海軍監査局監察課の日々   作:きっか

1 / 5
初めて投稿します。拙い文章ですがよろしくお願いします。


プロローグ

 

 

月がない新月のよる。闇夜に轟くヘリのローター音。山と山を縫うようにヘリコプターが飛び抜ける。

その機内では完全武装の8人が乗っていた。雑談などはしておらずただメインローターが空気を切り裂く音が響いていた。ヘリのドアが空いているため風が入り込み肉声がほぼ聞こえないので、パイロットはインカムで告げる。

 

「総員に告ぐ。目標まであと5分。」

 

それを聞いた隊長らしき人物がインカムで応答し、指示を出す。

 

「了解、総員最終装備確認。」

 

「「「「「「応!」」」」」」

 

それを聞いた隊員達が自分の装備に不備がないか確認した。自分で見えないところは隣の人に見てもらいつつ全員が装備確認をする。

 

コックピットではパイロットと本部(マジック)と目標への最終アプローチの確認をしていた。

 

「Magic. This is Nomad61.Final approaching. Please landing area information. over.(マジック。こちらノーマッド61。最終アプローチング中。着陸地点の情報を知りたい。)」

 

しばらくして本部(マジック)のオペレーターからの返答が来た。

 

『Nomad61. This is Magic. Cleared to landing area. Operation launch, Repeat operation launch. over(ノーマッド61。こちらマジック。着陸地点はクリア。作戦開始。繰り返す、作戦開始。)』

 

「Copy that. out.(了解)」

 

一通りの無線交信を終えたパイロットはインカムを使って報告する。

 

「班長!オペレーションスタートです!」

 

班長と呼ばれた()はパイロットに返答し、部下達に無線越しで状況を説明する。

 

「了解!さて諸君、現在のパーティ(状況)の内容を説明する。当該鎮守府は担当憲兵を鎮守府外へ放り出した。まあ、うちらとしたらちょーいい状況になったわけだ。しかし、あのクソ(提督)は自分の私兵を雇って武装したらしい。というわけで今回の目標はパッケージ(艦娘)の救出及びクソ(提督)の逮捕だ。もし、私兵が武装していた時は交戦を許可する。確実に排除しろ。」

 

「「「「「「応!」」」」」」

 

男達はヘリのエンジン音に負けじと声を張り上げた。女は男達を答えを満足しながら聞いていた。そしてにこやかに笑った。

 

「よろしい。それでは作戦の最終確認を。ハンニバル。」

 

女は隣に座っていた男に話を渡す。男は

「はっ!それでは最終確認をする。」

 

ハンニバルと呼ばれた男はそこから説明を始めた。

 

「今回はエアボーンで降下する。降下した後は私と班長の班に分かれて行動する。後のことは班長と同じである。またこの鎮守府に地下に営倉がある。班長の第一分隊は警備室、執務室の制圧と提督の逮捕。自分が率いる第二分隊は地下営倉の制圧をする。艦娘がいた場合は保護をする。では、班長。()()()()を。」

 

ハンニバルが一通り話し終えて班長に出撃前の声出しを頼む。

班長はその()()()()を言うために大きく息を吸って、言葉を発する。

 

「はいよ。この部隊(SIAT)の必ず守る交戦規定(ROE)はただ一つ!」

 

「「「「「「「生き残れ!」」」」」」」

 

「行くぞ!」

 

「「「「「「「応!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

当該鎮守府 執務室

 

 

 

この中には直立不動の1人の艦娘。そしてここの提督である肥満体の男がいた。

その提督は机を叩いて立ち上がり怒鳴り散らした。

 

「なに!?もう一度言ってみろ!!」

 

直立不動の艦娘は涙目になりつつも目を鋭くして、必死に受け答えしていた。

 

「ですから!もうここの艦娘たちも限界です!どうかどうか1回でもちゃんとした治療を受けさしてあげでください!」

 

そう嘆願をしているのは軽空母 鳳翔であった。鳳翔は軽空母だからと言われ正規空母が入ってくると出撃も無くなったため、食堂で働いたり、勉強を教えていたりしていた。皆からは鳳翔さんと親しわれていた。しかし、近頃皆がボロボロのまま外を歩いているのをみて何事かと聞いた。すると、禄に入渠(ドック)もしてない聞いて怒りのあまり執務室へ駆け込んだ。

