先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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多分凄く長いと思いますが、平気な方は適当に読んでやってください。

あと遅くなったのは色々と別のことに浮気していたからです。すみません。
因みに今回は会話より思考が多めです。


第8話 永い永い夜後編

言われた方向に向かったのはいいけど、竹が生い茂っていて凄いことになっている。

さながら林みたいに。

 

おそいかかってきた妖怪を退けつつきたのはいいんだけど、こんな場所にいるのかなぁ。あの月の元凶が。

なんかこう、竹とかを見てると異変ってより童話の方が頭に浮かんで仕様がない。

確か…竹取りの翁って話だっけ?

 

あり、違うな。もうちょっと分かりやすい名前で……分かりやすい名前……。

なんだったっけ?

 

 

まあ、いいや。

多分あとで思い出すでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度進むと例の如く目の前に人物が表れた。

でも、何故かすごく見覚えのあるようなと思っていたら思い出すかのように脳内へと名前が出てきた。

なんでも霧雨魔理沙というらし…って魔理沙?

どうしてこんなところに…。

 

「動くと撃つ!間違えた。撃つと動くだ。今すぐ動く」

 

「そう言われると、矛盾してると言いたくなるわね。んで、それはいいとして何故ここにあんたがいるのよ」

 

「さぁてな。私はいつも通り、迷惑な妖怪を退治しているだけだぜ」

 

「あら、そうなの。でも残念ね。私は異変を起こした妖怪を退治しに行くところなの」

 

「お前、それだと普段の妖怪退治と大差ないって言っているようなものだぜ。私は違う。迷惑な妖怪を退治しにきたんだ」

 

「あら、そうなの。でもそれじゃなにも解決しなさそうね」

 

「そうよ。こんな夜にあなたが一人でなにができると言うのかしら」

 

「さっきも言っただろう?迷惑な妖怪退治だ。それに異変が解決できないと決まった訳じゃないだろ」

 

「で、迷惑な妖怪って一体誰のことかしらね?」

 

「お前の事だよ。今はとぼけてるけど、どうせ夜と昼の境界でもいじったんだろ?」

 

 

もはやチートな域だね、ほんと。

境界さえあればなんでもいじくれるってことになるんだから。

この世界じゃほとんど負けないんじゃ…?

まあ、宣戦布告とかしてこないだろうけど。

 

 

「紫だけじゃないわ。夜を止めているのは私達。かといって理由もなくただ単に永くさせているわけじゃないのよ」

 

「そうよ。あなたは、後ろに目が無いのかしら?」

 

「あー?後ろ?月と星空しかないぜ。ああ、ここは竹林だから竹もあるか」

 

 

そう言って半身だけ振り返り背後の空を見る魔理沙。

月を見ても分からないのは私と一緒か。

まあ、私達には無害だし仕方ないのかもしれない。

 

 

「そりゃ無いわよ。でもそうね、やっぱり分からないみたい」

 

「悪いが、日本語を話してくれ。ここは幻想郷だ」

 

「それもそうね。悪かったわ。魔理沙にはこう言っても分からないみたいだし」

 

「あの歪な月は危険だというのに……」

 

「私やもう1人に問題がないから人間には害をなさないんでしょうね。大した害があるなら見た瞬間にでも私達がどうにかなっているわよ」

 

「何だか知らないけど、夜が終らない方が害だらけだぜ。妖怪は夜に人を喰うだろ?夜が続けば、喰い過ぎで妖怪もいずれ消え失せる」

 

「そうなるわけないじゃない」

 

「いや、なる。だからそうなる前に退治しないとな」

 

と話すといきなり弾幕をはってきた。

もうこれは一度弾幕ごっこで勝たなきゃ先に進めないな。

そう思った私はその弾幕を避けつつ攻撃をすることにした。

 

スペルカードは少し使ってきた。

魔理沙らしい星みたいな弾やらなんやらを飛ばしてくる。

飛ばしてくるのはいいけど、ちょっと多くないか?

