オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

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一誠のデビュー回(またの名をコカビエル戦)


デュエリストと新人の初戦

「何このバイクだせえ!?」

 

「……………………!?」

 

 コナミ君(仮)が所有、もといパクったDホイールを見て一誠のあまりの一言にショックを受けた。

 

「え、マジでこれに乗るの?馬鹿な俺でもわかるほど明らかに物理法則無視してるよなこれ!?」

 

「……………………」

 

「…………お、おっし!やってやる!」

 

 ライダースーツに着替えた一誠はヘルメットを被りDホイールに乗る。コナミ君(仮)は自力で現場に向かうと言ってるが、本当は初めて命のかかったデュエルを行うので一緒に行きたいと思っていたりする。

 

 まず、なぜこうなったかの経緯を説明しよう。コナミ君(仮)が独自に調べた情報にエクスカリバーという聖剣が盗まれ、この町に持ち込まれているとある。

 

 エクスカリバーは強大な力を持ち、7本に分かれてしまったがそれぞれ特殊な力を持っている。盗んだ堕天使はそれらを統合して戦争をするという計画を立てている。

 

 聖剣が完成した余波で街が吹き飛びかねないという理由でコナミ君(仮)は動くつもりだったが、一誠に話したら首謀者であるコカビエルに激昂した。

 

 これをいい機会だと思ったのか、今回は一誠に任せることにしてみたのだ。

 

 堕天使の中でも最上位に至っている相手だが、コナミ君(仮)は舐めた真似をしたつもりもない。一誠が勝てるということを信じているのだ。

 

 あと、決闘者(デュエリスト)勢力の力を悪魔や堕天使、そして転生者に見せつけるためでもある。お前が追い出した奴は這い上がってくるぞ、と。

 

「よし、それじゃあ行ってくるぜ!」

 

「……………………」

 

 幸運を祈る、というコナミ君(仮)の頷きを確認して一誠はDホイールを発進させた。

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

「ぐうぅ…………ど、ドロぎゃあっ!」

 

「遅い、遅すぎる」

 

「一樹!」

 

 一誠から主人公の座を奪ったSPYRAL使いの転生者こと一樹はコカビエルに苦戦していた。いや、もはやライフが3桁にまでなっていた。

 

 彼は転生する特典として主人公の座と遊戯王のやばいテーマであるSPYRALデッキを要求したのである。

 

 兵藤一誠の弟として産まれ、時が来た瞬間に立場を入れ替えた。まさかみんなから一誠の記憶が消えるとは思ってなかったが愉快でたまらなかった。

 

 その後は順調に事が進んでいった。一度自分を殺した堕天使を倒し、ナメプしていたフェニックスの三男坊をSPYRALと赤龍帝の力でねじ伏せたのだ。

 

 だが、ここで彼は幸運に恵まれていたことに気づくべきだった。

 

「ま、まだ何もしてないのに攻撃するとか卑怯、だぼっ!」

 

「何を言ってるんだ。戦いに待ったなどあるわけないでないか。貴様の力は発揮されるまでに時間がかかりすぎる」

 

「っ、そんな言い分!」

 

 彼の仲間である悪魔が何か言っているがコカビエルは気にしない。むしろ戦いを馬鹿にされていると憤っているくらいだ。

 

 コカビエルから見ればいちいち手下が揃うまで待つ必要もない。一刻も早く闘争を楽しみたいのだ。

 

 実は一樹がフェニックスの三男坊を倒した時の映像を入手して見たのだが、あれは酷いとしか言えなかった。

 

「これが今の赤龍帝か。自ら戦わず傷つく覚悟すらないとはガッカリだ」

 

「なんですって!私の眷属を舐めないで」

 

 ちょうだい、と最後まで言う前に結界が破られる音が響いた。そう簡単に破られるとは思っていなかった結界に入ってきた乱入者に、この場にいる全員が注目した。

 

 そのバイクの車体は奇妙と言うしかなかった。しかし、冥界から来たある知らせを聞いていたリアス・グレモリーと元から知っていた一樹はそのバイクに心当たりがあった。

 

 バイクに乗っている男はヘルメットとサングラスみたいなのを着けていて顔は分からない。だが、視線はコカビエルに向けていた。

 

「コカビエル、お前はこの街で何をしようとしている!」

 

「ほう、俺の名を呼ぶのか人間。戦争だ、退屈な世界に戦争をもたらすのだ!アザゼルも日和って、あの戦争を中途半端のまま終わらせるのは癪に触る!」

 

「そんな事で街を…………許さん!」

 

 謎の男がカードデッキを宙に置くように浮かせカードを5枚ドローする。

 

