一ノ瀬はじめの憂鬱   作:黒兎可

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創性仮想昂進

 

 

 

 

 

 ボクとてたまには、言葉をさがすときはある。驚いたときとか慌てたときは変なことを(なおのこと変なことを)口走ることもあるし、それ以上に、相手を観察するときとか。

 

 だから、ボクらを見下ろす彼、ないし彼女を相手に、ふとボクは最初、言葉が出なかった。

 長い髪をした相手は、眼鏡越しにこちらを観察している。

 

 ――――壊れた子供。

 

 この子ッスねぇ、と。そんなことを考えながら、LOAD=GALAXに接近する。その視線を見れば、ボクのことを追いかけているそれで。さすがにあの宇宙人さん的な何かを率いているだけのことはあるってことかもしれない。

 ボクらを、というよりもボクを見る目は訝しげというか。でも、さっきはすごく驚いたような声音も上げていたことからして、色々と想定外、という様子だ。

 

「君は……、ガッチャマンか?」

 

 そうっすよ? と。

 忘却想起、ことアムネジアリマインド。というか、こうしないと顔をさらすことができないので、仕方がないともいえる。

 

 って、おっと? 髪解けるッスねぇ。顔のぬめぬめもなくなってるあたり、確かにコレ、超技術っすよ。

 先輩の絶叫が聞こえるけど、それはあんまり関係ない。

 ボクを見て目を見開くLOAD。同年代だってことに驚いているのか、ガッチャマンが人間だったことに驚いているのかは知らないけれど。

 

 それよりも考えるべきはLOAD=GALAXにボクが見えてるって言うこと。この周囲の惨状を救出したあの宇宙人さんたちみたいな地球外のナニカと関係があるとみていいのかもしれない。

 でも、だから。そうであったとしても、ボクらの自己啓発生を促し続けるこの子だからこそ。それが何故「壊れた子供」なのか、正面から見据えなければならない。

 ともあれ、目と目を合わせて話してみたいというのは、いちGALAXユーザーとしても、ボク個人としても確かに存在していた。

 

「どうも! ボクの名前は、一ノ瀬はじめッス!」

 

 って、あれ? なんかばちばちって、電気が迸るみたいな音たててLOADくん、どっか行っちゃったみたいッス……?

 

 何故逃げたんだろう。いや、確かにアムネジアエフェクトが解除されてしまったというのはあるかもしれないけど……? というか、向こうもこっちを観察してるくらいだったのだから、何かしら思うところ、考えているところがあると考えてたんだけど……?

 

 結局、バカヤローって絶叫する先輩に担がれながら、ボクはそのまま運搬されるのでしたとさ。

 

 

 

   ※

 

 

 

 結論。監視カメラがあったみたいッス。

 まぁ確かに事故を起こしかねないっていうのを考えれば、あってしかるべきなんだろうけど。それでもまさか、あそこまで正面からボクの顔を捕らえてるとは……。現代の技術、侮りがたし……。

 

 っていうか、再生数すごいッスねぇ。ボク、LOADに向けての素顔公開だったはずなんだけど、これはあきらかにみんな、ネットに依存しすぎじゃないかな。

 まぁ正直、そこまで気を使ってはいなかったんだけれど。でもここまで大々的に、しかもボクをフィーチャーするっていうのは、ちょっと予想外だったというか。どっちかっていえば先輩をフィーチャーしてあげた方が、先輩が今年も留年しないで済むことに繋がってよかったんじゃないかと思わなくもないんだけど、そこのところどうだろうか。

 

 まぁ、そんなことを思うのは散々ボクに説教してた先輩も、そうは言いながらどっちかって言えば本心、ボク寄りな気がしてるからかもしれないけど。

 

「んー、骨まではいってなかったみたいッスねぇ。まぁ傷にならなくて良かったッスかねぇ」

 

 頭を洗い流しながら、ボクは鼻歌を歌う。身体にシャワーをかけて、胸にしつこくまとわりつく泡を洗い落とす。正直ちょっとだけ邪魔な気もしないではないけど、母性の象徴らしいということで、これはこれでかわいいということにしておこう。

