-飛行島 RASNの部屋 (夜)-
「それにしてもあんたもお人好しよね…それで何杯目よ?」
RASNの部屋にはキャトラとアイリスが看病しており、RASNが赤い顔で寝込むベッドの上にキャトラ寝転がって言った。
「そうね…いくらお粥でもこんなに食べたら大変だしね…」
アイリスの視線の先には沢山の空の土鍋が置かれいた、それらはRASNが風邪と聞き看病しに来てお粥を作ったりした結果であった。
「…!」
「ん?無下にできないって…まぁ誰からも心配されないよりかはマシだけど、限度ってものがあるわよ…!」
「でもこれで元気になれるといいわね…」
\コンコン…/
するとRASNの部屋の扉がノックされた。
「あのーすみませんヨシュアですが、よろしいでしょうか?」
「いいわよー入ってきなさーい」
「はい、それでは失礼します。行くぞミレイユ。」
「うん、それでは失礼します…。」
扉が開かれるとそこにはヨシュアとミレイユが並んで立っており、ミレイユはエプロン姿でその手には鍋つかみで土鍋が持っていた。
「あら、貴方達も看病…てかまたお粥かしら?」
「確かにRASNさんの看病には来ましたが…これはお粥じゃないですよ。」
ヨシュアがそう言い鍋蓋を開けると、中にはリゾットが入っていた。
「ふーん、リゾットかしら。でもそんなに変わらないんじゃ…?」
(なおリゾットとお粥の違いは前者が炊く前に油で炒めるものである。)
「でも前にバイパーさんから教えてもらったので、試してみたかったんですよ。」
「ふーん…そぉ。」
「それよりミレイユ、行ってこい。」
「あっ、うんお兄ちゃん。」
ミレイユはヨシュアに背中を押されRASNの元に向かったのだった。
「あの…よかったらどうぞ…。」
するとミレイユはスプーンを取り出してリゾットを掬いRASNの口に運んだ、それに対してRASNは慣れたように口へと受けとめた。
「どうですか?」
「…!」
「よかった…!あとちゃんと汗は拭ってますか?暖かくしておくといっても汗まみれだと…」
「ミレイユは相変わらずお世話焼きだな…前僕が風邪になった時もこんな感じだっけな。」
「そうなの、ミレイユちゃんは偉いわね。」
「……あっ!そうだ忘れるところだった!RASNさん、よかったらコレを!」
突然ヨシュアは懐をまさぐり小さなアンプルを取り出した。
「前にミレイユも風邪を引いたときに使った風邪薬です!」
「…ねぇヨシュア…それってもしかしてカティア製のお薬かしら?」
「はい、そうですよ。これを飲んでしっかりと休んだら直ぐに治りましたから!」
「副作用とか無いわよね?」
「大丈夫ですよ!それに出来立てホヤホヤですから。」
「…えっと、どうするのRASN?」
キャトラはリゾットを食べ終わりミレイユに体を拭かれ終わったRASNに聞いた。
「…!」
そしてRASNは特に何も疑わずにそれを飲んだのであった。
「あらら…飲んじゃった、大丈夫?」
「…!」
「んー…?取りあえずは平気そうね?」
「それじゃこの後はゆっくり休んでくださいね、確かカティア様が言ったには飲んだら大人しく寝ないと効果が無いって言ってたと思いましたし。」
「えっーと…RASNさん暑苦しくとかありましせんか?喉とかは大丈夫ですか?」
「…!」
RASNは心配してくるミレイユの頭を撫でると優しく微笑んだのだった。
「…!えへへ…でも本当に無理はしないで下さいね…?」
ミレイユは少し顔を赤らめそう言うと去っていたのだった。
「それじゃRASN、寝るにはまだ早いけど今日はゆっくりとお休みね?」
「…!」
「そんじゃ明日またねー!」
そうして他の三人も去った。そしてRASN一人となり、そのまま寝たのであった。
そして翌朝…
「ヴィヴィズ!ブレインウェイブレイディオ!」
朝の飛行島に響き渡るのはラジオDJのヴィヴィの声であり、今現在生放送中らしい。
「おはよう世界!おはよう飛行島!それでは今日の放送は趣向を変えての企画です!」
そう言ってヴィヴィはある部屋へと入った、そこはRASNの部屋であった。
「えっーと…ここからは少しボリューム下げての放送でーす、それでは今回の企画は…」
そうして取り出したのは看板と弾ける方のクラッカーを手にしたのであった。
「飛行島の七不思議…喋らないRASNさんの噂の確証を得るために寝起きドッキリを遂行しようと思いまーす!」
飛行島の七不思議とは飛行島にてまことしやかに流れてる噂であり、畑にすすり泣く声の噂や…空を飛ぶハンバーガーの噂や…消えるカニカマの噂や…謎の抜け殻の噂等近頃は七つでは足りなくなってきたのであった。
「噂ではRASNさんが言葉を発するとなんと飛行島がバレルロールするって聞きました…正直怖いですがやってみましょう!」
