苦笑いものよね。…2人で話していたらこっちに歩み寄りつつ声をかけてくるんだもの。――私もなにを言ってるんだかさっぱり分からないんだけどもね)

 

 

「あぅー?…ばぶばぶ。ばぶーばぶばぶ」

※『もう一度か?…仕方ない。ここはどこか教えてくれないか』

 

「「……」」

 

思わず、隣に立つ霊華へ顔を向けてしまった。

…霊華も、困ったように笑っている。どうしたものか。

 

(霊夢の方に顔を向けたら困惑したような表情を浮かべているわね。そ、そりゃあなに言ってるのか分からないとそうもなるわよね)

 

「あー…。ばぶばぶー。あーぅ?」

※『駄目か…。なら質問を変えよう。ミルクはないか?』

 

会話もでき…え?ジェスチャー?

なにこの子、怖いんだけど。

 

でも、おかげさまでなんとなく察した。これは多分…

 

 

「飲み物が欲しいのね?…牛乳とかそういうのがいいのかしら?多分それ以外はまだはやいでしょうし…」

 

(確かに赤ん坊には人肌まで冷ましたミルクか母乳が妥当よ?でも、自分の足で立って、会話のようなものをして…。これで赤ん坊だなんて…。……博麗の巫女をやっていて初めてだわ、こんなこと)

 

「あーう。ばぶー、ばぶばぶ?」

※『そうだ。というわけで、ミルクないか?』

 

「分かったわ。…ところでそのグラサン、外さない?とてもシュールなんだけども…」

 

「そうね…。それにしても(のど)(かわ)いた状態でかつ赤ん坊が来るなんて…ありえるのかしら?しかもそれって「あーう。ばぶばふ。あー」」

 

※『俺に言われてもな。大丈夫だ。弾はゴム製だからな』

 

 

「……ねえ、霊華。哺乳瓶かそれに代わるものってないかしら?」

 

「あぁ、普通にあると思うわよ。ちょっと相手しててもらえる?」

 

「分かったわ…。そんなたいした相手はできなさそうだけどもね」

 

頷きつつ、私は謎の立つ赤ちゃんへ視線を少し向けてみた。

 

「ばぶー。ばぶばぶ。あー?」

※『お嬢さん方。すまないな。んで、俺になにかついてるか?』

 

…ごめん、相手して待ってられるか不安になってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェスチャーのおかげでどうにかなったようなもの、だよなぁ。

私が先に一応名乗ると、謎の赤ちゃんは自身の名前をレウスと紙に書いた。

いやいや、なんであなた、字が書けるの!?

 

しかも小さく偽名ってひらがなで書かなくていいからね!?と、いうかなんでわかんの?!

 

 

「あーぅ。ばぶばぶ。あー、ばぶばぶー」

※『すまない。別に本名でもよかったんだが。すぐに名乗るってのも気が進まなくてな』

 

サングラスを外しながら言うレウス。

あ、顔は赤ちゃんなんですね。すっごくシュールです。

 

「あー…。ばぶー」

※『おっと…。やはりサングラス(こいつ)がなきゃシュールか』

 

わあ、勘もよろしいこって…。

って本当にこの子、赤ちゃん?!

 

 

「おまたせ。一応、大急ぎで準備して作ったんだけども…これで大丈夫なのかしら」

 

そういう霊華の手には白い液体――多分あれがミルクなんだろうな――が入ってる瓶が。

 

「煮沸もしたし、平気だとは思うのだけども」

 

「あ、あんたは両方の意味で心配していたのね…」

 

 

(そりゃそうよ!ありえないようなことをしているとは言え、目の前にいるのは赤ん坊なのよ?やることはやるわ!……ってそうだった。まだこういうのも知らないんだったわね、この子は)

 

 

「あーぅ、ばぶー。ばぶばぶ、ばーぶ」

※『ああ、悪いな。準備してくれてありがとよ』

 

あ、あぁ…会釈するってことは霊華にお礼を言いたいのかな?