 

 そして、ちょっとだけ驚いた。

 

「おはよう」

「お、おー! おーはーッス、先輩!」

「いや、それ古いだろ」

 

 まぁ古典めかしいモジャメガネないし謎の面白黒人のごときあいさつはおいておいて。

 先輩、自分からボクに挨拶してきたッス。ニュースがわいのわいのボクのことを騒いでいたのを聞いた時は渋い顔をしていたけれど、そんなことよりも、え、何? 何ッスか? これ。ようやくボクも、先輩みたいな感じのヒトともちゃんとコミュニケーションとれるようになってきたってことッスか!? まぁ先輩がボクに調教(?)されてきたということなのかもしれないけどそれはともかく。

 

 しっかし、完全に二日でボクも有名人になったものだ。どっかの農家さんとかに訪問して「はじめちゃんだー!」とか驚かれたり、料理をふるまわれたりする日も近いのかもしれない。イロモノ化が進んでいるというのと同義なので、女の子としてはちょっとは気にした方がいいのかもしれないけど、でも、これはこれで一つ好都合かもしれない。利用する下地としては、まぁ悪くはないと判断した。

 

「どうしたッスか? 先輩」

「え? あ……、いや……。大丈夫なのか、お前」

「お前じゃなくて、はじめッス!」

 

 どうやらネットの掲示板とか見て、良い気分がしないらしい。この様子からすると、ボクのこと調べてくれてたみたいッスね。この微妙な反応からして、たぶん良くないことでも書いてあったんだろう。

 そんな落ち込んだ先輩のスマホをとって、ブラウザを閉じる。

 

「ほら! これで大丈夫ッスよ?」

「いや、大丈夫って何が……?」

「所詮、道具ッスから。電源が落ちれば、それまでッス」

 

 驚いたような顔をして。でも、それでもどこか納得したような反応の先輩。前にも言っていたなとか返されたッスけど、あれ、そんなことあったっけ……?

 

 そしてCAGEに呼ばれれば、パイパイ、ちょう怒ってる。

 ガッチャマンの正体について、軍を例えに出していたけど、でもボクらって警察的な何かじゃなかっただろうか。

 

 警察だったら、そりゃ、身近にいる警察官だっているにはいるだろうと思う。

 

 そしてJ.Jは何も言わない。んん、興味がないっていうより、自分で判断しろってことッスかね。ボクらがボクらとして、どうするか考えろっていうような。

 だったら、ここはパイパイに考えてもらうべくかな。

 

 まぁ、とりあえず折り紙折り紙……。

 

 ガッチャマンはしばらく休業だとかパイパイが言ってるのに、呆れてるのかなんなのか、丈さんこれまたクールに立ち去る。それを追いかける先輩をちらっと見ると……、っていうか先輩、黒、似合うッスねぇ……。伊達にニンジャ王子とか、学校の女子の間で後ろ指さされてない。

 

「……ん」

 

 あれれ、うつつちゃんおねむッスか?

 なんか今日、ずっとぼうっとしていたみたいだけれど。Dさんとうつつちゃんの部屋にいってそのことを聞いて見ると。

 

「きのう、助けたひとに言われた。ありがとうって……」

 

 良かったじゃないか、と問えば、うつうつする、とやっぱりぼうっとしてる。

 んー、そっかそっか……。自分で嫌ってるものでも、誰かの役に立っちゃったってことに、気持ちの整理がついていないのかな? でも、少しだけうつつちゃんの心が躍ってるみたいなので、たまらずボクはハグするのだった。ぎゅううううっ。

 とりあえず、かわいくなろうとしてるうつつちゃんが、もっと嬉しくなれますようにと願ってプレゼント。こういう時、ロングスカートで良かったと思う。

 

 頭にリボンのうつつちゃん……。すごく、ありだと思う。

 

 って、おろ? バイト先、パピルスの店長からGALAX経由でメールみたいッスねぇ。

 って、カットアンドカットオオオオオオオオオオオっ! これこれ、待ちわびて居たぞこのハサミちゃん! 遠出してちらっと手触り味わってはや数ヶ月、ようやくパピルスにも入ったッスか!