そうしてヴィヴィは少し膨らむベッドに近寄った。
「えーっと…静かに寝てますね…それではまずはこのクラッカーを鳴らして様子見と行きましょう!えっーい!」
そしてクラッカーの紐を思いっきり引っ張るとパンッという音が部屋の中を響いた、だがベッドの中は不動であった。
「…あっ…あれ?起きない?眠りが深いのかな…?だったら…!毛布を引っぺかして…!そぉい!」
ヴィヴィは言った通りにベッドの毛布を剥いだ。
「よし!続いてこのマイクロディスコに込められた音楽を…ってあれ?」
そして手にしたマイクロディスコを構えたがオンにしようとしたスイッチをオフへと変えてベッドに近づいたのだった。
「えっ…?!ええっ!?こんなの聞いてないよー?!」
そしてヴィヴィは目の前ですやすやと寝ている赤髪の赤ん坊を見てウェイブレイディオは終了したのだった。
-飛行島 草原-
このここには今現在暇かつ飛行島にいる者達が集まっていた。
「にしてもこれは…なんなのかしら…?」
口を開いたのはカスミであり、指したのは先程ヴィヴィが発見した赤ん坊である。
「何って…見りゃわかるっしょ?ほれほれー?」
コリンは寝転がりながら尻尾で撫で、撫でられてる赤ん坊は興味深そうに尻尾を追いかけていた。
「それは分かるけど…」
「まぁ正直当面の問題はこの子の御機嫌取りでしょ?こうやってあたしがね…って元気だねー?でも、もふるだけだよー?」
そしてコリンの尻尾を捕らえると引っ張ったりしたが、コリンにそう言われもふもふしはじめた。
「そーそ、そんな感じ。」
「確かにそうだけど…もっと重要な事がないのかしら?例えばその子の親とかさ…!」
「うーん…何かね顔立ちはどっかで見たような気がするのよねー?」
キャトラはその赤ん坊の赤髪や水色の瞳を見つめてそう言った。
「もしかして…RASNの子とか…?」
アイリスの放ったその言葉に皆は衝撃を受けた。
「なっ…お姉ちゃんに黙ってまさかそんな…!」
「オッ…オーララ…!シショーのオンフォン…でごさるか…」
ある者は驚いたり。
「にーにのってことは…タローもにーにになるんだ!よかったねタロー!」
「キャン!キャン!」
「ぴよ…ヒナもねーねに…!」
とある子は喜んだりしていた。
「そっ…そんな確証は無いじゃない!」
「そうよ!ただのそっくりさんかもしれないし…!」
「ぎにゃー!!ちょっとアンタらー?!ちょっと静かになさーい!」
キャトラも叫ぶその脇の赤髪の赤ん坊はこの状況に置かれ目に涙を溜めていたのだった。
そして赤ん坊は島を響かせるような音量で泣き始めたのであった。
「ぎにゃー?!!何なのよー?!」
「ふぉっ?!これはヤバイって!?」
「誰か泣き止ませなさいよー!ぎにゃー?!」
こうして飛行島の面々は赤ん坊を泣き止ませようと奮闘しはじめた。
「ならば!先程作っておいたいもけんぴを…!」
泣き止まず…
「待てイサミ!それは駄目だ、このでんでん太鼓なら!」
泣き止まず…
「だったら安眠の音楽を聴かせれば…!」
だが泣き声にかき消された…
「だったらお腹空いてるのかな?ポッキーどお?」
「待ちな!それなら俺を食ってもらおうか!?」
「そんならチョイ辛めの麻婆豆腐はどうだ!?」
口にも入れてもらえず…
「いないない…ばぁー!!(ピッー!)」
「ぎにゃー?!みんな吹き飛ばされるわよパルメー!」
「あぁごめんなさい!?」
中々泣き止まずにいた…
「もー!泣きたいのはこっちの方よー!」
「キャトラ…そんなこと言っちゃ駄目よ?」
「そうだけどどうすんのよー!?」
「こうなったら…!」
するとエスメラルダが意を決したように赤ん坊を抱き抱えた。
「弟が小さい頃泣いた時はこんな風にしてたからこれで泣き止んで…!」
だが全く泣き止まなかった。
「えっ…?!何で…!?」
「…?!分かったわ!エル!その子をレーラに渡してちょうだい!」
「ええっ!?分かったわ。」
そうして渡したのはバイオリニストのレーラであった、褐色な肌と豊満なモノを持ってるダークエルフである。
「ちょっ?!何を!?」
すると赤ん坊は先程の大騒ぎがなかったかのように静かになったのだった。
「あ…静かになった…」
「やっぱりね!エルになくてレーラにあるものを押し付けたけど正解ね!」
「…ねぇ?キャトラちゃん?あとでいいからその私に無いものってのを教えてくれるかしら…?」
「エッ…エル…顔が笑ってないわよ…?」
「アラーソウカシラーソンナコトナインジャナイノー?」
「ごっ…ごめんなさーいっ!?」
「待ちなさーい!!!」
キャトラは猫だが脱兎の如く逃げ、エスメラルダはそれを狩る獅子の如く追いかけた。
「あっ…あのー?ちょっといいかしら?」
レーラは赤ん坊を抱いてもぞもぞしていた。
「どうされましたか?レーラさん?」