数回スペルカードを使ったり、弾幕をはってきたと思ったらそのまま行ってしまった。

 

 

「どこへ行くつもりなのかしら」

 

「どこへ行かれたとしても地の果てまで追いかけるわよ」

 

 

 

 

そんな物騒な会話をしてから再度進む私達。

こんなんでいいのだろうか?いや、よくないと思います。

 

 

 

なんてこともあったけど、また魔理沙が目の前に出てきた。

「あれ、なんだ霊夢じゃないか。どうしてこんな場所にいるんだ?」

 

「さっきも会ったじゃない。白々しいにもほどがあるわ」

 

「さっきのは紫の分だからな。んで、今度はお前の分だ!」

 

と言うと弾幕を放ってきた。

当たり判定がまだいまいちつかめない星形以外はなんなく避けれるようになった私は…油断しなきゃどうってことはないんだよ。

 

っていうかあれ、どこで避ければいいんだろうね。

そのうち分かるんだろうけどさ。

 

 

にしても面白い動きをする弾幕だなあ、なんて思っていたらしっかりと聞こえたものがあった。

 

――恋風「スターライトタイフーン」

 

 

またスペルカード、か。

リグル達もああやって宣言してきたし、なんかこうどこで枚数を決めてるのかって気になってくるね。

強さで変わるとか…はないよね。うん、きっと。

まあ、こっちにもボムと言う名のスペルカードがあるからいいんだけど。

弾消し用とかにしか使えないけどさ。

 

 

厄介な弾幕を危なげに攻略した私は次の弾幕に苦戦はしなかった。

むしろ楽に感じた。

だからあっさり突破し―――尚且つ後悔した。

何故なら

 

――恋心「ダブルスパーク」

 

そのスペルカードがとんでもなかったから。

全く、これの難易度は一体なんだろうって思う。

手加減…のわりには最初の敵であるリグルから弾幕が濃かったような。

そう言えば、確か蛍符「地上の彗星」なんて宣言していなかったっけ。まあ、いいんだけど。攻略はしたし。

正確にはクリアした、なんだけどね。いやぁ、星とかを上下左右に避けるのもまたいい……かもしれない?

 

 

 

一応攻略はした。

そしてそのまま次を宣言してきた。

 

――光撃「シュート・ザ・ムーン」

 

それを聞いてから少しすると背後からレーザーのようなものが見えた。

一瞬ビックリしたわ。

 

というかビックリしている場合じゃない。

前から星形の弾が飛んできてるんだし避けないと。

おっと、危ない。左に行き過ぎそうになった。

 

 

 

 

そう思って少し避けていて気がついた。

思いっきり目に見える魔方陣が背後に行ってないか?

それを見て読めば今より楽になるんじゃないか?

斜めのレーザーがあるとは言え大分楽に……。

 

 

 

 

考えたことを試してみたら案外いけた。

安定して出来ないのはなんとも言えないけど、それでもしないよりはマシ。

これこそ“当たらなければどうということはない”って言葉があうね。

 

 

なんてやっていたら、また宣言してきた。

――魔砲「ファイナルマスタースパーク」

 

…あっ、これって…まさか…。

そう思っていると極太レーザーが飛んできた。

隙間に避けることが出来たのはいいけど、今度は交互に来る星形の弾が。

紫を前にしても大変ってこれは……気合い避けしかない。

そう、流れに身を任せて避ければいいって誰かが言ってた気がするから!

 

 

 

 

 

 

ボムを1回また使いそうになったけど、ギリギリ使わずに済んだ。というか無理矢理済ませたんだけど。

でも、気がついたら魔理沙の向こうに建物が見える。

いつの間についたんだろう…。

 

「まさか魔理沙を追いかけてたら、目的地についてるなんてね。驚いたわ」

 

「本当あなたって幸運の持ち主だわ。うちの藍にも分けてあげたいぐらいに」

 

「くそ。一体、なんなんだ?」

 

「あなたの行動のお陰で犯人がわかったわ。つまり無駄じゃなかったってことよ」

 

「犯人の居場所は確かに分かったけども、犯人まではさすがに分からないわよ」

 

「とりあえず負けたんだから仕様が無い。もう帰って寝る。次、起きた時に夜が明けてる事を祈るぜ」

 

「はいはい、永遠にお休みなさい」

 

「体とか冷やして風邪とか引かないようにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って建物の方に進み、中へ入ると何故か声が聞こえてきた。

 

『穢き所に、いかでか久しくおはせん』

 

聞こえて少しもしないうちに閉じていた扉が見える限り全てが開いていった。

お、音声システム!?

