オベリスクは必要ない!   作:蓮太郎

9 / 38
 ?に入るのは救うために立ちはだかったラスボスの名


コナミ君(仮)≒???

 コナミ君(仮)家の朝は早い。今日は学校に行くため早めに起きて筋トレをするのだ。もちろん一誠も叩き起こす。

 

「ふわあぁ…………よくこんな時間に起きられるな」

 

「……………………」

 

 朝食はおにぎりで軽く済ませジャージを着る。ここから1時間弱のランニングを行うのだ。

 

 ただし、一定距離を1時間で走るというものである。

 

「そろそろ慣れてきただろうし同じルートを?いやいや、俺はまだこれの2/3の距離が限界…………」

 

「……………………」

 

「それでも走れって?ええー…………」

 

 持ち物は水の入ったペットボトルとタオル。ペースを崩さない限り時間通りに終わる。

 

 ちなみに一誠の服装はコナミ君(仮)から借りたジャージ姿である。朝早くから転生者は活動しないだろうと思い変装はしていない。

 

 コナミ君(仮)は何故か私服のままだが。

 

 この後はただ走るだけなので割愛させていただく。ちなみにコナミ君(仮)と一誠は同じコースを走って一誠が大幅に遅れた。

 

「ぜー、はー、キッツ…………」

 

「……………………」

 

「あ、もう学校行くのか。大丈夫だとは思うけどあいつらに注意しろよ」

 

「……………………」

 

 一誠が帰ってきた頃にはコナミ君(仮)は学校に行く準備を済ませて出ようとした時だった。

 

コナミ君(仮)が学校に行ってる間、一誠は居候として家事を行っている。できることなら彼女とか作って、あわよくばハーレムを作りたいが今の状況だと無理なので家事に勤しんでしばらくは忘れることにしていた。

 

「…………あいつ、元気にしてっかな」

 

 ふと思い出したのは馬鹿3人組の仲間であったメガネの元浜と丸刈りの松田の事だった。忘れられた日に電話したが、やはり親友であった彼らにも忘れられていた。

 

 全てを奪った元凶に怒りが湧く、だが憎しみは抱いてはいけないと自分の中で戒める。

 

 憎んだことで変わることはない。倒す時期を待って、その時に叩く。その機会は彼が自然と持ってくるだろうと思い着替えてから家事をし始めた。

 

 余談だが、料理にハマり一人暮らしのコナミ君(仮)より料理の腕が上達したとか。

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 時は流れ、コナミ君(仮)達にこれといった襲撃も無く適当に害をなす人外共をコナミ君(仮)は可能な限り近場で、一誠はDホイールでやや遠くで狩っていく生活が続くある日のことだった。

 

「え、天使と堕天使と悪魔が会合行うって?」

 

「……………………」

 

「そしたら間違いなく俺たちのこと上がるよな。それにあのクソ野郎が全部喋るかもしれねえ」

 

 コナミ君(仮)がどこから情報を仕入れたのか知らないが、敵が確実に出る情報を教えてくれるので嘘は言ってないだろう。ちなみに敵は全員人間を食い物にすることしか考えてないので正当な行為だと一誠は思っている。

 

 そのコナミ君(仮)がこの事を張り詰めた顔で言うが、別にどうしたことでもない。恐らく様々な業界で指名手配されているくらいで実際見たやつはどうなのか?というくらいだろうと思っていた。

 

 だが、デッキ内容がバレると対策を練られるのが世の常。もし一誠がSPYRALデッキの事を知らなかったらジャンクデッキを持っていっても即座に負けていただろう。

 

 だが、ここには大体のデッキを知るコナミ君(仮)がいる。一誠にとって最高のタッグだ。

 

 たまに一誠が大量のカードを拾ってきてデッキを作る時のアドバイスもしてくれている。試しにコナミ君(仮)と戦って10戦2勝8敗という戦績を残している。

 

「乗り込もうって?俺らが人のために戦ってる事を伝えるために」

 

「……………………」

 

「えー、でもあいつらが聞く耳を持つか分からねえ。人外共からしたら俺らはテロリストだぞ?」

 

「……………………」

 

「ま、あんたの決定なら従うよ。それにそろそろ…………」

 

「……………………」

 

 会合の日程も判明している。コナミ君(仮)が言うには何故がうちの学校でやるのか。それに授業参観の時に明らかに魔王クラス、というより魔王が来ていたらしい。

 

 直接は見ていないが魔王少女ってなんなんだ、と二人は疑問に思った。魔法少女を真似ているのか?

 

 それはさておき二人は身体とデッキを調整しつつその日を待った。

 

 さて、コナミ君(仮)はほぼ喋っていない。だが彼の心はかなり荒ぶっている。

 

 これはその一部だが紹介しよう。

 

「(なんでスキドレ拾ってくんの!?しかも3枚って!いや、それもそうだけど何も書かれてないカード拾ってくるって確実にフラグじゃん!カード作るじゃん!あと試しにデュエルしたら一誠は気づいてなかったけど地味に赤き龍が介入してたし!じゃなかったら初っ端から神の宣告引けねえよ…………というかさらっと神シリーズ持ってる一誠って…………一誠がこんな調子だったら確実にインフレが進んでるんじゃないか?これは本格的にオベリスクを使うこと視野に入れないといけないか…………)」

 

 今後のことで本格的に悩んでいた。

 

 少しやりすぎた感じはあったが思った以上に話が進んでいた。そもそも遊戯王だと世界チャンプ狙ってたら世界救うことになったなんてよくあることである。

 

 ああ、だからコナミ君(仮)は許容できない、見逃すことはできない。戦う力を得て国外に出たのはたった数度、それなのに酷いものを見てきた。

 

 天使の非信者に対する残酷な行為を見た。堕天使の自身らのためにかつての父である聖書の神がばら撒いた神器を持たされた一般人をほぼ無差別に殺すところを見た。悪魔が人間を拉致して強制的に人をやめさせ奴隷にするところを見た。

 

 これ以上進めば人が滅ぶ、異形が跋扈し一時悪魔を従えたソロモンより前の時代が再来する。それも才能ある人外が残り人の抵抗を許さぬ世界が。

 

 これは偽善だ、これは独善だ、これは独りよがりだ。分かっている、この行動は無駄になる可能性の方が高い。それでも未来のために彼は戦う。

 

 もう少し気楽に生きたかった、とため息を吐くが戦うことはもう止められない。もう遊びのデュエルは

 

 これはコナミ君(仮)と同じ転生者の犠牲になり、この戦いに巻き込んでしまった彼の平穏を取り戻すという贖罪である。今を犠牲にして未来を取る戦いである。

 

 さあ、奴らに人の力を見せよう。人の可能性の塊を見せつけよう。

 

 たとえ管理しているつもりの貴様らがいなくても、人の営みは回るのだ。




 特殊ルールはなし。

 激おこコナミ君(仮)はどこからとは言えないがあらゆる方面の情報を仕入れている。そして導き出された人間の未来は破滅だった。何故奴らは人より寿命が長いはずなのに短期間で爆発的な繁栄を求めるか、何故奴らは人を滅ぼす毒をばら撒いていることを自覚していないのか。

 次回、「デュエリストと未来を滅ぼす(導く)時械神(デウス・エクス・マキナ)

 彼らは神の不在を知らない、デュエルスタンバイ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。