オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

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デュエリストと神父とジャンク

 コナミ君(仮)は困っている。夜に一人歩いてたら知らない神父が話しかけてきたのはいいもののイタリア語でしゃべっているため分からないのだ。

 

 なお、英語ならある程度は話せる。英語で話したら神父も言語を合わせてくれた。

 

「最近不審な事とか起きてますからね。少年が一人で夜で歩いたらダメですよ」

 

「……………………」

 

 『何か』を探しているのは分かったが、まさか説教を受けるとは思ってなかったコナミ君(仮)。

 

 むしろ説教で時間がたっていくのだがそこら辺をこの神父は分かっているのだろうか?

 

 説教を受けている間、神父の後ろから僅かな殺気を感じた。最近はゴタゴタに首をつっこむ為、殺気に敏感になってきている。

 

 神父の胸倉を掴んで引き、デュエルディスクを殺気のする方へ出す。

 

 ガキン、と金属同士がぶつかり合う音と衝撃が辺りに響いた。

 

「あんれまー、まさか知らぬ存ぜぬ人に防がれるとは俺ちゃん失敗!範囲攻撃でもろとも吹き飛ばせばよかったかねぇ?」

 

「まさかフリード・セルゼン!貴様ごときがエクスカリバーを使うなど!」

 

「ハイハイ、俺ちゃんったら因子貰って選ばれちゃったんで使えるんですー。で、あんた誰?」

 

 それはこっちの台詞だ、とコナミ君(仮)は言いたそうだがそんなこと察してもらえない。

 

 だが、この神父は悪い神父だと考えていた。人相悪いしいきなり斬りかかってきたし口調がウザいし。

 

 明らかに悪人である神父、フリード・セルゼンに鍔迫り合い(?)をしつつ言った。

 

「デュエルだ」

 

「あぁ?決闘(デュエル)?あらまあまさか噂の決闘者(デュエリスト)様じゃないですかやだー!」

 

決闘(デュエル)…………まさか、君が!」

 

 即座にデッキからカードを5枚ドローして構えるが…………

 

「俺様より危ないとか言われてたけど神器封じるんでしたっけね?下手にそれやられたらエクスカリバーちゃん危ないから逃げるわ!次は不意打ちでぶっ殺すから!」

 

 アッサリ逃げられてしまった。元から速度上昇系の武器だったらしくコナミ君(仮)の目で追いきれるかどうかの速さな上に悪魔からパクった…………頂戴したDホイールでないと追いつけない。

 

 はぁ、と一つため息をした。辻斬りを許すとか本当この土地の管理どうなってるんだ、と本当に思っている。

 

 逃げられたし追跡もできないだろう。だが、次に会う可能性が高いため明日はぶっ倒すという決意を抱き帰ろうとするコナミ君(仮)。

 

「ま、待ちたまえ!君が決闘者(デュエリスト)なのか!?」

 

「……………………」

 

 喋ることなく彼は立ち去った。残るは夕日が沈み月に照らされる神父のみ。

 

 少しの間ポカンとしていたが、我に返った神父は即座に携帯電話を使用し報告を行った。

 

 敵にフリード・セルゼンがいること、そして噂になっていた決闘者(デュエリスト)がこの駒王町にいる事を信じられないように報告した。

 

 この事をきっかけに教会は派遣する人材を強化した。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

「なるほどね、私の土地で好き勝手やられてるのは気にくわないけど妙に教会勢力が多いのはそのためなのね」

 

「ええ、決闘者(デュエリスト)のお陰で上は事態は深刻になったと判断したの。それでも勝率は五分五分なんだけどね」

 

 後日の駒王学園にある旧校舎内でのオカルト部と教会から派遣された紫藤イリナとゼノヴィアがグレモリー勢力に干渉しないよう交渉、というより脅しをかけた時の話になる。

 

 本来なら数人の神父と彼女たち二人のチームでエクスカリバーの奪還の任務に就くはずだったが、元教会所属の異端者であるフリード・セルゼンがエクスカリバーを所持していることが判明し、人数を増やされたのだ。

 

 その際、グレモリー眷属が大公の依頼で倒すはずのはぐれ悪魔を偶然先に倒された事で一触即発の危機に陥っていたりする。

 

 じゃあコナミ君(仮)はどうなんだというツッコミは無しだ。

 

「危うく可愛い眷属が消滅させられそうになった事情は分かったわ。納得はしてないけど」

 

「それは間が悪かっただけだろう。私達は信者であり神の子に害を与える悪魔(・・・・・・・・・・・)を見逃す事はできないからな」

 

「ふぅん…………」

 

「ところで、これだけは聞かせてもらうわよ」

 

 紫藤イリナが目を険しくしてリアス・グレモリーの後ろに立つ男を睨む。

 

そいつ(・・・)は誰?」

 

「え、俺?いや、幼馴染忘れるとかないだろ」

 

「惚けないで。少なくとも私はあなたを知らないわ」

 

「…………私の『兵士(ポーン)』よ。そして赤龍帝であり元からライザーすら倒せる特殊なカードを扱うの」

 

「そこはどうでもいいの、私はあなたが誰なのかを聞いてるのよ」

 

 イリナがイラつきを感じているのは明白だった。渋々とグレモリーの兵士に当たる男は自分の名前を言った。

 

「俺は兵藤一樹(いつき)だって、そういや家で会った時も変な反応ーー」

 

「私はあなたを知らないわ!」

 

 ダン、と机を叩き激昂しながら立ち上がる。が、すぐに冷静になる。

 

「ごめんなさい、こんな場でみっともない姿を見せて」

 

「…………イリナ、行くぞ」

 

「待ちなさい、話は終わってないわ!」

 

 リアス・グレモリーの制止を聞かず、木場佑斗からの憎悪の視線を無視しつつ、兵藤一樹の言葉も聞かずに出ていった。

 

「ここ最近変だぞ。あの赤龍帝に何かしらの因縁があるように見えたが」

 

「…………分からないの、でも全くの他人のはずのあいつがあの家に居るだけで吐き気がするの」

 

「全くの他人?あいつは兵藤家の住人じゃ」

 

「それは違うわ、あいつじゃないの…………違うのに思い出せないの…………」

 

 頭を押さえ呻くように言う。フラついた為慌てて肩を持って支えるがこめた力が強いせいで少し痛んだ。

 

 だが、その痛みより何かを思い出そうとして痛む頭の方が彼女にとって辛かった。

 

 

ーーー一方その頃ーーーー

 

 

「大丈夫か」

 

「……………………」

 

「腹が減ってるのか」

 

「ぐ…………うっせぇ、ほっとけ…………」

 

「…………名前は?」

 

「…………俺の名前は皆から忘れられたんだ」

 

「忘れられた?」

 

「全部、あいつに…………」

 

「…………名前は今から覚えよう。もう一度聞く、名前は?」

 

「俺は、俺の名前は…………兵藤、いっせ……い……」

 

 その日、コナミ君(仮)は空腹に倒れた男を拾った。





今回は主な特殊ルールは無し。

一体いつ誰がいつぞやに倒れた男が原作主人公だと言った?

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