いや、幻想郷にそんなハイテクなものがあるわけない。

んじゃあ一体…。

 

 

 

そこをまっすぐ進んでいたら、たれたウサギの耳を持つ少女が出てきた。

名前は因幡てゐというらしい。

 

 

 

んでそのてゐを倒してからまた進んでると、これまたウサ耳を生やした…というかつけているみたいな少女が出てきた。

あそこまで立つ耳あるんだね。

 

っと名前は…何故か思い出すかのように脳内に名前が出てきた。

鈴仙・優曇華院・イナバ

 

鈴仙か優曇華院(うどんげいん)って呼ばれてそう。

 

「随分と遅かったわね。あなた達が来る前に全ての扉は封印したわ。もうこれで姫は連れ出せないわね」

 

「なるほど、犯人の肩でも(かつ)いでるのかしら?」

 

「さぁねぇ。取り敢えずいつもの通りに退治してみたら?きっとなにか分かるでしょ」

 

「なんだ、妖怪か。そうよね、妖怪がこんなところまで来れるはずが無いし。連れ去られないか心配して損したわ」

 

「あら、私は人間よ。今日一日で人間を辞めた記憶はないわ」

 

「人間ならなおさら無理ね」

 

「一体、何を心配していたのかしら?こんな悪さしておいて」

 

 

姫って言ってたと思うけど。

十中八九それのことだよね。

 

 

「悪さ?それって…地上の密室のことかしら」

 

「月のことじゃなくて?違うんだったらよく分からないわね」

 

「そうね、満月の事だったはずよ。よく分からないけど」

 

「ああ、なんだあの月の事?それはね、私の師匠こと永琳の取っておきの秘術。この地上を密室化する秘術なのよ。つまりどういうことか判る?」

 

「密室化……?月との関係性が分からない以上、そんなの分かるわけないじゃない」

 

そう話していると弓を持った女性が出てきた。

赤色と青色がベース目立つ服にナース帽をかぶっているのを見てなにかそういう系が得意なのかな、と軽く想像してしまう。

名前は八意永琳っていうんだね。

 

「いいえ、そんなん説明じゃ人間には判らないわ。それに、私にとっては満月を無くすだけの術。取っておきでも何でもないわ」

 

「霊夢。こいつが犯人よ。匂いがする」

 

「確かに犯人なんでしょうけど…なんか違うわね。勘がそう言ってるわ」

 

「そう。とりあえずあの歪な月を元に戻してもらいましょうか」

 

「……戻すにはまだ早いわ。今、はいそうですかと解く訳にはいかないの。ウドンゲ。荒事と狂気は全てお前の仕事でしょう?あとは任せたわ」

 

 

優曇華院じゃ、なかった…だと!?

あ、すみません。

 

 

「お任せを。これ以上先には進ませませんので」

 

「んじゃ、どうにかして追いかければいいのね。見失いそうだけども」

 

「そうねぇ。それにこいつはあまり関係なさそうだものね」

 

「最近、戦える相手が居なかったのよね。丁度いいわ。あなた達に全て見せてあげる。本当の月の狂気を!」

 

「月の狂気?そんなの狼人間とかにしか効かないんじゃないの?まあ、あれはフィクションだったけども」

 

「あなどらないでほしいわ。これでも月に来た人間を狂わせた催眠術なのよ。ま、でもあの人間はすぐにやられてたけども」

 

「こいつ、危なそうね」

 

「月は人を狂わすものなの。その月の兎である私の目を見て、あなた達はどれだけ狂わずに居られるかしらね」

 

 

 

その言葉を最後に弾幕を張り始める鈴仙。そう、私が勝手に呼んでるだけなんだけどね。

と、それと同時に変な感じがしてきた。

なんていうか視界が歪むと言うかなんと言うか…。

なんじゃこりゃ。

 

 

ってなにあの弾。

もはやあっちであったような銃弾もどきじゃない。

実物は触ったことがないし、日本じゃ触れない。

ゲームのなら知ってるんだけどな。

 

なんて余計なことを考えながら避けているうちに弾幕が終わっていた。

その分

 

――幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)

 

違うものを避け始めることになった。

なんともまあ、不規則なものだった。

避けにくいのなんのと大変で紫をメインで避けてもらうはめに。

 

 

それを同じような動きで避け続け―――正確には交代しながらなんだけど―――攻略した私は次の弾幕を避け始めた。

少し厄介だけど、避けれないわけじゃない。

安地を探すことより倒すことが目的なのだから。

それに安地はなくてもいい。

変な風に言うならば『避けれられば良かろうなのだ!』…とか?