「…………あれは、一樹先輩と一緒の」

 

「行くぞ、デュエルだ!」

 

「ふん、貴様も決闘(デュエル)か。まあ、いいだろう。そこの雑魚よりは楽しませろ」

 

 コカビエルは光の槍を展開して放つ。だが、一樹とは違いDホイールを運転してギリギリだが避けていく。

 

「俺のターン、ドロー!よし、行くぞ!手札から『調律』を発動!」

 

 即座にデッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加えデッキの上から1枚墓地に送る。墓地に送られたのは『ボルト・ヘッジホッグ』だった。

 

「よし、手札から『ジャンク・シンクロン』を召喚!効果で墓地の『ボルト・ヘッジホッグ』を特殊召喚!」

 

 小柄な帽子の精霊(?)を召喚してすぐに背中にボルトがいくつか刺さったネズミが現れる。

 

「なっ、効果を詳しく読み上げないなんてルール違反だぞ!」

 

 なお、これを叫んだのは一樹である。こういう場面でいちいち効果を読み上げることはタイムロスに等しく、格好の的となる。

 

「そして墓地からモンスターが蘇ったことにより手札から『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚!」

 

 今度は全身黒色のゴーグル男が現れる。これで帽子の小人にボルトが刺さったネズミ、黒ずくめの男がDホイーラーの後ろに並んだ。

 

「行くぞ!俺は『ジャンク・シンクロン』と『ドッペル・ウォリアー』でチューニング!集いし星が新たなる力を呼び起こす、光さす道となれ!シンクロ召喚!現れよ、『ジャンク・ウォリアー』!」

 

 小人が光の輪となりその中心に黒ずくめが入った瞬間、混ざり合い『ジャンク・ウォリアー』と呼ばれる小人が大きく成長したような姿になった。

 

「ほう、お前はそういう使い方をするのか。なら試してやろう!」

 

 構わず光の矢を放つコカビエルだが、『ドッペル・ウォリアー』がシンクロ召喚されたことにより二体のドッペルゲンガーのようモンスターが現れる。

 

「『ジャンク・ウォリアー』はシンクロ召喚成功時、カードの攻撃力は、自分フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする!『ボルト・ヘッジホッグ』と新たに召喚されたドッペル・トークン二体の攻撃力分アップ!」

 

 『ジャンク・ウォリアー』の攻撃力2300+800+400+400=3900

 

 『ボルト・ヘッジホッグ』と二体のドッペル・トークンの攻撃力が加算されオーラをまとい、光の槍をものともせずに突撃していく。

 

「行け、『ジャンク・ウォリアー』!スクラップフィスト!」

 

 拳がコカビエルに炸裂し爆発を起こす。『ジャンク・ウォリアー』は即座に離脱したがコカビエルは煙の中から地に落ちた。

 

「ぐあぁ…………なるほど、なかなかいい拳だった」

 

 血を吐きながらニヤリとコカビエルは笑っているがDホイーラー、一誠の心は叫んでいた。

 

「(今の一撃で仕留めたかったちくしょう!ヘッジホッグとトークンを突撃させても返り討ちになるし)カードを一枚セットしてターンエンド」

 

「くっ、くっくっ、今度は俺の番だったな!」

 

 Dホイーラーとターン交代と分かり再び空を飛び光の槍を放つ。『ジャンク・ウォリアー』は槍を弾くが他のモンスターは槍に撃たれて消滅した。

 

「ふん、やはりそいつらは雑魚だったか。だが、そいつと殴り合うだけでもいい!」

 

 コカビエルが何を思ったのか『ジャンク・ウォリアー』とのインファイト戦に持ち込んだのだ。

 

 もしもの事があったら困るためトラップを発動させる。

 

「リバースカードオープン、罠カード『くず鉄の案山子』を発動!」

 

 1ターンに1度、相手の攻撃を防ぐ案山子が二人の間に出現してコカビエルの攻撃を防ぐ。

 

「こんな屑に止められてたまるか!」

 

 案山子を破壊することに夢中になり殴りまくるも、案山子は壊れない。その間にDホイーラーにターンが回ってくる。

 

「俺のターン…………っ!」

 

 だが、ドロー宣言をする前に上を向いた。

 

「ほう、面白いことになってるじゃないか」

 

『Divide』

 

 突如現れた白き鎧をまとった乱入者による謎の音声により、デュエルは中断されてしまった。




 今回も特殊ルールは無し。

 SPYRALはOCGでは強いが、最初に弱いモンスター並べるし転生者はろくに鍛えてないから決闘(デュエル)ではなく実戦ではかなり弱い。少しでも避けることさえ出来たら状況は変わっていただろう、という独自解釈です。

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