半神半人の兄弟が視た通り、イシュタルが暴れてから明々後日後にそれらは天より舞い降りた。
黄金の骨格を持ち、雲塊がそれを覆って肉と成し、その2頭の巨体はウルク全体を陰らせるほどに巨大だった。
天の牡牛、又は天の双牛、或は、グガランナ。
今、女神の怒りを示さんと大地へ解き放たれた。
彼の聖牛達は、そこにあるだけで地上の全てに影響を及ぼす。破壊と言う事象で以て。
地上に立つあらゆるものを薙ぎ払わんと吹きすさぶ暴風雨が。
山土を溶かし、森を貪り、全てを飲み込まんとする大洪水が。
大地を焼き尽くして干からびさせ、奈落の底へ誘う地割れを生み出す日照りの光が。
そしてグガランナ達自身の巨体と獰猛さから繰り出される物理的な圧倒的な破壊力が。
神々が普段振るう権能を遥かに上回る超常の威力が、世界をひっくり返して台無しにしてしまえる破壊の力がウルク全てに向かって放たれた。
だが。
「
グガランナ達の起こしたあらゆる破壊がウルクへ手を伸ばすその前に、全てが跳ね返された。
近づくその手前で、強固な壁にでも阻まれてしまったかのようにはじき返されてしまうのだ。
その事実にグガランナ達は更に猛る。思い通りに破壊されなかった不満と苛立ちが怒りの炉に火をくべた。
グガランナ達はその巨体で執拗にウルクへ体当たりを仕掛けてくる。
天地を破壊する超常の気象現象を繰り出すたびに、巨体がぶつかるたびに、そのたびにウルクの手前でグガランナ達を阻む存在が僅かに顕わになる。
水晶の壁だ。限りなく透明に近い水晶で構築されたそれが、ウルクの都市全域を覆い尽くしているのだ。
外見の印象とはかけ離れた頑強さで以て、水晶の障壁がグガランナの繰り出す威力をウルクへ及ぼす事を許さなかった。
「双子の聖牛達よ、お前達の破壊をウルクへ持ち込む事は
ウルクの城壁に点在する見張り台の内、12か所の
ギビル本体と分身の計12人をウルクの城壁へ均等に配置させて展開する水晶の護り。ギビルが編み出した12種類の戦法の一つ“白羊”に部類される技による大結界である。
(……この程度ならば
千里眼による万象への観測と演算によってこの障壁の性能は把握したつもりではあるが、大規模な実戦で使用したのは今回が初めてであった。
念には念を入れて自身が展開できる最大人数の12人で同時展開させてウルクの守りを固めてみたが、2体の聖牛の力を全てはじき返している。
今の分身は昔と違い本体と遜色のない力を発揮させる事が出来る。故の判断でもあった。
「私はこのまま王と共にグガランナどもの討伐に向かう。他の分身達で障壁を維持させているが、万が一という事もある。都市内の守りはお前達に任せるぞ」
「……は、はっ! 承知致しました! ご武運を!」
ギビルの護衛や伝達係として近くで待機していたウルクの兵士達はギビルの繰り出した超常の技を初めて目の当たりにして呆気にとられていたが、ギビルの出撃に対して声を張り上げて見送った。
ウルク国内はギビルが展開している障壁とは別に災害の防備を行わせ、民達の避難を済ませている。
ギビルが小宇宙をウルクの民達にはっきりと見せたのは、事実これが初めてだった。
もし今回の災害が純然たる気象現象によるものならば、ギビルもギルガメッシュも己の知恵と民達を動員させる事で解決させるだけに留めていた。
人間同士の争いならば。ギビルは此処まで手を貸す事などしなかった。
ギビルもギルガメッシュも人類が自らの手で成長し、発展する事を見守る姿勢でいるのだ。全てに対して手を貸してしまえば、人間達は自分達の力で歩む事を辞めてしまい、やがて此方に依存して生きて行く方法を手に取る。
それでは神々とやっている事が同じだ。折角見つけた人間の成長する素晴らしさを、自らの手で摘み取ってしまう事など出来ない。彼らには、少しずつでもいいから自分達の力で歩いて行って欲しいのだ。
