インフィニット・ネクサス   作:憲彦

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前回のお復習

2組は室内訓練に移行。対人戦闘を想定した格闘訓練を開始。溝呂木はいつも通り室江の補佐を。が、あまりの実力で溝呂木の担当はいつもの凪と鈴になってしまう。

以上


再編集13

「じゃあ始めるぞ。俺は最低限の攻撃しかしない。ほとんど受け流してお前達が隙を見せたときに反撃する程度だ」

 

「さっきの戦い見せられたら、こっちからそうしてくれと言いたいくらいだよ……」

 

「で?どっちからやるの?」

 

凪はやる気があるようだが、鈴は溝呂木の実力に少し引いているせいで、余り乗り気ではない。

 

「2人がかりで来い。ただし全力でな。合図したら始めるぞ」

 

その言葉に2人はすぐに戦う構えを取る。それを見るとポケットからコインを取り出して親指に乗せた。

 

「ちょっと!さっきそれ出せば良かったよね!?」

 

「お前は自分の担当してる生徒に集中しろよ」

 

室江が溝呂木の肩を掴んでニュッと顔を近付けるが、それを一蹴り。押し返してからコインを親指で弾いた。それが空中を舞い、床に落ちると同時に凪と鈴が動き始めた。

 

「ゼェヤァ!」

 

「オゥリャア!!」

 

中々に鋭い拳と蹴りが飛んできた。普通なら訓練と分かっていても受けてしまいそうな攻撃だったが、溝呂木は冷静に対処。凪の蹴りは叩き落として鈴の拳は受け流した。これに体勢を崩した2人だが、すぐに踏み込んで更に攻撃を二撃目三撃目と叩き込んでいく。

 

「グパッ!?」

 

「ガックッ…!」

 

「遅い。拳と蹴りはもっと鋭く打て、あと体の反転はもっと速くだ。地面に着いている足を軸に回転する様にしろ。自分の体を捕まれたら相手の手を引き剥がせ。もしくは間接を外して行動不能にするんだな」

 

2人の渾身の一撃を受け止めて、そのまま投げ飛ばした後にダメ出しをした。しっかりと受け身を取れるように投げ飛ばした物の、綺麗に背中から叩き付けられたお陰でダメージは大きい。

 

「か、改善点はありがとう……でも」

 

「投げ飛ばしてから言う必要はあったの?」

 

「途中で言っても意味ないだろ。1回1回区切りの良い所で指摘した方が見にもつく」

 

何か手帳の様なものにメモを取りながら2人に説明を淡々としていく。

 

「お~。やってるね~」

 

「噂の男子はどれかな~?」

 

客席に当たる部分に沢山の生徒が入ってきた。見た目的に1年ではない。

 

「なにあれ?」

 

「見学?」

 

「あ、ごめ~ん。今日3年生が1年の授業の見学に来るんだった。伝え忘れてたよ」

 

一応謝っているが、中身が篭っていない。だが来てしまったものは仕方無い。非常にやりにくい環境ではあるが授業は続行となった。

 

「溝呂木のこと探してる人もいるわよ」

 

「気にするな面倒だ。さっさと始めるぞ。今度はこっちも普通に攻撃するからな。気を抜くなよ。合図は無しだ。そっちで判断しろ」

 

その言葉に冷や汗を流しながら構えを取る。が、2人が反応できないようなスピードで距離を詰めて顔面に拳を叩き込んだ。ちゃんと鼻血が出たり痣ができないように加減はしている。多少赤くなる程度の強さだ。

 

「グッ!ザァリャ!」

 

「アウッ!ハァッ!!」

 

仰け反って倒れそうになるが、足を踏ん張らせて耐え抜き、体勢を無理矢理前のめりにして攻撃に反転させる。2人とも拳を突き出すが、溝呂木はそれを簡単に受け止めてそのまま全力で投げ飛ばす。今度は受け身を取りやすいように優しく投げるのではなく、盛大にぶん投げた。

 

「うっわぁ~……なにあれ?」

 

「やりすぎだよね~。手加減してあげないのかな?」

 

「ISじゃ勝てないからこっちで憂さ晴らししてるんでしょ。小さい男~」

 

「ダッサァ~」

 

「一緒にやってる子たち可哀相~」

 

「先生も何で止めないんだろ?」

 

外野がグチグチ何か言っている。これを聞いた2組の生徒たちは機嫌が徐々に悪くなっていく。特に溝呂木の相手をしていた2人は今にも口を出した3年生を叩き潰しに動きそうだ。

 

「おい、そこの3年生。お前たち格闘訓練何時間受けたんだ?戦いに男も女もあると思うな。強いヤツが生き残って弱いヤツが死ぬ。この訓練はせめて死ぬ側にならない様にするための訓練だ。手加減する方がおかしいだろ」

 

2組の誰かが口か手を出す前に、室江が正論を叩き付けて黙らせた。それでほとんどの3年生は黙ったのだが、これでも口を出す生徒と言うのはいる物だ。

 

「室江先生、私たちが言ってる事はそう言う事ではありません。別に死なないための訓練で手を抜かないのは当然です。が、男子が女子相手に全力を出していると言うことが問題なんです。どうせIS訓練が下手だからここで憂さ晴らしと言う魂胆でその男子生徒は授業を受けてる訳なんですから。それ、ただの弱い者苛めじゃないですか?」

 

この言葉に完全に凪と鈴は完全にキレた。客席まで高さは約4メートル程あるが、2人で協力して跳び上りグチグチ言っていた3年の生徒を叩き落としす。そしていつの間にか室江のポケットから抜き取った火吹き道具を使って燃やしにかかる。

 

「あっつ!なにするのよ!!」

 

