海軍監査局監察課の日々   作:きっか

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前回の更新から遅れたこと大変申し訳ないです。


第二話 食堂での対決

食堂での決戦

 

時計の針の進む音が幾度となくなり続け長針が三週ぐらいした。その時にはもう監査はほぼ終わりかけていた。

 

1900(ヒトキュウマルマル)

 

時間になった瞬間に憲兵詰所の扉は蹴り開けられた。

 

「「「!?!?!?」」」

 

監査をしていた間何も喋っておらず静寂な時間が続いていたためかその音に詰所にいた全員が心臓が止まるほど驚き声にならない声を出していた。

 

「ご飯のお呼びたしだよーーー!」

 

詰所の中にいた人達のことを何も思っていないのか提督の呑気な声に智樹が抗議の声をあげる。

 

 

「いきなり扉を開けないでくださいよ!!寿命が縮んだ気がしますよ!」

 

「あははー、ごめんごめん!でも、お腹空いたから呼びに来たよ!」

 

確かに時間は決めてなかったがお腹が空いたから誘いに来るとは自由奔放だなぁと思いつつ仕事机を見る。その上にはほぼ終わりかけの仕事しか残っていない。食事に行くタイミングとして出来すぎているぐらいである。

 

「今日の分の仕事も終わったから行きますか。」

 

「そうですね。行きましょう!」

 

瑞鳳も机の上の仕事の量を見て返答する。

 

「それでは、自分はこれで。」

 

「あれ?憲兵君は来ないの?」

 

「ええ、自分は今から夜間巡回に出るので。」

 

「そーかー。んじゃまた明日ね。」

 

「はい、お疲れ様でした。」

 

「憲兵さんも頑張りすぎないでくださいね?」

 

「ありがとうございます!」

憲兵は装備を身につけて詰所を出た。

 

 

「では、食堂にいざ行かん!」

 

「「おー!」」

 

提督達も詰所を出て食堂に向かった。

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

こんばんは。私はここの提督の秘書艦 大淀です。

今日の提督は朝からいつもより2倍ぐらいテンションが高いです。理由は……副課長さんが来たからです。

提督は来客があるとテンションが1.5倍なんですが今回は副課長さんなんで2倍です。

だから…

 

「さーておふたりさん!右手に見えますのが執務室でーす!次に左手に見えるのが船渠でーす!」

 

「いや、見たらわかるけど……」

 

「いいのいいの!雰囲気だけでも楽しもうよ!」

 

なんでバスガイドの服なんでしょう。なんで持ってるんでしょう。なんで旗まで持ってるんですか?何でうちの鎮守府の名前が入っているのですか?疑問が多すぎます!

 

