2018/1/16修正 バルディッシュのセリフの英語部分に不要な単語が入っていたので修正しました。
「そうそう、その調子だよ、フェイト」
かける声に応答を期待してはいないのだろうが、フェイトは頷くことで返した。そのくらいなら集中を妨げられることはない。応援してくれることは嬉しいことだし、この温かくて優しい声はむしろ焦りを落ち着かせてくれる。
術式解析。自身にかけられた『チェーンバインド』を構成する術式に対し、対抗プログラムを打ち込む。一種のコンピューターウイルスを打ち込むような作業だ。徐々にそのプログラムを浸食させ、術式に狂いを生じさせて。
「もう少し……!」
「焦らないで、フェイト。まだ早いよ」
術式を狂わせ、バインドの拘束力を弱める。ある程度弱まったら、あとは自らの魔力で吹き飛ばす。それが『バインドブレイク』の基本の流れ。大きな魔力を持つフェイトにとっては強引に拭き飛ばすことができる強度まで弱まっていたが、注意の声が飛ぶ。
「フェイトの魔力なら確かに強引に吹き飛ばせるけど、それじゃせっかくの練習の意味がなくなるからね」
「あ、うん。それもそうだよね」
いつもの癖が出てしまうところだったのを、フェイトは無意識のうちに強引に破ろうとして力が入った体を弛緩させる。
魔法の使用は如何に冷静でいられるかが重要だ。普段はバルディッシュなどのデバイスが詠唱や術式構成を行ってくれるので、術者たるフェイトたちは発射のトリガーを口にすればいいだけ。だから多少焦っていようが混乱していようが、デバイスが補助してくれるので発動できてしまう。苦手な魔法であっても、デバイス任せにしてしまえばある程度は使えてしまうのだ。
フェイトも例外ではなく、『バインドブレイク』などの補助魔法が苦手で、アルフやバルディッシュに任せきりだったところがあった。
「それじゃ罰ゲーム。術式修復」
「あ、ちょ、ちょっと待って……ああ、せっかくここまで緩めたのに。ユーノ、ひどいよ!」
「いやいや、癖が出ちゃったら罰ゲームって決めたじゃないか」
「そうだけど……本当にあと少しだったのに」
解除プログラムで狂わせたところが瞬く間に修復された挙句、解除プログラムをさらに解除させる対抗プログラムまで使われたらしく、フェイトの解除プログラムが散らされてしまった。それもあっという間に。
フェイトが恨めしそうな目を向けるのは致し方のないことだった。練習相手を務めているユーノは肩を竦めて笑うだけだったが。
「攻撃はしないから、落ち着いて。フェイトの場合、術式構成とか魔力の通し方とか、技能面ではまったく問題ないんだ。あとは繰り返して慣れることだけ。慣れれば徐々に早く解除できるようになるよ」
「わ、わかった」
笑顔で返されると何も言えないフェイト。納得はいかないが、言っていることは正論だし、きちんとユーノはフェイトの長所を認めて褒めてくれるので、感情のままに恨み節を口にすることができない。これがヴィータなら構わずに吠えるだろうし、なのはやはやてもぶつくさと何か言いそうなものである。その辺ができないのがフェイトの押しの弱さであろうか。
「バルディッシュは暇だろうけど、フェイトの術式構成や癖をよく見て覚えておいてね。実際の戦闘でこんなゆっくりとしてはいられないし、バルディッシュがメインで解除に回るだろうけど、フェイトの癖を知ればどこをどう補助すればいいかわかって、より解除も早まるだろうし」
『Yes』
バルディッシュが明滅しながら答える。
無限書庫での執務官試験に向けた筆記試験の勉強の後、時折こうして魔法の練習もする。執務官試験は戦闘技能の試験もある。その相手をフェイトはクロノを始め、仲間に依頼することが多く、ユーノにもこうして頼むことがある。どちらかと言うとユーノは戦うと言うより教えながらなので、フェイトが解除している間は攻撃もしない。
「バルディッシュも相当悔しいみたいだしね。クロノに勝とうと思ったら、やっぱり『バインドブレイク』は覚えておかないと」
『……
「その意気だよ。期待してる」
フェイトはシグナムが相手だといい勝負になるのだが、クロノが相手だと今のところ負け越している。勝ったことがないわけではないが、それはクロノが何らかの制限をかけた状態であることがほとんどだ。全力のクロノにはシグナムでさえ「やりにくい」と称し、ヴィータには「えげつない」とまで言わせる。
しかも何より悔しいのが、まったく自分の戦いをさせてもらえないこと。