レーラは普段演奏の時などは妖艶かつ色香に満ちた言動をするが、彼女自体はそうではなくその上での演技のようなものである。
「ごめんなさーい!私にはやっぱ無理よー!それに恥ずかしいし!」
そう言ってレーラは赤ん坊を近くにいたカモメに渡すと茂みの中を突っ切り何処かへと去ったのだ。
「ありゃ?行っちまったか?」
「…!それより赤ちゃんは?!」
カスミが心配してカモメの抱える赤ん坊を見るとすやすやと寝ていた。
「寝ちゃいましたね…きっと泣き疲れちゃったんでしょうか?」
「そう…よかった…」
こうして騒動は一時休止となった。
-飛行島 談話室-
一騒動が終わり赤ん坊は数名を残して談話室に置かれ、残りは今のところ確認されていないRASNを探しにいった。
今は赤ん坊も起きてカスミにおんぶしてもらっていてご機嫌だった。
「うぅ…何で私がこんな…!」
「でもこの子は嬉しそうですけどね?」
「というか…フローリアが乗せたからでしょうが…!」
「…ママ…ヒナにも…!」
ヒナはカスミの事をママと呼んでおり、そしてそのカスミに対して上目遣いで両手を挙げておねだりをしていた。
「ええっ?!…しっ…仕方ないわね…。それじゃ…フラン?」
「ウィ!任せるでござる!こっちでござるよー」
カスミはフランに赤ん坊を頼むとヒナをおぶり、ヒナは気持ちよさげな目をしてカスミの背中に顔を埋めたのだった。
「…。」
そしてその姿をコヨミは羨ましげに見ていた。
「…あのーフランさん、よかったら私にもその子を抱かせて下さい!」
一方赤ん坊の方はフランに抱えられていて、隣では赤髪ツインテールで頭に小さく角が生えている忍者のスイカがいたのだった。
「いいでござるよ!どうぞでござる!」
「ありがとうございます!うわぁ…暖かいですね!」
スイカはフランから赤ん坊を受け取ると満点の笑顔で笑ったのだった。
だがそれに対して赤ん坊の顔は徐々に曇り今にも泣き始めそうだった。
「オーララ?!今度は一体ござろうか…?」
「ご機嫌ですかね…?だったら高い高いー!!」
そう言うとスイカは赤ん坊に対して高い高いをした、するとスイカを中心にブワリと風が巻き起こった。
だがその甲斐も無く、赤ん坊は泣き始めたのだった。
「あれれ?!何で泣いちゃうんですか?!」
「えっと…多分力強く高い高いしちゃったからではないでしょうか?」
なおスイカは鬼の血を引いている為かなり力強いのであり。
「それより早く泣き止ませないと!」
「でもレーラの時みたいな状況だけど泣き止まないわよ?!」
そしてスイカのスイカはレーラに負けず劣らずの大きさなのである。
「だったら…ファムでござるか?」
(黒猫キャラではない。)
「だったら西瓜をどうぞ!」
そう言うとスイカはどこからともなく西瓜を出したのだった。
「わぁ!スイカだー!」
「ピヨォ…おっきいね…」
「そうね…でもこのままじゃ食べれないわね…」
スイカが出した西瓜はカットされたものではなく丸く皮付きの丸々とした西瓜なのであった。
「…それより赤ちゃんにスイカとかって大丈夫なのかしら…?」
「それは…分からないわよ、そんな経験無いし…」
「…!?そうなのカスミ…!?」
「…当たり前よ!」
「でもスイカですよ!」
「もしディリズナブルならば洋梨は如何でござろうか?」
「…難しいですね…」
「ここじゃないねドロちゃん?あれ~?みんなどうしたの~?」
悩んでいやると扉が勢いよく開け放たれそこには団子売りのツキミがドロちゃんに乗ってきたのだった。
「あら、ツキミ。何の用?というかRASNは…?」
「うーん…RASN君はまだ見つかってないみたいだね~?」
ツキミはそう言って降り、メアがツキミに問い掛けてきた。
「それで…何でここに?」
「んー…移動はドロちゃん任せだから~?」
「そうなんだ…」
ツキミが皆と話してる最中ドロちゃんは泣いてる赤ん坊にぽてぽてと近寄った。
「ぶー。」
ドロちゃんは赤ん坊に近づくとすりすりと自分の頭を頬に擦り付けた、すると赤ん坊は徐々に泣き止んできた。
「やるね~ドロちゃん。」
「お腹が空いたんじゃなかったんですか…?でも泣き止んでくれて良かったです!」
「ぷぶー♪」
更にドロちゃんはちろちろと赤ん坊の頭を舐め始め、赤ん坊はくすぐったそうだったが喜んでいた。
「凄いですね…泣き止ました上で喜ばせるなんて…!」
「ぶー!」
そしてドロちゃんはかぷりと赤ん坊の頭から自分の口へと運ぼうとしていた。
「って!?それは駄目でしょー!!?」
「あらあらドロちゃん~?」
「二人は見ちゃ駄目よ!?」
「ピヨ~!?」
「わぁ?!何!?」
カスミはコヨミとヒナの目を手で覆い隠して目の前で起ころうとしている惨状を見せないようにしていた。