だが、今回は話が別だ。人間達に解決を委ねるにはあまりに重過ぎ、そして看過できない事態である。
今回神の癇癪によって繰り出された最強の神獣達は、見過ごしてしまえばウルクの全てを破壊しつくす。
であるのならば話は別で、この様な未曽有の事態にウルクが陥った場合はギビルも小宇宙を使う事を躊躇いはしなかった。
ウルクの外では天の双牛達による異常気象で、天地全ての理が破壊と言う方向に特化してウルクを覆う障壁を突き破らんと荒れ狂っている。
目まぐるしく変わり続ける破壊現象は、一歩でもウルクの外へ足をふみ出した者をいとも容易く死に至らしめるだろう。
ギビルはその死の領域へ躊躇う事無く飛び込んだ。
天の双牛達は一向にウルクを破壊できない事にますます怒りを募らせ、本来主から命じられていた内容を逸脱し、次第にその破壊を周りの環境に向けてまき散らし始めた。
大地はめくり上げられ、森が大洪水でなぎ倒されていく。
このままいけば天の双牛達の所業はウルクを越え、世界全体をも飲み込んでいくだろう。
だが、それ以上の無法を許さない者がいる。
「――
突然、それまで以上の破壊力を秘めた渦が、天の双牛の片割れを横から飲み込んだ。
聖牛の巨体が血の色にも似た真紅のエネルギーを伴った渦に体が舞い上げられ、そこにある次元ごと体が捩じり上げられ、果てには切り裂かれていく。
ひとしきりの暴風が過ぎ去ると、巻き上げられていた聖牛が地に落ちる。
雲塊は
「ほお、流石はあの
聖牛は、声のする方角へと頭を動かし、己をこの様にした輩を視認する。
黄金の御座を空に浮かべ、その上で見下すは黄金の王。連れ立った泥の人形は此方を油断なく睨みつけている。
この聖牛の知った事ではないが、この二人、特に大胆不敵に構える黄金の王こそが主が最も怒りを差し向けている相手、ギルガメッシュその人であった。
腰下と両腕にのみ黄金の具足を身に着け、その片手には三本の赤色の模様が刻まれた柱を連ねた剣とも槍とも区別のつかない武器を携えていた。
それは遥か昔よりウルクの宝物庫に安置され、生まれてから一度たりとも担い手を持たず、名を与えられなかった神造兵器。
それが此度ギルガメッシュを己の担い手として認め、乖離剣エアと言う名を与えられた。そして今、神獣を討つためにその力を解放する。
白色の貫頭衣を暴風にたなびかせながら、泥の人形エルキドゥが眼下に広がる破壊された世界を見て悲しんだ。
「酷いな……森も山も滅茶苦茶だ。いくら何でもやり過ぎだよ。神々は何を考えているんだ」
「何も考えておらんのだろうよ。でなければこいつらを2頭も揃って差し向けんだろうさ。最悪、この世の全てをこいつらに真っ平らにさせてから作り直す魂胆かも知れんぞ」
思い当る一柱の神が脳裏を過ぎり、ギルガメッシュはくだらんと吐き捨てるかのように鼻を鳴らした。
「天の双牛を
確かにこの神獣の力は強大だ。以前討ち取ったフワワに勝るとも劣るまい。
だが、今のギルガメッシュからしてみれば“その程度”に過ぎない。圧倒的な絶望と評するには、既に天の双牛程度では足りないのだ。
これがもし、己が兄との楽しくも熾烈な
もっとも、その
ただあるのは、眼前の狼藉者を朋友と共に討ち果たす。それが今のギルガメッシュの真実なのだ。
「それに、あの兄上も此度の所業は腹に据えかねていると見える」
隣に立つエルキドゥが何とか聞こえる程度の音量でぽつりとギルガメッシュが呟いたその直後、もう一頭の聖牛が嵐を押し返す程の膨大な黄金の光の濁流に飲み込まれ、遥か空の彼方へ吹っ飛んでいった。
まるで木の葉が風で巻き上げられるかの如き容易さで空の彼方へ上った聖牛の片割れは、今度は頭からまっさかさまに落下して近くの山に墜落、叩きつけられた山を粉砕し盛大に土飛沫をまき散らした。
「……まあ良い、俺は王の務めを果たすだけだ」
片割れの聖牛の有様には目もくれず、ギルガメッシュは己が叩き伏せたもう片方の聖牛を見やった。