提督はその鳳翔の言葉に耳も傾けず近づいて平手を放った。

左頬に鋭い痛みが走り、鳳翔は倒れ込んだ。

提督はまた怒鳴る。

 

「うるさい!()()如きに何がわかるというのだ!これ以上口答えすると営倉送りにするぞ!」

 

鳳翔は倒れていた体を起こして提督をにらんだ。そして交渉を持ちかけた。

 

「私はどうなっても構いません。営倉送りにしても構いません。その代わり交換条件として他の子達に休みをあげて下さい。」

 

その言葉を聞いた提督はニヤリと嗤った。

 

「貴様、何を勘違いをしている?」

 

鳳翔は提督が何を言っているのか意味がわからなかった。

 

「交渉というものは人間同士でやるものだ。貴様ら兵器とやるものではない。警備兵、こいつを営倉へぶち込め!」

 

提督が言うと警備兵が入ってきて鳳翔を拘束し引きずり出す。

鳳翔は唖然としていたがハッと我に返り懸命に避けんだ。

 

「どうか!少しだけでもいいんです!彼女達に休息を!」

 

しかし、その言葉は金色に装飾された執務室の扉が閉じて遮らえてしまった。

そして一人となった提督。

 

「さて、今日の夜伽は誰にしようか……」

 

このあとに何が起きるかも知らずに呑気にタバコをふかしながらそう呟いた。

 

 

 

 

5分後

当該鎮守府

 

パラパラパラパラ

 

提督は執務室で雑誌を読んでいた。すると何かが遠くで聞こえた気がした。

 

「ん?なんだ。ヘリコプターの音がするような。」

 

気になった提督はレーダー室に電話をかけた。

鎮守府には対空監視レーダーがありこの鎮守府にもある。違うところは艦娘が監視しているのではなく、提督の私兵が監視しているだけだ。

 

「提督だ。何か外で音が聞こえたのだが、レーダーになにか写ってないか?」

 

暗闇のレーダー室で監視員は1度レーダートレースが一周するのを待ってから報告する。

 

『いえ、なにも。至ってクリアです。』

 

レーダーには何も写ってないというのを聞いた提督は自分の勘違いと思った。

 

「ふむ、そうか。それなら良いのだ。悪かったな。」

 

提督は電話を切った。そこへ

 

コンコンコン

 

執務室の扉を叩く音が聞こえる。こんな時間に来るというのは夜伽の艦娘しかいない。

 

「入れ。」

 

提督は今日の相手は誰かと楽しみにしていた。

 

「榛名です。今夜の夜伽に参りました……」

 

「よし。ならば今日も……」

 

そこで提督の言葉が途絶えた。耳に聞こえるのはヘリコプターのローター音。だが、前より大きく聞こえていた。提督はどこか訓練でもしているのかと窓に近寄る。そこで目にしたのは鎮守府()のグラウンドでホバリングしているヘリコプターがいた。

 

 

 

 

 

 

ヘリコプター内

 

「突入班!降下地点だ!」

 

パイロットが叫んだ。

班長と呼ばれた女がヘリコプターがホバリングした野を確認して叫んだ。

 

ROCK'N'ROLL!!(降下開始!)

 

「GO! GO! GO!」

 

班員達が勢いよく降下していく。降下が終わり地上に着いた班員は周りを警戒していた。

 

「降下後は速やかに班別行動をせよ!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

全員が降下を完了するとヘリコプターが離れていく。離れ際にパイロットが無線を入れる。

 

『我々は退避する。Savior(救世主)達、幸運を祈る!』

 

その言葉を聞いた班長は班員に指示を出す。

 

セイバー01(班長)から各員。行くぞ!」

 

「「「「「「「応!」」」」」」」

 

Savior班は予定通り二つの分隊に別れて行動を開始する。これからこの鎮守府の()()()が始まる。

 

 

 

 

 

執務室

 

 

グラウンドが見える窓を見て呆然としていた。そこにはホバリングしているヘリコプターから兵士らしき人間が降下しているのである。

提督は慌てて電話取った。

 

「なんだこれは!どうなっている!」

 

提督はレーダー室に繋がっている電話を掛ける。しかし、帰ってくる言葉は狼狽える声だった。

 