「スイカさん!メアさん!協力して助けましょう!!」
「はいっ!」
「分かったわ!」
「フランさん!これを…!」
「分かったでござる!」
フローリアはフランにキャベツを手渡し受け取ると、フランは釣竿を取り出すとキャベツを引っかけてドロちゃんの目の前で吊り下げた。
「ぶー…?ぶー…?」
ドロちゃんは目の前で吊り下げら揺れているキャベツを顔で追っかけており、口の絞まりが緩くなってきた。
「今です!」
「スイカ!あの子をお願い!」
「分かりました!はぁぁぁ!!」
そしてその最中を狙いカモメが上顎でメアが下顎を引いて、スイカが口の中の赤ん坊を抜き取ったのであった、赤ん坊はよだれまみれであるが無事であった。
「ふぅ…大丈夫ですかー?」
スイカが腕の中の赤ん坊についてるよだれを拭き取ると、赤ん坊はキャッキャと喜んでいた。
「えへへ…笑ってくれましたね!」
「無事で何よりですね…!」
「ええ…可愛いわね…」
「ピヨ…よしよし…」
皆がスイカの元に集まる中、カスミとツキミはドロちゃんの前にいた。
「こらードロちゃん、赤ちゃんを食べちゃ駄目だよー?」
「ぷー…」
ツキミはドロちゃんの頭をポンポンと優しく叩いて叱っていたのだ。
「そうよ『食べちゃいたいぐらい可愛い』って言葉があるけど本当に食べちゃ駄目よ?」
そしてカスミもドロちゃんを戒めていた。
ちなみにどうでもよいが『食べちゃいたいぐらい可愛い』に関しては科学的根拠が出ているのである。
「せめて舐めるぐらいだよ~?」
「ぷー!」
こうしてドロちゃんによる騒ぎは収まり赤ん坊も泣き止んだように見えたが、すぐに泣き始めたのであった。
「もうご機嫌とかの問題じゃないわよね…」
「そうですね、やっぱりお腹が空いたんじゃないのでしょうか?さっきと同じ感じの声で泣いてますし…」
「でも先程の西瓜は粉々に…。」
「だったら仕方ないわね…厨房に行くしかないわね…」
こうして一行らは厨房に向かった。
-飛行島 厨房-
飛行島の住民らは基本的に酒場でヘレナらの料理で腹を満たしているが、ここは個人で好きな量・好きな味付けで料理できる場所である。そして菓子作り用の用具がふんだんにあるためおやつ作りにも最適である。だがここを使わずとも自身の部屋に自前のキッチンを設営する者もいるが。
「誰も…いないかしら?」
「……。多分いませんね、音もしませんし…。」
「それでは入りましょう!」
そうして一行らは厨房に入っていった。
「とりあえずは料理の本は途中の図書室で持てる分だけ持って参りましたが…どうでしょうか?」
「うーん…とりあえず手分けして探して見ましょう?」
あやし役としてスイカとフローリアが赤ん坊を見ており、他の者達はカモメが持ってきた本を片っ端から読み漁った。
「うーん…幼児向け料理の本は無いみたいね…」
「うぅーん眼が痛いよぉ…」
「ピヨヨ…」
「大丈夫~?目薬差す?」
「ありがと!ツキミねーね!あれ?ドロちゃんいないね?」
ツキミから目薬を貰ったコヨミは回りを見渡してそう言った。
「ん~?あれー?本当だいないね~?」
「まさか冷蔵室…?!あそこには!!」
するとメアは手にしてた本を放り投げると、大きなルーン可動式の冷蔵室の扉を開け放ち中を探っていた。
「……良かったー…とっておきのパフェは無事だったわね…」
メアの目の前には見るからに美味しそうで一つの器に二人分ぐらい盛られているパフェあったのだ。
「あー!パフェだー!」
「ピヨ…!美味しそう…!」
「はっ…しまった…?!」
メアの後ろから声が聞こえ振り向くと、そこには少し震えながら物欲しそうな目でそのパフェを見ているコヨミとヒナがいた。
「パッ…パフェ?!なっ…何のことからしら…?」
メアはあせりながらパフェと二人の間に立ち塞がったのだった。
「ピヨ?でもさっき…」
「うん!あったよ!おおっきなパフェ!」
「ううっ…確かにあるけど…これだけはあげられないわ!」
「えっー?!そんなに大きなパフェを独り占めなんてずるいよー!」
「メアねーね…分け合いっこしよ?」
コヨミとヒナが物欲しそうな目でメアに擦り寄った。
「うっ…あげたいけどこれだけは本当に駄目なの…そうだわ!今度二人の為にとっておきなパフェを二人分作ってあげるね!」
「ホント?!」
「えぇ!とっても美味しいのを作ってあげるわ!」
「ピヨォ…ありがとう…ママ…!」
するとヒナは嬉しそうにメアに抱きついた。
「いや…ヒナちゃんのママはカスミじゃ…?」
「…その認識自体がちょっとおかしいんじゃない…?」
メアが寄ってきたヒナの頭を撫でるとカスミが三人のところにやって来たのであった。
「あっ、カスミねーねだ!」
「ピヨ?あっ…!ママ…!」
ヒナはカスミを見ると走ってカスミの胸に飛び込んだ。