乖離剣の一撃が余程堪えたらしい。全身の骨格を軋ませ、雲塊を再度展開しながらようやく機能不全から立ち直ったグガランナが立ち上がり、ギルガメッシュ目がけて雄叫びを上げた。
大気が震え、大地を揺り動かす聖牛の雄叫びにギルガメッシュは臆することなく不敵な眼差しで睨み返した。
「グガランナよ、貴様が我がウルクに土足で踏み入ろうとしたその報いは、この我が直々に払わせてやる」
手に持つ乖離剣が、持ち主の意思に呼応するかの如く三つの円筒の回転を加速させると、聖牛達が放つ異常気象を掻き消す程の大気のうねりを生み出した。
「
エルキドゥも戦闘態勢に入り、全身の形状を変え、夥しい量の武具をその肉体より生成する。神の手で作られたその体は、ありとあらゆる形に姿を変える神造兵器。その力は神の為でなく、友の為に起動する。
今ここに、後世で語られるギルガメッシュ叙事詩に記される最後の神獣殺しが始まった。
嵐による暴風雨とそれに飛ばされる岩を身に纏う小宇宙がはじき返し、大洪水で一面全ての大地を覆う激流の上を、さも足場があるかの如くギビルはその場に立っていた。普段身に着けている王族の衣の上から白地に蒼の刺繍が施された外套を羽織り、黄金の長髪と共に暴風に任せたままなびかせている。
己の小宇宙によって吹き飛ばしたグガランナが堕ちた一帯を、瞼の閉じられた双眼で見据える。体の半分近くがひしゃげて吹っ飛んているが、徐々に肉体が元の状態に戻りはじめ、聖牛の戦闘意欲も衰える事が無い。この程度で退くような存在ならば、天界一の暴れ者などと大層な肩書をつけられはしまい。
「
ギビルの立つ足元が黄金色の小宇宙に染め上げられ、一気に周囲一帯を侵食していく。
その直後、黄金に染まる地面から夥しい量の黄金の鎖が聖牛目がけて飛び出した。
黄金の鎖が聖牛の巨体全体に巻き付きはじめると、拘束から逃れようと聖牛が暴れ出す。
しかし、聖牛がいくら暴れても鎖は千切れ無い。それどころか暴れるたびに鎖は太く巨大になり、束縛したその体をより強く締めあげて行き、次第に聖牛の黄金の骨格に食い込み、亀裂を生み出し徐々に破壊していく。
ギビルは己の身に宿る力、小宇宙から大別して12種類の系統を編み出した。
防御と修復に特化した「白羊」
小宇宙を広範囲の破壊と言う指向に特化させた「金牛」
時空間制御の「双児」
ありとあらゆる霊魂を意のままに操る「巨蟹」
12種中最速にして一点突破の破壊に長けた「獅子」
精神を司る「処女」
小宇宙で構築された物質の具現化「天秤」
あらゆる毒の性質に変化させた小宇宙を相手に見舞う「天蝎」
如何なる距離や場所、因果であろうと狙った対象に必ず直撃させて撃ち砕く「人馬」
この世のあらゆる法則をも凍り付かせる「宝瓶」
可憐な美しさと、対象を無残に喰い散らかす残忍性が同居する「双魚」
そして……。
ギビルは
同時に全身から小宇宙が迸り、大上段に構えた右腕からはより強く黄金の輝きが天を貫かんと空へと伸びる。
腕から迸る光の輝きは次第にギビル自身をも巻き込み、発動した者を中心に周囲一帯にまで及んだその光景は、もはや巨大な光の柱である。
聖牛はその光を認識しながら、此処でついに今まで雄叫びを上げていた声が悲鳴に変わりだした。
聖牛は、グガランナは、あの光が己を亡ぼして余りある力を秘めているのだと、本能が断定したのだ。
逃げなければ、と山よりも巨大な体が暴れても、己を束縛する黄金の鎖はさらに強く締め付け、体を潰していくばかり。
最早逃げる手立ては失われていた。
「断滅せよ……
何ものをも切り裂き、消滅させる「麿羯」。
かつて地球に降りた遊星の巨神セファールを滅ぼした剣を参考にして編み出した黄金の一振り。
臨界にまで達した輝きをギビルは渾身の力で抜刀した。
相手は眼前で光の鎖に拘束されている聖牛。
放たれた斬撃が光と共に天から落ちてくる。さながら星から下された罰であるかの様に。