フェイトの得意分野はやはり高速力・機動力を活かした近接格闘戦。縦横無尽に戦場を駆け、相手の懐に飛び込み、敵を狩る。
だがクロノは距離を問わない。相手の攻撃に合わせて戦法を変える。フェイトの長所を知り、ならばとフェイトの得意な距離に持ち込ませない。近づけば設置バインド、離れれば射撃。気づけば主導権はクロノで、懐に飛び込めても護身術でいなされ、さらに最近に至ってはかなりタチの悪い近接迎撃プログラムを組んだのか、自動で迎撃が入ってくる始末。
フェイトには珍しくぶすっとしていたものだからユーノが戸惑って聞いてみれば、クロノに勝てないという回答が出て、そこでユーノが対処法を教えるという流れ。なのはやはやてもクロノは難敵のようで、同じような相談はよく受けているユーノだったので、またクロノかと言わんばかりに溜息をつきながら教えてくれる。
「僕のオリジナルだけど、バルディッシュには解除プログラムを教えておこうか?」
『
「フェイトの場合はまず通常のプログラムに慣れないと。オリジナルに走るのは基本ができてからだよ」
『
集中して解除プログラムを走らせている間も、ユーノとバルディッシュの会話がフェイトの耳に入ってくる。こっちが必死にやってるそばで、と恨み節がないわけでもないが、それよりも少しフェイトは嬉しかった。
バルディッシュは無口なAIなので、あまり仲間とも積極的には話さない。けれどユーノとはここ最近会話が増えているようなのだ。基本的にはユーノが話しかけ、バルディッシュが応じる。ただ気付けばバルディッシュの方が疑問を投げかけるなど、会話を振っている。もちろんユーノもフェイトに教えるのと同じように快く応じて。それが何だか嬉しい。
「――できた」
解除プログラムが完全に『チェーンバインド』の術式を狂わせた。拘束力がなくなった鎖を、魔力を放出させて吹き散らす。ほとんど魔力はいらない。風が吹けばそれだけで吹き飛ぶくらいに弱まっていた。
「うん、だいぶ早くなったね。最初は倍ぐらいかかってたのに」
「どれだけ術式を知ったつもりになってたかって、よくわかったよ」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「バルディッシュにも、すごく苦労させちゃってたね。ごめんね」
『
基本的に、現在の魔導師はデバイスを使うのが当たり前。術式も教本で習いはするが、デバイスが術式も詠唱もしてくれているので、術者は魔法の選択と発動だけをすればいい。
けれどクロノやユーノはそれを良しとしない。理論派の名にふさわしく、術式を把握し、魔法を『理解』する。だから術式を弄って調整することができるし、何らかの能力を付加することもできるのだ。
実際、デバイスを使っていようとも、『理解』すればするだけ魔法の運用能力は上がる。理数系の知識があると魔法が上手く使えるというのはまさに同じことで、知識があるから公式や定義を『理解』できるのである。戦闘時にデバイスが壊れてしまうことは当然にあるのだから、その場合も魔法を教本以上に扱うことができれば、それだけでも生存能力は跳ね上がるだろう。
「じゃあ、今度はユーノだね。練習してきた?」
「もちろん。フェイトに負けてられないからね」
そして今度は先生と生徒の役を交代する。
「と言っても、『シュートバレット』が限界だけど」
勉強も魔法も教えてもらうばかりで、フェイトは以前から心苦しく思っていた。だからリンディが、娘がお世話になっているからとユーノを夕食に招待したり弁当を作ったりしている。そしてフェイトも何かお返しできることはないかと思い、ユーノが遠慮しながらも折れないフェイトに対してお願いしたことが、フェイトにも魔法を教えるもらうことであった。
――『守ることしかできないのは、やっぱりね……』
なのはのためなのだろう。
ユーノがなのはに好意を持っていることは、はやて同様に早くから気付いていたフェイト。そのお願いの意味するところを察して、フェイトは快諾した。
「やっぱり砲撃魔法は使えないんだね」
「適性がないみたいでね。魔力量も多くないから」
決して少ないわけではないが、多いわけでもない。ユーノのリンカーコアが蓄えることができる魔力量は魔導師としては平均レベルでしかない。なのはのように周囲の魔力を集束させる資質もないので、周囲の魔力を利用することも難しい。
