魔法科高校の魔術使い   作:快晴

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気がついたらとんでもなく話が長くなっていたので一旦投稿しときます。

今年もちょくちょく投稿はしようと思いますので暇つぶしに是非。

あとエミヤ作品書いてくれる人出てきてくれてええんやで。


第22話

「海か?」

『海だ』

 

夏休みも後半に差しかかる頃、店の営業と言峰たちの情報収集を終えて、寺の自室で一息着いていた士郎の元に達也からの連絡があった。

 

詳しい内容としては来週の金曜日から日曜日にかけて、雫の家が保有しているプライベートビーチに遊びに行かないかというお誘いだ。

 

メンバーは男性側が達也、レオ、幹比古。

女性側に深雪、雫、ほのか、美月、エリカといったメンツ。士郎にとっては馴染みのある顔ぶれと言えた。

 

「ありがたい申し出だが今回は断らせてもらう」

『…そうか』

 

現在の士郎は多忙だ。

朝は仕込みと夜できなくなった分の自己鍛錬、昼は店の営業、夜は言峰たちの情報収集。

 

夏休みが終わり、学校が始まってしまえば今最も力を入れたい情報収集の時間はさらに減ってしまう。そのため自由に使える時間の確保がしやすい今のうちに集められるだけの情報を集めたかった。

 

(………)

 

ただそれ以上に、九校戦で起きた一幕。

 

一般魔法師より遥かに実践慣れした達也が、魔術の特異性によって心臓を潰されたこと。その事実が士郎の背中を急かすように押していた。

 

『何か進展はあったか?』

「残念だがない。同じ系統の小さなものをいくつか探したがまったくだな」

 

同じ系統の小さなものとは無頭竜のような国際犯罪のシンジゲートのこと。現在使用しているのがただの電話ということで士郎はかなりぼかして何も進展がないことを伝えた。

 

「気長に探してみる。そう言えればいいんだがな」

『目星も着いてないのか?』

「一つある。休み明け最初のイベントだ」

『……となると横浜か。相談は?』

「既にしてある。向こうでも色々と探してくれているそうだ」

『わかった。できることがあれば言ってくれ。俺も微力だが力になる』

「それは心強い。君の力を借りれるとなれば百人力だ。さて、もう夜も遅い。休み中とはいえお互い学生の身だ。話はここまでにしよう』

『ああ。そうだな』

 

達也の返答を聞き電話を切る。

時計はすでに深夜と言っていい時間を指し示している。明日の朝の仕込みを頭で整理しながら士郎は自室の電気を消した。

 

 

 

 

翌朝のコペンハーゲン。

 

「士郎さん。海」

 

開店してまだ間も無く、カウンター席に美しい花たちが連なって咲いて……いや押しかけていた。

 

花というのは言わずもがな、昨晩達也から聞いていた海に行く女性メンバーだ。

 

「ああ、その、その件に関しては達也に行けないことを伝えたはずなのだが…」

 

店に入って来て早々、注文を聞く間も無くカウンター席の前に来て、昨日断ったはずの誘いをさらに押してきた雫に流石の士郎も動揺を隠せなかった。

 

「雫、落ち着いて!士郎さんがすごく困惑してるから!」

「士郎さん、とりあえず紅茶をアイスで人数分お願いします」

 

なぜかやや興奮気味の雫をほのかが嗜める横で、落ち着いて話をするためにも苦笑いを浮かべた深雪が注文を伝えた。

 

「わかった。とりあえず座ってくれ」

 

未だ状況を掴めきれてない士郎であったが、ひとまず深雪達を席に着かせ、オーダーに集中することで頭を切り替えることにした。

 

そしてしばらく、人数分の注文をそれぞれに差し出した士郎は改めて話を聞き始めた。

 

「それでは改めて話を聞こうか」

「ん。士郎さん。海に行こう」

 

紅茶の準備をしている間に落ち着きを取り戻した雫が士郎の質問に答えた。

 

