オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

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デュエリスト≠英雄

 もし、自分が偉人の子孫だと名乗る人がいたらどう思うか?普通は頭おかしいんじゃないかとなるか無言の腹パンを受けることになるだろう。腹パン派は少ないだろうが。

 

 この世界のあるテロリストに英雄達の子孫と名乗るチームがいる。

 

 ある者はギリシャの大英雄の子孫、ある者は聖女の子孫…………などなど国や性別は問わない。

 

 そんな存在が学校帰りのコナミ君(仮)の前に現れた。

 

「……………………」

 

「そこまで警戒する必要はないだろう。勧誘はともかく今は話だけするつもりだ」

 

 今はということは後に何かあるんですね分かりたくないです、というコナミ君(仮)の心の声はともかく夜中に話し合いたいなど正気の沙汰ではない。

 

 なお、相手が本気だからタチが悪いのはコナミ君(仮)と分かっている。

 

決闘者(デュエリスト)、君はなんのために戦う?」

 

「……………………」

 

「俺たちは英雄になるために人ならざる者たちと戦っている。人間がどこまでやれるか試すためさ」

 

「…………(なんでこの人は意気揚々とベンチで座ってる人の隣に座って話してるんだ、という顔をしている)」

 

 どこぞの電脳世界みたいな感じで心の中で言ってみるも彼が聞こえるわけがない。

 

 コナミ君(仮)はベンチから立ち上がって立ち去ろうとする。自称曹操だなんてあんまり信じられないし、怪しい組織に所属してるということだけは理解した。

 

「待ってくれ、話は終わってない」

 

「……………………」

 

 もちろん話を聞かずに夜道に消えていく。止めても無駄だろうと曹操は追うことはしなかった。

 

「やはり、気難しい奴という噂は本当だったか。ゲオルク、どう思う?」

 

「幾ら何でもあれだけで判断しろとは厳しいだろう。力の鱗片すら感じることはできなかった。奴は本当に神器使いかと疑うレベルだ」

 

 曹操が独り言を言ったように見えるが、当然発生した霧からゆっくりとゲオルクと呼ばれた青年が現れる。

 

「魔物を操ると聞いていたが、魔物の反応はない。何かがキッカケになってるはずだろうが…………」

 

「実際に力の行使を見るしかないということか。面白い」

 

 なにが面白いんだこの戦闘狂め、とコナミ君(仮)が居たらそう思うだろう。面倒だから思うだけにとどめるだけだが。

 

 この二人は謎の人物である決闘者(デュエリスト)の詳細を調べるためにやってきたのだ。

 

 活動量は日本が多いものの、海外でも数件ほど活動していたとされる痕跡が見つかっていたのだ。

 

 なお、その時は海外旅行でたまたま害を為す人外に会ったために起きた戦闘の跡だとはコナミ君(仮)しか知らない。

 

 この二人のとった行動はコナミ君(仮)の後をつけることだった。謎の人物の観察こそ本来の目的であり話すことは曹操の独断だったのである。

 

 話し合いは全くの成果を為さなかったが。

 

「適当に散策しているように見えるな」

 

「この辺りは何もないはずだが…………」

 

 コナミ君(仮)が歩いていたのはなんの変哲もない町だ。コナミ君(仮)が住んでいる家から少し離れているくらいで、これといった特徴もない。

 

 強いて言うならグレモリーが管理している地区というだけだ。アッサリと不審人物を侵入させてるんじゃない by コナミ君(仮)

 

 この日はこのまま歩くだけで終わった。コナミ君(仮)の予定はそうなっていた。

 

「…………!」

 

 彼は何かを感じた途端に走り出した。それと同時に曹操とゲオルクも違和感を感じ取った。

 

「はぐれ悪魔がこの町に来たか」

 

「ここ数ヶ月で何件か入っているはずなんだが、対策を取らないのはどうかと思う…………」

 

 リアス・グレモリーの事はあらかた調べているが直接会ったことのない管理者に向けて呆れを示すゲオルク。実際何もしていないので直接言われても文句は言えないだろう。

 

 コナミ君(仮)の足は速い。曹操とゲオルクの足はそれよりも速い。あらかじめゲオルクの神器『絶霧(ディメンション・ロスト)』を使用して街をやや霧がかった状況にし、怪しまれない程度に身を隠せるという無駄使いをしていたりするためコナミ君(仮)からは気づかれない。

 

 コナミ君(仮)が走って行った先にはまたもやかませ…………ではなくはぐれ悪魔。見ず知らずの青年も一緒というオプション付きだ。

 

「ぎゃああっ!や、やめて、た、助けてくれぇ!」

 

「んぁ〜?嬲れそ〜ないい獲物が釣れた〜」

 

 変な間延びをした顔が蝿で体が蟹の殻を人間にまとわせたようなはぐれ悪魔だが、青年が傷だらけで叫んでいるにも関わらず周りの住宅からは何も反応がないという点で何かしらの仕掛けをしているのはコナミ君(仮)でも分かった。

 

 おそらく中級以上だと曹操は決めつけたがコナミ君(仮)は悪魔の階級なんかどうでもいい。

 

 そのはぐれ悪魔からも曹操達を認識出来ていないが、構わずコナミ君(仮)はデュエルディスクを取り出す。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

 そう宣言したコナミ君(仮)は即座にカードを5枚ドローして、やや苦そうな顔をした。

 

「お〜?神器かな〜?神器使いって美味しいよね〜」

 

 どうやら歴戦だったようだ。それでも構わずコナミ君(仮)はスタンバイフェイズに入る。

 

