絶対絶望というのはこのことだろうか。無限と称される龍が立ちはだかることだろうか。
今の手持ちの無限といえばオベリスクだが、破壊されないとなれば時械神で耐えることは可能だろう。
だが、それで済ますようには思えない。というか、もしかしたらデッキ持ってる可能性まである。
「まさか挑むおつもり?いやいやいや、いくらなんでも無謀だって!」
「……………………」
「我、オーフィス」
誰だと聞いたら答えてくれた。案外根は素直な子らしい。
この時、フリードは最強の龍(幼女形態)相手に素直な子と言うコナミ君(仮)の精神を疑った。危険とは思ってるが怯えてはいない、度胸があるのか何も考えてないのか。
だが、流石に時間を押しているためここで戦うのは得策とは言えない。下手したらものすごい被害を及ぼす可能性だってある。
力を持ってるとはいえ、相手が強敵だからといって不用意に振るうつもりはないのだ。
「……………………」
「やること?なら、我手伝う」
「……………………」
「我、早く静寂を得たい」
「……………………?」
「グレードレッド倒す、我、そこに帰る」
「……………………」
「グレードレッドは次元の狭間にいるやべー龍ですたい。あれがいるから次元が保たれてるとかなんとか?」
そんな世界が崩壊しかねない事に巻き込まないで欲しいとコナミ君(仮)は心底思った。
そして無限龍となれば絶対に神のカードの力を感じ取ったためコナミ君(仮)まで辿り着いたのだろう。
だが、それよりも、もっと重要な気配を、同類の気配を感じ取ってしまった。
コナミ君(仮)は目を細める。この感覚だと間違いなくオーフィスも遊戯王のデッキを持っている。無限を持つ彼女(?)だからこそ最も扱える格上のカードを持っていることも。
「それで、どこへ?」
「……………………」
「え、そのまま素通りする度胸!うわー、逆にすげーわ。その痺れる背中を見習いたい!」
「こっち?」
横を素通りしたら持ち上げられた、しかもお姫様抱っこ。
「……………………!」
「用事は、早く終わらせる」
そしてそまま大跳躍。フリードの目ですら見えなくなる距離まで一瞬で飛んでいった。
「……………………あれ、俺置いてかれた?」
ポツンと置いてかれたフリードは帰るわけにもいかず、一人で京都に向かおうとして迷子になったとさ。
あとコナミ君(仮)の歩いた方向は京都と少しずれていたとか。
〜●〜●〜●〜●〜
「はーん、もう仲良くなってた訳か。まあ別に何もいうことはないぜ?パラドックスはともかく、アンチノミーは日本人らしいしな」
「日本人なのは認めるが、まさか堕天使総督が修学旅行で遊びに来るとは」
「遊びじゃねえよ。名目上の会談だ」
「遊んでたじゃないですか」
「ロスヴァイセ、ちょっと黙ってくれ。しかし八坂姫が行方不明とはなぁ…………」
居酒屋にはレヴィアタンの魔王の名を持つセラフォルー、アザゼル、ロスヴァイセ、妖怪の重役、九重嬢、そしてアンチノミーこと一誠がいた。
ゼノヴィアがいない理由は堕天使と悪魔にはあまり接触したくないとのこと。
今回は京の顔役である八坂がいればラッキー程度、重役の妖怪と話をするためにアザゼルは来たのだが、話の内容がまさに起こっていたのだ。
「禍の団にしてやられたか。そっち側の話を聞く限り『
「今はどうでもいいだろ。それより禍の団の事について詳しく教えてくれ」
「『
「今の論点はそこじゃないだろ」
ウンウンとアザゼル以外が頷く。俺がおかしいのかと頭を抱えた堕天使総督だが、ここはスルーするしかないようだ。
そんなこんなで話が進み、悪魔組に禍の団が接触する可能性がかなり高いという結論に至った。
妖怪達は血眼になり八坂を探してるが故、勝算がある時にしか戦わない敵は挑んで来ないと見ている。そして格好の的となるのは悪魔達になる。
「ああ、こちらからも厳重注意する。つっても難しいかもしれないが」
「アザゼル殿、難しいとはどういう事ですかな?」
訝しげに妖怪の重役が聞くと言いアザゼルは辛そうだったが隠しても意味はないと思ったらしか自白した。
「一応、俺の生徒になってる奴の使える力が一部使えなくなってな。今までやってきた戦法が使えんようになったんだよ。半ば自暴自棄になってるから危ないんだわ」