「海…というのは、雫の家が保有しているプライベートビーチのことで間違いないか?」

 

こくりと頷く雫。

 

「そうか…。申し出は有難いが、その話は昨日、達也に行けないと伝えたはずだが。もしや達也に何かあって話しを聞いていないのか?」

 

深雪がこうして店に来ている以上、何かあったという可能性はないだろうが一応確認する。

 

「いえ、お兄様は今日もお元気ですし、私から雫に話を伝えてあります」

「なるほど。それでもわざわざ足を運んで私を誘いに来てくれたと。何か理由があるようだな」

 

いったいどんな理由があるのか。

自分が必要な理由などあまりないはずだがと、士郎なりに可能性を考えていると、雫ではなくエリカが質問に答えた。

 

「え〜、士郎くん、もしかして雫との約束忘れちゃったの?」

 

(約束?遊びに行く約束などした覚えはないが?)

 

直近の記憶を掘り返すがそもそも雫と対面で話した記憶がない。

 

(いや待て。そもそも約束の内容が遊びとは限らん)

 

そして、ここでようやく答えに至る。あれかと。

 

「九校戦の時の約束か…」

 

九校戦が終わった後のパーティで、士郎は見れなかった雫の試合の話を聞かせてもらう約束をした。そして、その約束をした時に雫はこう言っていた。「都合がいい時にまた連絡する」と。

そう。士郎の口からではなく雫の口から。

 

もともとお詫びのつもりの約束だったので、雫の都合のいい日に合わせる予定ではいたが、まさかこんな形になるとは思ってもいなかった。

 

「そうそう。遊ぶついでにってね。雫に聞いたらまだ話してないって言ってたから」

 

遊びが追加されたのはコレの入れ知恵か。と内心で毒づきながら、そういえばあの時エリカは士郎と雫のやりとりを見ていたことを思い出した。

 

(このタイミングを逃すと次はおそらく休み明けか…)

 

そうなることはできれば避けたい。

となると、士郎の答えは自ずと導き出された。

 

「……わかった。行こう」

 

士郎の返答にパッと表情が明るくなる雫。

そしてそれを我がことのように喜ぶほのか。

 

だが一方で、達也から士郎が現在いろいろと忙しいことを聞いていた深雪は士郎を心配した。

 

「よろしいのですか?」

「ああ。もともと先延ばしになっていた約束だし、雫のさっきの様子からして話す準備も万端といったところなのだろう。しっかり聞かせてもらうさ。ところで、君たちはなぜ揃って店まで来たんだ?」

 

この後、色々と悩みの種になってしまったこの店を、やっていて良かったと心底士郎は思う。

 

「それはもちろん、海へ行くんだから買い物よ。士郎くんも来る?」

 

エリカの誘いは当然断った。

 

何はともあれ、衛宮士郎、海への参加決定。

 

 

 

 

白い砂、青い海、眩しい太陽。

あれよあれよと日付は進み、士郎はビーチにいた。

 

「2人とも〜、泳がないの〜?」

「冷たくて気持ちいいですよ〜」

 

エリカが、深雪が、波打ち際から呼びかける声に、達也と士郎の二人はパラソルの日陰から曖昧な笑顔で手を振る。

 

波打ち際で戯れる美少女たちから海に誘われる。

 

どこかの髭海賊であれば「羨ま死ね」と言ってきそうなシチュエーションだが、この野郎二人には関係なかった。

 

「泳がないのか?」

「そういう達也こそ。仕事ばかりで夏休みにこうして遊ぶことなど少ないだろう。楽しまないと損だぞ」

「一人で行くには華やかすぎる」

 

エリカ、深雪、美月、ほのか、雫。

いろいろと鋼の精神を持つ達也も、流石にこの中に男一人で突っ込もうとは思わない。

 

レオや幹比古がいればいいのだが、彼ら二人は沖の方で水飛沫を上げながら競泳に興じている。

 

