オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

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デュエリストと肉まん

 コナミ君(仮)が目覚めると、そこは布団だった。

 

 英雄気取りの馬鹿共と戦い八坂姫を奪還したのはいいものの、力尽きてしまってからの記憶がない。

 

 そして天井には見覚えがある。明らかに日本屋敷だ。つまり、妖怪の誰かがコナミ君(仮)を見つけて運んだということ、だと願っておく。

 

 流石に敵地だったら元も子もないが、拘束すらないので大丈夫だと思っておく。

 

 眠っている間に服を着替えさせられたらしく、着流し姿で腹部に包帯が巻かれていた。腹部に攻撃を受けた跡は残っているのだろうか?

 

 とにかく痛みは感じないので自然に回復したのだろう。聖槍を食らって生きてる方がどうかしてるのだが。

 

 ヨロヨロと立ち上がり外に出ようと襖を開ける。

 

「あ」

 

「……………………」

 

 待機していた知らない妖狐のお姉さんと目があった。見張りをしていたのだろうか?まさか出て来るとは思っていなかったような顔をしている。

 

「……………………」

 

「あ、は、はい!」

 

 とりあえず関係者を呼んでほしいと伝えたら慌てて他の人を呼びに行った。行ったのはいいが慌てすぎて柱にぶつかったのを見て大丈夫かと思ってしまう。

 

 改めて服の下を確認してみる。包帯が巻かれているが痛みはないが薬品のような匂いがする。どれだけ塗りたくったのだろうか。

 

 しかし、英雄になりたいというだけあって強敵だった。オベリスクは使わなかったもののライフを4000以下にまで追い詰められるほどだった。

 

 一度だけ2000以下になってしまった時もあったが『時械神サディオン』の効果でなんとかしのいだ時の奴らの顔は面白かった。

 

 と、戦いを振り返っていたらドタバタと大きな足音が近づいて来くるのが聞こえた。

 

「目覚めたってほんとか!生きててよかった…………」

 

「私の言った通りだろう?彼がそう簡単にくたばるはずがない」

 

 真っ先に来たのがシンクロ次元組だった。しかし、ゼノヴィアの台詞と息切れ具合が一致していない。なんやかんやで心配してくれていた。

 

 仲間に恵まれたな、とコナミ君(仮)は思った。

 

 一誠とゼノヴィアからの質問責め(という名の説教)を受けてる間に八坂姫と九重嬢がやって来た。

 

「どうやらお目覚めのようで。此度は…………」

 

「……………………」

 

「もう少し休みたいと?確かに、病み上がりにこれは少し筋違いではありますね」

 

 なぜか口調がいつもより丁寧な気がする。けれど感謝は後にしてほしい、まだ二人の目が怖い。

 

 何故こんなに早く来れたのかは黙秘して帰る準備をしようとするコナミ君(仮)。これでも一応だが学校通いなのだ、このままだと無断欠席もそれなりの日数になってしまう。

 

 しかし、よく考えてほしい。オーフィスに無理矢理連れていかれたとはいえ、事実上単身でテロリストの有力なチームである英雄派の幹部複数人を相手に戦い、生き延びて八坂姫を救出したのだ。

 

 流石に力尽きてこっそり寺で休憩していたら目が覚めた八坂姫に膝枕されていたのは極一部しか知らない。

 

 膝枕はさておき、この功績は妖怪界で英雄と讃えられるクラスの事をしでかしたのだ。簡単に帰してくれるわけがない。

 

 一言で言うなら、宴会に強制参加することになった。もちろん駆けつけてくれた一誠とゼノヴィアも参加する事になった。

 

 まだちょっと疲労が残ってるのに勘弁してくれ、とコナミ君(仮)は思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 酒というのは麻薬の一種だとコナミ君(仮)は考える。人の、いや人以外でも理性を外し、場合によっては人格すら変わってしまう魔性の飲み物だ。

 

 宴会となれば酒はもちろん出される。しかし、コナミ君(仮)は未成年という事で酒は飲まないが、一誠とゼノヴィアは何故か飲んでいた。

 

 言い訳として、国によってはこの年だと成人してたりするからセーフとのこと。みなさん、絶対にやってはいけません。他国がどうのこうのは通用しません。

 

 と、前置きはここまでにして場酔いと言うものがある。他が飲み、自分はアルコールを摂取していなくても酔ったような雰囲気になる事だ。

 

「……………………」

 

「ほれほれ、どうじゃ?今晩好きにしてもいいのじゃぞ?」

 

 八坂姫は人妻、というより未亡人である、多分。実際、九重嬢の父親の話は一切聞かないのでそういう事だと思っておく。助けてくれたた恩と酔いでなんやかんやが緩くなってる。