『すいません!ですが、レーダーに全く反応がなかったんです。気づいた時にはもう鎮守府内に入っていて……』

 

提督は頭に血が上っているのか顔を真っ赤にして電話口に怒鳴り散らす。

 

「そんな理由あるか!あれはヘリコプターだぞ!レーダーに映らないわけないだろ!」

 

監視員は自分の予想を提督に言う。

 

『奴らは山の間を通って来たんではないんでしょうか?』

 

「なに!?」

 

提督は驚いていた。山の間は2m程しかないのであるから。そんな所を飛ぶなど自殺行為にも等しいからだ。

そんなことを考えている時にハッと正気に戻って提督は指示を出す。

 

「それより緊急警報(アラート)だ!警備兵を展開しろ!」

 

『りょ、了解!』

 

ビィー!! ビィー!! ビィー!!

 

「命令違反をした艦娘もいたな。罰としてそいつも出動させろ!」

これがこの提督の最後の命令だった。

 

 

 

 

 

Savior班 第一分隊

 

Savior班は二つの分隊に分かれ行動していた。第一分隊は執務室と警備室。第二分隊は地下の営倉。

第一分隊の分隊長の()()女は執務室と警備室がある棟の階の廊下を前進していた。

その時に警報(アラート)が鳴り響く。

 

「ヒューゥ やっと警報(アラート)が鳴ったねぇ。奴らの練度が分かるわ。さぞかしのんびりまったりトランプでもしてたんだろうね。」

 

そう軽口を叩いていると、先頭の班員(ポイントマン)が叫んだ。その同時に銃声が聞こえた。

 

タタタタタタン!!

 

「コンタクト!!12時の方向!距離20m!」

 

班長は慌てる部下達に冷静に指示を出す。

 

「反撃だ!撃ち返せ!」

 

指示が出た瞬間消音された銃声が鳴りそこから7.62×51mm弾が目標に向かって真っ直ぐに飛んでゆく。

 

カシュカシュカシュ!! カシュシュシュシュ!!

 

廊下の突き当たりには第一目標である警備室があった。そこから警備兵が警報を聞き慌てて出たところで第一分隊と会敵した。

警備兵が早く撃ち始めていた。()()に撃っていた。今晩は()()の夜であった。警備兵達は先程まで明るいところ()()()にいたせいで何も見えない。

1人また1人と警備兵たちが倒れていく。

最後の方の警備兵はドアから出てきて直ぐに撃たれていた。

 

「ぐはっ!」

 

「うわっ!」

 

最後の1人が倒れてから班員達は周りを確認する。

女は無線に話す。

 

「状況。」

 

班員達は警戒しながら報告する。

 

「クリア」

 

「クリア」

 

「敵影なし。」

 

女が被害状況を問う。

 

「こちらの損害は?」

 

「特になし。」

 

その報告に満足した女は次の指示を出す。

 

「よろしい。それでは執務室を制圧しに行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

Savior班 第二分隊

 

 

 

第二分隊は地下営倉の棟に進んでいた。何処に地下への入口があるのか作戦会議でも最後まで分からずじまいだった。しかし、地下に進む階段をあっけなく見つけた。

班員は不安になっていた。

 

「こんな簡単に見つかるのもんでしょうか?」

 

隊員が分隊長に聞く。

Savior班副班長兼第二分隊長のハンニバルは答える。

 

「ああ、何かおかしいぞ。総員警戒しろ。」

 

階段の中を頭だけたして確認をしていた。その時、中から微かだが声が聞こえた。

 

「ヤメテ!! ハナシテ!!」

 

ハンニバルは直ぐに艦娘の声だと判断して叫んだ。

 

「艦娘の声だ!救出任務開始!」

 

「「「了解!」」」

 

隊員は滑るように中へ入っていった。

 

「フラッシュバンを投げ入れろ!!」

 

Fire in the hole!(爆発するぞ!)

 

 

 

地下営倉内

 

警備兵達が鳳翔を引きずりながら歩いていた。

中は掃除もされておらずホコリや蜘蛛の巣がところ構わずあった。

監獄のような檻もありその中には憔悴しきった艦娘達もいた。

 

「こっちへ来い!」

 

「やめて!はなして!」

 

そう叫んだその時。

 

ファイアインザフォー!(Fire in the hole!)

