先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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ユニークアクセスが案外高いことにビックリしている私こと、篠崎です。

まさか息抜きだったはずのこの小説がそれなりの方に読んでもらえるとは最初の頃は思いませんでしたけど、今となっては凄くありがたいです。
本当にありがとうございます。


今回は前編です。後編はまたそのうち投稿します。
では、下から本編ですので適当に読んでやってください。


第7話 永い永い夜前編

霊華を家にお留守番させてから紫と共に異変解決へと向かった。

 

霊華はまだスペルカードルールなんて知らないと思うし、そんな状態で手伝われても下手に妖怪を倒してしまうだけ。

それはそれで困るからと、断って神社にいてもらうことにした。

それが現在。

 

 

今、私達は空を飛んで人間の里に向かっている。

いやぁ、異変解決に出るとはいえまさかこうなるとは思わなかった。

紫も紫でなんか連れてきてるし。

八雲藍…とかいったかな、あの子は。いつかもふもふしたい。あの尻尾を。

 

 

なんて関係ないこと考えてたら、なんか本物みたいな触覚生やした子が出てきた。あー、うん。平気そうだな。

なにか叫んできたけど、これも平気そう。

うん、これなら紫はまだ前にでなくても大丈夫だとは言え―――

 

「ねぇ、なんでよりにもよって深夜なのよ。私は夜行性じゃないのよ!?」

 

「どうしたのよ、いきなり叫んで。なにもないわよ?」

 

「そうそう、いきなり叫んだら誰だってビックリするよ?」

 

なんか別の声が混じったような気がする。

しかも、目の前にさっき出てきたのとそっくり…と言うか同じ見た目をした子がいた。

いつの間に前に出てきたんだろう。私ビックリ。

 

「別にあんた達には分からなくていいわよ。それとよくもまぁ、正面に……あんたが私達の邪魔をしないなら相手にしないであげてもいいのよ」

 

「あら、私が虫だからって甘く見てるんじゃないかしら?なら痛い目にあわせてあげる」

 

 

――なんでこうなった。

ん?っていうかなにか思い出しそうなえ?……リグル・ナイトバグ?

なんだか懐かしい名前だなぁ。なんか久しぶりに会うみたいな感じもするし。

なんでだろう。もしかして、どこで聞いたかな…。

うーん…なんか思い出しそうな…。そう……見た目は虫っぽいから…虫?虫をどうするの?

うん。思い出せないし、さっぱり分からない。

んでも、なんで思い出すみたいな感じなのかな。よく分からないけど。

 

 

そう思いながら紫に前へ出てもらい攻略することに。

たまに私が前へ出るけどね。いやぁ、上下左右に避けるだけでも最初は苦労したなぁ……あはは。

 

 

そのリグルとやらは何度か交代しないうちに倒してしまった。

 

「それにしても、夜はやっぱり虫が多いわねぇ」

 

「それを言ったら年中虫はいるじゃない。確か夜行性、昼行(ちゅうこう)性とか……挙げ出したらキリがないほどにたくさん、ね」

 

「あら、連れないわね…。まあ、いいんだけども。それより幻想郷の虫が増えたわね」

 

そこまで言われて周りを見てみる。

澄んだ綺麗な川でしか見れないはずのホタルが多く見えた。

いや、他の虫も見えるっちゃ見えるんだけど、ホタルの小さくぼんやりとした光の方が目立ってあんまりいないようにも見える。

 

 

「……ホタル、が多く見えるわね。外の世界ではまだ有名なはずなのに…大丈夫かしら。心配ね」

 

「あら、貴方が外の世界の心配をするなんてね。明日は雨かしら」

 

「あんまり下手なものが行ったり来たりすると困るものだとばかり思っていたけども…ま、別にたまにはいいでしょう?」

 

そう私が言うと意外なものを見るような目で見てから頷いた。

なにがそんなに意外なんだろう…。

なんて思ったけど、気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの場所から更に進むとかなり小さく歌声が聞こえてきた。

出てくるものはさっきとあまり変わらない。

なのにもかからわず進めば進むほど歌が大きくなっていく。

 

そう考えていると何故か少女の背中に鳥の羽を生やしたような子が出てきた。

 

その子は急に弾幕を張ってきたからある程度弾幕で対応していると声符「木菟咆哮」と叫んできた。

 

ふむ…やっぱりスペルカードって普通の弾幕より濃いんだなぁ。

紫に前へ出てもらい、倒してもらった。

リグルの時もそうだったようにね。

 

 

 

 

 

 

するとしばらくもしない内に鳥の羽を生やした少女――どうやら、名前はミスティア・ローレライと言うらしい――が出てきた。

 

「ちょ、ちょっと。ちょっとあんた達待ってよ」

 

