訓練と情報の大切さ
薄暗い地下。そこのにある部屋のドアの隣にもたれかかっている男がいた。畑中智樹大尉である。しかし、いつもの監察課の制服ではなく
太ももにはレッグホルスターが付いておりその中にはSIGP226が入っている。ヘルメットを被っておりヘルメットの後ろにはコールサインであるSavior00の略称である『S-0』というワッペンが貼ってある。
智樹は息を吐くとタクティカルベストのポーチの中から
中には武装した男が3人、民間人が1人いた。智樹はその武装した男と民間人を一瞬で判断し武装した男だけをなぞるように銃を動かし
民間人だけになると智樹は目の前にあった階段を登る。登り終えるその瞬間に目の前に敵が現れる。それを冷静にナイフで首の喉笛付近を切り裂き無力化する。
2階に上がるとそこにも敵の男達がいた。敵は総勢2人。1人はこちらに拳銃を構えていた。もう片方は人質の頭に拳銃を突きつけていた。智樹はこちらに拳銃を突きつけていた敵に2連射して倒す。もう1人の方には一瞬息を止めて狙い頭に弾丸を叩き込む。それと同時に弾切れとなる。マガジンリリースボタンを人差し指で押してマガジンを落とす。左手でベストのマガジンホルダーの中から新しいマガジンを取り出し
約3mの所から飛び降りると同時に敵が出てくる。こちらに銃を向けてくる敵が3人、右から左に動く敵が1人といった具合だ。着地と同時にレッグホルスターからプライマリのSIG P226を取り出し発砲。こちらも敵をなぞるように銃の先を動かし
「29秒329!また新記録&自己ベスト更新です!さすがです!」
備え付けのスピーカーからそのような興奮した声が聞こえる。その声を右から左に聞き流しつつ呼吸を整えながら銃に
「なんで褒めたのに返事してくれないんですか!?」
「いやー、褒めてくれたのは嬉しいんだけどねぇ。なーんか物足りないのさ。」
智樹はそう言いながらベストを脱いで各マガジンから弾を取り出す。
夕張は近くにあった椅子に座ってぐるぐる回りながら質問する。
「物足りないって何がですか?」
「なんか、こう、ね?」
「いや!わかんないですよそんなのじゃ!」
「いやー瑞鳳なら分かってくれそうなんだけど」
夫婦かっ、というツッコミをすんでのところで押しとどめた夕張は話題を変える。
「今日は一緒じゃないんですね。瑞鳳ちゃん。」
「うん。瑞鳳には先に情報課に行ってもらってる。」
「あれ?今日は何かあるんですか?」
「次の監査が新任提督件だからさ、そこの鎮守府の今の状況が知りたいのさ。」
智樹はそう言って銃をガンロッカーに入れてベストもハンガーにかけてロックをかける。
戦闘服のチャックを下ろして着替えようとしたが夕張がいるのを思い出す。
「夕張さーん、着替えるからちょっとでていってくれるって何持ってんのそれ?」
智樹はその黒と白のツートンカラー《一眼レフ》のものを見て言う。
夕張はそんなことも気にせず手入れをしていた。
「ここで副課長の生着替えを写真に撮ったら金になるぞぉ…ムフフフフ。」
「夕張さぁ、最近尋問課の奴らが訓練相手が欲しいって言ってたんだけど君を推薦しようかなぁ。」
夕張の顔が青ざめていく。
「夕張、全力で退室します!」
「うむ、よろしい。」
そう言うと夕張は逃げるように出ていった。ちなみに尋問課は先の提督が手が離せないようでそんなことは言われてない。
智樹はいつもの監査局の制服に着替え終わりロッカールームから出た。そのまま右に歩きエレベーターのスイッチを押してエレベーターが来るのを待つ。
チン、と音が鳴り扉が開く。智樹はエレベーターの中に入り情報課があるフロアの階を押して扉が閉まる。