「はいはい…ママじゃないけどね…。それでメア、ドロちゃんはいたのかしら?」
「えっ?!…あぁ!ドロちゃんは…見かけなかったかな?」
「何で疑問符がついのはともかく…ここにはいないみたいね、あそこを見てみて。」
カスミが指差す方には大量に積まれたキャベツの山であった。
「もしドロちゃんが冷凍室に入っていたら昨日からここにあったキャベツは芯だけになってるはず、でも昨日見たぐらいはあるから入ってないはずね。」
「カスミねーね名探偵みたい!凄いね!」
「これぐらい…考えれば誰でも出来るわよ。」
「でも凄いねママ…へきっち!…ピヨ…。」
するとヒナはくしゃみをして身震いをしたのだった。
「大丈夫ヒナちゃん?」
「そういえばここは冷凍室だったわね、風邪引かないうちに出ましょ?」
そうして四人は冷凍室を後にした。
四人が戻るとそこには物欲しそうな顔のドロちゃんがいたのであった。
「あら?いたの?」
「はい、外にいるかもと出てみようとしたらすぐそこにいました。」
「…何だ…そうだったんだ。」
「ピッ…ひぃっくしょん…!」
くしゃみをしたのはヒナであり身を震わせていた。
「大丈夫でござるか?もしやフォウドでござるか?」
フランは心配そうにヒナに近づき額に手を当てて熱を計っていた。
「ピヨ…大丈夫だよフランねーね。」
「…そういえば昨日のシショーはフォウドでござったな…ビィヤンでござるかな…?」
「そうだねー、探してる方もまだRASN君を見つけてないみたいだねー?」
「…にーにお腹空かせてないかな…?」
「多分大丈夫よ、…そういえば赤ちゃんの様子は?」
「えっと…こんな感じですね…」
スイカの腕にいる赤ん坊は泣き叫びはしないが、えっぐえっぐと啜り泣いていた。
「あらあら…泣き疲れちゃったのかしら…?」
「でもまだお腹を空かせてまして…実際今も暴れているんですよ。」
だがスイカの体は微動だにせずに赤ん坊を抱いていたのだった。
「風邪…あっ…!そういえばカスミ、お粥を作ってなかったかしら?」
「フローリア…何でそんなことを知ってるのかしら…?」
「あら?今朝方鼻唄混じりに作っていたのを…」
「まさか覗いたの?!」
「いいえ、覗いてませんよ?だって私いつも目を閉じてますもの…」
「くっ…!」
「へー…カスミねーねもお粥を作ったんだー?」
「…『も』って事は…コヨミちゃんも?」
「うん!ヒナちゃんとコリンねーねと一緒に作ったんだー!」
「えーっと…実は私もお粥を作ってRASN船長に…」
「セッシャもシショーにお粥を作ったでござるよ!」
「…そういえばメアさんもお粥でしたよね?」
「なっ…何でフローリアさんが知って…?!」
「うふふ…バイパーさんからこそりと教えていただきましたよ。」
「…!バイパーさん余計なことを…!?」
「…ともかく!早く食べさせるわよ!」
カスミが声を強めてそう言って、赤ん坊を椅子に座らせたのであった。
「ほら、持ってきたわよ。」
カスミは鍋つかみ越しに土鍋を赤ん坊の前の机上に置いて蓋を開けた。
「これは中々美味しそうね…。」
「まぁ体に良さげな物を入れただけだけどね。」
そうしてカスミはスプーンを手にしてお粥を掬って、赤ん坊の口へと運んだ。
「ほら…どお?美味しいかしら?」
すると赤ん坊はそれに答えるように、にぱりと笑顔を見せたのであった。
「…っ!?そう…お気に召して嬉しいわ…一応ね。」
そうしてカスミはそれに対して頬を少し綻ばせていた。
「いいですね~…実にいいですね~?」
そしてその様子をフローリアはルーンカメラを用いて撮っていたのであった。
「…って!?何撮ってるのよ?!」
「いやいや…微笑ましくてつい…」
「やめなさい!」
「やめませんよー。(パシャパシャ)」
カスミは写真を撮り続けていたフローリアを追い始め、赤ん坊への食事を止めてしまった。
「あらら…ほらほらカモメお姉ちゃんが食べさせてあげますねー?」
そしてそれを見かねたようにカモメがスプーンを取り食事を続けさせた。
「えへへ…これはカスミさんが笑顔になるのも頷けますね。」
「えーっとカモメ殿…よかったらセッシャらにも…」
「コヨミもやるやるー!」
「…ヒナにもお願い…?」
「あっ!私にもお願いしますね!」
「えっと…私にもやらしてくれるかな?」
「それじゃ私もー?」
「ぷっー!」
「あードロちゃん食べちゃダメだよー?」
そうしてフローリア以外の人がスプーンを回してそれぞれお粥を食べさせた。
「はぁ…はぁ…確保できた…」
「あぁ…惜しいです…」
カスミとフローリアの追いかけっこは終わってカスミがフローリアのカメラを手にしていた。
「…油断も隙も無いわね…」
そしてカスミは赤ん坊の前へと戻った、目の前の粥は無くなっていて赤ん坊はご満悦な顔をしていた。