「いいじゃないか。健全な男子高校生であれば誰もが羨むシチュエーションだ」

「なら士郎が行ってくればいいだろう」

「あいにく、男子高校生というには私の精神は老成しすぎている」

「それならこっちも健全というには程遠い」

 

達也の返答に苦笑いを返した士郎はその場からゆっくりと立ち上がった。

 

「悪いが少し頼む」

 

まさかの発言に達也がコイツマジかという顔をした。

 

「島全体の確認がしたい。無粋なのは分かっているが、せっかくの休暇を心置きなく楽しむためだと思ってくれ」

 

そう言ってこの場を離れていく友人をジト目で見送る達也。

 

それでも引き止めることをしなかったのは、士郎の置かれている状況を理解しているからだ。

 

もし、自分と士郎の立場を入れ替えたならば同じように安全の確認を優先する。

 

本来なら島に到着してすぐに行いたかったのだろうが、そうしなかったのは周りに配慮してのことだろう。

 

さて、こうして一人取り残された達也。

しばらく水平線へと視線を向けていると、九校戦でのアサシンとの戦闘の記憶が蘇る。

 

中でも強く記憶に残っているのが、あの異様な赤く長い右腕。

 

自身の胸に触れ、心臓を握り潰された感覚は今でも覚えている。

今後、似たような力が深雪の身を襲う可能性があると考えると、達也に強い焦燥感と危機感を抱かせていた。

 

(勝つことは不可能でも、負けないための対抗策が確実に必要だ)

 

以前、横浜でサーヴァントと遭遇した時に思いついた、情報の塗り替えはひとまず置いておく。

 

理由は単純で、今の達也では神秘の持つ守りが硬すぎて、無理やり力技で押し通すためのシンプルな力が足りていないからだ。

 

士郎に干将と莫耶をサンプルとして貰い、短くない時間を研究に費やし、技術的な部分からも神秘の壁を越えようとは試みているが、そう簡単に乗り越えられるものではなかった。

 

(現在、有効と分かっているのが質量爆散の劣化である質量爆破のような間接的ダメージだが、問題はこれでは圧倒的に威力が足りないことにある)

 

そもそもサーヴァント相手に何度も魔法を当てられるとは思えないので、この際コストはあまり気にしない。だが、当たっても火傷程度の威力しか無いのでは話にならない。

 

できれば当たる確率を上げるための範囲、相手の動きを一時的にでも止められる威力か能力、そして、攻撃の出だしとそれ自体の速さ。対抗策とするならこの三つも欲しかった。

 

質量爆破の改良をまず一つとして、最初に思い着いたのは九校戦で一条に使った音の増幅。あれならば発動までの隙も少なく、範囲、威力、攻撃の速さも申し分ない。攻撃の手段としても相手に直接干渉する訳ではないので何かしらの効果が見込める可能性が高い。

 

ただ問題は制御が効かないことだ。

 

(音の爆弾だからなあれは)

 

威力を上げればそれだけ自分と周囲への被害が大きくなる。対サーヴァントとなればそれこそ被害は災害レベルに近い。

 

範囲や方向、距離を絞ればまた話は別だが、この魔法の一番の長所はその速さ。必要な工程数を増やせば増やすほどその強みは消えるだろう。

 

(深雪の方が相性がいい…か)

 

ここで前に士郎に言われた言葉を思い返す。

 

確かに対サーヴァントという点に関しては、白兵戦で勝ち目がない以上、通じるか否かは別として、魔法で取れる選択肢の多さから、達也より深雪の方が相性が良いと言っていい点は多いのかもしれない。

 

「達也さん、考え事?」

 

かなり思考に集中していた達也は、声をかけられてようやく自身の状況に気がついた。

 

そちらに身体ごと目をやりーー声を出さなかった自分を、達也は褒めてやりたかった。

 