魔法には『適性』というものがあり、適性以前に魔法資質のない人もいれば、ユーノのように、一部の魔法に対する適正がないという人もいる。ユーノは結界をメインに補助魔法全般には優れた適性を示しているが、攻撃魔法に対する適性が低いのだ。
「全然ないわけじゃないんだよね?」
「うん。砲撃は僕自身、魔力量もあって使えない。でも射撃ならできるよ。できるって言っても弾丸1つが限界なんだけどね。複数になるともう全然で」
やったことはある。暗にそう言っているユーノの言葉に、フェイトはユーノのことだからそれこそ血の滲む思いをしたのではないだろうかと、少しだけ悲しい思いを抱く。ユーノから見たら、自分もなのはもどのように見えているだろうかと思うと、やはり心中穏やかではいられない。
そんな内心を何とか押し留める。場を暗くしたくない。悪いと思うなら、今できる限りユーノの力になること。それしかないと思い直す。
「『ディバインシューター』もダメだったし、『プラズマランサー』も構成はできたけど、誘導はダメみたいだね」
「ごめんね、フェイト。せっかくフェイトの魔法を教えてもらったのに……」
「気にしないで。こればっかりは仕方ないよ」
魔法の資質は先天的なもの。生まれついてのもの。本人の努力ではどうにもならない。
誘導性能のある射撃魔法なら、なのはの『アクセルシューター』やクロノの『スティンガースナイプ』、さらに誘導性能がほとんどないために直射弾に分類されるくらいのフェイトの『プラズマランサー』でもダメだった。弾丸自体は生成できるが、1発だけで、しかも誘導がほとんどできない。魔法陣もヒビが入り、次の瞬間には砕けてしまう。しかも魔力を四方八方に撒き散らして。それは危険だし、誘導性能がついているためにその分の魔力が必要になるこれらは魔力の無駄にしかならないので、直射弾しかなく、それでいてユーノがまともに扱うことができたのは『シュートバレット』だけだった。魔導師ならば誰もが最初に習うような、基本中の基本の射撃魔法だった。
「じゃあ、やってみようか」
フェイトは『プラズマバレット』を構成し、それを飛ばす。続いてユーノが『シュートバレット』の弾丸を構成。
ただそれだけでもユーノは時間がかかる。いつも構築から発動までほとんどタイムラグがないユーノからすれば、本当に遅い。実戦的とはとても言えなかった。それでもフェイトが蔑むようなことは決してない。真面目に、一生懸命に、しかもどこか苦しそうに眉を歪めるユーノに、頑張ってと応援する。
「シュート!」
ユーノの掛け声で発射される弾丸。真っ直ぐに飛び、フェイトの弾丸を正確に捉えて命中。小さな爆発と共に四散する。小さく拳を握り締めるユーノに、フェイトは小さく笑う。もっと幼い頃、リニスに教えてもらっていたとき、自身もこうして喜んだことを思い出して。
ただ、ユーノはたったこれだけのことで汗を流していた。フェイトはそのことが気にかかって仕方がない。
「ユーノ、大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫大丈夫。苦手だから集中し過ぎちゃうだけだよ」
「それならいいけど……」
言葉ほどフェイトは納得できはしない。拒否反応とも取れるようなユーノの様子は、単なる集中のし過ぎによる疲労とは思えない。
攻撃魔法の適性が皆無というわけではない。皆無であれば『シュートバレット』も使えはしない。フェイトはユーノのランク試験の結果を見せてもらったことがあるが、攻撃魔法に対する適性がないとは記載されていなかった。苦手だからと避けないで練習しましょうとさえ記述があったくらいだ。
「攻撃魔法に対してユーノは何か嫌な思い出でもある?」
「そんなことはないけど……」
大切な人を誤射してしまったり、攻撃魔法が暴発して怪我をしてしまったり、そういうトラウマになるようなことがあると使えなくなるという事例は数多くある。ユーノの反応を思い出すと、適性がないというより、むしろそういったところに問題があるようにフェイトには見えていた。
ただ、ユーノは『わからない』のではなく、何か思い当たることがありそうな態度だった。曖昧で言いにくそうな、力のない返答。無理に聞き出そうとは思わないが、気になった。するとユーノもフェイトのそんな視線に気づいたのか、苦笑を浮かべて。
「その、フェイトたちを決して侮辱する気はないんだけどさ」
「うん」
「……人を傷つけるのが、昔から怖くて」