「待ってと言われて待つような人はいないわよ。でも何用か気になるから待ってあげるわ」

 

「それもそうね………ってそうじゃないわ。あんた達は一体何者なのよ」

 

「人間以外よ、人間以外」

 

「人間以外?」

 

「あんたみたいに姿が人間だけど、実は違うものでしたー…って人のことよ」

 

あえて実際に思ったことを言ってみた。

まあ、むしろこんな真夜中に人間がいたら驚くよね。

……あ、私のことか。

 

 

「そ、そうなの。でも珍しいわね。この道にその人間以外が来るなんて」

 

「あ、そう。あ、さてはあなたは夜雀でしょう?あんまり人間ばかり襲ってると、この付近から人間が居なくなるわよ」

 

「わざわざなんの用事もなしに出てくる人間もそう多くはないはずだし、だからと言って代わりとして妖怪を襲うとは考えられないわ」

 

「ほっといてよ。それにここへ来るなんてそのなんの用事もない人間やそれ以外のはず。そうでなければよっぽどの急ぎか、訳ありか人間以外だけよ」

 

「いい?せっかくだから言うけども、私達は急ぎで訳ありで人間以外なの。こんな所で時間を潰している暇は無いわ。ここを通してくれる?」

 

「……この道の先って当たっていれば紫のような妖怪とかが行くような場所じゃなかったはずよ」

 

 

この記憶があっていれば、の話なんだけどね。

 

 

「久しぶりに遊び相手に会えたと思ったのに……。そうだ、里に行って一緒に人間をからかわない?楽しいよ?」

 

「遠慮するわ。いくら人間同士のよくある日常だとしても私が妖怪役なんてごめんだもの」

 

「妖怪役とかどうとかって言うのは分からないけど、そういうってことは人間ね。ってことは人間なのね。じゃー私が鳥目にしてあげる!」

 

 

おっと、今のは言っちゃバレることだったかな。

でも間違いなくからかいあうって(イコール)すると日常だよね。

よくあることだよね。

…そうだよね?

 

 

その後は紫と交代しながらスペルカードを攻略していった。

効率をよくするために弾幕を消すボムのスペルカードを使ったりした。

それにしても強いな…八雲藍って子。

なんか楽してるように見えるぞ?

 

いや、まぁ、実際に楽してるんだけどさ。私が。

 

 

 

 

 

ここもまた道中まではスムーズに進んだのだが…今度は違和感があった。

人間の里ってこう、建物がたくさんあって人もたくさんいるはず……なんだけど、なにかあったのかな。

 

そう思っていると女性と言うべき人が出てきた。

スタイルはどっちかって言うとよく、なにがとは言わないけど谷が見えてる。恥ずかしくないのか。

しかも、帽子も今にも落ちそうな見た目をしている。

そよ風で落ちるんじゃないの?って感じだけど、落ちないのなら大丈夫…なのかな?

 

 

「お前達だな。こんな真夜中に里を襲おうとする(やから)は」

 

「……襲うだなんて失礼ね。一目見てそれ扱いだなんてとんでもないわ」

 

「そりゃあこんな時に出てくるお前達は襲おうとしているように見える。そんなお前達妖怪には、人間を渡さない。だから、ここでの出来事を無かったことにしてやる!」

 

 

なんて理不尽な。

会話ぐらいさせてほしいものだ。

そう思いながら今度は小声で前に出てもらえるよう紫に耳打ちした。

お願いしている、と分かりづらくしながら話すのは大変だったけど。

それからまた少しすると今日数回目の宣言を聞いた。数えてないから正確な回数は知らないけどね。

んで、何回か叫ぶのを見ていてなんとなく思った。

あえてスペルカード宣言をするときに叫んでるのかな…と。

もしかしたら、宣言したとこっちが認識してるからそうなるのかな。

さっぱり分からないね。

 

 

 

 

 

 

 

倒したあと、またしばらく里の方へ向かっていたらまたさっきの女性が出てきた。

 

「……お前達は一体なんなんだ?」

 

「それをあんたに問い返したいところだけども…聞いてはくれないわよね」

 

 

んでさっきの繰り返し。

なにが原因なんだろうな。

……まさか……紫!?