五人が、腰を屈めて顔を覗き込んでいる。

普段ならともかく、水着姿でのこの体制は、いささかならず問題があった。

 

「かなり集中してたみたいだけど、何かあったの?」

 

腰を深く折り両手を膝についた姿勢で正面から覗き込むようにして雫が訊ねる。この時、彼女が思ったほど子供体型ではないことがわかったが、当然、言葉にも態度にも出さない。

 

「いや、大した事じゃないよ。環境が変わったせいか妙に頭が冴えたみたいで、ちょっとした考えごとに思考が入り込みすぎてたみたいだ」

「あ〜、分かる。こういうところって考えごとが捗るよね。…というか、士郎くんはどこいっちゃったわけ?」

 

続けて、いつの間にか消えていた、今回のもう一人の主役とも言える人物にエリカが辺りを見渡しながら訊ねてきた。

 

「少し一人で歩いてくるそうだ」

 

無難な返答をするか迷ったが、島全体の確認に行った士郎がすぐに戻ってくるわけがないので、時間が掛かかりそうなことを達也は暗に伝えた。

 

「お店の心配でしょうか?急遽お休みを取ることになってましたし」

 

士郎説得の場に一緒にいた身として、美月がやや申し訳なさそうに呟いた。

 

「うーん、士郎くんのお店ならちょっと休んだくらいじゃ問題ないと思うけど。九校戦の後から人気も増してるみたいだし」

 

エリカの言う通り、九校戦での祝賀会の贈り物の結果、生徒間でさらに噂が噂を呼び、士郎の店はたいへん賑わっている。少しばかり急遽休んだくらいで店がどうこうなる状態ではなかった。

 

「なら他の悩みごと?」

「士郎さんの悩みごと…」

 

雫とほのかが顔を見合わせて考えるが、あまり思い浮かばないようで首を傾けている。

 

「士郎くんは何でも器用にこなすイメージがあるからね。何かに悩むっていうのが想像できないかも。深雪、弟子としてなんか知らない?」

「そう言われても…、渡邊先輩に対して悩んでいるところは見たことがあるけど、個人のことで何かに悩んでいる姿はあまり見ないし、見たとしても夕飯のメニューやスーパーのチラシを見比べている時ぐらいしか…」

「主婦じゃん。ていうか、前半は何してんの?」

 

この時、全員の脳内に自分の世話を焼く士郎の姿が頭に浮かび、達也と深雪には追加で、部屋を散らかす先輩に注意をする姿があった。

 

「達也さんはなにか知りませんか?私たちの中だと一番仲が良さそうですし」

「……いや。悪いが思い当たる節はないな。力になれなくてすまない」

「そ、そんな!謝らなくて大丈夫ですよ!」

 

美月の質問を当然だが達也は嘘でかわす。

士郎が抱える問題は一般人が知っていいようなものではない。

 

「なら私、この旅行中に聞いてみる」

 

お手上げ。となってきたところで雫がそう言った。

 

「雫が?」

「うん。士郎さんとは今日の夜、九校戦の話をするつもりだから」

「うーん、でも……」

 

一番仲が良さそうな達也にさえ話していないことを話してくれるのか?

 

その疑問を持ったほのかの言葉を察した雫がそれでもと続けた。

 

「私も士郎さんの力になりたい。九校戦の時に色々と気にかけてくれたお礼がしたい」

「そっか。なら私は雫にお願いしてもいいと思う」

 

それならばということで、この場にいる他のメンバーもほのかに同調。この件は雫が預かることとなった。

 

「お礼か〜。そのことでみんながみんな士郎くんにお礼を考えてたら大変なことになりそうね」

「士郎は色々と手を貸し出しているからな」

「物だったら机の上が一杯になるんじゃない?」

「学内だけじゃないからおそらく蔵が埋まるぞ」

「どれだけ手広いのよ」

 

元の世界も含めれば蔵どころではない。

 