本当に申し訳なさそうに、ユーノはフェイトから視線を外した。フェイトだけではなく、戦闘系魔導師であるなのはやクロノ、シグナムやヴィータなど、多くの仲間に対する非難にも聞こえないことはない言葉だからだ。
殺傷設定だろうが非殺傷設定だろうが、少なからず相手を傷つける。それが攻撃魔法だ。それを構わず、バカスカ撃つことができてしまう。特にフェイトやシグナムはよく模擬戦をするくらい、戦うことに対して忌避感がない。もちろん殺し合いは嫌いだが、勝負としての戦いには積極的だ。そんなフェイトに対してこんなことは言いづらいだろう。
でもそれは杞憂というものだ。フェイトは怒るどころか、むしろユーノらしいと温かい気持ちになる。
「ユーノは、本当に優しいね」
「そんなことないよ。そう在りたいとは思うけどね」
嫌われることを恐れるフェイトだからこそ、同じようにユーノもまた嫌われることを恐れているとわかっていた。
フェイトが攻撃魔法を使えるのは、もちろん適性があったということもあるが、プレシアがフェイトに戦うことを望んでいたからという理由もある。だから自身の好き嫌いなど考えずにとにかく覚えた。では今はどうかと言えば、攻撃魔法に対する忌避感があるわけではない。ユーノを見て、フェイトは攻撃魔法に対する忌避感はないながらも、相手を傷つけることが容易にできてしまうものであるという事実を改めて心に刻む。みだりにこの力を振るってはいけない。この力は大切なものを守るために、誰かを助けるために使うものなのだと。
穏やかな笑みを浮かべるフェイトに、ユーノは居心地が悪くなったように、フェイトにもう一度やらせてほしいと頼んだ。もちろんそれに快く応じる。
「何とか誘導できるようになりたくてさ、ちょっと試したいことがあるんだ」
「もしかして、オリジナル?」
クロノ同様、魔法を『理解』しているからこそ、ユーノはオリジナルで術式を調整することがある。教えてもらっている『バインドブレイク』にしても、すでにユーノのオリジナルが入っている。しかもフェイトが使いやすいようにカスタマイズしてくれているのだ。逆に言えばフェイト以外だと使いにくくなっているわけで、フェイト専用の『バインドブレイク』と言える。
フェイトも魔法が大好きな女の子だ。オリジナルの魔法と言われると俄然興味が湧く。ユーノと魔法の練習をするようになって知ったこの瞬間は、フェイトにとって密かな楽しみだった。
「オリジナルってほどじゃないよ。誘導魔法が使えないなら、ちょっと強引に誘導してやろうと思って」
「でも『シュートバレット』はシンプルなだけに調整はもう難しいと思うけど」
クロノも初歩に分類される『スティンガーレイ』をかなり改良しているが、『スティンガーレイ』は初歩と言っても、貫通性が高く、速度も非常に速い魔法だ。調整することで発展性はかなり見込める。対して基本中の基本、初歩中の初歩である『シュートバレット』はほとんど特性もない、本当にただ真っ直ぐに飛ぶだけの魔法だ。調整するだけの余地はほとんどないはず。
「うん。だから調整というより、新たに誘導機能を付加したんだ」
「最近わかったんだけど、ユーノとクロノって同じ理論派でも少し違うよね。クロノは1つの魔法にいろんな調整を行うけど、ユーノの場合は付加してる」
「そうだね。その魔法の元々ある性能を調整することが得意なのがクロノで、僕は外部から何かを持ってきたり、根本的に変えてしまうところがあるかな」
ユーノもクロノのように調整する力はあるが、クロノには及ばない。『スティンガースナイプ』だけでクロノはユーノが知る限り10パターンも持っている。もっとあるかもしれない。クロノのような魔導師は『コーディネーター』、ユーノのような魔導師は『エンチャンター』とでも呼ぶのがいいのかもしれない。
「どんなふうに付加したの?」
「う~ん。見てもらった方が早いかな」
ユーノなら説明しようと思えばできるのだろうけれど、講義のようになるからとユーノは実際に見てもらいたいらしい。そういうことならとフェイトは早々に弾丸を生み出して発射。
ユーノが弾丸を見ながら狙いを定めて右腕を掲げる。さて何をするのか。フェイトは楽しみにしながらユーノを見ていた。
右手の先に魔法陣が生まれ、『シュートバレット』の弾丸が構成される。魔法陣にオリジナル性はなさそうだ。公式も定義も変わりはない。
「シュート!」
そのまま何をするでもなく発射。フェイトは首を傾げながらも、自身の弾丸を操作して射線上から外す。