「いや~。てっきり溝呂木より強い様な口振りだったのでやってみたんですけど~」

 

「まさかあの程度の攻撃を避けられないんたて思わなくって~」

 

「「ね~」」

 

ノリが少し幼い感じになっているが、やってることは恐ろしいことこの上ない。

 

「お前の弟子2人たくましくなったね~」

 

「あんなの教えた覚えねーよ。と言うかあの道具いつの間に抜かれた?」

 

「さぁ?最初の訓練終わった後じゃない?」

 

「はぁ…いらん技術ばっか身に付けやがって……」

 

溝呂木は呆れていた。基礎を途中で投げ捨てて何をしているんだとでも言いたげな顔をしている。

 

「さぁ~てと。訓練の続きしまショッ!?」

 

3年生に力の差を見せ付けて、意気揚々と帰ってくる鈴だが、脳天に溝呂木の手刀が叩き込まれた。その後に凪も同様に溝呂木の手刀を受けた。

 

「イッタッ!何すんのよ!」

 

「お前らこそなに基礎を途中放棄して訳わからんことやってんだよ。あんなの気にしてる暇があるならこっちに集中してろ」

 

「言われっぱなしで嫌な気分にならないの!?」

 

「弟子からしたら相当腹立つのよ!」

 

「口しか出せない外野がピーチクパーチク言った所で気分が悪くなる程ガキじゃないんだよ。とっとと続き始めるぞ」

 

凪と鈴に叩きのめされた3年生の制服の襟を掴み、2階客席まで投げ飛ばすと2人の訓練を再開。だが、心なしか溝呂木の顔が少し穏やかになっている。いつもは不機嫌そうと言うか、眉間にシワが寄っている表情をしているのだが、2人のさっきの言葉を聞いてから無表情ではあるがそれが無くなっていた。

 

「次は武器を使うぞ。好きなのを使え」

 

「好きなのって言っても……」

 

「最初は無難にナイフでしょ」

 

「じゃあ抜きやすい所に着けろ。太股でも腰でも利き腕と反対の胸でも何処でもいいから」

 

「ん?腰とか太股なら兎も角、利き腕と反対の胸ってどう言うこと?着けてるイメージ無いけど」

 

「タクティカルベストとかの戦闘用チョッキあるだろ。種類は結構あるが、中にはナイフを胸部分に入れておく物があるんだよ」

 

「「成る程……」」

 

軽い溝呂木の講座が終わった所で、簡単に着けているイメージの出てくる腰にナイフを着けた。

 

「で?これってどうやって使うの?」

 

「ISの実技で習ったことあるだろ、それと同じだ。ただ、生身でナイフを使った戦闘をするときは、一撃目が重要になる」

 

つまり抜いてすぐの攻撃のことだ。一撃必中で仕留めろと言いたいのだろう。

 

「まぁ口で言っても仕方ない。いつも通りに俺にかかってこい」

 

言われた通り、鈴と凪はISの時と同様の動きで溝呂木にかかっていく。だがいつものように全く攻撃が当たる様子が無い。

 

「まぁ、初めてならそんなもんか」

 

「ウワッ!?」

 

「グッ!」

 

2人の間合いに1歩入り込んで手首を掴んで間接技を決めて動きを止めた。

 

「武器を持ったことによって、お前たちは武器による攻撃を決めることを意識しすぎた。本来交えるべきの体術やIS使用時にできていた動きができなくなっている」

 

「な、成る程」

 

「意識のし過ぎも良くないのね」

 

「それに肘も伸ばしすぎだし肩も上げすぎだ。間接技をかけてくださいって言っている様なもんだぞ」

 

相変わらずの手厳しい指導だ。だが、この授業の短時間で2人の技術が上がってっている。溝呂木の指導は厳しめではあるか、確実に腕が上がる保証付きだ。

 

「次はさっき言った事に注意するんだな。それと凰」

 

「は、はい……」

 

「また脇が開いてる。何度言えばその癖は直るんだ?」

 

「うぐっ……そ、それは……」

 

「凪」

 

「ん?」

 

「動きが硬い。誰の動きを真似るもお前の自由だが、お前にできない動きをやろうとするな。もう一度お前たちに言う。いつも通りに来い」

 

その言葉に何かを理解したのか、2人の目付きが変わった。それと同時に構えや動き、全てが変わり始めた。

 

「フッ!」

 

「ハァッ!」

 

「ッ!遅い!まだ武器に意識が向いてるぞ」

 

「ならこれで!」

 

「ッ!?またその手か!」

 

鈴は自分のナイフを溝呂木に投げ付けた。これはクラス代表決定戦の時に鈴が苦し紛れに牙月を投擲したあれだ。

 

「今は1人じゃないわよ!」

 

「そう言うこと!」

 

「ウッ!」

 

「直接的な戦闘力は私達が圧倒的に劣るけど」

 

「2人それを少しでも埋められるわ!」

 

言葉の通り、2人の持てる技術を掛け合わせて、確実に溝呂木に届きそうになった。器用さに欠ける鈴は自分なりのやり方で溝呂木の動きを制限し、技術力が高い凪が確実な攻撃を叩き込んで行っている。

 

「フッ!」

 

「ガハアッ!」

 

「ハァッ!」

 

「ゴハァッ!」

 

だが当然溝呂木にはまだ届かない。武器を持った凪には先程と同様に間接技で固め、武器を投げ付けて素手で戦っていた鈴は首を掴まれ床に押さえ付けられた。

 

「それで良い。漸くいい動きが出来るようになったな」

 

「褒められてる筈なんだけど……」

 

「なんか褒められてる気がしないわね……」

 

「さっさと立て。授業は終わったぞ」




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