「全く…可愛い顔をしてるけど顔がお粥まみれね…」
カスミはその赤ん坊の顔を拭こうとした、だがその時不思議な事が起きた…。
「…えっ。」
「…?!」
「フェ…?」
「隙有りです…!」
「えっ?!にーに!?」
座ってた赤ん坊はドロンと少し煙を上げ、それが明けるとそこには最近町一つぐらいは目眩ませるぐらいの光を放てる赤髪主人公であった。
「あっ…!パパ!」
「あっ…!コヨミも!」
「なっ…何なんですか?!もしかして今の今まで変化の術を!」
この光景を見てヒナは少し驚きつつもRASNの足めがけて抱き寄り、スイカは目を光らせて驚いていた。そしてコヨミはヒナの後を追うようにもう片方の足に向かった。
「スイカ…多分それは違うと…」
「アンクワィヤド!流石はシショーでござる!!」
「いや…そうじゃないと思うけど…?」
そしてメアは興奮する忍者二名にそう言った。
「それより…フローリア…?」
「…何ですか?…カメラならカスミが驚いた時に掠め取りましたが?」
「それは別にいいけど…!何を撮ってるの…?!」
「…何って…カスミですが、いつまでRASNさんの頬を触れてるのでしょうか…?」
「…っ!?」
カスミはフローリアに指摘されるまで布巾越しであるが結構近い距離でRASNの頬に手を当てていたのであった。
「まぁ…そのままの方が絵になるんですけどねー。(パシャパシャー)」
「すっ…好きでやってる訳じゃないわよ!…もう!」
そうしてカスミはしっかりとRASNの口元を拭いてから手を離したのであった。
「あらあら…まぁ美味しいシーンは取れましたし、先程撮った物も無事ですから退散しますね。現像が楽しみです…!」
フローリアはカメラを懐に収めるとそさくさとその場を去ったのであった。
「あっ!待ちなさいっ!」
そしてカスミはそれを追うように走って行った。
「…そういえばRASN、何であんな姿に…?」
カスミとフローリアが去り、メアが少し聞きにくそうにRASNに問いかけた。するとRASNは身振り手振りで教えに来た。
「えーっと…ドロちゃんは分かるかな?」
「ぶっー?」
「ピヨ…」
「にーに…」
コヨミとヒナは身振りを見ておらず、手振りを見ていたツキミとドロちゃんは首を傾げていた。
「えっーと…シショーがオンドロミンしてると何時の間にかベビーに…でござるか?」
「それで赤ん坊の時の記憶は全く覚えていないんですね!」
だがフランとスイカは相槌を打ちながらそう言った。
「…二人とも分かるの…?」
「んー…セッシャは大体でござって、オクニクトンしてるでござるが…?」
「私は多分ですが全部分かると思います!寝た時間は20時頃って言ってましたし。」
「…恐れ入るわね…取りあえずみんなにRASNが見つかったって言っとかないとね。」
こうしてこの騒動は収まり、どうしてRASNが赤ん坊となったのかは分からないままその日は過ぎ去っていった。
先の騒動から数日…飛行島の上は様々な屋台や出店やらが出回り、夜を明るく照らして賑わっていた。
「それにしても変な依頼よね…」
「えぇ…飛行島で二周年のお祭りをしてほしいって依頼よね?何の二周年かしら?」
そんな中をアイリスとキャトラは浴衣姿で歩いていた。
「まぁお祭りはいいんだけど…何で飛行島なのかしら?それで何なのあの依頼してきた星たぬき…白色で変な青い仮面と髪生えてたし…」
「キャトラ…変に模索は多分いけないと思うわよ…?」
「……そうね、変に思うより今を楽しみましょ!」
「ふふっ!そうね。」
「さぁて!まずは屋台の食べ物制覇よ!ぎにゃー!」
「食べ過ぎは駄目よー?」
「大丈夫よー!」
そうしてアイリスとキャトラは祭りの中へと突撃した。
「ピヨ…飴美味しいね…?」
「うん!あっ!ねぇにーに!今度はあのたこ焼きがいいな!」
「…!」
祭りの中RASNとコヨミとヒナがいた。三人は祭りの屋台の食べ物を中心に回っており、今度はたこ焼き屋であるが何やら少しまがまがしさを感じられる屋台であった。
「おっ!いらっしゃーい!呪術で焼いた呪術たこ焼きだよー!」
屋台にいたのは呪術士のメリドであった。
「えっーとたこ焼き一箱下さいな!」
「はいはいー!出来立てを至急でお届けしてあげるよ。」
そういうとメリドはタネを目の前のたこ焼き器に流し、タコを入れて錐と杖を持った。
「よし…。うぉらぁぁ!!焼けろぉぉ!!」
「わぁっ!?」
「ピヨッ?!」
するとメリドは大声で叫びながら杖でたこ焼き器を熱しつつ、錐でクルクルとたこ焼きを回して焼いていた。
「喰らえ!ギガ錐ブレェェイク!おらおらおらっー!」
「にーに…怖いよぉ…」
「ピ……」
コヨミとヒナはメリドのその勢いに圧されてRASNの後ろに隠れていた、たがそうしているとメリドはもうたこ焼きを容器に入れてソースを塗り刻み鰹節をかけていた。
