リア「...夢か!」
閃光に体が包まれた瞬間、私は目を覚ました。
恐ろしい夢だった。
全身を貫かれる感覚、一瞬にして体を削がれるかとも感じる恐怖。
できるならば、二度と体験したくはない。
?「あら、目が覚めたみたいね」
声がした方を向くと、白衣を着た青い綺麗な髪の女性がいた。
?「気分はどう?」
リア「えと...大丈夫です」
私がそう答えると、女性は小型の通信端末を、ポケットから取り出し、どこかへ電話をかけた。
?「あ、なのはちゃん?...うん...うん...そう、今目が覚めたところ。...わかった、じゃあこっちで説明しとくね。...じゃあお仕事頑張ってね」
電話を切り、再びポケットへ通信端末を戻す。
?「なのはちゃん、まだお仕事中みたいだから、代わりに私が面倒を見させてもらうわね」
リア「あの...あなたは...」
?「自己紹介がまだだったわね、私は月村すずか、6課のデバイスを管理するデバイスマイスターです。あなたのことはよく聞いているわ、リアちゃん」
リア「はい、月村さん。ところで...ここって...」
すずか「6課の医務室よ。どこまで覚えてる?」
リア「えっと...」
模擬戦...光弾...直撃...
リア「光弾が直撃したことまでは...」
すずか「なら話は早いわ」
月村さんは、再びポケットから通信端末を取り出すと、あるデータを空中に映し出した。
すずか「このデータは、リアちゃんの魔力データを数値化したものよ」
ぱっと見ただけでは、何がなんだかわからない。
すずか「データだけを見れば、あなたの魔力量はかなりのもの...でも」
二つ目のデータを出す。
見事に0が並んでいる。
すずか「これはデバイスを所持していない場合のデータ...まるで同じ人間のデータとは思えないわ」
デバイスの有無が魔力量に影響する?
そんなことがありえるのだろうか?
すずか「このデータと、それ以外を色々見てみたのだけれど、そこから出した仮説がこれ」
次に出されたデータは、文章。
『デバイスがマスターの魔力を強制的に引き出している可能性』
すずか「何らかの原因により、マスター側の魔力が外側へ出ないのを、デバイス側の機能により無理やり引き出しているのではないか?であれば、通常の機材で魔力が感知できないのは説明がつくわ」
私の頭に疑問が浮かぶ。
そんなことがありえるのか?
そもそも、私の魔力が外側へ出ないのは何故か?
すずか「あくまでも仮説だから、本当にそうなのかは分からないわ。でも、あなたのデバイス...レイには、その可能性に近いシステムが内臓されているの」
リア「レイに?」
そう言えば、私はレイについて何も知らない。
電力と魔力のハイブリッドデバイスであること以外、何も知らない。
すずか「Full-time(常時)、Automatic(自動)、Unlock(開放)、Strike(打倒)、Tactics(戦術)システム...ファウスト(FAUST)システム。魔導師が持つ魔力を常に100%引き出すために、デバイス側で常にブーストをかけるシステムなの」
リア「それって、つまり...」
すずか「ずっとフルドライブ状態みたいなものね」
通常、魔導師が出せる魔力は6割程度。
それ以上は、魔導師とデバイスに大きな負荷をかけることになってしまう。
そのため、多くの安全機構が備えられているはずだ。
フルドライブはその逆、つまり安全機構を全て取り払い、100%の魔力を引き出す。
すずか「代5世代端末に搭載する予定で開発されたシステムなのだけど、流石に危険だからって、正式採用にはいたらなかったの」
リア「危険...?」
そんな風には思えなかったが。
すずか「リアちゃんに渡る前に、このシステムだけは厳重にロックをかけたはずなんだけど、何かの拍子に外れたみたい」
そんな簡単に外れるものなのだろうか?
すずか「でね、ロックがはずれちゃった以上、本来なら回収して破棄しなきゃいけないんだけど...」
は...破棄!?
リア「だ、ダメ!」
すずか「え?」
レイがいないと、私は何のできない。
リア「レイをとらないで!」
すずか「ちょ、ちょっと...」
リア「とらないで...」
すずか「だ、大丈夫だから、だから泣かないで、ね?」
リア「ふぇ...?」
すずか「...本来なら、回収して破棄。けれど、嘱託魔導師の個人所有デバイスを勝手に回収して破棄する権限までは管理局側には無いの」
リア「じゃ、じゃあ、レイはとられないの!?」
すずか「ただし、条件があるけどね」
リア「条件?」
すずか「5段階のデバイスロックをかけるの。レベル1で電力駆動、レベル2で出力を抑えた魔力駆動、レベル3でこれまで通りの出力がでるわ」
リア「レベル4と5は?」
すずか「ハイブリッドデバイスの本領、ハイブリッド出力の開放。そしてファウストシステムを使った、リミットブレイク」
今まで知らなかった、レイの能力。ハイブリッド出力にリミットブレイク。
試してみたいという気持ちもあるが、今はレイをとられないだけで十分だ。
すずか「デバイスロックについては、なのはちゃんと相談しながら開放することになると思うけど...悪く思わないでね?」
リア「レイといっしょにいれるなら、それだけで十分です」
すずか「ならよかった。とりあえず、私からのお話はおしまい。とりあえず、今はまだ寝ててね。目が覚めるころには、レイのデバイスロックは終わらせておくからね?」
リア「はい、よろしくお願いします」
月村さんが部屋の外に出るのを見届けると、私は再び夢の世界に旅立つのだった。
すずか(やっぱり、普通の女の子ね...)