 

 そこで乗ってしまったのが運の尽き、場酔いしたコナミ君(仮)は会話をしながら一誠でもないのに(この事を言ったら抗議された)さりげなく肉まんを揉んだ、揉んでしまったのだ。

 

 浮かれていたのは認める、しかし八坂姫の子はどう思ったのかというと…………

 

「母上に何しとるんじゃーっ!」

 

「……………………!!」

 

 ミサイルかと思うほどのタックルをかまされぶっ飛ばされた。人外とデュエルマッスルで肉弾戦ができるとはいえ、気を抜いてたら吹き飛ばされる。

 

「このぉ!さりげなく母上の乳を揉むなんて許すまじ!妾が成敗してくれる!」

 

「……………………」

 

「お、なんだ喧嘩か?九重嬢と決闘者が姫を取り合う喧嘩してるぞ!」

 

「九重様、日々練習していた絵札をあやつに見せてやりましょう!」

 

 絵札というのは恐らくカードの事だろう。外野の言い方だと一誠に渡されてからかなり練習したんだろう。

 

 しかし、ライフに差があるし余興みたいなものである。大広間の東西に分かれて妖怪(プラスα)が見ている中で特別デュエルする事になった。

 

 特別ルールと言っても『お互い初期ライフを4000として計算する』『本気で傷つけない』と付け加えただけだ。それ以外は新マスタールールと同じだ。

 

「ええい、妖怪の力見せてやるのじゃ!」

 

「……………………(早く帰りたいという顔をしている)」

 

「「デュエル!」」

 

 それでもやらなければネチネチ言われそうなのでちゃんとやるコナミ君(仮)。先攻もコナミ君(仮)だった。

 

「手札から『時械神ラツィオン』を通常召喚。ターンエンド」

 

 先攻と言ってもやることはモンスターを出すだけである。そして手札に本当に必要ないカードが二枚来てしまい事故を起こしていた。

 

「妾の番じゃな。カードを引くのじゃ」

 

 キャラ設定なのか?と聞きたいが親ものじゃ系なので今更と思いスルーする。

 

「『時械神ラツィオン』の効果発動。1ターンに一度、相手がドローした時に1000ポイントのダメージを与える」

 

「ぬぅ…………っ!」

 

 九重嬢がドローした時、『時械神ラツィオン』が炎を吹きかける。もちろん加減はしており温かい風程度にしか感じない。

 

 九重LP 4000→3000

 

「お嬢様ー!頑張ってください!」

 

「姫様負けないでー!」

 

 とてもコナミ君(仮)にヘイトが集まっている気がする。

 

「ふふん、一気に攻めるのじゃ!手札から『ミイラの呼び声』を発動!」

 

 

 ミイラの呼び声・永続魔法

 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

「妾の場に召喚獣はおらん、よって手札から『牛頭鬼』を特殊召喚するのじゃ」

 

 描かれているミイラが叫び声をあげると牛の頭をした鬼が九重のフィールドに現れた。ふんす、と鼻息を鳴らして手にしていた槌を振り下ろす。床は壊れないように手加減はしていた。

 

 

 牛頭鬼・効果モンスター

 星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

「牛頭鬼」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地から「牛頭鬼」以外のアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「『牛頭鬼』の効果発動、山札から同族の絵札を一枚墓地に送る。墓地に送るのは『九尾の狐』、そして手札から『堕ち武者』を通常召喚するのじゃ」

 

 

 堕ち武者(デス・サムライ)・効果モンスター

 星4/闇属性/アンデット族/攻1700/守 0

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。デッキから「堕ち武者」以外のレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「『堕ち武者』が召喚に成功した時に効果を発動、山札から同族の絵札を墓地に送る。『牛頭鬼』と一緒じゃが…………妾は山札から『馬頭鬼』を墓地に送るのじゃ」

 

 現れた頭だけの骸骨のような武者が口を開け、九重のデッキから一枚のカード、『馬頭鬼』が『堕ち武者』の口の中に吸い込まれた。

 

 

 馬頭鬼・効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

 

「……………………」

 

「ここまで来たらわかるじゃろ、墓地の『馬頭鬼』を除外し効果発動!さあ、蘇るのじゃ、妾と同じ『九尾の狐』よ!」

 

 地面から炎が吹き出る。その炎の中から九本の尾を持つ美しい狐が優雅に降り立つ。八坂姫から見るともう一人の自分が現れたような感覚になったとか。

 

 

 九尾の狐・効果モンスター

 星6/炎属性/アンデット族/攻2200/守2000

 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):墓地から特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(3):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「狐トークン」(アンデット族・炎・星2・攻/守500)2体を特殊召喚する。