……ちょっと会釈より深め、だからあってるか知らないけど。

 

「いいえ。んで、これで大丈夫そうかしら?レウスくん」

 

「あぅー、ばぶばぶ。ばぶばぶ、ばぶー」

※『ああ、そうだな。喉が渇いていたから助かるぜ』

 

哺乳瓶を受け取ると1人で飲みだし――ってシュールな上にもう1人で飲めるの?!

いや、本当あなたは何者なの!?

 

 

 

 

 

 

 

飲んでいるのを見ていると急にげっぷをした。

…なんだと思って瓶を見ると(から)

 

「あー…。ばぶばぶー。あーぅ、ばぶばぶ」

※『ふぃー…。助かったぜ。恩に着るよ』

 

さ、さっきより生き生きとした雰囲気になりましたね(遠い目)

 

「ん、ちょうどよかったのね?…ならいいんだけども」

 

瓶を受けとりながら微笑んでるけど、霊華……サングラスかけてるのに表情読めるの?

さっきからあんまり変わってないんだよ?表情が(遠い目)

 

 

 

 

 

「あれ、霊夢に霊華じゃん!なにしてるの?……ってなにその赤ちゃん!どっから出てきたの?」

 

この言い方、そして夏以外ならすんなり出てくるこのひんやりした妖精は…チルノかな?

 

「なんだ、チルノなの。そうね、あなたが外来人ってのを理解したら教えてあげるわ」

 

「えー…!霊華のケチ!教えてくれてもいいのに!」

 

あー…もしかして、残暑の過ぎた秋だから来たのかな?この子は。

またイタズラしていくのかなぁ…。私が少し厳しくしても駄目、霊華でも駄目だったから見過ごすしかないなかな…。

 

 

 

「ばぶー、ばぶばぶ?ばぶー、ばぶばーぶ。…ばぶばぶ」

※『そこのお嬢さんは名前、なんて言うんだ?俺はレウスだ。…偽名だがな』

 

最後辺り、なんかぼそぼそ言ってたけど、なんのことなんだろう。

いや、そもそも言ってることがさっぱり分からないんだけど。

もうさとりを連れてきた方がいいんじゃないかな。

 

「えっ?それってあたいに言ってる?…内容は全然分かんなかったけど」

 

「みたいよ?…まあ、雰囲気からして自己紹介でもしたんでしょう。多分」

 

本当にあってるか分からないからね。言語的な意味の方が大きいけど。

表情は…まあ、いくぶんか柔らかいね。

 

おや、今度は地面に…その枝どうしたの?

……わあ、綺麗な字ですね。

 

 

“レウス(ぎめい)”

 

 

わざわざ偽名って書かなくてもいいんだよ?

 

 

「ねえ、赤ちゃんなのにどうしてそんなの分かるの?」

 

「本人と会話できたら苦労しないわよ。ね、霊夢?」

 

「ばぶーばぶばぶ。…あーぅ、ばぶばぶ」

※『分かるもんは分かるんだよ。…んでも確かに会話できた方がいいもんな』

 

 

会話?…確か1人だけいたよね、こういう場合に適した人物が。

皆のも聞こえてしまうっぽいけど、会話はできるようにはなるはず。

 

 

「なら、私が地底に行ってさとりを連れてくるわ。ちょっと霊華、その2人見ておいてちょうだい」

 

「2人なら大丈夫よ、分かったわ。…いってらっしゃいな」

 

「ばぶばぶー、ばぶばぶ。ばぶーばぶ」

※『すまないな、お嬢さん。助かるよ』

 

お、お辞儀をする赤ちゃん…。

やっぱりシュールだよ。

 

っと行かないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとりをどうにか説得し、紫をも外来人と会話できないから地底から妖怪を連れていくと藍共々説得。

多少の行き来ができてしまったらしいとはいえ、なんとかして、ね?