 

 これは、買わねば。なにげない使命感に動かされながら、当然うつつちゃんもさそう。

 

「うつうつする……」

 

 します、と、する、だと、うつつちゃんの中ではどうやら表現のニュアンスがかわってくるらしい。

 前者はネガティブな感じだけど、後者はポジな感じなのかな?

 

 

「――――で、先輩。なんでついてきてるッスか?」

「っ、か、監視だ。放っておいたらまた何を仕出かすかわからないからな」

「へぇー、……大変ッスねー」

 

 別に何か仕出かすつもりとかないんだけれどもなぁ、ボク。先輩もどこまでその言葉が本気かわからないけど、まぁそれでも旅は道連れ世は情け。帰りにケーキ食べて帰る計画でも立てておくッスか。

 だったら今日くらい変装してくれと言われたけど、まぁ、それをする必要はボクはないかなって。大体、ボク別に悪いことをしたりしてるつもりもないし。ただの、ちょっと、文房具大好き人間ってだけだし。

 

 と、そんなことを考えていると、エレベータに昭和記念公園の花火大会の情報が記載されている。ちょっと気が早いような、早くないような……って、あ、違った。流石に昭和記念公園じゃなかったッス。花緑公園かぁ。うつつちゃん、たまに掃除してたっけ。

 

「……なぁ、」

「なんスか?」

「昨日、あの事故現場で、なんで部外者に素顔を見せたんだ?」

 

 目と目を合わせて話したかったと、そのまま本心を返せば、そんなことでと驚かれる。だけど、ボクからすればこれはかなり重要なことだった。

 出会って、言葉をかわして意思疎通ができるなら、それをしないという選択肢はボクにはない。

 

「だからって、あそこでやる必要はなかったろ」

「ボクには、あの時、あそこでやる必要があったんスよ」

 

 あの場で出会ったからこそ、あの状況で本当は言葉を交すべきだと思ったからリマインドしたのだ。まさか逃げられるとかは思ってなかったけれど、さすがにはずみでやるほど、ボクも無責任ってわけじゃない。

 確かに言ってることもやってることも、正しく伝わるかはわからないし、理解されないことも多いけれど。だからこそ、ボクはボクなりに慎重に考えているつもりだ。

 

 そうか、と。先輩は少し逡巡してから納得してくれた。

 

 この感じ、前にもあったッスねぇ。なんとなくだけど、先輩との距離感が近づいてきてるというか、ちゃんとボクが考えてることが伝わってる感じがして、ちょっとだけゴキゲンなのと。

 先輩が、ちゃんと自分の目で見て、聞いて、ボクを判断してくれたっていうのが、ちゃんとボクという個人をみてくれているって感じがして、「かわいかった」。

 

「そういえば、うつつのそれ……」

 

 と、ボクが作ったおリボンさんに興味ありそうな先輩。かわいい系の趣味に先輩が目覚めたっていうより、純粋に、そういう行動に移った背景が知りたいってだけみたいだ。

 

「大した理由なんてないッスよ。うつつちゃんが昨日がんばったから、もっと嬉しくなれるようにって!」

「そんなもの、なのか?」

「先輩だって、バレンタインとかモテモテじゃないッスか?」

「いや、だって……。それは、返すって言うのは、その……」

 

 気持ちに応えるってことになるから返せないってことかな。

 んー、間違ってはいないけど、あげるってことに対する考え方がやっぱりまっすぐすぎる気がする。

 こういうものは、お返しを期待してても、していなくてもあげたいときはあげるものなのだ。そりゃ、それを理由にまた新しくプレゼントし返してくれたら、それを無限ループで繰り返して楽しくもなれるけど、あげたいと思ったからあげるのだ。

 

 いうなれば、気持ちの余剰分を誰かと共有するってこと。

 

「みんなそういう気持ちになればいいのになー」

 

 そしてやっぱり、だんだんとボクの言葉のニュアンスとかが正確に伝わりつつあるのが、ボクにもなんとなくわかるようになってきた先輩だった。

 

 

 そして肝心のはさみちゃん。切り心地、最・高。

 

 

「はじめちゃん、はやく逃げた方がいいよ……?」 

 

 ほぇ? と店長の言葉に返すよりも先に、おっとり刀もかくやといわんばかりにマスメディア殺到という。これ、テレビで見た事あるッスね。

 

 Q.あーゆー、はじめいちのせ?