 

つまらないから却下しよ。

 

 

 

 

 

 

 

――狂視「狂視調律(イリュージョンシーカー)

 

発動された瞬間、『ああ、これは面倒だな』と思った。

今はなんともなさそうだけど、これがしっかり張られるとどうなるのか。

なんとなく想像がついたから。

 

弾幕…というか見た目が弾丸の弾の当たる部分が小さめなのがいいところだと思うけど、こんな感じのスペルカードは厄介だと思う。

赤色の弾丸だけじゃなく青色の弾丸まで気にしないといけないから。

 

 

紫を前にして避けてもらったけど、下手したら時間で終わりそうなギリギリものだった。

なんて面倒な…。

 

 

普通の弾幕はさっきのスペルカードとの間隔が別の時より気持ち短かった。

そのせいもあって全部は回収できなかったけど、少しはとれたからいいことにしよう。

むしろしたい。

 

見た目はかなり凄く避けづらそうと思ったけど、実際は避けやすいものだった。

え?なんでそうなのかって……何度も避けてて実は簡単じゃないのかって思って避けてみたらそうだったってだけだよ。

誰に聞かれたわけじゃないし言う必要もないんだけどさ。

 

 

分かれば簡単な話で、3つのものが私達がいる方向に飛んできているだけ。

米粒みたいな弾幕だから油断さえしなければ普通に避けれる。

 

 

それに私には威力こそないけど、追尾するお札がある。

避け続けても多少は問題ない。

そうしているとスペルカードを宣言するってポーズになった。

そんなにポーズが大事?

 

――懶惰「生神停止(マインドストッパー)

 

 

止める人なんかい、なんて心の中で突っ込んだ。

けど、弾幕は優しいものじゃなかったことを数瞬後に知ることとなった。

 

迫る円状の弾幕。それを中心点で見てると止められる。

まだ数えるほどしかスペルカードは見てないけど、その止まっている間はなんか当たらない。

というか当たり部分がないのか。

どちらにせよそれを使わない手はないね。

 

 

 

急いで移動する時は私で、避けたりする時は紫。

そんな感じでやっていたらタイムギリギリなものの、クリアはできた。

 

 

――散符「真実の月(インビジブルフルムーン)

 

名前とその読み方の矛盾が酷いスペルカード名…だね。

トゥルーフルムーンとかの方がいいんじゃないかな?

……いや、なんか変だね。

 

でもこれはこれで面倒だね。

さっきと似たような円状の弾幕とは言え、今度は鈴仙を中心にして出てきているし。

その弾丸みたいな弾幕は赤色と青色があって、その上に小さな丸い青色の弾が規則正しくはられている。なにこれパズル?

 

弾丸型の弾が消えると丸い弾しか残らない。

けど、これってパターンの動きに入りやすいんじゃないか?

そう考えたら吉日。やってみるかな!

 

 

 

そう思ったらやれた。紫にも教えたのが功をなしたのかな。

それともそもそもの紫の…あ、これは妖怪だし、長生きしてるんだからそりゃそうか。

 

 

 

――月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)

 

次のスペルカードは考える暇もなかった。

ほぼ気合いで避けに徹するしかない。

左右から来るし、確かに色別に早さが違うこともなんとか見えた。

でも、それを入れても避けづらい。

紫からなんか怪しむような、不思議なものを見るような視線が向けられているような気がする。でも、そこまで気を回す余裕なんてないし、あったとしても何故そんな視線を向けてくるのかさっぱり分からない。

 

 

 

……結局、1度だけボムを使ってしまった。

一応攻略扱いにする。私の中ではね。

 

「…とりあえず、さっきのでも追いかけるわよ」

 

「でもさっきのはどこへ逃げ込んだのかしらね。扉が多すぎて全然判らないわ」

 

「さっきの………って、師匠のことをさっきの呼ばわりしないでちょうだい」

 

なんか言ってた気がするというか聞こえたけど、あえて無視。

あなたのせいで目が痛いんだぞ。

 

「ねぇねぇ、紫。あの扉だけなんかおかしくない?」

そういって多い扉の中の一つを指差す。

 

「ああ、そこは!…そこの扉だけは駄目よ!」

 

「さっきの犯人はあそこね?」

 