と、即座にユーノが右手を動かす。そして弾丸はその動きに従って動いた。弾丸の周囲に環状の魔法陣を生みながら。
「へえ」
そのまま弾丸はフェイトの弾丸へと迫る。
と、そこでフェイトはちょっと悪戯をしてみる。素直に当たってやらず、弾丸を操作してさらに回避させる。
「あ、ちょ、フェイト!?」
「ふふ。さっきのお返し」
「そういうことなら!」
さらに環状魔法陣がユーノの弾丸に取り巻き、ユーノの操作で弾丸は反転。逃げるフェイトの弾丸を追いかけ始める。
上に。下に。斜めに。急角度で。時に緩慢に。
さすがにフェイトは慣れたもので非常にそつのない、鋭い動きを見せる。対してユーノはまだ不慣れなところもあるためか、反応にタイムラグがあるし、動きにもムラがある。それでもフェイトの弾丸を懸命に追いかけて。
「私、そういう意味で教えたわけじゃないんだけどなあ」
「やっぱりわかった?」
「私の得意魔法だもん。気づくよ」
そう、フェイトがユーノに教えたのは『シュートバレット』ではない。これは学校に通っていたユーノなら当然に習っているものだ。フェイトが教えたのは加速魔法『ブリッツラッシュ』と『ブリッツアクション』、そして高速移動魔法『ソニックムーヴ』。
『ブリッツアクション』は動作の速度を上げる魔法で、体の動きそのものを加速させる。『ブリッツラッシュ』はその発展型で、フェイトの動きだけでなく、弾丸の動きを加速させることもできる。
対して『ソニックムーヴ』は移動速度を上げるもの。なのはも『フラッシュムーヴ』という高速移動魔法を持っているが、『ソニックムーヴ』は『フラッシュムーヴ』より持続時間が長く、更に途中で方向転換なども可能。なのはは距離を取ったり回避するために使っているだけだが、フェイトは格闘戦の最中も使うため、『フラッシュムーヴ』では不足しているのだ。
ユーノは後衛だが、後衛だからと言って狙われないとは限らない。近接戦は苦手だから、基本的になのはのように距離を取る。だからそのためにフェイトに教えてもらっていた。加速や高速の魔法の扱いでフェイトの右に出る者は仲間内でも他にはいないのだから。
「『ブリッツラッシュ』をちょっと弄らせてもらってね。弾丸を加速させる力は少し弱くなるけど、誘導性を付加したんだ」
「ホント器用だね、ユーノ。それで、ユーノ自身にかけた場合はちゃんと動けるようになった?」
「……まだ設置した『ホールディングネット』に突っ込んでしまいます」
「先にそっちからできるようになってほしかったなあ」
「はい、すいません」
逃げたり回避したりするために教えたのに、先に弾丸操作に応用までして成功させている。器用なのはいいのだが、フェイトとしてはちょっと不満だ。なので、フェイトは悪戯をやめてやらず、ユーノが降参するまで弾丸を逃げ回らせた。
それからはユーノの高速移動魔法の練習だ。防御が強いから回避は必要ないかと言えばそうでもない。どんなに壁が強固でも破る魔法は存在する。基本的に受けるよりも回避できるなら回避した方がいいのだ。
「3、2、1で右に曲がるよ、ユーノ」
「う、うん。いいよ、フェイト」
「じゃあ、3、2、1、はい!」
「右右右右――て、ああああああああ!?」
「ちょ、ちょっとユーノ、きゃああああ!」
華麗に接地して右に動くフェイトに対し、ユーノは方向転換できずに張り巡らせてある『ホールディングネット』に突っ込む。「ぶふっ!」なんて言いながらネットに顔を埋めるユーノは、もし正面から見たら笑いを誘うことは必定だろう。それくらい、網がユーノの顔にめり込んで面白いことになっていた。さらに、手を繋いでいたフェイトまで巻き添えを食らい、ネットへ。何とかユーノのような醜態は晒さず、鍛えられた反射神経と運動神経で背中から突っ込み、反動で座り込むことなく立ち上がって見せるけれど。ユーノはお尻だけを上げながら倒れ込むという、かなり格好の悪い状態だった。
「もう、ユーノ! 全然上達してない!」
「うう……ごめん、フェイト。方向転換は上手くできてたんだけど」
「本当? 本当に練習してた?」
「ほ、本当だよ! ただその、ちょっと」
「ちょっと、なに?」
「……いやその」
「ちゃんと言って、ユーノ」
「……手を、その、繋いでるものだから」
「へ?」
「……緊張しちゃいまして」
「……あぅ」
真っ赤になって照れるユーノに、怒っていたフェイトも途端に同じようになってしまって。フェイトとて異性であるユーノと手を繋ぐのは緊張するのだが、ユーノが頑張っているのだからと意識しないようにしていた。なのにユーノの方から言われてしまったのだ。こうもなるだろう。