 

 

 これで九重のフィールドにモンスターが三体並んだことになる。メタイオンで全て手札に戻したところで残った永続魔法からまた別のコンボをやられるだけになる。

 

「そのまま妾の番は終了じゃ。その時械神のことは聞いてある」

 

「……………………」

 

 ばっと一誠たちの方を向いた。思いっきり目を逸らされた。目線が後で覚えてろと語っていた(一誠談)

 

「ドロー、スタンバイフェイズ時に『時械神ラツィオン』はデッキに戻る」

 

 フィールドにいた『時械神ラツィオン』がコナミ君(仮)のデッキの中に消える。手札に有効ではないとはいえ時械神は残っているためまだ何とか凌げるらしい。

 

「手札から『時械神ザフィオン』を通常召喚。バトルフェイズ、ザフィオンで攻撃」

 

 『時械神ザフィオン』による放水で九重の場にあった『ミイラの呼び声』が消えていた。もちろん、効果でデッキに戻ったのだ。

 

 そしてなぜか九重も濡れていた。髪から水滴が滴り、怒りでプルプルと震えている。『九尾の狐』が小さな炎を出して乾かそうとしているのが微笑ましい。

 

「…………ターンエンド」

 

「むむむ、妾の番!」

 

 カードを引きニヤリと笑う。

 

「ここで終わらせるのじゃ!手札から二体目の『牛頭鬼』を召喚、効果は使わぬ。これで妾の場には四体の召喚獣がいる、この意味が分からんか?」

 

「……………………」

 

 妖怪デッキとしか知らないコナミ君(仮)はよく分かっていないが、一誠とゼノヴィア、そして練習に付き合っていた妖怪の面々は理解した。

 

「場に同族が二体以上いる時に特殊召喚できる僕、『火車』!」

 

「あー…………」

 

「……………………!」

 

 そういえばそんなモンスターがいたと思い、効果を思い出す。

 

 

 火車・効果モンスター

 星8/地属性/アンデット族/攻 ?/守1000

 このカードは通常召喚できない。

 自分フィールド上にアンデット族モンスターが表側表示で2体以上存在する場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上に存在するこのカード以外のモンスターを全てデッキに戻す。

 このカードの攻撃力は、この効果でデッキに戻したアンデット族モンスターの数×1000ポイントになる。

 

 

「………………………………」

 

 コナミ君(仮)の伏せカード、手札誘発は0。このルール、状況でどうなるかは明白だった。

 

「『火車』の効果発動!場にある召喚獣を山札に戻し、戻した同族の数だけ攻撃力が上昇するのじゃ!」

 

 火車の扉が開き、ザフィオンはコナミ君(仮)のデッキの中に吹き飛ばされ、九重嬢の場にいたアンデット族は火車に乗り込む。

 

 火車の攻撃力 ?→4000

 

 これでコナミ君(仮)のフィールドはガラ空きになった。そしてライフはルールによって4000。

 

「このまま直接攻撃じゃ!『火車』、轢き殺せぇ!」

 

「えっ、あっし!?」

 

 本物の火車が反応しているが放置して遊戯王の方の火車が全力疾走し、コナミ君(仮)を轢き飛ばした。

 

 

 ゴキャァァァァァン!

 

 

 コナミ君(仮)LP4000→0

 

「いい飛びっぷりだな」

 

「いや、やばい音出てたって!あれ生きてる、のか?」

 

 錐揉み回転しながら吹き飛んだコナミ君(仮)はどこぞのギャグのように壁に頭から突き刺さった。そこからピクリともしていない。

 

 動かないコナミ君(仮)を急いで引っこ抜き、攻撃がわりと本気だったため怪我をした彼は京都の滞在時間を延ばさざるを得なかった。

 

 九重はやりすぎと叱られ、何故か一誠もゼノヴィアに叱られていた。コナミ君(仮)には一誠が叱られた原因がよく分からないが養生する事にした。

 

 コナミ君(仮)は思った。京都に来ると、ロクなことがない。




 コナミ君(仮)の初手・エクゾディアの契約、オベリスクの巨神兵、時械神ラツィオン、覇王門無限、機械天使の儀式、となっていました。


 コナミ君(仮)が養生しているその頃、一樹達は入ってきた情報に混乱していた。決闘者(デュエリスト)達が京都と繋がっていたこと、原作と歴史が大きく違っていると悩む一樹にある刺客が襲いかかる。

 次回、『転生者と刺客』

 その刺客は一樹に憎悪を抱く、デュエルスタンバイ。
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