私は後でしっかりと聞き出さねければ、と心に決めました。

 

~~~~~~

 

 

「そして間もなく食堂です!今しばらく歩いてださい〜!」

 

((ノリノリだ))

 

「着いたよー!」

 

そして提督は食堂の扉を開けた。

 

食堂の中では夕食時であったのか多くの艦娘が食事をしていた。

それを見て智樹がつぶやく。

 

「賑やかだねぇ」

 

「賑やかですねぇ」

 

「そりゃ一番人が多い時に来たもん。」

 

その光景を見て智樹が遠慮がちに言う。

 

「邪魔にならない?」

 

「ならないよ〜みんなフレンドリーだか…おわふっ!」

 

提督が吹っ飛んだ。なぜならある艦娘が吶喊してきたからだ。それは

 

「しれぇ!一緒にご飯食べましょ!」

 

雪風である。

 

「ゆ〜き〜か〜ぜ〜!いきなり飛びつかないでよ!ビックリするじゃない!!」

 

提督が怒る。しかし、雪風はそれに耳も傾けない。

 

「すいません!しれぇ、この人達は?」

 

「あぁ、この人達は長い名前の部署の副課長とほか1名だよ。」

 

「長い名前の部署の副課長の畑中です。」

 

「ほか1名の瑞鳳です。」

 

提督の後に2人が自己紹介をした。

 

「雪風です!よろしくお願いします!」

 

「んじゃ、食堂には日替わり定食しかないからね。トッピングもあるからご自分で!席とってくるよー!」

 

雪風の手を握りながら提督が席を取りに行った。

 

「ご飯取ってくるか。」

 

「ですね。」

 

 

智樹と瑞鳳は片手に一つづつお盆を持って提督のところに向かった。今日は金曜日である。つまり今日のメニューはカレーである。

 

 

席に着くと提督と雪風が今や遅しと待っていた。

 

「おー、今日はカレーだったか!」

 

「しれぇ、今日金曜日って忘れてたんですか?」

 

「うん、最近仕事が忙しくてさー」

 

そういう提督の目の下には薄ら隈ができていた。手にもインクがついているのを智樹と瑞鳳は気づいていた。

 

「そーなんですか!しれぇ、体に触りない程度で頑張ってください!」

 

「うむ!!」

 

その頃智樹と瑞鳳の間では戦争が起きていた。

 

「トンカツ下さいよ!」

 

「いやだ!等価交換だ!」

 

「だから、なすの素揚げあげますから!」

 

「なす嫌い!」

 

バチバチバチバチ

 

監察課の2人がメンチを切りあっている。

それ雪風あたふたとしながら見ていた。

その理由は少し時間は遡る。きっかけはトッピングの交換の交渉からだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

《あ、そのトンカツ美味しそうですね。一切れください。》

 

《ん、いいよ。何と交換する?》

 

《そうですね、私のトッピングのナスの素揚げなんで一つあげます。》

 

《えっ》

 

《えっ?ダメですか?》

 

《なす嫌いなんだよ……》

 

《その年で好き嫌いですか?食べなさい!》

 

《瑞鳳は僕のお母さんか!》

 

《な、何を言うんですか!!ていうか、トンカツください!》

 

《いやだ!》

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

今に至る。

 

智樹はナスが大っ嫌いなのだ。あの味と言うか食感が苦手なんだよ。(本人談)

そして、戦いの結果はトレードは成功し智樹は茄子を鼻をつまみながら丸のみした。

 

「でも、各鎮守府によってカレーの味は違うね。」

 

「そうですね。」

 

「そうなんですか?」

 

各軍艦によってカレーの作り方が違ったりするが、鎮守府でも同じくことが言える。

 

「えぇ、ここのは甘口で私は好きですよ。」

 

「瑞鳳はお子ちゃまだねぇ。」

 

「むっ!」

 

「ごめんごめん。」

 

智樹は辛口派。瑞鳳は甘口派である。

 

 

そこから談笑しつつ食べ終えて、

 

「「「「ごちそうさまでした!」」」」

 

 

 

食堂から出て提督が来客用の部屋に案内して

「明日帰るんだったんだよね?今日はゆっくり休んでいきなよ!」

と言ったのでお言葉に甘えてしっかりと休んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

0600(マルロクマルマル)

 

パパパパー パパパパー パラララッパ パッパパー

 

 

起床ラッパが鎮守府中に響き渡り各艦娘が起き、運動場に集合して点呼を受けている。それから提督が拡声器で今日の予定を言って解散した。

 

 

 

その頃の監察課の2人は

 

 

 

「「くかーーー」」

 

 

 

 

 

 

来客用の部屋でカーテンを閉めて惰眠を貪っていた。

 

 

 

 

 

 

そして0800(マルハチマルマル)

 

「「おはよーございます。」」

 

2人は同時に起きて食堂に出てきた。食堂には人もあまりおらず昨日とは打って変わって広々と使っていた。2人とも寝癖が付いたまま来ていてみっともなかった。そこに憲兵が朝御飯を用意していてくれていた。

 

「あ、おはようございます。朝御飯を食べながらでいいので今日の予定を聞いてくだい。」

 

「「ふぁい。(はい)」」

 

「えー、今日の仕事はありません。」

 

「「ふぁ!?」」

 

2人はその言葉を聞いて完全に目を覚ました。

 

「なんでなんで!」

 

「今日の分の書類は今回の監察内容に含まれてないと、先ほど本部から通達がありました。ですから、監査は昨日で終了ということです。なので、お迎えが来るまでおふたりは自由です。」

 

急に暇になった2人は顔を見合わせた。そして今日やることを大きな声で言った。

 

「「よし!釣りをしよう!」」

 

 

 

そのまま朝食をかけこみ憲兵に質問する。

 

「憲兵君!釣り道具ってここらに無いかい?」

 

「いえ、ないと思いますけど…」

 

いきなりの質問で狼狽える憲兵。その時、後ろから黒い影が忍び寄っていた。

 

「フッフッフー。あなた達が欲しているのはこれかなぁ?」

 

提督が釣り道具を持って現れた。

智樹はそれを見て瑞鳳と顔を見合わせながら同時に頷いた。

 

「「よしっ!釣りだァ!!」」

 

「私も一緒に行くよー!」

 

「いいですよー!どっちが多く釣れるか勝負です!」

 

「その勝負受けて立つ!!」

 

そのまま3人は食器を丁寧に返却口に返して食堂から出ていった。

憲兵はそれをただ呆然と眺めていた。そこに秘書艦である大淀が勢いよく食堂の中に走って入ってきて憲兵に質問した。

 

「憲兵!あのサボり魔(提督)ここに来ましたか!?」

 

「えぇ。でも、またさっき監察課の方々と釣りに行きましたよ…」

 

「Damn it!!!ともかく情報ありがとうございます!」

 

秘書艦の人もあんな言葉使うんだ…と思いながら憲兵は自分の業務に戻った。

 

 

 

そして、サボり魔&監察課の2人は釣りを(なお1人は離脱)迎えが来るまでしていたが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼうずであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えが来た。

提督が大きく手を振っている。

 

「またきてねーー!」

 

雪風も一緒に来ていて大きく手を振りながら

 

「楽しみにしてまーす!」

 

と、大きな声で言っていた。

その傍らに憲兵が苦笑いをしながらたっていたり。憲兵は今回が初めての監査を体験したがとても良い経験をしていたと思った。しかし、提督と雪風を見てこう思った。

 

 

 

(監査でまた来てねっていいのか?)

 

 

 

 

 

 

当たり前の反応である。




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