デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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少年の物語は続く

 季節は春、長閑(のどか)な昼下がり。人も疎らな公園の木漏れ日の射すベンチに腰かけるひとりの青年がいた。

 

 青年はやや幼さの残る顔立ちをしており、年の頃なら十代後半に見えるようや若者だ。背丈は170センチくらいで、手足は細いが鍛えているのか、わりと筋肉質である。

 

 青年がアクビをしながらふと公園の外に眼を向ければ、スーツ姿の男性や作業着を来た人などが自らの職務を全うするために忙しなく歩いているのが見えた。

 

 静かすぎず騒がしすぎない、まさに平和としか言い様のない日常の光景だ。

 

 

「んん…平和だなぁ」

 

 緑の癖毛を揺らしながら青年は微睡んだ顔で呟いた。彼はこんななんでもない平和な日常が好きなのだろう。

 

「お待たせー」

 

 ぼんやりとしていた青年に向かって声がかけられた。少しだけハッとしてから青年が眼を向けると、そこには幼児(おさなご)を抱えた女性が歩いてきている。

 

 緩く巻いた金色のロングヘアーを靡かせ、モデルのように抜群のスタイルを誇る彼女。だが、抱えた幼児に向ける眼差しは暖かく、女として成熟した雰囲気からは彼女こそがその子の母親であることがはっきりとわかる。

 

「何ぼーっとしてたの?」

「いや、平和だなあと思ってさ」

「平和、かぁ。そうね―――」

 

 女性は感慨深そうに呟きながらベンチに腰を掛け、青年と自分の間に抱えていた幼児を座らせた。女性は幼児の衣服を整えながら言葉を続ける。

 

「――だってパパが護ってる平和だもの。ねー?」

「へーわー?パパ、へーわ?」

「そうよー、平和。わかるー?」

 

 女性は幼児の髪を手櫛でとかしながら話す。幼児も拙いながらも母親の言葉を(なぞら)えて笑っていた。青年はそんな様子を苦笑いしながら眺めている。なにやら思うことが在るようで、少しだけ考える素振りをした後、幼児の頭を優しく撫でた。

 

「パパが護ってるってのはちょっと違うかな……パパだけじゃなくみんなが護ってるんだよ。平和を愛するみんながチカラを合わせてね」

「んー?じゃあわたしもまもるー!」

「そっか。じゃあママの言うことを聞いて、良い子になろうね」

「はーい!」

 

 元気よく返事をする幼児の頭をよりいっそう強く撫でながら、青年は柔らかな笑顔を見せた。隣に座る女性もそれを微笑ましいと思ったのか、優しい笑みを浮かべて眺めていた。

 

 仲睦まじくひとつのベンチに座る三人。誰の目から見ても幸せそうで、正に平和というべき日常のヒトコマだろう。

 

 

―――だがしかし、その平穏な日常は唐突に終わる。

 

 

「誰かー!救けてぇーー!!」

 

 青年らの耳に少し離れたところから、そんな声となにかが壊れるような音が飛び込んできたからだ。青年は素早く立ち上がると、先程とは打って変わって真剣な険しい表情を浮かべて女性を見つめる。

 

「ごめん…僕……いかなきゃ」

「ええ、アナタはそうでなきゃ。わかってる」

「この埋め合わせは必ずするから――――!」

 

 青年は振り返りながら着ていた服を瞬く間に脱ぎ捨てる。脱ぎ捨てた服の下は真っ黒で、全身を覆うタイツのような薄手のインナーを身に付けていた。

 

 胸元に光る手のひら大のスイッチのようなものを、青年は胸を叩くように握り拳で押した。すると胸元を中心に緑の粒子が展開されて青年の全身を包み込み、ピタリと吸い付き深緑のコスチュームへと姿を変える。同時に両の手首に着けていたバングルも装甲を展開し、ガントレットへと形を変えた。

 

 しかし驚くべきは目にも止まらぬ早着替えでも、スーパーテクノロジーのコスチュームでもない。

 

 直後、青年は全身に力を籠めるような仕草をするとバチりと緑色の稲妻が迸った。すると痩身だった青年の身体が大きく膨れ上がり始める。背丈も同じく伸び始め、青年は一瞬で筋骨隆々な大男へと変身したのだ。その姿は――――――

 

 

 

 

 

―――身長220センチッ!!体重274キロッ!!!その身に纏うは筋肉ッ!そして筋肉だァ―――!!!

 筋肉は鋼すら軽々と凌駕する鎧と成り、何物をも具に防ぐ最強の防具と化したッッ!!!

 そして筋肉は漢の自慢の拳を万物を貫く最強の槍へと昇華させたァァ!!!

 更にその一身に秘められしチカラッ…!受け継がれた正義の結晶ッ…!!ワン・フォー・オール―――ッ!!!

 かつて最高のヒーローと呼ばれたオールマイトと瓜二つゥ!!

 筋肉 × ワン・フォー・オール!それ則ち、最ッ強ッッ!!!

 彼こそがッ!ヒーロービルボードチャートJPナンバーワンッヒーローッッ!!!

 

 

 

 

「それじゃあ、()()()!いってきます!」

「いってらっしゃい、()()()()!」

 

 出久と優は短いやり取りを交わす。そして出久は地を大きく踏み込み、その場から飛び立っていった。

 

 

 

 ―――救けを求める人々がいるなら、彼は何時だって駆けつける。

 

 

「もう大丈夫(オールライト)!何故かって?―――」

 

 

 ―――彼は闘う。遠い日から求め続けた高みに辿り着きながらも、受け継がれてきた希望を灯し、己の理想を追い求め続けて。

 

 

「―――僕が来たっ!!」

 

 

 これは再び始まった緑谷出久が最高のヒーローに成るまで物語。

 

 しかし、彼の物語は終わらない。緑谷出久が願望(ゆめ)を現実にするまで――――いつまでも少年の物語は続いていく。

 

 

「――――SMAAAAASHHHH!!!!!」

 

 

 

 

 

 

デクのヒーローアカデミア 再履修!

 

―― 完 ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パパの話もっと聞きたーい!」

「ききたーい!」

 

「ええ…?うーん……じゃあ、いいよ」

「「やったー!」」

「でも……」

「でも?」

 

「良い子は寝る時間だ!大人になったらヒーローになるんでしょ?」

「うん、成りたい!」

「なりたーい!」

「じゃあ今日はもうおやすみ!」

「「はーい……」」

 

 

「この話の続きは―――また、今度だ」

 

 終わり?




これでこのSSは完結となります。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

初の二次創作で拙い小説でしたが、お楽しみいただけたなら幸いです。

番外編や次回作などについてや所感などは日を改めて活動報告にでも書こうと思います。気になる方はそちらを見て下さい!


皆様からの感想や評価をお待ちしております。よろしければ是非とも下のフォームからお願いします。

最後まで完走できたのはこれまで読んでくださった皆様や感想をくださった方々、誤字修正にご協力していただいた方々、そして筋肉のお陰です。本当にありがとうございました。

再び拙作を読む機会があればその時も是非ともよろしくお願いします!ではまた会う日までさようなら。
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