 A.いえす、あいあむ。

 

 特に聞かれてこまることはなかったので普通に受け答えしようとするボクと、真面目にボクをディフェンスするボディーガードじみた頼れる先輩と、うつうつするうつつちゃん可愛い、という状況はなかなか混沌としていた。

 というか、まぁ、先輩どんまいッス。いやボク、別に先輩嫌いってわけじゃないッスけど、なんにしても現状、違うものは違うわけで、インタビュアのお姉さんがヒートアップしてるのを流さざるを得ない。そこは仕方ないのだった。

 

 そんなとき。LOAD=GALAXがなんらかのミッションを発動して、ボクらを逃がしてくれた。

 どちらかといえばボクらという客寄せパンダを利用して、立川で遊んでる感じもしないではなかったけど。まぁこういう脱走劇というのもなかなかに楽しめはした。うんうん、LOADはそういう子ッスか。

 

 しかし、Xの声も可愛いというか。やっぱり相手を落ち着かせるために、女の子みたいな声をしてるのだろうか。

 

 というか、GALAXER、多すぎだと思う。色々ご協力してもらった手前アレなんだけど、流石に窓の清掃員さんとか、幼稚園バスの運転手さんとかまでは、ちょっと悪乗りしすぎじゃないだろうか。表情には出すつもりはないし、うつつちゃんも楽しそうなので、指摘するのは野暮なんだけど。

 

 見上げれば、立川グランドホテル。……んー、意外とゴールが近かったッス。それにしては南口に出て、高架下をまわってとか、結構ややこしい道順を移動はしたけれど。

 

 そして待ち受けているラスボス? は、やっぱり昨日のヒトだった。

 

「どう? ここまでの道のりは」

「すっごく楽しかったッスよ! なんかみんなで、ゲームしてるみたいで」

 

 内発的に動いているというのもあるのだろうけど、みんながみんな企画を楽しんでるし、盛り上げようと言う気概もあって。こう、ボクのコラージュコミュニティとかとは別なベクトルの楽しさがある。

 言うなれば、表現が向かう方向の違いといったらいいのかな。みんながみんな自分自身を表現するのと、みんなで力を合わせて一つの表現をするのと。

 

 なによりみんな、本当に楽しそうでだったから。ボクの基準でいえば、それは「かわいい」ということなのだ。

 

 そして、やっぱり噂どおりGALAX、このLOADくん(ヽヽ)がやってるみたいだった。立ち上がるとき、身体のラインと喉元のあたりの具合が完全に男の子だったので、服かわいいけど、まぁ男の子なんだろう。

 

 とりあえず席につく。なんとなく、飲み物は水! ジュースは頼まない!

 

 友好の印としてネットに流出した写真を消してくれるっていうLOADくん。んー、これは自分の能力というか、影響力を示して来てるのかな。やっぱりLOADくん、ちょっと自己顕示欲も強い感じみたいッスねぇ……。まぁべつに気にはならないから、それは捨て置いてもいいのだけれど。

 そしてやっぱり、ボクらを観察しているらしいLOADくん。こっちを面白がってるっていうのもあるけど、なんとなくこう、自分の宗教と相手の宗教を比較して自分の足場を固めてるような感じがするかな?