と考えていると紫が目の前でくしゃみをした。

しかも『くしゅん』なんて言うものだから、なんか可愛い。

 

 

 

 

 

 

そう思いながら退け、また前へと進む。

いい加減に里が見えてもいいと思うんだけどな。

 

ってさっきの女性が今度は名前が見やすい場所に出てきた。

彼女の名前は上白沢慧音って言うらしい。なんか思い出したみたいな感じで名前がパッと浮かんできたし。

 

「しつこいわね」

 

…あれ、なんかこう言ったらばつが悪そうな顔をして来た。

なんだろう、このセリフが言いたかったのかな?仕方のない人め。

 

「んで、もうあんたのことはいいのよ。異変より人間の里のことが優先だわ。今、更地みたいになっているこの場所にその里があったはずよね。どうしたのよ」

 

「どうもこうも。お前達には見えないように隠しただけだ」

 

「霊夢、こんな場所で道草を食べてる暇は無いのよ。こうして会話している間にも夜は更けていくのだから」

 

「み、道草って……。でもそうね。月が沈んでも異変が終わらなかったら面倒そうだし、ごめん願いたいわ」

 

「そう話をして油断を誘うつもりか?そうは行かない。元々ここには誰も住んではいなかった。そういうことで、諦めてくれ」

 

 

確かに空き地だなぁ、と思う。

月のことも気にしなきゃいけないけど、人間の里もなんか気をつけていなきゃいけないような気がする。

なんでだろう。

 

 

「ねぇねぇ、そう言うのはいいけども…私には普通に見えるんだけども。この程度の幻術なんて全然役に立たないわよ」

 

「見えっ……!?ほ、本当にお前達何者なんだ?」

 

そう驚いたように言うけどさ、私には見えてないんだけど…。

『隠した』と『幻術』の違いがこれっぽっちも分からないけど、たぶん相手が悪かったんだろうね。

…格上だと見えちゃうのかな。それとも偶然かな。今は別に知らなくてもいいんだけどさ。

 

「大丈夫大丈夫。私には全く見えてないわよ」

 

「そ、そんな風に情けをかけられてもな…」

 

 

情け……ある意味そうなる、のか。相手からすれば片や見えて、片や見えないと言ってるわけだし。本当かどうかなんて確認のしようがないもんね。

でも、相手が境界を操るあの胡散臭いスキマ妖怪じゃなぁ。

どうフォローしても信用されるかどうか……。

 

 

「そういえばあんた。半獣でしょ?」

 

「確かにそうだが、満月じゃなければ人間だ」

 

「へぇ、そうなの。人面犬とか人面魚とか(くだん)とかと大差なさそうね」

 

「何で顔だけ残して変身する必要があるんだ。変身は全身だ」

 

「本当に?頭だけ獣に変身とかそういうのとかも見かけたような気がするわよ?」

 

「……まぁいい。そこまで言うなら、もう後には引かせない。お前達の歴史を満漢全席にしてやる!」

 

「私はともかく、こいつの歴史は点心位にもなるかどうかってものだと思うのだけれども」

 

「……勝手に人の歴史を食べ物の歴史と一緒にするんじゃないわよ」

 

 

そう言うと何故かこっちをまた驚いたような目で見てきた。

もしかして気づいたから?

というかどういう意味であれ、どこかで満漢全席は聞いたことあるからね!

確かフルコースって意味だったはずだよね!……だよね?

 

 

 

 

 

 

 

とにかくムカついたので私の意地とこの体の勘とかでどうにかする。

意地じゃなにもできないけど、どうにかするったらどうにかする。

って言うか弾幕が今までに増して濃い!

いや、最初から濃かったけどさ。

スペルカートもなんか濃くなってて大変すぎる!

紫を引き連れてなかったら多分大変なんだろうな、ってぐらい凄い。

 

 

…まあ、でもそんなことしなくてもやってたら避け方は確立できそうだね。うん。

 

 

 

 

 

 

 

一応どうにかなって攻略は上手く行けた。

いやまぁ、今までのが濃かったのもあるし、一つだけ周りがほぼ見えないのがあったし。

それはいいとして何故いきなり襲ってきて…。会話ぐらいしてほしかったけど。

 

 

 

 

っと、そう思っている場合じゃないや。

今なら話聞けるでしょ。

「とりあえず人間の里は見えるようにしてちょうだいね」

「戻しても大丈夫よ。元々ここの人間とあんたなんか眼中に無いもの」

とほぼほぼ似た…いや、一緒かな?

 

「里や人間に興味がない?……なら、何処に行こうとしてるんだ?」

 

 

「あっち」

と紫が言うとあらぬ方向を指差した。

そっちじゃないのに。

 

たぶん

「こっち」

 

「どっちも違う。……異常な月の原因を作った奴なら、そっち」

 

「あら、それはどうも。あと少しで全く検討違いな場所へ行くところでしたわ。……でもよく行く場所が分かったわね、あんた」

 

「ここまでして、判らない方がおかしいわ」

 

 

そ、それはそれで理不尽なんじゃないかな。指差してすぐに分かる察しのいい人がたくさんいるわけじゃないんだしさ。

まあ、いいか。分かったもんは分かったんだろうし。先に進むかな……。

さっきの人が言った方向に飛べばたぶんつくだろうし!

 

 

そう考えた私は紫と共にその方向へ向かうことにした。




すみません、本文を変えさせていただきました。

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