それからも何回か練習するが、お互いに意識し過ぎて練習にならず、挙句の果てにはフェイトまでもがミスをして躓き、ユーノを放してしまい、勢いのままネットに再び突っ込んでしまうという体たらく。
「ご、ごめんね、ユーノ!」
「大丈夫大丈夫。もう何か突っ込むのが面白くなってきたくらいだよ、ははは……」
練習にならないと2人して今日はこのくらいにしようと合意。とは言え、しばらくの間はお互いの手を意識してしまいそうで、先が思いやられる始末だった。フェイトはユーノの手の感触が残る自分の手を見下ろしていたが、同じく手を開いたり握ったりして意識しまいとしながら意識してしまっているユーノに、躊躇いがちに声をかける。とにかくこの空気を何とかしたい。居心地が悪いことこの上ない。
「ね、ねえ、ユーノ。ユーノってデバイスを使わないから、術式構成も詠唱も全部自分でやるんだよね?」
「あ、うん。そうだよ」
「……ユーノ、詠唱してないよね?」
「省いた方が発動も早いし」
簡単に言うユーノであるが、フェイトはそこがまた納得いかない。
何しろそれは、『
デバイスがやってくれるので、ほとんどの魔導師が無詠唱で魔法を使っているように見えるが、それはあくまでそう見えるだけで、実際はデバイスが詠唱をしてくれているだけ。だから本当の意味で詠唱をせずに魔法を使っているユーノは、『ノンキャストドライブ』を習得している高等技能の保持者ということになる。
「それにこの前、闇の書事件の時の戦闘映像を見直してたんだけど、ヴィータと戦ってる時、ヴィータの攻撃を受けながらもう片方の手で魔法を編んでたよね?」
「ああ、あれ? あのときはベルカ式の封鎖結界を破るために索敵魔法や検索魔法を使って結界破壊の準備をしてたっけ」
「戦いながら?」
「戦いながら」
「……2つどころか3つ?」
「うん」
うん、じゃない。そう言いたくてたまらないフェイトである。
同じ魔法を複数制御するのは、『
だがユーノがやったことは、
「え、あれ? なんで睨むの?」
「……ユーノ、ランク試験受けて?」
「へ? いやいや、僕総合でCもらってるよ?」
「もう1回受け直そう? ね? 今すぐ」
「ちょ、ちょっとフェイト、迫らないで、怖いから! バルディッシュ、フェイトを止めて!」
『Sir,
「いい子だ、バルディッシュ」
「ちょっと待って! 主従揃って何してるのさ!?」
「だっておかしいよ! こんな高等技法を普通に使えるのにCなんて! 絶対に試験でズルしたに決まってる!」
「してないよ! できないことをできるように見せかけたらズルだけど、使ってないだけならズルってわけじゃないでしょ!?」
「使おうよ! なんで使わないの!?」
「つ、使ってもあまり評価されることじゃないから……」
「マルチドライブならともかく、デュアルドライブや、ましてトリプルドライブを使えたら絶対1ランク上は固いよ!」
先ほどまでの照れはどこにいったか。フェイトはユーノに迫った。
結果としてユーノは次のランク試験で見事2ランクアップの総合Aへと昇格し、黙っていた罰として『デュアルドライブ』を教えるようにいい笑顔のフェイトに強請られてしまうのであった。
そんなことがあってからもう1年が経つ。
あの頃はこんなことになるなんて思ってもいなくて。あれだけ一緒にいることが多かったフェイトは、もうそばにはいない。
「シュート!」
弾丸を発射。緑色の『シュートバレット』が真っ直ぐに壁へと飛んでいく。壁に迫った瞬間、ユーノは手の平を返し、自らへと向かって手招きにするように動かす。
「〝ブリッツラッシュ〟!」
すると弾丸を環状魔法陣が取り巻き、手の動きをトレースするように弾丸は急上昇し、そのまま反転。速度を上げてユーノへと向かってくる。
弾丸の制御を放棄。ユーノは身を低くする。向かってくる弾丸に対し、防御魔法は使わない。
ユーノの正面、ほんの2メートルほど先には、線が引かれていた。足で引いただけの簡単な目印。
2メートル。加速させた弾丸の前には、普通なら回避は間に合わない。だがユーノは動かなかった。その線上に来るまでは動かない。そのための目印だ。
当たれば非殺傷だがそれなりに痛い。脇腹が痛む。数日前、同じ訓練をしていて弾丸がそこに当たったのだ。痣ができていて、普通にしていてもまだ痛む。フェイトに見せるように強く言われたが何とか隠し通せた、その怪我。