「それならなぜ止めない。生徒なら止めるべきだろう」
「崩れそうなジェンガを扱ってるようなもんだ。ふとした拍子に一気に崩れる。このことに関してはアンチノミーが一番知ってるんじゃないか?」
視線がアンチノミーに集中する。何故ここで話を振るのかと思ったが、今になって気づいた。
「兵藤一樹のことか」
「ご名答。カードゲームなら制限とかあるだろ?といえば分かるか」
「なるほど、大体わかった」
他の者ら頭の上にはてなマークが浮かぶが遊びまくってるアザゼルと実際にやってるアンチノミーだけが理解していた。
九重嬢がなぜはてなマークを浮かべてるのかというと、妖怪デッキを渡した時に禁止カードや制限カードの話は一切していなかったからだ。
「この際に聞いときたい。何故お前らは一樹を敵視する?同じ力を持つなら協力しあえるんじゃないか?」
「敵視していたチームが味方になるのもよくある話ね☆」
「それはない、絶対にない」
「そこをなんとか頼むって。敵対してる原因さえ分かったらあとはこっちでなんとかする」
なんとかするといった手前、問題解決に向けてアザゼルは全力で取り組むだろう。よく言えばお人好しなところもある彼は身内を大切にするだけでなくグローバルな平和を望んでいるのだから。
「……………………仕方ない、どうせいつかバレることだし」
ため息をつき観念したのかそう呟く。
おお、とアザゼルは少し喜び妖怪の重役と九重は良いのかと心配するが軽く微笑み大丈夫だと言った。
「悪い奴じゃないってのは分かってるぜ?何せ謎の過去を除いてやってきた行いは全部調べ上げたからな」
「まさに正義のヒーローね☆大体私達の身内のイザコザだからご迷惑をおかけしてるけど…………」
「自覚があるならもっと厳しくしろよ」
流石にやってきた所業は調べたようだ。しかし、セラフォルーまで乗るのは少し不愉快である。
アンチノミーの嫌味にセラフォルーは頰を少しひきつらせるがすぐに笑顔に戻る。一応、外交を担当しているだけあってこういった駆け引きの素人であるアンチノミーは気づかなかった。
サングラスを外し素顔を晒す。それだけでなくあえてオールバックにしている髪型を戻す。
するとどうだ、セラフォルーが目を見開き、アザゼルが唖然とした。
「俺は今まで彼に名乗るとしたらこれがいいと言われたからアンチノミーと名乗ってた。俺の名は兵藤一誠。どこかで見たことある顔だろ?」
吐き捨てるようにアンチノミー、否、一誠が言う。兵藤という名字には心当たりがある。そして赤龍帝にそっくりすぎる顔。
しかし兄弟がいたなんて聞いてない。国籍を調べてもそんな人物はいなかった。
「知らないって顔だな。あいつが関係者全員の記憶を消したからな」
「待て、記憶を消す?確かに一樹はカードを使うがそれまでは一般人…………」
そこでアザゼルは気づいた。一樹が使ってるデッキのテーマはなんだ?ほとんどのカードに『SPYRAL』とついている。しかし、一部を切り取ると『
『
ようやく重大性に気づいた。兵藤一誠と名乗った男より一樹が何者なのか分からなくなった。あの家には兵藤一樹という人間は元からいなかった?兵藤一誠の事が本当ならば彼の人生を奪った?そもそも奴は中級堕天使に一度殺されるような一般人なのか?
そして何よりも恐ろしい結論にたどり着いた。
「…………まさか、お前が本物の赤龍帝なのか?」
「いや、それは知らん」
「可能性を否定するには不十分すぎる。クソッ、まさか京都に来てこんな事になるとは…………っ!」
何が目的なのか?何をしたいのか?何があったのか?謎を解いた瞬間、より深い闇を覗いてしまったアザゼルは頭を抱えた。
なお、一誠だけ何となくアザゼルの独り言を理解し、他のメンバーはまた頭にはてなマークを浮かべていた。
朗報、一樹の包囲網が形成され始める。
謎が新たな闇を引き連れてきた中、コナミ君(仮)は一足早く決戦の地に着いていた。そこに待ち構えていたのはいつぞやの英雄を目指すと言っていた者達。八坂姫を取り戻すべくコナミ君(仮)は挑む。しかし彼は戦う前にデュエルディスクを仕舞う。
次回、『デュエリストと英雄』
何が、どういう事が英雄なのか、デュエルスタンバイ。