聖杯戦争。七人の魔術師がサーヴァント呼ばれる七人の英雄を呼び出し行う殺し合い。
六体のサーヴァントをうちたおし、たった一人生き延びたサーヴァントとそのマスターだけが万能の願望機――聖杯を手にしあらゆる望みをかなえるといわれる血塗られた戦い。
古より続いた魔術師同士の四度目の闘争は、巨大なデリックレーンが見下ろす冬木の倉庫街で始まった。
相対するは髪も肌も純白に染まった、赤い瞳のホムンクルスを控えさせる騎士。
もう一人は赤い長槍を構えた、ほくろのある美しい顔をした槍兵である。
「釣り出しを狙い今日は気配を隠すことなく街を練り歩いたのだが、まさかそれに答えるのが貴公だけとはな……セイバー。英霊同士の殺し合いなどと言っておきながら、他の連中は意外と臆病と見える」
「無駄話をしに呼び立てたわけではあるまい。ランサー」
「それもそうだな。騎士と騎士がこうして相対することができたのだ。あとの話はおのが武で語ればいいだろう」
そういうと美貌の槍兵――ランサーは、朱色の槍を回転させ構えをとる。
「では……行くぞっ!」
「こいっ!」
倉庫街のアスファルトを粉砕し二人の騎士が激突する!
これを合図に第四次聖杯戦争――その火ぶたが切って落とされたのだっ!
…†…†…………†…†…
「こりゃまたド派手な戦いですね」
『英雄というものは総じてこのような戦いをするものだマスター。むしろ私が知っている連中も、もっと非常識な武力を持っていたものだぞ?』
「秦時代おっかねぇ」
多くのサーヴァント、マスターが注視する聖杯戦争初戦。当然のごとく燕翔もアサシンの目を通して二騎のサーヴァントの戦いを見ており、薄暗い倉庫街の闇を歩きながら、片目で戦力の分析を行う。
火花を散らし、唸りを上げて激突する剣と槍。不可視の風の鞘でおおわれた剣は、不思議なことに赤い槍に触れた途端風の鞘をはぎ取られ、その黄金の刀身をあらわにしていた。
――宝具。魔術殺しの力がある槍か。
届けられる視界からそれを即座に割り出した燕翔は、いくつかの魔術殺しの逸話がある伝説を頭の中でならべておく。
だが、そんなことをしなくともアサシンから届けられる会話を聞き、だいたいセイバーとランサーの正体は割れていた。
「魔力のあるホクロにセイバーの言っていた『輝く貌』ってキーワードから相手はかの有名なフィオナ騎士団の騎士――ディルムッド・オディナで間違いないでしょう。セイバーの方も凡そ見当はつきます。風の鞘をはがしてくれたディルムッドは大金星でしょうね。あの黄金に輝く剣……たとえ英霊であろうともそう持っている者はいない神造兵器。おそらくは聖剣エクスカリバーでしょう」
『ということは、あの騎士殿は名高き騎士王か。まさか女性とはな……』
「それアサ姐が言います?」
マスターのステータス読み取りの能力と併用し、セイバー――アーサー・ペンドラゴンと、ランサー――ディルムッド・オディナの正体を割り出した燕翔は、とりあえず
「とにかく、まずは情報収集ですね。そのためにはほかのサーヴァントがここに出てきてくれることが必須。なので、できるだけ他のサーヴァントをあおってこの場に引きずり出す必要があります。そこで」
『マスターが騒ぎを起こそうというわけか。ちなみにどんな騒ぎを起こすつもりかな?』
「手っ取り早く……」
――殺人未遂? シレッととんでもないことを呟きながら、燕翔はベルトに取り付けられたカードケースから、一枚のカードを取り出す。
「
《概念礼装》――魔術世界では「人や物といった物質、歴史や物語といった、積み重ねられてきた事象、魔法や魂といった神秘とされるもの等、様々な物品から概念(ある事物の大まかな意味内容)を摘出し、能力として身につけられるようにしたもの」であるといわれている。
大まかな意味では宝具などもここに分類されるし、セイバーが魔術殺しの槍に対抗するために先ほど消滅させた鎧などもこれに分類される。