――『私、そういう意味で教えたわけじゃないんだけどなあ』
フェイトの顔が浮かぶ。ユーノのお願いを聞き、お返しができると喜んで教えてくれた、フェイトの得意な加速魔法。こんな無茶な訓練をするためにフェイトは教えてくれたわけではない。知れば、きっとフェイトは悲しむことだろう。怒ることだろう。
――『……ユーノ。お願いだから、本当のこと言ってよ』
この訓練のことも、『あの遺跡』のことも隠し通した。どちらも知られるわけにはいかなかった。
けれど、フェイトに嘘をついたこと、フェイトの信頼を裏切ったことは事実。隠し通せはしても、嘘をついたことはフェイトも気づいているだろう。ばれるのも時間の問題だ。その前に、方を付けなければならない。
「……〝ブリッツアクション〟!」
ごめん、とは言わない。代わりに必要以上の大きな声で魔法を口にした。
途端、ユーノの身体が高速で横に動く。2メートル。そこまで来た弾丸が、ユーノのすぐそばを駆け抜けていく。
ようやくできてきた。まだまだフェイトに比べれば遅いけれど、制御は申し分ない。
この魔法を慣熟させる上で見本にしたのは、当然だがフェイトだ。フェイトの動きをトレースするように練習した。この2年、フェイトと過ごした時間は長く、模擬戦をしたこともかなりの回数ある。フェイトの動きは目に焼き付けていた。
弾丸がさらに反転。制御はすでに放棄しているが、1年前とは違い、自動追尾機能を付加してある。魔力が持つ限り、ロックした相手を追い続ける。その弾丸を避ける。避ける、避ける、避ける避ける避ける。
「はあ、はあ、はあ……!」
汗が流れる。息が乱れる。肩が上下する。心臓が跳ねる。足が震える。目が回る。
ユーノも遺跡発掘ができる程度には体力を残しているが、それでも2時間以上もこんなことを続けていれば疲労は溜まる。まして通常の業務の後ならば尚更に。
そのとき。汗が目に入った。
「くっ……!」
ただでさえ回っていた視界。片目を閉じてしまえば心細いことこの上ない。そして向かってくる弾丸をロストしてしまって。
「うあっ!?」
横合いからの肩への鈍痛。『シュートバレット』が命中したらしい。勢いで地面に倒れてしまう。
まずい。まだ終わらない。次が来る。そう思った瞬間、反射的に自分の胸を掴む。
見えない以上、まずは距離を取れ。視界の回復が成るだけの距離を。『ブリッツアクション』では遅い。『ブリッツラッシュ』は自分自身にかけた場合、まだ上手く動けない。すぐに立ち上がって移動を。『ブリッツアクション』は維持しながら、一旦距離を。
「【デュアルドライブ】、〝ソニックムーヴ〟!」
『ブリッツアクション』で体の動きは加速させている。高速で立ち上がり、そのまま瞬時に移動。コンマ1秒、弾丸がユーノのいた場所を走り抜けた。
「く、わっと……!」
十数メートル、一気に距離を開けることに成功する。制止がまだ上手くいかず、つんのめって何歩かふらふらとするものの、1年前のように無様に転げてしまうようなことはない。
だがまだ終わりではない。
弾丸はしばし迷ったように空中をウロウロしていたが、追尾機能がユーノを発見したらしく、再び高速でユーノに向かってくる。対し、ユーノは腕を掲げる。即座に浮かび上がる魔法陣。生み出すのは――もう1発の弾丸。
「〝ソニックムーヴ〟解除。〝シュートバレット〟、シュート! 【デュアルドライブ】、〝ブリッツラッシュ〟!」
新たな弾丸にも発射と同時に『ブリッツラッシュ』をかけて加速と誘導性能を付加。そのまま弾丸は向かってくる弾丸と真正面から衝突! 空中で魔力の火花を散らしながら鍔迫り合いのように押し合って……弾かれる。上下に弾かれた弾丸は、今度は2つ揃ってユーノへと襲いかかる。
弾丸の制御を放棄。自動追尾へ。〝ブリッツアクション〟解除。〝ソニックムーヴ〟再起動。2つの弾丸を高速移動で回避。さっきよりもさらに距離を取る。やはりフェイトのようにその場所でピタリと止まることはできなかったが、地を滑りながらも何とか転ばずに止まれた。が、感慨に浸っている場合ではない。すぐに振り向く。弾丸は無慈悲に疲れ切ったユーノへと再突撃。それを躱しながら、ユーノは苦しくなってきた呼吸に歯を食いしばりながらも最後の訓練に入る。
「げほっ、ごほっ……! はあ、はあ、そ、〝ソニックムーヴ〟解除。〝チェーンバインド〟!」