「まあいっか。ひとまず士郎くんは何か考え事があるみたいだし置いといて、達也くん。せっかく海に来てるんだし泳ぎましょ?」

 

この後、エリカからのお誘いをきっかけに達也の身体が顕になり、ちょっとしたシリアスが展開された。

 

最終的には愛の力?によって丸く収まり、達也が青春の甘酸っぱさを味わうことになるのだが、日が落ち始めるまで帰ってこなかった士郎には関係のない話だ。

 

 

◆小話:関係なくなかった

 

士「すまない。遅くなった」

レ「士郎!どこ行ってたんだよ」

士「考え事をしながら島を回ってた。ところで深雪の姿が見えないが?」

レ「それだよ!俺たちじゃどうしようもないからどうにかしてくれ」

士「は?」

レ「別荘!別荘を見てくれ!」

 

鷹の目士郎。窓から浜辺を見る氷の女王発見。

その視線を辿り海を見る。浜辺にいる二人きりの達也とほのか。

 

士「あれを?私に?」

エ「士郎くん、私、弟子の機嫌を取るのも師匠の役目だと思うの」

士「私がどうにかできるものではないと思うのだが」

エ「でも士郎くん以外どうにかできる可能性を秘めていないのも事実でしょ」

士「………はぁ、一人で勝手をしていた罰にしては重すぎる」

 

 

 

夕食のバーベキューを終えて、いつも通り士郎は率先して片付けを手伝う。当然、身の回りの世話をするために同行していた黒澤女史に初めは断られたのだが、士郎の性質をよく理解していた他のメンバーの口添えもあり、カードゲームに興じる女性陣と、その側で将棋に興じる達也と幹比古が見える位置で食器を洗っていた。

 

レオだけがこの場にいないが、それは夕食後に早々とフラッと出て行ったからだ。

 

士郎としてはそれが正解だったと思っている。

 

と言うのも、嵐の前の静けさと言うべきか、夕食中からどことなく雰囲気がぎこちない。

 

原因は何となく察せられる。できれば自分も離れたいところではあるが、昼間に単独行動している分、そう易々とレオのように場を離れることができなかった。

 

(こうして少し離れられているだけでもまだマシか)

 

自分は人型食器洗浄機。

 

自身にそう言い聞かせながらできるだけ丁寧洗い物をしていると、雫が深雪に声をかけて二人で外に出て行く。しばらくして、二人に続くようにして達也とほのかがリビングを離れた。

 

「ねぇねぇ士郎くん。どう思う?」

 

冷蔵庫に飲み物を取りにきたエリカがニヤリと笑いながら士郎に尋ねる。

 

「少なくとも答えは出るだろうな」

 

何がとは言わない。ここまで状況が揃えば誰だって簡単に想像がつく。

 

「結果の予想は?」

「さてな。それは本人次第だからな。というより、なぜ私にそんなことを聞くんだ?」

「だって達也くんと一番付き合い長いじゃん」

「付き合いが長いからといって何でも知ってる訳じゃないぞ。私たちが互いの好みを話すように見えるか?」

「え〜、じゃあ普段どんなこと話すのよ」

 

エリカの質問にそれは気になると、やや手持ち無沙汰にしていた美月と幹比古が乗っかって来た。

美月に至ってはよほど気になるのかこちらに合流しようとまでしている。

 

「わかった。話す。だから洗いものが終わるまでそっちで少し待っててくれ」

 

美月を押し留めて洗い物を済ませると、士郎は三人分の飲み物を持ってリビングに向かった。

 

「達也と普段何を話すかだったな」

 

自然と集まっていたテーブルの空いてる席に腰掛けた士郎が、一度喉を潤してから話を始める。

 

「あまり気にしてはいなかったが、思い返すとCADの話や体術の話が多いかもしれないな」

「予想はしてたけど初っ端から高校生らしさゼロの内容ね。勉強の話とか恋愛の話とかしないの?」

「あまりしないな。勉強は工学系を聞いたりはするが、恋愛に関してはさっきも似たようなことを言った通りさっぱりだ」

「ほんとに〜?」

 