燕翔の……いや荊崎の一族は、この概念礼装をよりチープに……同時に扱いやすくする魔術を代々極めてきていた。
曰く――《
荊崎一族は視認した対象から一部の概念を
現在の燕翔ほどの手練れとなれば、単純な概念具現は
もっともこの魔術にも当然欠点はある。魔力による即席カード化が可能なのは先程のような一工程の発動が可能な《単純概念》のみであり、魔力を伴う概念――例として挙げると《ガンド》《投影魔術》《黒鍵》と言った魔術概念や、《車》《建築物》といった複数の概念の集合体である巨大人工物等の概念カードは、銀や製鉄などに魔術的な処理を施して作り上げた素材を用い制作したカードを素材にしないと、概念を定着させられない。
上位概念と一族が呼ぶ存在――《英霊》《
実際荊崎が持っている上位概念のカードは、秦の時代から一族がコツコツと作り上げた五枚のみ。
聖杯戦争のときにのみ使用が解禁されるそれらは、燕翔の切り札として懐に眠っている。
さて、話を戻そう。
燕翔は殺人未遂を狙い自らの魔術を放つといった。
当然のごとく対魔力を持つ三騎士二人や、卓越した魔術師であろうセイバーのマスター相手に、《単純概念》の魔術は通じない。
使用したのは銀の礼装カード。
封じられた概念は――!
「《黒鍵》!!」
「っ!」
「アイリスフィール!?」
物陰から突如放たれた聖堂教会代行者の愛用武器の投擲。
それに鋭く反応したセイバーは、何かしらの仕込みをしていたであろうディルムッドを無視し、即座に反転。
マスター――アイリスフィールというらしい――を突き飛ばしながら、自らの籠手で黒鍵を燕翔がいた暗闇を睨み付ける。
「出てこい臆病者っ! 騎士の尋常な果し合いに横やりを入れるなど恥を知れ!」
――申し訳ないが騎士殿。こちとらしがない戦闘屋でね。と、内心舌を出しつつ、当然のごとく燕翔はとっくの昔のその場から離脱していた。
普段は使用をセーブしている、一族伝来の銀礼装たち。《転移》や《気配遮断》などが封じられたそれを大盤振る舞いしながらの逃走である。
流石のセイバーもそれには気付けず、いつまでたっても姿を現さないどころか気配すら感じさせない暗殺者に、わずかな冷や汗が流れた。
…†…†…………†…†…
――どうする? セイバーは自らの内心で自問自答を繰り返した。
眼前に倒すべきランサー。負けるとは思わないまでも、かなりの苦戦を強いられると、先ほどまでの打ち合いでセイバーはランサーを評価していた。
少なくとも、かれと打ち合いながらアサシンの襲撃を警戒し、アイリスフィールの身を守るのは不可能だと思えるほどに。
――ならばこの場を離脱するか? と考えるもそういうわけにはいかない。
ランサーは最速の英霊が選ばれるクラスでもある。彼女は魔力放出である程度のステータス差を埋めることが可能だが、それであっても限度がある。マスターを抱えながらランサーから逃げきれると思えるほど、セイバーは楽観的ではなかった。
だが、そんなセイバーの悩みを解決したのは。
「騎士王、しばし休戦としないか?」
「ランサー!?」
以外にも、槍の構えを解いた敵であるランサーであった。
「俺は主に忠義を尽くすためにここにいる。だが同時に、己が騎士道を曲げるつもりもない。暗殺者風情に横やりを入れられ集中をかいたお前を討ち取ったところで、栄光ある勝利を望まれる我が主は喜ぶまい」
「ランサー……」
騎士道の規範ともいえる実直なランサーの言葉に、セイバーは僅かに息をのみこちらも聖剣を下ろした。
「恩に着よう。あなたは真の騎士たりえる器を持つ武人だな」
「ふっ。名にし負う騎士王にそう言っていてもらえるとはな。此度の聖杯戦争、それだけで参加した価値があったという物だ」
ならば、ランサーという憂いが消えた今、セイバーがやることはただ一つ。
突然突き飛ばされ、しりもちをついていたアイリスフィールを助け起こした彼女は、朗々とした声で倉庫街すべてに届く詰問を発した。
