オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

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日刊ランキング4位という凄いことが更新してない間に2回ほど起きて何事かと思ってる植物です。

誤字も多く稚拙ながらも読んでくださり本当に感謝です。


一誠の再起

今、決闘者(デュエリスト)らはデュエルに臨む以上に緊張していた。

 

目の前には一般の人が住む家しかないが、そこが誰の住居であるかというのが重要なのだ。

 

ここで誰が住居を持っているかといったらコナミ君(仮)しかいないのだが、もう一人は本来なら実家と呼べる場所があるのだ。

 

そう、一誠のことである。

 

「い、いいんだよな?本当に大丈夫なんだよな?」

 

「……………………」

 

「うじうじするなみっともない。大丈夫だ、お前ならなんとかやれる」

 

「そうよ!おじさんもおばさんも違和感は持ってたみたいだし、あの頃のように戻れるわ」

 

フリードは欠席で今は堕天使の所に一人連れていかれており、その話はおいおい明かされることとなるだろう。

 

そして、今うじうじしている一誠の背中を言葉で押して家の前から玄関のインターホンに指を当て、少しためらい、意を決して押した。

 

いたって普通の音が家の中で鳴り響き、パタパタと足音がする。

 

「はーい、どちらさまですか?」

 

扉が開かれ、中年の女性が顔を出す…………一誠の記憶と比べて若干老けているように思えた。

 

お互い顔と顔を見合わせ硬直、何を話せばいいのか一誠は咄嗟に出てこなかった。

 

数秒か、十数秒の沈黙が通った後、一誠は口を開いた。

 

「えっと、ただいま」

 

ただそれだけしか言えなかった。

 

玄関から一誠の母親が出てきてつかつかと怒ったように歩き一誠に近づいて、抱きしめた。

 

「…………おかえりなさい、一誠。みんな待ってたわよ」

 

「っっ!ただいま…………ただいま母さんっ!」

 

今まで忘れられていたが、今はしっかりと母親の記憶に一誠がいる。

 

ここで自分たちが介入するのは野暮だろうと、玄関前で泣きじゃくる二人の邪魔をしないように決闘者(デュエリスト)達は静かにその場を見守った。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

「貴方たちが一誠を泊めてたの?本当にありがとうねぇ、この子迷惑かけなかった?え、恋人出来たの!?あの一誠にこんな可愛らしい子の!?」

 

「母さん!いくらなんでもそれはないだろ!俺だってやれば…………」

 

「元浜君と松田君と学校で何やってるか言ってから言いなさい!」

 

「その節は本当に申し訳ありませんでした!」

 

感動の再会が終わり、恩人たち(コナミ君(仮)ら)を家に招きいれて現状の報告(多くを伏せてだが)をした。

 

イリナとの昔話やだいぶ前まではエロ小僧だったことを暴露されて赤面し、昔の一誠の一面を知ることができた決闘者(デュエリスト)は満足した。

 

たまにかつての一誠の行動にドン引きし、その失敗談で笑い、一誠にのみライフが五回くらい消し飛んでそうな精神的ダメージを受けたが気にしない。

 

ただ、ゼノヴィアの視線が少しだけ鋭くなっており「今もやるのか?」という問いに一誠は笑ってごまかした。

 

間違いなく悪手だったことに気づいたのはコナミ君(仮)とイリナだけである。

 

「だあああ!もう無理いいい!」

 

過去の黒歴史を暴露され恥ずかしさが頂点に達してしまった

 

「本当に、一誠にこんないいお友達と恋人ができたなんてね。そっちにいる時は迷惑かけてなかった?」

 

「……………………(首を振って否定している)」

 

「かわいげがあるぞ。私と付き合ってからの一緒に寝るときはなぁ」

 

「ゼノヴィアストップ!いきなり下の話はなしよ!?」

 

「ちょっと、やだ!あの子もう童貞捨てたの!恋愛は大丈夫かとずっと思ってたけれど、これはみんなに赤飯たかないと!」

 

「おばさん!?わ、私じゃなくてゼノヴィアの外堀が固められていく…………う、運命とは…………」

 

恋人関係までぶっちゃけすぎて女性陣がてんやわんや、コナミ君(仮)は端っこで置物のように座っている。

 