 

そんな声が聞こえた。鳳翔を引っ張っていた警備兵や他の警備兵が何事かと地上に出る階段のところを注視した。すると、何かが転がってきた。そう思った時。

 

バンッ!!! キィーーン!!!!

 

「GO! GO! GO!」

 

その叫び声と同時に消音された銃声が鳴った。

 

カシュシュシュシュ!!カシュ!カシュ!

 

警備兵は何も出来ずただバタバタと倒されていった。

銃声が鳴り終わると男の声がした。

 

「報告!」

 

「クリア」

 

「クリア」

 

「ここ汚いなぁ!」

 

1人を除き正常な返答が帰ってくる。

そして、拘束され()警備兵の下に埋まっている鳳翔を隊員が見つけた。

 

「要救助者発見!大丈夫ですか?痛いところなどはないですか?先ほどの光や音は大丈夫ですか?」

 

鳳翔は助けが来るなど思ってもいなかった。そして、助けが来たことに理解が追いつかなかった。理解が追いついた時、目から涙がこぼれた。そして泣き叫んだ。

周りを見ると檻の中にいる艦娘達も発見した。ところがその艦娘達は助けが来たことに気づいていなかった。

 

「こりゃ相当ひでぇな。」

 

ハンニバルは呟き無線で報告する。

 

「マジック、セイバー01。こちらセイバー02。地下の制圧を完了。ここに二人を残し他の艦娘を救助する。残りは第一分隊に合流する。」

 

『マジック了解。アウト』

 

『セイバー01了解。さっさと来なよー。三分後に合流。場所は執務室前。アウト』

 

ここでハンニバルは分隊を分ける。

 

「06、07。お前達はここに残って他の艦娘た達の救助。08はついて来い。」

 

「「「了解」」」

 

そして、ハンニバルともう1人は合流するために階段を駆け上がり廊下を走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

Savior班第一分隊

 

女は無線交信を終えて執務室前に向かおうと階段を登り最上階に達した時に何かが光るのを見えた。そして叫んだ。

 

「伏せろ!!!!」

 

全員が伏せた。その刹那、先頭を歩いていたポイントマンが立っていたところに()()が飛んできて後ろの壁を抉った。

 

「ちっ。ここの提督も大概なクソ野郎だな。」

 

女は舌打ちをして悪態をつく。

隊員が報告する。

 

「前方に艦娘。駆逐艦と思われます!どうされますか?」

 

女は報告を聞きながら無線を手に取る。

 

「見たらわかる。マジック。こちらセイバー01。艦娘と会敵した。指示をこう。」

 

しかし、本部(マジック)は馬鹿なことを言ってくる。

 

『セイバー01。こちらマジック。攻撃しても通常兵器は通用しない。近接戦闘で……』

 

「そんなこと出来るはずがないだろう!」

 

女は叫んだ。生身の人間が艦娘に近接戦闘を挑むなんて自殺行為である。もっと罵倒しようと女が息を吸った。そこに無線で割り込んでくる声があった。

 

『セイバー01、マジック。こちらスナイパー01。麻酔弾で狙撃が出来るがどうだ?』

 

SIATのスナイパーユニットである。

彼らは突入班を支援するために鎮守府の近くの山に潜伏していた。

彼らは良い提案をする、と女は思った。それは本部(マジック)も同じようだった。

 

『スナイパー01。こちらマジック。その案があったな。麻酔弾の使用を許可する。一発で仕留めろ。』

 

『了解。セイバー01へ。注意をそちらに引き付けてくれるか?時間は10秒。』

 

10秒長いと判断した女は条件を変える。

 

「5秒だ。それでカタをつけてくれ。」

 

スナイパーユニットは文句も言わずその条件を飲む。それだけ腕に自信があるのだ。

 

『了解した、幸運を。アウト』

 

「頼むよ。」

 

女は部下達に話す。

 

「聞いてたな。5秒間、こちらに注意を引きつける。行くぞ!」

 

「「「応!」」」

 

そして隊員達は撃ち始める。

 

カシュ!カシュ!カシュ! カシュシュシュシュ!