「ふぅ…。はいお待たせー!…ってあれ?」
たこ焼きを焼ききったメリドは落ち着いたが、RASNの後ろの二人は眼を丸くしてまじまじと見ていた。
「ありゃりゃ…怖がらせちゃったかな…?大丈夫、怖くないよー?ついでに呪術怖くないよー?」
するとメリドは満面の笑顔で二人にシャークマウスで微笑んだ、だが二人は更に縮まりこんでしまった。
「あららら…まぁいいや、はいRASNくん二人に食べさせてね?」
メリドは怖がる二人を見て少しがっかりとしたがRASNにたこ焼きを渡して三人を見送った。
「あー、食べるときは『呪術怖くないよ』って言いながら食べると美味しくなるよー?」
「あむあむ…美味しいねあねうえ!」
「そうねアル!チョコバナナなんてお祭りの時ぐらいしか食べられないからね!」
お祭りの中歩いているのは吸血鬼姉弟のエリザベータとアルブレヒトであった、なおエリザベータは人型でありアルブレヒトは頭に乗る程度の大きさの蝙蝠である。そしてその側にはアイリスとキャトラがおり、二人とも連れを頭に乗せていたのであった。
「そうですね、でもチョコ洋ナシも中々いけましたよ?」
「でもチョコカニカマが無かったのはガッカリだったけどね!」
「キャトラ…流石にそれはないかも…?」
「うん…僕もそれはないと思うよ… それよりあっちの氷の国のアイスの方がいいんじゃないかな…?」
アルブレヒトは翼をソフィが構えているアイスの屋台を指してた。
「そうね!あら…?あそこにいるのはRASN達じゃない?」
「あら?本当だわ、それにヒナちゃんにコヨミちゃんも居るわね?」
「あっ!アイリスねーねにエリザねーねだぁ!」
屋台の前のベンチにはRASNらがいたのであった。
「もう…元気なのはいいけど少しだけふきふきしようねー?」
「んっ…ありがとう!エリザねーね!」
コヨミはエリザベータにハンカチで口を拭かれており、ヒナはそれをジッーと見ていた。
「…パパ…拭いて…?」
「…?…!」
するとヒナは口をアイスのクリームまみれにしてRASNに近付け、RASNは少し当惑したが大人しくヒナの口元を拭いたのであった。
「ピヨ…ありがと、パパ…」
「あっー!ヒナちゃんずるいー!コヨミにもー!」
「…?!」
そしてヒナが拭かれてるのを見るとコヨミは口元にアイスのクリームを付けるとヒナ同様にRASNに迫った。
「人気だねあねうえ?」
「そうね、小さい頃のアルもちょっといなくなっただけであんな感じに甘えて…」
「もっ…もぉ!その話はやめてよあねうえー…」
「でも仕方ないんじゃない?ちょっと前まで姿をくらましちゃったしね。」
「そうね…RASNが赤ちゃんになって…誰の仕業なのかはまだ分からないのよね?」
「あー、それは…私だっー!!」
すると上空から虹色サングラスで褐色肌の筋肉モリモリのマッチョマンのサマーソウルが一人降ってきたのであった。
「わっー?!あねうえ何あれ…!?」
「分からないわアル…!でも何なの…この変な感じは!?」
サマーソウルの降臨に初めて会うエリザベータとアルブレヒトはサマーソウルに対して身構えており、それ以外のあった事のあるRASNらは普通であった。
「私だーってことはまたアンタの仕業なわけ?」
「そうだよ♪」
「でも何でそんなことを…?」
「ふむっ!それは私達の出番が欲しいからだ!」
「出番って…ん?ちょっと待って…今、私達って言ってなかった?」
「そうだ!今回は一人ではない…紹介しよう私のパートナーを!」
「よぉ!お前ら久し振りだなー!」
するとサマーソウル同様に上空から降ってきたのは褐色肌で褌姿と顔に書かれている隈取りが特徴的な男…一番風呂泥棒のゴエモンであった。
「ぎっ…ぎにゃー!?組み合わせちゃいけない組み合わせがやって来たー?!」
「あっ…ゴエモンさんお久し振りです。」
「…!」
「ふっ…お久し振り…って言うかっー!」
ゴエモンはRASNの差し出した手を払いのけたのだった。
「ご挨拶はこれぐらいにして…そんじゃ本題行きますか!」
「あぁ!今こそ主人公の座にいる少年、今度こそずっと赤ん坊になってもらうぞ!」
するとゴエモンとサマーソウルはRASNにじりじりと接近してきた。
「そしてその隙に主人公に成り代わり…白猫プロジェクトからゴエモンプロジェクトへとタイトルを変えるのだー!!」
「ん…?待て常夏プロジェクトじゃないの…?協力してくれるって言ってくれたような…?」
「あぁ?そういやそんな事約束したっけな…?」
「したぞー!熱く燃えたぎる夕陽にな!」
「そうだな…でもな…そんな約束ウソだバーカ!!!」
するとゴエモンは何かを右手に掴むとそれをサマーソウルに突き出した、だがサマーソウルは身を反り返して回避したのであった。