今まで地上を蹂躙していた神獣に対する絶望が振り下ろされる。
天空の彼方から振り下ろされた極光の剣は、聖牛の肉体を頭から足元の地面ごと真っ二つに両断。そのまま斬撃の余波に飲み込まれ、身に纏っていた雲塊と黄金の骨格は崩壊をはじめ、地平線の向こう側を、星を超えて伸びた光と共に消滅した。
残心の態勢を解いたギビルは消滅した聖牛を確認するとギルガメッシュ達が向かった方角を見た。
彼方も既に決着がついており、ばらばらになった聖牛の骨格が辺りに広がっていた。その黄金の骨格をエルキドゥと二人で財を駆使しながら一つにまとめる作業の真っ最中だった。戦利品としてウルクに持ち帰るつもりだ。
あの乖離剣――ギルガメッシュがウルクの宝物庫の最奥に封印されていた武器を十全に発揮して今のギルガメッシュが操れば、エルキドゥと一緒という事もあって致命的に苦戦するという事は無かった。
天の双牛達によって空を覆っていた暗雲が晴れ、地を嬲り者にしていた大洪水が止んだ。
神の手によって放たれた神獣の死と言う結果で以てこの大災害は幕を閉じ事となる。
ウルクの周囲の自然は破壊されてしまったが、世界中に満ち溢れている神秘の力が自然の回復を促してくれるため、そう時間を要する事は無い。
此度の討伐劇はウルクの一部の者達も今回のギルガメッシュ達の活躍を城壁越しに目にしていたので、凱旋の際は民達から大いに祝福と喝采をその身に受ける事になるだろう。
全ては一件落着、と言うにはまだ早い。
ギビルにはまだやるべき事が残っていた。
「……やはりこうなるか」
ギビルはギルガメッシュ達、正確にはエルキドゥに異常が起きた事を察知して向かった。
濁流でぬかるんだ大地を物ともせず、その身を黄金の小宇宙で纏わせたギビルは二人の元へと文字通り光の速さで跳んでいく。
すぐさま辿り着いた先には、倒れ伏したエルキドゥを支えているギルガメッシュがいた。
エルキドゥは体に力が入らず腕をだらりと垂らし、美しい顔立ちもまるで死相が浮かんでいるかのように土気色だった。
それを抱きかかえながら見下ろすギルガメッシュの表情は見えないが、その体は身の内から溢れる感情によって震えている。
聖牛との戦いで負った傷が原因ではない。これは、その後から起きたものだ。
エルキドゥの有様に余程動揺していたギルガメッシュは、ギビルが現れた事に気付くのに一拍遅れた。
力なくよろよろと顔を上げてきたギルガメッシュの顔の何と力弱い事か。
ギルガメッシュがこの様な顔をした所を生まれてこの方見た事が無かった。
弟が初めて誰かに縋ろうとしている眼をギビルに向けている。初めて見る眼だった。
それはギルガメッシュの千里眼が、この事態への解決策を見出せていない証拠でもあった。
ギビルは、己が眼で視たギルガメッシュの辿る可能性を思い出す。
幾つも別れていた最後の分岐点は、此処だ。
ギルガメッシュの眼差しへ無言で頷き返すと、エルキドゥの側へ近づいて屈んだ。
「ギ…ギビ……」
「無理に喋るな、少しだけ我慢しろ。――
虫の息のエルキドゥの言葉を遮ると、ギビルがエルキドゥの胸に手を添えて小宇宙を発動させた。
小宇宙の光がエルキドゥの肉体へ送り込まれ、隅々まで行き渡ると徐々にエルキドゥの血色が元に戻り始めてきた。
ところが、ギビルは小宇宙の放出を止めた。
急に治療を止めたギビルへギルガメッシュが問い詰めだす。
「兄上、何故止めた!?」
「……これでは死を先延ばしにしているだけだ。根治には至らない」
小宇宙を流し込む事で生命力の活性化を促したが、エルキドゥの肉体を蝕むものを完全に取り除くには小宇宙だけでは限界があった。それ程までにエルキドゥへ“送られ続けている”ものは強力だった。
「そんな馬鹿な……なぁ、兄上は識っているのだろう? 視えている筈だ……何か、何か方法は無いのか!?」
「落ち着けギルガメッシュ、冷静になるんだ」