「ええ、私の勘があそこだと告げているわ。ほら、行くわよ」

 

「あぁ……師匠にこってり叱られるんだ、私……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その扉を進むと廊下に入った。

窓などがある。

なんていうかチラチラと見える外が凄い気がする。

進んでるとさっきも鈴仙のとこで出てきた永琳があらわれた。

 

「ああ、もう。こっちの扉に部外者が入らないようにって言ったのに」

 

「霊夢。こいつの言っている意味、わかるわね?」

 

「この道の先にこの異変のきっかけになった人がいるって言うんでしょうね。そうとしか思えないわ」

 

 

 

 

弾幕がはられた時、紫に前に出てもらって回避してもらったんだけど、なんかこっち狙いのもあったから楽そうだった。

でも、私の時にも来るかって聞かれたらノーだろうから…ふむ、仕方ないね。

 

 

 

 

――薬符「壺中の大銀河」

 

 

なんて面倒なスペルカードだと思った。

魔方陣みたいなのが私の周りにきてそこから外側に弾幕を張る。

 

その分、厄介なのが小さな丸い弾。

粒みたいだから当たる部分も小さい。

そんな当たり前のようなもんだけど、それが若干私達を狙ってきているかのように飛んでくる。

 

 

まあ、なんとかなったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

それで少し進むと外に出た。月が久しぶりに見えて、綺麗だなと思った。

んでもって目の前に少女がいる。

長い黒髪で、和服なのにドレスみたいな服装をしている。なのに凄くにあってて可愛い。

名前は蓬莱山輝夜…だったかな。なんか思い出した?かなんかしたみたいだし。……私が。たぶん。きっと。

 

「久々の満月が……」

 

「そう、地上から見た本物の満月よ。それにしても人間と妖怪……。今日は珍しい客ね」

 

「あんたは……。一体何者?」

 

「私は輝夜。でも、あなた達が先に名乗ってないのに私の名前を聞いてきた事は怒らない」

 

「その程度で恩を着せようなんてのは甘いわ」

 

「誰もそんな事言っていないわ。最近、永琳が屋敷の外に出させてくれないのよ。だから、たまのお客様は大切に扱うわ」

 

「たまのお客様って…なによ?もしかして珠のお客様?」

 

「どうしたらそんな言い方になるのよ。不思議でならないわ」

 

「ふふ、それもよさそうね。でも、人の身に宿るは儚い(たま)。その人間が住むのは大きな球。そして、(とうと)き民が住むのは……後ろに見える狂おしい珠」

 

「で、これから私達が避けるのは」

 

「美しき弾、っと。そういうことよね?」

 

「私がこれから言おうと思った台詞を取らないの。そればっかりは怒るわよ」

 

「あら、それは失礼したわ。先がなんとなく読めたもんだからつい。でもほら、おっちょこちょいな弾のお客様って思ってもらえればなって思うんだけど、どうかしら。弾幕が見たいがあまりそこが抜けちゃったー、みたいな?」

 

「全くもう、せっかちね。焦らなくてもちゃんと見せてあげるわ。本当の月が持つ毒気を!それと、私からの美しき難題を!」

 

「本当に暇そうね……。もしかしてずっと遊び相手を探していたの?」

 

「って、確かにそうかもしれないけども~。身を隠さなきゃいけなかったから仕方ないのよ。でも、今日はその分思いっきり遊ばさせてもらうわ」

 

「それはいいとして、満月が見れるんならあとは倒すだけね」

 

「あら。あいにく、本物の満月はここでしか見れないわよ」

 

「な…なん…だって…?あぁ、いや。倒せばどうにかなりそうだから別にいいんだけどもさ」

 

「ねぇ、あなた達。そういうのはいいんだけどもそろそろ心の準備は出来た?」

 

「出来てない」

 

「全然出来てないわ」

 

「あら、そうなのね。でも待たない。さて、今まで何人もの人間が敗れ去っていった五つの難題。それがあなた達に一体幾つ解けるかしら?」

 

そういうと弾幕を張ってきた。

色とりどりでつい綺麗だと思った。でも残念だけどこれ、全部避けないといけないのよね。

全然人の話を聞いてくれなくて若干驚いたけど。

 

 

 

 

 

――神宝「ブディストダイアモンド」

 

 