「まだここにいるのであろうアサシン! 見ての通りこちらの闘争は終わった。もはやお前がマスターを討ち取れる機会は皆無となった! それでもまだ挑みかかるというのであれば、我が聖剣の錆にしてくれる!! 自らが英霊として名を遺すほどの傑物であり、臆病者でないという自負があるのであれば、この場に姿を現し尋常に勝負して見せろっ!」
無論セイバーとて、このような呼びかけでアサシンが出てくるなどと思ってはいなかった。
相手は陰に潜む暗殺者のクラス。こと暗殺という下衆の行いに関しては右に出るものはいないが、正面切っての戦いとなれば三騎士の一人であるセイバーには決して勝てないクラスだ。おそらく、アイリスフィールを狙った暗殺者は、もう出てこないだろうとセイバーは確信している。
だが、ここでもうアイリスフィールは狙えないとアサシンに告げることに意味があるのだ。
先ほども言ったように暗殺者とは暗殺を狙うもの。こうも堂々とお前を警戒していると告げられてなお、正面から挑もうとするのはよほどのバカか、あるいは何らかの策があるか……宝具に自信があるかのどれか。
――そうそう顔を出さないアサシンが、自ら顔を出したのだ。今のうちにそれをはかる。逃げたのならそれはそれで構わない。少なくとも、この場でアイリスフィールが狙われることはなくなるのだから。
そんなことをセイバーが考えているときだった。
「申し訳ないがセイバー。それは少し筋違いな推理というものだ」
凛とした――同時に漢気を感じる涼やかな声が、セイバーの耳に届いたのは。
「私は黒鍵などという物には縁もゆかりもないサーヴァントだ。あの投擲は私の仕業ではないよ」
「なっ?」
突如現れ、無造作に、そっけなく……それでいて大胆に、セイバーの間合いの内側に入ってきたのは、簡素な木製の仮面で目元を隠した、白い着物を着た女性だった。
殺気の一切感じられない(それゆえに間合い内への侵入を許してしまったのだが)彼女は、セイバーの眼前に到達したのち、平然とした顔でこう名乗った。
「サーヴァントアサシン。あらぬ誤解を受けているようなのでね。偵察だけのつもりだったのをやめて、こうして君の呼びかけに答えたわけだが……さて、私に何かようかな? セイバー」
聖杯戦争の夜は、まだ始まったばかりである。
アチチボルト「そんなんええからはよ殺せランサー!」
切嗣「ただ今様子見中……」
AUO「街灯上でずっとスタンバッてました」
髭ワイン「よ、余裕をもって優雅たれ(ガクブル」
戦車男「ゴッドブルそろそろ暖機しておくかのう!!」
ヒロイン「もうヤダおうちかえりゅぅううううううう!」
イレギュラー「どうしてこんなところに……シンデシマイマス」
愉悦部(未加入)「な、なんだこの胸の高鳴りは!! おびえるキャスターを見てどうしてこう胸がざわつくのだっ!?」
貴婦人「あれ? 私でているのに喋ってないんじゃ……」
まぁいいや(ケーキバイキングの予約入れるの忘れた……)
…†…†…………†…†…
『マテリアルが解放されました
クラス:アサシン
真名;荊軻
筋力D 耐久E 敏捷A 魔力E 幸運D 宝具B
スキル:抑制A 攻撃寸前まで殺気を一切出さない暗殺者の秘奥。Aランクともなれば武器を握る瞬間まで殺気が窺えない。』
あんまり話し進まなかった倉庫街の決闘? え? トーサカテーナイトフィーバーはって? そんなことしたらケーカさんが死んじゃうでしょ!(おい
まぁ、戦力把握ができてない状況で魔術師の工房に単独突貫とか普通やらんしね?(ジョーシキウタガウワー
取りあえず今回は前哨戦てことで一つ。
ところで皆さん……ひとつ報告が……
ヘヴンズフィール見てきたよ~!! すごかった! 何がすごかったって……とにかくすごかった!(語彙不足
円盤出たら絶対買います! え、就活? 知らない子ですね?