「何だと!? エルキドゥが死にかけて――!?」
今までになく狼狽したギルガメッシュの頭をギビルが腕で引き寄せ、顔を近付けて耳元へぼそりと話しかける。
「落ち着けと言っているのだ。安心しろ、助ける手立てはある」
今エルキドゥの体を死に至らしめようとしているものは、呪いだ。それも死に直結する程に強力で、並大抵の物では無い。それが永続的にある場所から送り込まれており、いくらギビルが小宇宙で全て除去したとしても、元を断たねばエルキドゥが死ぬまで呪いが送り続けられていくので意味が無いのだ。
その呪いの出所もギビルは既に把握している。
ギビルの言葉で落ち着きを取り戻したギルガメッシュ。彼の腕の中で息を吹き返したエルキドゥが、未だ弱々しくもはっきりと声で喋った。
「……君は、僕の事になると感情的になり過ぎる。僕は兵器だ・・・・・・道具に過ぎないんだよ?」
遠まわしに、自分を見捨てる事も考えろとエルキドゥは言っている。それに声を荒げたのはギルガメッシュだった。
「馬鹿を言うな! 友が死にそうになって心配しない奴がいるものか!」
精神的に余裕があまり無い今のギルガメッシュだからこそ吐き出せた本音の言葉だった。
エルキドゥは驚いたように眼を見開かせると、困ったように苦笑した。
ギルガメッシュにとって、エルキドゥという存在は特別だ。神々によって生み出された兵器であると言う意味以上の価値がある。それが友情と言うものだった。
二人が落ち着いた様子を見計らってギビルが口を開いた。
「エルキドゥ、体の具合はどうだ?」
「少し怠いけど、さっきよりは大分ましになったよ」
言うなり、ギルガメッシュの腕から離れて立ち上がって見せたが、本調子でないのは明らかだった。
動きは精彩を欠き、顔色や表情にも肉体の消耗度合いが如実に現れていた。
「……神々の仕業か」
冷静さを取り戻した事で本来持ち合わせていた高い洞察力が、ギルガメッシュにこの事態を引き起こしている元凶へと辿り着かせた。
神の名を口にしたギルガメッシュは、今にも激昂しそうな感情を無理やり抑えつつ忌々しげに
ギルガメッシュが口にした通り、エルキドゥを衰弱させた呪いを送っているのは天界にいる神々である。
天の双牛を打ち倒したギビル達に怒り、自分達の体面を保つためと警告を兼ねてエルキドゥに呪いを送り込んだのだ。
このまま抗い続ければ、神々がウルクに対する圧力は熾烈さを増すのは確実だ。かと言って大人しく従順すると言う選択肢をギビルもギルガメッシュも既に持ち合わせてはいなかった。
「ギルガメッシュよ、私はこれから少し出かけてくる。ウルクの事は任せたぞ」
ギビルの言葉にギルガメッシュは何かを察した。
「兄上」
何かを言う前に、ギビルが言葉を遮った。
「言うな、この役目は私の方が適任だ。お前も分かっているだろう」
不本意だと苦い顔で口を
「そんな顔をするなギルガメッシュ、いずれはやろうと思っていた事だ。その時が来たにすぎん」
だが、こればかりはギビルも譲るつもりは無い。
かつて未来を視たあの時から、自身に課した誓いを果たすために。
「
二人から離れたギビルは、小宇宙を発動して目の前の空間が罅割れ、裂け目が生まれると迷わずその中へと足を踏み込んだ。
「私も生きて時代の変革に立ち会いたいからな。必ず戻って来る」
空間の裂け目が閉じはじめる前にギビルが振り返り、ギルガメッシュ達に一時の別れを告げた。
実は乖離剣って対遊星巨神用の防衛兵器かも? なんて妄想しながら書いてました。
造ったにはいいけど持ち手を選び過ぎて誰も使えなかった所をギルガメッシュが持つに至った、とか。
黄道12星座、もとい、黄金聖闘士の技はかなりざっくりとした印象から考えました。
一番悩んだのは天秤座でしたよ老師(?)。廬山○○とか明らかにウルクじゃないし、天秤のての字も無いじゃんよとのた打ち回った結果、冥王神話外伝の人を参考にしました。