キャッキャとはしゃいでいる女性陣に男が入る隙はないのだ、フリードがいたらフリード共々空気となっていただろう。

 

しかし、話し込んでいるうちに母親の表情が暗くなっていく。

 

「義母様、どうなされた?もしや体調がすぐれないのでは」

 

「いいえ、違うの。違うの…………」

 

そして、ついに涙を流し始め一同は戸惑いを隠せない。

 

「私が何もしてあげらなかったのに、なんであの子を忘れてたのかすら分からないの」

 

「おばさん、それは…………」

 

「なにが起こってるのか分からない、あの日から分からなかったけど…………」

 

涙にぬれた顔を上げ、彼女たちに笑いかける。

 

「あの子を支えてくれて…………本当に、本当にありがとう…………!」

 

泣いて感謝する姿に、何も言えなかった。

 

元々一人で動き実の親をほぼ知らずに生きてきたゼノヴィア、親と決別に近い別れ方をしたイリナ、そして親と呼べるものがいないコナミ君(仮)。

 

言葉など見つからず、どうしていいのかもわからず戸惑う三人組、こういうところがまるっきり役に立たないのが戦闘に特化した者たちの悲しい所である。

 

「あ、あの!その、辛いことかもしれませんが覚えてなかった頃はどうなってたんですか?」

 

「…………最初から二人いたのが気のせいみたいな、そもそも初めから一人しかいない(・・・・・・・・・・・)のに二人だった頃が当然っていう時期があって、でもいつの間にか一人だけになって…………ごめんなさい、あの時のように思い出せないの」

 

「……………………」

 

一誠の母親も、父親も転生者(一樹)の被害者だと彼らは認識した。

 

何らかの記憶改ざんが施されており、一樹の死と同時にまた記憶が変わっている。

 

後で特別な精密検査が必要だろう。

 

「もう終わったことだ。義母様は気にする必要はない」

 

「だからその義母様ってのはやめなさいゼノヴィア!まだ籍も入れてないでしょう!?そもそも結婚はこの国じゃあ年齢的にまだできないんだからね!」

 

「…………ふふっ、貴女達を見てたらこれからも一誠を任せられそうね。」

 

「……………………」

 

「何が起きてるのか分からないけど、あの子を頼みます」

 

深々と恩人たちに頭を下げる、が本来の計画とは少し、いやかなり変わってしまっていた。

 

これから決闘者(デュエリスト)を狙う輩が増えていくと思われ、一番狙われやすいのは一誠の家族である。

 

人質にされてしまえば一誠でも手は出せない、そういう問題でコナミ君(仮)以外の人員をここに住まわせるよう説得する、そのつもりで来ていたが泣かれた上に妙に事情を察せられて託されたとなったらこっちが困る。

 

「………………………」

 

「え、ここで後は任せた?おい、ちょっと待て!」

 

何だか居づらい空気になった居間をさっさと逃げるように出ていくコナミ君(仮)、事情を説明するのはイリナとゼノヴィアだけでいいのか怪しい所なのだが。

 

ともかく、ギャーギャーワーワーと騒がしくなり始めた兵藤家を背にして一人で自宅に帰宅するコナミ君(仮)であった。

 

「……………………」

 

1人になるというのは久しぶり過ぎて少し寂しくなるものだ。

 

フリードもしばらくは帰ってこないため、一人で家に籠って一人でデッキを回そうと考えていたら自宅につく。

 

「……………………」

 

「おかえりなさいア・ナ・タ☆ご飯にする?お風呂?それともア・タ・ク・s」

 

魔女の服装をした知らない不審者(大嘘)が玄関で待ち伏せしていたのでそっと扉を閉めて通報した。

 





知らない魔女って一体誰なんだろーなー(棒)

そう言えば何か無限がどうのこうのの龍もいたり…………?


此度の事件にある程度の事情を知るアザゼルと当事者のフリードが他神話の神仏の前に呼び出される。決闘者(デュエリスト)を引き抜きたい彼等に静止を求めるアザゼルとは対称に、フリードは大きく立ち回る。

次回、『堕天使と堕神父』

狂人の言葉は狂ってるからこそ穿つ、デュエリストスタンバイ。

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