 

 

「ばぶ、ばぶばーぶばぶばぶ」

※『ふむ、霊夢嬢が連れてきたお嬢さんが会話を円滑にしてくれるって人物か?』

 

「……霊夢、この子って本当に赤ん坊?なにかしらの呪いでこうなった大人とか、そんなんじゃないのかしら?」

 

「どうやら違うみたいなのよね……って霊華はなにしてるのよ」

 

「なんかチルノが“イタズラしやすそう”とか考えて実行に移そうとしたから止めたみたいね。…と、いうかほとんどイタズラするとか遊びたいしか考えてないのね。一応そこまでのバカじゃあないようだけども」

 

そこまでのバカじゃない…って凄いこと言うね、さとり。

正直ってやつなのか?おそろしいな。

 

「ばぶばぶー、ばぶばぶ。ばぶー?」

※『音や姿を消していればいつかイタズラできると考えている奴もいるようだが、俺はどうすりゃいい?』

 

「…貴方、本当に人間の赤ん坊ですか?普通、そこまでは……気配がする?そうですか。そうね、イタズラする前に対策した方がいいんじゃないかしら。どう思います?霊夢、霊華」

 

いや、気配で分かるって考えを読んだ時点でつっこもうよ!

もはや赤ちゃんがやるような技術ですらないと。

もうバグじゃないの?この子。

 

「あー…足止め程度でいいんじゃないかしら」

 

「え?なに?妖精でもいるの?どこにもいないように見えるんだけど…。…でも妖精にそんな音や光などを消すようなのなんて、いたかしら…」

 

うんうん、と頷いておく。

 

「いるらしいわよ。記憶になってしまうけど、確か光の三妖精だとかどうとか…」

 

「ばぶばぶ。ばぶーばぶばぶ。…ばーぶ、ばぶばーぶ」

※『なるほどな。そのお嬢さんらはお転婆すぎなのか。…なら、こっちのデザートイーグルの方にいれてあるゴム弾で平気そうだな』

 

えっ、ちょっ、どこから出して…ええ?

 

「い、いたっ!?や、やめようルナ!スター!」

 

「そ、そうだね…」

 

「だから私は最初からやめようって…」

 

「「…うっ」」

 

「とりあえず逃げましょ。話はそれからよ」

 

 

そんなやり取りを見届けると三妖精とやらはどこかに飛んでった。

 

 

 

 

 

「…さとり、あれはなんだって言ってたの?」

 

「ゴム弾、らしいわよ。…赤ちゃんの勘ってこんなに凄いものだったかしら。私ですら頭を抱えてしまいそうだわ」

 

いや、実際そこの先代(れいか)が頭を抱えてるから。

きっと見た人が紫だとしてもおかしく思わないだろうから(遠い目)

 

 

「…普通、あんなの分からないわよ。私ですら見抜きづらかったというのに…」

 

「それってあんたはもう少し時間があれば分かったかもしれないって言ってるようなもんよ?……あっ、顔をそらさないでちょうだいよ!」

 

気のせいよ、とか小声で言わないでね?

自信なさげに聞こえるから。

…え、なに?本当のことだったの?先代の巫女って凄いな…。

 

 

「ばぶばぶ、あーぅ…。ばぶばぶ、ばーぶばぶばぶ。あー…、ばぶばぶ?」

※『ふむ、この程度か…。しかし、今の集中のせいでまたミルクが飲みたくなってしまったな…。本当にすまないが、また頼んでもよいか?』

 

「…イタズラしかけようとしてきた妖精を退けたのはいいけど、またミルクが欲しくなったようね。え?本名?――あぁ、そう。あとで霊夢に教えておくわね」

 

そ、そこだけ赤ちゃんっぽくても…な、なんだかなぁ。

この子、本当にただの赤ちゃんなのかな。7不思議にいれられるレベルでさ。

 

って本名?

 

「とりあえず私は準備してくるわね。あなた達はその子と一緒に…というかさとり、だったかしら?あなたもあがっていいわよ」

 

「ふふ、霊夢を気にしてそう言っているのね。確かに現代にも人食い妖怪とかたくさんいるけども、例外も少なからずいるものね」

 

確かに多いみたいだもんねぇ。

あれ?そうなるとさとりとかはどうなんだろ…。

 

「大丈夫よ、そこまでの妖怪じゃないから。とりあえずあげるの手伝ってもらえるかしら?」

 

「はいはい、分かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋にあげたはいいけど、この子結局どうしようか。

帰すのは確定だとしても…。

 