 

当ててはいるが傷はついていない。しかし、確実に注意は引けた。そして艦娘が次弾を発砲しようとした時。

 

スナイパーが発砲した麻酔弾が廊下の窓を突き破り艦娘に命中した。

艦娘は何が起きたかわからずに倒れてそのまま眠ってしまった。

女は見事な狙撃に舌を巻きつつ自分の部隊のスナイパーユニットに背中を任せるのが安心できた。

 

麻酔弾が艦娘に命中した。

 

「スナイパー01。こちらセイバー01。ナイスショットだ。礼を言う。」

 

『どーも。そこから先はクリアだ。執務室のおっきい粗大ゴミ(提督)を回収してきてくれ。アウト。』

 

そう言いながら隊員達は全方向を警戒しながら小走りで移動を始めた。

 

 

 

合流時間丁度に両分隊が執務室前に到着した。

執務室の扉はほかの部屋と違い金で装飾されたいかにも趣味の悪い扉だった。

 

「それじゃ、突入しましょ。」

 

そう言いながら女はフラッシュバンを手に取り部屋の中に投げ込んだ。

 

コロコロコロ

バンッ!!! キィーーン!!!!

 

爆発した瞬間隊員達が突入した。

 

「GO!GO!GO!」

 

広い執務室で何も武装していなかった提督がフラッシュバンの光を直視してのた打ちまわっていた。

 

「うわっ!目が目が!」

 

女は手に書類を持ってこう告げる。

 

「SIATです。貴方には艦娘人権法に違反していたため、逮捕状が出ています。よって貴方を逮捕します。時間取って。」

 

女に言われハンニバルが時計を見る。

 

0143時(マルヒトヨンサン)。逮捕。」

 

提督はまだ状況が読めていない様である。

 

「前が!前が見えない!どうなっているんだ!」

 

「まともに見ちゃったのかー。そりゃご愁傷さま。」

 

そう言いながら班長の女が提督の手に手錠をかけた。

 

ガチャ!!

 

提督は自分の手に手錠を掛けられたことに気づいて必死に抗議する。

 

「な!何をする。私は提督だぞ!こんなことをしていいと思っているのか!」

 

女は提督を黙らせる言葉を言った。

 

「何か勘違いされてませんか?貴方は()提督だ。これ以上暴れんな。」

 

そして、女は無線で報告する。

 

「マジック。こちらセイバー01。当該鎮守府の提督を逮捕完了。任務終了。憲兵隊を要請する。」

 

『セイバー班各員。こちらマジック。ご苦労。鎮守府内の放送器具を使用してこの鎮守府は監査局監察課の暫定支配下に置かれたことを放送しろ。』

 

「了解。アウト」

 

女はそう言い無線を切り、執務室の壁にある放送機器の電源を入れマイクに話しかけ放送する。

 

『あーあー。コチラはSIATである。この鎮守府の提督を艦娘人権法違反により逮捕した。よって、現時刻を持ちこの鎮守府の職務停止。そして鎮守府は暫定的に監査局監察課によって支配する。我々は艦娘に対しては危害を加えない。なお、現在この鎮守府にいる警備兵に告ぐ。今から10分以内にグラウンドに武装解除して投降せよ。さもなければ()()もやむを得ない。以上。』

 

そう言い終わると、女は安堵混じりのため息をついた

他の隊員達は()提督を拘束していたり、書類などを押収する準備をしていた。

その中でハンニバルは執務卓の下に艦娘が隠れているのを見つけた。

 

「そこの君、もう大丈夫だよ。怪我はないかい?」

 

ハンニバルが声をかけた。

そこに居た艦娘(榛名)は大きな悲鳴をあげた。

 

「すいません!すいません!殴らないでください!!」

 

その悲鳴は執務室に響いた。

女はハンニバルに向かって怒鳴った。

 

「貴様何をした!」

 

ハンニバルはしどろもどろしながら話した。

 

「いえ!何もしておりません!」

 

そこにハンニバルを見ていた隊員が班長に進言する。

 

「班長!自分も副班長を見ていましたがただ話しかけただけであります!」

 

その証言から導いた結論は

 

(PTSD(心的外傷性ストレス障害)か……)

 

女は呟いた。

 

「こりゃ大変だな。ここの新任提督は。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに自分の同期が入るなんて思ってもみなかったことである。




感想、誤字などありましたら気軽にお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。