今までより厄介だけど、ここまで来れたんならどうにかなる。

レーザーとばらまきで放たれる星形の弾に気を付けつつ、私達を狙ってくる楔みたいな弾を避ければまだ。

それでも辛いけどね。内心凄くヒヤヒヤしてる。

普通の私だったらもう精神的にやられてたかもしれないぐらいやばい。

 

まいっちゃうわー…。

 

 

 

 

避けつつ私や紫が交代で反撃していたら次の弾幕にいっていた。

それもそれで厄介だった。

 

 

 

――神宝「サラマンダーシールド」

 

さっきのスペルカードと違ってなんか今度は炎みたいな弾が出てきた。

しかもそれと同じくして赤色のレーザーまで出てくるし。

レーザーは私達を狙ってきてるから避けやすいと思った。

……その後ときおり出てくる私達狙いのレーザーさえなければ、ね。

 

 

 

 

 

 

それを攻略すると次の弾幕として全方位に向けて弾を放ち始めた。

それだけだと思ったら背後からも弾が。

しっかり避けないと辛そう……というか辛い!

いざとなったらボムでも使おうかな。

 

 

そう思っていたら大丈夫そうだった。

さすが勘。いや、才能…なのかな?よく分からない。

 

――神宝「ライフスプリングインフィニティ」

 

 

レーザーが全方位に向けて放たれた。

なんか凄く避けやすい、と思ったけどそうでもなかった。

なんか列をなして来る弾が見える。

速度差もあるみたいでそれが余計に面倒くさくしているみたい。

そう私は感じた。

 

 

 

 

 

 

 

――神宝「蓬莱の玉の枝 ‐夢色の郷‐」

 

まさかここまで来れるとは思わなかっ―――あれ?

と疑問に思ってようやく思い出した。あの童話のタイトルを。

そうだ、『竹取り物語』って名前だ。

今は物凄く関係ないけどね。

 

 

弾幕の方はパターンの動きをすればよさそうだと勘がいっていたのでそう避けている。

弾の動きがはやくて油断ならないけど。

まあ、まだこれでもマシな方なのかもしれないけどね。

 

 

 

 

そう思っているとこれもまたいつの間にか攻略できていた。

だけど、いきなり輝夜が納得したような顔つきになった。

もしかして、あの感じは…

 

「なんてこと!そう、夜を止めていたのは貴方達だったのね。貴方達が作った半端な永遠の夜なんて、私の永遠の術で全て破ってみせる。夜明けはすぐそこにある筈よ。どう?これで永遠の術は解けて、夜は明ける!!」

 

そういうと何故か私達…というか今は私が前なんだけど、攻撃が途中で消えて輝夜まで届かなくなった。

そこに

 

――「永夜返し ‐待宵‐」

 

と宣言してきた。

なるほど。こりゃあ…厄介だ。

紫に上下に動いて避けてもらいつつ、切り返す時は私が動いて避けた。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐子の四つ‐」

 

これもまた大変で弾が交差しているみたいに見えるほど張ってくる。

それを横移動などで避けていく。

攻撃が届かないせいで今までのどれよりも苦戦しつつある。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐丑の四つ‐」

 

赤色と青色の交差する弾。

さっきとは違って網のように張ってくる。

これも交代しながら上手く避けないといけない。

でもそこは博麗の巫女だからなのかそれとも弾幕に慣れ始めていたからなのか。

なんとかなってる。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐寅の四つ‐」

 

これまた全方位か…。

と思っていたら、赤色のでかい丸弾(まるたま)が私達に向け飛んでくる。

今さらだけど、本当に今さらだけど、当たり判定があるのは前に出ているどちらかにのみ。

しかも攻撃も前に出ているどちらかの物しか出ない。

 

おかげさまで攻撃と、避けはどちらか一方が行わないといけない。

んまぁ、そのおかげで上下左右の動きを交代交代でするはめになっている。

ほんと、凄く忙しいね。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐世明け‐」

 

今度は優しいな…と思っていたら段々きつくなっていく弾幕。

最初は交代、濃くなり他の弾が混じってくるようになってからは徐々に紫メインへ。

でもここまで来たらどっちの異変も終わるだろう。

ああ……凄く長かった……。

 

 

そのラストスペルを攻略し終える頃には眩しい太陽が登り始めていた。

―――そこで理解した。もう、幻想郷の夜が明けたんだと。




すみません、本文を変えさせていただきました。

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