「あー…、ばぶばぶ?…ばーぶばぶばぶ、ばぶばぶ?」

※『ふむ、そんなに見つめられても困るぞ?…そうするんだとすれば今こっそり遊びに来てるそこのお嬢さんに気を配るべきではないのかね?』

 

「貴方のことを本当に人間の赤ん坊として見ていいのか凄く不安になってきたのだけども…。とりあえず、そこの子は魔理沙ね。“バレたか!?”とか思ってるようだし」

 

なんか魔理沙ってよくこの神社に来るよね。

なんもやることないだろうにさ。

 

「な、なぁ…その赤ん坊はどうしたんだ?」

 

なんだ素直に出てくるんだね、魔理沙。

 

「どうもこうも…」

 

「ばーぶばぶばぶ。ばぶ、ばぶばぶ。あー…ばぶばーぶ、ばぶばぶ」

※『俺にも分からん。気がついたらここにいたって感じだからな。んま、世話になりすぎてて申し訳ないが』

 

「いえ、貴方は一応赤ん坊なので霊夢や霊華の世話になってもいいんですよ?…まあ、霊華の方が知識豊富みたいなので、そこはどうしようもないけども」

 

レ、レウスとなんて会話をしてるの?

すっごい気になるんだけど。

 

 

 

「あぁ、幻想入りしたみたいよ?急に現れたって霊夢から聞いたものだから、間違いないと思うわ」

 

「ほぉぅ…そうなのか。んで、そこのチルノはどうしたんだ?」

 

「えっ?あぁ、その子はね「れ、霊夢!あたいは用があるから帰るね!またね!」」

 

あっ、紅魔館のある方へ飛んでった。

うーん、魔理沙との間になにかあったのかな。それとも単に気まずくなったか。

前者か後者で意味が変わってくるんだろうけど、もし後者だとしたら気まずくなる要素なんてなくない?

 

 

 

魔理沙の方を見てみたけど、肩をすくめられた。

なるほど、魔理沙にも分からないのかな。

 

「まあ、とにかく。急に現れたみたいよ?あ、あとはい。レウス君、これでよかったのよね?」

 

「あーぅ、ばぶー。ばぶばぶ」

※『ああ、それだな。助かる』

 

うん、なんかもうなにも言うまい…。

 

 

 

「それで、どうやって帰すのよ…この赤ちゃんもどき」

 

「…曲がりなりにも人間の赤ん坊とは思えないものね。え?“これでもれっきとした赤ん坊だぞ、俺は”?…なら今までなにをしたのか思い出してもらいたいわね。いくらある時から人間との関わり合いを減らしてしまったとは言え、貴方は明らかに赤ん坊の域をこえたことしかやってないと思うのだけれども」

 

さ、さとりかそんな風に言うなんて…初めて見た。

いや、むしろ見たことがあるんだとしてもビックリしそうな。

 

「とりあえず、私がどうにかして紫を見つけてなんとかするわ。そっちはレウスの相手をしててもらえる?」

 

「やれやれ、しょうがない。分かったぜ」

 

「“いつも遊びに来てるし、霊夢もいるからな。別にいいか”って考えてるようだけどもね。まあ、別に困らないわよね?…あぁ、私も一応最後までは付き合うわ」

 

魔理沙のその考えはなんとも言えないね。

でも、人手はあっても困らないしね。

 

「そういうことだから。あ、霊華。こっちでも試してみるわね、色々と」

 

「分かったわ。任せるわね。それじゃ、探してくるわ」

 

 

 

 

霊華が紫を探しに行ってすぐ私は魔理沙とさとり共々レウスと話をしたり交流をしつつ、記憶にある限りのことを試してみた。

そもそも帰る世界が分からないからためらったものもあるけど。

 

最終的には本来いるべき場所に帰ったレウス。

本名は“ゆきと”と言うらしい。雪人って書いてそう読むらしい。

それにしてもあそこまで凄いと将来有望とかって言われてそうだな。…だって、最後まで赤ちゃんらしさがほぼなかったから。

 

そういえば結局、彼は何者だったんだろうね。

聞きそびれていたことに今気づいたぐらいだしなぁ。

まあ、いいか。


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