しばらくして情報課がある3階に到着した。智樹はエレベーターから出て目の前にあるセキュリティドアにIDパスをかざし網膜スキャンナーに目を当てる。電子音とロックの外れる音が鳴りドアを開ける。その中には大量のサーバー群がずらりと並んでおり、その奥にある情報調査課と書かれたプレートがついている扉を開ける。開けるとそこには大量のエナジードリンクの缶が転がっていた。智樹はそれを丁寧に何本あるか数えてから目の前にいる血走った目でキーボードを叩く人間らしきものに話しかける。
「12本あるってことは三徹ぐらいかな?」
しかしその人間らしきものからの声は聞こえない。答える声は智樹の後ろから聞こえた。
「まだ二徹ですよ。この子達はもう完全なるカフェイン中毒者ですよ。」
声の主は大淀だった。大淀はこの情報調査課のまとめ役、つまり課長である。その後ろには瑞鳳が大淀にぴったりとくっついていた。
「ちょっと待ってこの子達1日に何本飲んでの。」
「1日に6本ですよ。艦娘だから出来ることですね。」
智樹の驚きながらの質問に対して大淀は飄々と答える。大淀はそのまま続ける。
「しっかし、今の舞鶴はやばいですよ。前任者は相当なクソッタレだったみたいですね。これ艦娘じゃなかったらMPじゃなくて
「まあ、NCISは人間による海軍軍人の事件犯罪捜査だからね。その辺は
「100%です。頑張って来てください副課長。」
「うへぇーやだー痛いのやだ。」
「大丈夫ですよ今回は課長命令で勝野大尉が追随するそうです。」
「やったね勝ち確じゃん!」
「大尉が勝ち確なだけであって副課長はボコボコにされるんじゃないですかね…」
などと、大淀と智樹が話している近くで、このやり取りを聞いていた瑞鳳がふんすっと気合を入れていた。
そこに今まで黙っていたカフェイン中毒の片割れの1人初雪が瑞鳳に向かって話しかけた。
「瑞鳳、今回の監査を使って吊り橋効果を狙うのだ。」
「ふぇ?吊り橋効果?」
初雪がこいこいとPCに近くに呼ぶ。トコトコとPCの近くにいくと、そこにもう1人のカフェイン中毒の漣が瑞鳳の耳元で囁く。
「危ない所で瑞鳳が副課長を助けたら、副課長は瑞鳳に惚れるって寸法よ。」
「な、なるほど!頑張るよ!」
「「頑張ってきな!」」
そのような作戦が計画されているなど露も知らず大淀と智樹は舞鶴への移動方法について相談していた。
「ちょうど新しいMPを輸送する
「新しいMPって言うのがなんかやだねえ。」
「しょうがないじゃないですか。それに憲兵隊から"人材は無限にあるわけではない"って嫌味が来てんですよ。なんなら副課長に対応してもらってもいいんですよ?」
「ご容赦いただきたい。そういえば新任提督はどこで合流かな、てか一緒にハークに乗るの?」
「あ、その点は大丈夫です。上空でランデブーです。」
智樹は上空でランデブーという言葉を聞いて一瞬頭がフリーズした。
「上空でランデブー?何あいつは羽でも生やしたのか?レッ○ブルでも飲んでんのか?」
そこに瑞鳳が智樹に話しかける。
「副課長は辞令読んでましたよね?」
「うん。でももう忘れた。」
「忘れないでくださいよ。今回の新任提督はそのまま航空隊を編成しそれを指揮せよって書いてあったじゃないですか。」
それを言い終わったあとに大淀が補足する。
「
「そういう事ね。了解した。今日はありがとう大淀と廃人達。また差し入れ持ってくるよ。」
「じゃーねー初雪、漣!私頑張って来る!」
智樹と瑞鳳は手を振りそう言い残して部屋から出ていった。
大淀は2人が出て扉がロックされてから2人の廃人に話しかける。
「なあ、瑞鳳の頑張るってなんだ?」
2人は声を揃えて言う。
「「恋と言う名の個人任務です。」」
補足説明。NCISは監査局ができる前からある組織で艦娘が誕生してまもない頃は艦娘の事件にも対応していたがカバーしきれず現在は監査局が艦娘対応で人間の事件がNCISとなっている。
NISは海軍監査局の略
ほんとに遅れたことお詫び申し上げます。こんな感じですが引き続き読んでやってください。
誤字、感想いつでもどうぞ。