などとエリカがふざけて言っているが、この二人に甘酸っぱさのある会話を求めるのは、諸々の事情以上に単純な性格的に無理がある。

 

「本当だ。私たちの会話でよく出てくる異性など深雪くらいだぞ」

「「「あ〜」」」

「待て。何を三人で納得した」

 

とても不名誉な納得をされた気がする。

そう思った士郎は完全なシンクロをみせた三人に思わずツッコンだ。

 

「いや、そう言えば二人にはあれだけの美貌と性格を兼ね備えた、自分を慕う妹ないし妹分がいたなと思って」

「はい。正直、女性の話が出てこないのも納得かなと…」

「確かに深雪は美人だが、そういった目を向けたことはない。私と彼女では不釣り合いが過ぎる」

「そんなことはないと思いますけど…」

「僕も…、むしろ士郎ぐらいじゃないと釣り合わないと思う」

「というか、そこまで言うなら士郎くんはどんな人ならいいわけ?」

 

エリカに言われて少し士郎は考えるが、こんな自分に釣り合っていい女性はいるはずがないとすぐに思考をやめた。

 

「いいも悪いもない。そもそも持てる選択肢がないだろう」

「はぁ、士郎くんってほんっっとうに自己評価が低いよね。ならタイプは?士郎くん側に選ぶ権利がないとしても、士郎くんも男の子なんだから願望みたいなのはあるんでしょ?」

 

タイプ。そう言われて真っ先に思い浮かんだのは未熟だった頃、聖杯戦争を共に戦った一人の騎士だった。

 

断じて可愛い子なら誰でも好きな訳ではない。

 

「そうだな。あるにはある」

「「「おおお!」」」

「すごい食いつきだな」

 

思わず苦笑いを浮かべながら士郎は話した。

 

「真っ直ぐで、芯があって、負けず嫌い。そんな女性かな」

 

どこか懐かしさを含んだ口調に聞いていた三人はヒソヒソと話し始めた。

 

「今の感じ、絶対実物がいるわね」

「士郎さんの初恋の人でしょうか!」

「おそらく。ミキ、ちょっと士郎くんに聞いてみなさい」

「何で僕が⁉︎」

「だって気になるじゃない!士郎くんの初恋よ!

とんでもなく面白いじゃない!」

 

距離が近いのと興奮しすぎているのもあって士郎に丸聞こえであった。

 

「私のを話したんだ。同じ男性として幹比古のタイプも聞いてみたいところだな」

「えっ⁉︎僕⁉︎あ〜、え〜と、そうだ!僕も士郎に聞きたいことがあったんだ!」

 

当然このままおもちゃにされるつもりはない士郎。幹比古に話しを振ることで上手く話の流れを変えた。

 

エリカはタイミングを逃すきっかけになった幹比古に対して、軽く舌打ちした後に小さく「根性なし」と呟いたが本人は全く聞こえないふりを貫いた。

 

「た、達也とはどういう経緯で知り合ったんだ?やっぱりお寺の修行で?」

「正確には寺に達也が修行に来ていた時だな。一緒に修行をしてた訳じゃない。達也の師匠で俺の保護者にあたる人物によかったら手合わせを。そう言われたのがきっかけだ」

「達也さんと士郎さんの勝負!どんな感じだったんでしょうか!」

「そうだな。あれはーー」

 

士郎は達也との出会いを語り始めた。

 




初投稿からこれまで、時間が空きすぎて最初に何考えてたか覚えてない…

あと、今もちゃんとしてる訳じゃないですが、昔の投稿を読み返して思い出したりしてると、自分のレベルの低さを痛感して精神が死ぬ。

地の文とか、登場人物の口調とか、魔術・魔法の基礎知識とか。

ああ。優しき人よ。何かしらあれば教えてください。
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