「手札から覇王眷竜(はおうけんりゅう)ダークヴルムをP(ペンデュラム)ゾーンにセット、1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動、デッキから「覇王門」Pモンスター1体を選び、自分のPゾーンに置く」

 

 かなりの早口で効果を読み上げて左にドラゴン、右に∞を縦にしたようなモンスターが現れる。

 

「ゲオルク、あの生物を知っているか?」

 

「いや、全く。我々でも未知の魔物だ」

 

 なお、この効果を発動したターンは闇属性しかP召喚できないため通常召喚を行う。

 

「手札から時械神ザフィオンを通常召喚。ターンエンド」

 

 コナミ君(仮)の前に現れる女性の顔を胸の鏡部に映し出したモンスターが現れる。

 

「なんだ〜?そいつ脆そう!」

 

 はぐれ悪魔は硬い体を利用して時械神ザフィオンに突撃する…………のだが。

 

「グキャアッ!?俺様より硬い!?」

 

「…………時械神ザフィオンの効果。このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動、相手フィールドの魔法・罠カードを全てデッキに戻す」

 

 コナミ君(仮)の宣言により時械神ザフィオンの手からはぐれ悪魔に向けて強い勢いで放水される。

 

 叫び声をあげて水を食らったはぐれ悪魔、ザフィオンが放水をやめた後の姿は…………

 

「くっ、この、え、あ、いやんっ!」

 

 蟹の殻みたいな装甲が剥がれてツルツルの肌が露わになっていた。あと野太い声で『いやんっ』という声はやめてほしいとコナミ君(仮)は心の底から思った。

 

「な、なんだこの変態!俺様の裸を見て楽しいのか〜!?」

 

「…………ドロー。スタンバイフェイズ、時械神ザフィオンはデッキに戻る」

 

 淡々と時械神ザフィオンをデッキに戻して事を進めるコナミ君(仮)。その様子を淡々と見ている曹操達もなんとも言えない顔をしていた。

 

 この後は簡単に省くが、覇王眷竜(はおうけんりゅう)ダークヴルムを出した意味もなくはぐれ悪魔は時械神ラツィオンの効果により1ターンであっさりと炎に散っていった。

 

 これといった活躍がなかった覇王眷竜(はおうけんりゅう)ダークヴルムは抗議の目をコナミ君(仮)に向けたが彼はそっと目をそらしてカード達をデッキに戻した。

 

「…………大丈夫か?」

 

「あぇ…………ぁ、ありがとうございます…………」

 

「すまないが俺は治療はできない。通り魔に襲われたとか適当に言って済ませてくれ」

 

「あ、ちょっと!?」

 

 コナミ君(仮)は被害者の青年にそれだけ言って走り去った。当然ながら曹操とゲオルクも後を追う。

 

「……………………」

 

 かなり離れたところまで走ったところでコナミ君(仮)が立ち止まる。

 

「…………なぜ助けなかった?」

 

 その一言でストーキングしていたことを最初から気づかれていたと知った二人は姿をあらわす。

 

 コナミ君(仮)は彼らから背を向けたままで向く気配もない。

 

「助けたら君の実力を把握できないじゃないか」

 

「……………………」

 

 後ろを向いたままデュエルデスクを展開、そして一枚だけカードを引いてデュエルデスクのモンスターゾーンに置く。

 

 召喚されたのはさっきのデュエルに出た時械神ザフィオンだった。

 

「英雄を目指していると言っていたが、お前達は英雄になれない」

 

「…………なんだと?」

 

 完全に初対面の人間にそう言われ眉をひそめたが時械神ザフィオンは構わず攻撃態勢に移る。

 

「本当に英雄を目指してるなら、あの人をすぐに助けたはずだ。時械神ザフィオンで攻撃」

 

 放水と同時にゲオルクが『絶霧(ディメンション・ロスト)』を発動させて放水を防ぐが、既にコナミ君(仮)の姿は無かった。

 

「追うぞ」

 

「ああ…………っ待て曹操!追うのは危険だ!」

 

 即座に手のひらを返したゲオルクの顔は焦りを見せていた。

 

「一体どうしたんだ?あの程度で焦る必要は…………」

 

「神器が使えない…………っ!あの放水はそのためのものだったらしい」

 

「なんだと…………?」

 

 実際、水を浴びたくらいで彼は騒がない。そして嘘を言う必要もこの場にはない。故に、曹操はそれを信じるしかなかった。

 

「時械神…………本当に機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)なのか?」

 

 それは本物を疑うのではなく、偽物が本物ではないかという疑い。時間が過ぎたあとにまた使えるようになったとはいえ、一時的に上位神滅具を封じ込めたと言う事だけでも脅威である。

 

 この件は禍の団(カオス・ブリゲード)だけでなく全世界にたった一人の脅威として決闘者(デュエリスト)の脅威は知れ渡った。

 

 本人にとってそれは最悪な出来事であり、今回の被害者にとって後から来たグレモリーによって記憶を消されたのでどうでもいい事になった。




特殊ルール6・魔法罠について、攻撃魔法はバトルフェイズ中の扱いになり攻撃とみなす。神器は装備魔法と扱いとする。時械神ザフィオンの効果によりデッキに戻した扱いを行った場合、誤差を生じるが一定の間は神器を使用できなくなる。この回のはぐれ悪魔は殻を鎧のように着けていたために剥がされた。

特殊ルール7・P(ペンデュラム)ゾーンについて、Pゾーンに置かれたモンスターは薄っすらとだが実体化する。相手の攻撃を受けないが、盾となれないのをダークヴルム君は少し悔しがってるとか。余談だがコナミ君(仮)のデッキの中で1番感情が多彩なのはダークヴルム君。

不備があれば逐一修正します。
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