 

 んー、なんていったらいいんだろう。そういうのも、厚化粧っていったらいいのだろうか。

 本当の意味で、LOADくんがやりがたってることにそれが直結してるならいいんだろうけど、なんというか、あんまり余裕がない感じがするかな。

 まぁそれでも面白そうだっていうのは、悪い事じゃないとは思う。

 

 先輩が科学忍者ないし吸血鬼みたいに天井にぶら下がったあたりで、LOADくんは本題を切り出した。

 

 まとめると、つまりガッチャマンみたいなヒーロー像はいらない。全人類が、内発的に行動できるヒーローになれればいいと。そのためのGLALXだという、まぁ、宣戦布告みたいなものだった。

 

 んー、なんだろうなー。でもでも。LOADくん? NOTE、知ってるッスよねぇ。

 GALAXTERとして活動する云々じゃなくって、そもそもLOADくん、本心からそれを思ってるならこんな風に出てくる必要だってないはずなのに。

 

 そうやって理論武装する必要が、果たしてどこにあるのか。

 

 あのちかちかしてた宇宙人さんみたいなのについても恍けてるし。ということは、LOADくんは、まだ本心では「かわいくなりきれていない」ってことなのかな。

 まぁ、とりあえずは。

 

「すっぴんの方がキレイっすよ?」

 

 こんなにキラキラしてるのに、もっともっとすごいことだって出来ると思うのに、なんでこんなに追い詰められてしまってるんだろう、

 それでも、ここまで心根をぶちまけてくるってことは、最近、なんか良くないことでもあったッスか? それこそ、ガチガチに武装しないと、いまにも殺されてしまうくらいに。

 

 もったいない。もったいない。LOADくんならもっと、LOADくんが思った通りの、もっともっとすごい何かにだってなれるし、すごいことだって出来るに違いないのに!

 そんな裏を取りつくろわなくったって、独力でここまでのきっかけを作れる君なら、もっと、もっと!

 

 

 

 それだけ伝えた帰り道。お時間的に、流石にケーキはもう無理と判断せざるをえなかったのでござる……。ガーッちゃがちゃがっちゃがっちゃがっちゃがーっちゃ。

 

「なぁ、これからどうする?」

「ほえ?」

 

 先輩、少しセンチメンタルな様子。どうも今日のLOADくんの話を聞いて、思うところがあったみたいだ。まぁ、先輩まっすぐすぎるッスからねぇ。

 でも、ボクもうつつちゃんも、やめるつもりはない。もちろん先輩だって。

 

「でも……、だったら、何をしたらいいんだろうな。俺たちは」

「別に宇宙人だけを相手にしちゃいけないってことも、ないと思うんスよねぇ、ガッチャマン。戦争とかはどうかなーって思うけど」

「そうかもしれないけど、でも……」

「だから、へこむことないッスよ? 先輩」

「……それ、励ましてるんだよな。励ましてるんだよなぁ……」

 

 そんなにボクから励まされるの嫌ッスか?

 いや、というよりもそれだけ自分は落ち込んでいるのかと、客観的に状況を察して、ちゃんと落ち込んだらしい。どんまいどんまいとは笑えないけど、まぁ、そのうち頭でもなでてあげよう。

 先輩が、ボクから頭をなでられるのがご褒美になるような人物かはわからないけど。

 

「……ODも、心配してる」

「Dさんが?」

「私も、心配」

 

 先輩はやっぱり真っ直ぐすぎるっていうのは、みんなの共通見解なんだろう。だから突然、ぱっきり心が折れてしまうかもしれないって、Dさんは心配していたらしい。

 

 気負うことないと。

 

 やっぱりケーキ買って行くッスかねぇとか考えてると、先輩は、LOADくんには裏があるとボクに詰め寄ってくる。

 うん、そりゃ裏はあると思う。ボクだって表に出してる以上に、色々ともっと愉快なことも失礼なことも、色々考えているのだから、それは当たり前だ。

 でも、それでもやっぱり訳はあるのかもしれない。生憎それについてボクがどう思うかっていうのは違うけど、それがないといけない理由がLOADくんにはあったのかもしれない。

 

「やっぱわかんないなぁ、お前」

 

 先輩、ウィンクっすか? 意外とかわいいというか、様になってる。

 

 でも、確かめてみないと気が済まないっていうのは、なんというか、ようやく「らしい」感じになってきたって気がする。うんうん、やっぱりそういう風に「かわいくなくっちゃ」。

 

「たーがやー!」

「たま……、たがや?」

 

 うつつちゃんと一緒に打ち上がる花火を見ながら、なんとなくボクはそう叫んだ。

 

 

 

 

 

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