「ゴエモン…!裏切ったのか…!?」
「裏切ってねーよ!ただ利用しただけだっつーの!バーカ!!」
「バカヤロウ!!バカって言った方がバカなんだぞバーカ!!」
「うるせぇバーカ!!!」
暫く二人の言い争いは続き、RASNらはそれを唖然と見ることしかしなかった。というかしたくなかった。
「埒が明かない…!ならばこいつを…!」
言葉通り埒が明かなくなったサマーソウルはブーメランパンツから武器である双剣を取り出した。
「ぶっ…武器を出すなんて卑怯だぞー!こっちは丸腰なんだぞー?!」
「バカヤロウ!男なら常に戦い…即ち常に夏だっ!!」
そう言うとサマーソウルはゴエモンに向かって跳躍、そして大の字に体を広げてゴエモンに直撃した。
「グワー!?覚えてやがれー!?」
そして当たったゴエモンは飛行島の夜空の星となった。
「ふっ…ゴエモンよ…裏切りは罪だがその熱意は夏かったぜ…!」
「何意味分かんないこと言ってるのよ…?それよりもう終わり?」
ゴエモンとの交戦を終えたサマーソウルを迎えたのは待ちぼうけされたRASNらであった。
「おう♪だが…私の用は終わってない!」
するとサマーソウルは双剣を構えてRASNに対峙した。
「って?!ちょっと待って!?その武器は…?!」
「あれは…!カースオブイランケチ?!」
サマーソウルが持っていた双剣は目玉が付いた赤と青の洗濯バサミのような双剣であった。
「ふっ…拾ったのさ!お陰で攻撃力は実質五倍に近い!」
「それ拾えるもんじゃ無いでしょー?!」
「バカヤロウ!拾ったもんは拾ったんだー!覚悟ー!」
するとサマーソウルは身構えて暫く停止した、そして少ししてサマーソウルは空を見ていた。
「あー…SP足りないのか…流石に消費SP+50%は辛いかー…」
「何言っているのかしら…?」
「でも今がチャンスね!アル!」
「うん!ゴシニジュー!!」
アルブレヒトは皆の前に出て空を見ているサマーソウル目掛けて赤いレーザーを発した。
「シゴニジュー!?」
そしてそのレーザーはもろに当たりサマーソウルはゴエモン同様に吹き飛んだ。
「ふぅ…何とか驚異は去ったわね…?」
キャトラは額に汗を流すとサマーソウルが飛んでいった空を見上げた。
「って!?散り際も暑苦しいわー?!」
キャトラが叫ぶその先には親指を立てて決め顔をしているサマーソウルが映されていた。
「みんな!真夏に会おうぜ!!」
そうして飛行島にはそのような声が響いたとか。
※オマケ
「…いないな…」
喧騒な祭りの中男一人で誰かを探している男がいた、男の名はクロー。アオイの島出身でコジローの弟である。
「こんな時こそ機会だって言うのに…何やってんだがね…」
まぁ個人的に思うのは呪い双剣のストーリーでホンマお前何やってんのよ…
「ん?何だ?誰かオイラを呼んだか…?」
ヨンデナイヨー?取りあえず闇堕ちしてヘイト役となる予定なクローは辺りを見渡していた。
「んー?おっ!あれは…!」
クローの目の先にはフローリアがいた、リンゴ飴を片手に側にはカスミやらがいた。
「よしっ!成せば成る…!やってやるさ…!」
クローは己の頬をパンと叩くと震える足でフローリアの後を追っていた。
暫く追ってカスミらが屋台に立ち寄り、フローリアは一人になったのであった。
「…ここで行かねば…だけどな…否!迷ってたらまた期を逃す…!えぇい!ままよ!」
そうしてクローは意を決してフローリアに駆け寄ろうとしていた、だが…
「ぐおぁっ!?」
その時クロー目掛けて矢が飛んできてクローはそれに吹き飛ばされたのであった。そして飛ばされてきたのは飛行島の端の茂みであった。
「痛ぇ…って、おもちゃの矢か…何なんだよ…」
倒れてるクローは胸についてるおもちゃの矢の吸盤を取って投げ捨てた。
「やれやれ…今回も駄目か…どうしたもんかね…」
クローは頭を抱えて星空の天を仰いだ、だがその視線には影が射したのであった。
「ん?何でい?こんなとこに…」
クローは体を起こしてその視線の影を見た。それはまるで人の様であるが赤い肉の上に骨を巡らせたような風貌であり、赤く光る目をしてクローを見ていた。
「へっ…?何だこいつは…見た事あるような…ないような…」
「グォォォ!!」
クローが頭に先程のおもちゃの矢がついてるアシャクァトルをまじまじと見ていると、アシャクァトルはクロー目掛けて突進してきた。
クローは咄嗟の行動に反応できずにまともに喰らってしまった。
「ぐぉ?!何しやがる!?」
「乙女ハ…マモルッ…!ソノメヲ…ツムッ!」
「芽を摘むって…?!ぐおわぁー!!?」
そうして夜の飛行島に花火の轟音と共にクローの悲鳴も響いたが、その音は花火にかき消されていた。
そしてクローファンの皆様申し訳ありません。