今度は得意のバインド。速度と拘束力の高い『チェーンバインド』だ。それを2本生み出して同時操作。しかし、2つのバインドを弾丸は軽く避けていく。フェイト直伝の『ブリッツラッシュ』がかけられているのだ。当然だろう。そんなことは百も承知だ。だから――
「【デュアルドライブ】〝ブリッツラッシュ〟!」
2つのバインドに加速魔法をかける。すると環状魔法陣がバインドの先端に生まれ、蛇が得物を定めたかのように一気に速度を増したバインドは背後から弾丸に追いつき、拘束する。
ユーノはさらにバインド生み出し、過剰なほどに弾丸を拘束していく。その鎖、じつに10本以上。
そこでユーノは鎖をすべて握り締めた。そしてユーノの手から魔力が鎖を通って弾丸を捉える先端へと奔る。すべての鎖を伝って。そしてそれらもまた、〝ブリッツラッシュ〟によって高速で。魔力はそのまま先端へ到達。合流した魔力は、ユーノが事前に組み立てていた術式を起動させる。
「【トリプルドライブ】――〝バインドブレイク〟」
ダメ押しの複数魔法3種同時制御。
フェイトにも教えていた、ユーノも得意とする『バインドブレイク』。
ただしこれは、通常の『バインドブレイク』ではない。いつかフェイトにも教えたことがある、昔の結界術に使われていた、とある危険な法則。無理に破壊すれば、全方位に衝撃を飛ばして周囲に甚大な被害を齎すため、『フレイジャーの定義』で抑えられている法則。その定義を、故意に外したもの。
10本以上のバインドを、そんな危険な法則を抑える定義を外したままの『バインドブレイク』で破壊する。
「これで……終わりだああああああああ!」
鎖を思い切り引き絞る。それが合図となって――炸裂!
瞬間的に『シュートバレット』の弾丸を砕き散らせ、さらにバインドが先端から次々に鎖を伝って連鎖的に爆発していく。弾き飛ばされた魔力は術式によって数倍の衝撃波に増幅され、周囲のものを吹き飛ばす。それは、ユーノでさえも例外ではない。
「うわああああああああ!」
手元まで爆発が及び、ユーノは咄嗟に鎖を手放したものの、続く衝撃波からは逃れられない。ユーノの身体は木の葉のようにいとも容易く吹き飛ばされ、数秒の滞空の後、地面に強かに打ちつけられて。
「がはっ!」
ゴロゴロと転がり、舞い散る砂埃の中、ユーノは息ができない苦しさと体中の痛みにその場で悶える。
「あ、が……ぐ、はっ……げほっ……う、うぐ……」
かろうじて仰向けの状態からうつ伏せへ。腕を支えに体を起こす。
おぼろげな視界。その先に映ったのは。
小規模ながらも、これまでのユーノならばできようはずもなかった、クレーターのように穿たれた地面。
「はあ……はあ……で、できた……」
力を抜き、倒れ込む。そして再び仰向けになって。爽やかさも何もない無機質な訓練室の天井を見上げる。
何度も練習し、なかなか成功しなかったこの魔法。『トリプルドライブ』を使えることが前提で、この危険な『ベルニッツの法則』を知っていなければ成し得ない威力。最後の発動まで時間がかかって現実的ではなかったが、それもフェイトから教えてもらった加速魔法のおかげで、ついに申し分ないレベルになった。どんなに頑張っても攻撃魔法は『シュートバレット』2発制御までが精一杯だったユーノが、何とか生み出した必殺の攻撃。
複合攻性捕縛魔法――〝アレスターチェーン〟
「……これを完全にものにすれば、挑める」
あの遺跡に。
まだ公式には見つかっていない遺跡に。
2年、いや、もうすぐ3年前になる、ジュエルシードを発掘した旧トライアン皇国の遺跡で発見された古文書。そこに記されていた、ジュエルシードを基にした、別のエネルギー結晶体。それのことはずっと頭にあった。あったけれど、使うことはさすがに許されないと思っていた。けれどもう、『嫌われてでも為すべきことがある』と覚悟を決めた。
古文書を解読し、無限書庫の未整理区画を検索魔法の過剰行使でトライアン皇国の情報を見つけ出し、遺跡の位置を割り出すことに成功。ただ、資料によれば、安置されている物が物のため、罠や傀儡兵などの防衛機構はかなり強力らしい。ジュエルシードを発掘した際、その遺跡の防衛機構は問題などまるでないように動いていた。さすがは技術大国トライアン皇国と言うべきか。
攻撃魔法が、どうしても必要だった。だが誰かに頼るわけにはいかない。
だからこそ。この魔法の習得が必要だった。
「絶対に、手に入れるんだ」
トライアン皇国が遺したロストロギアを。ジュエルシードを基にした、願いを叶えるその結晶を。
あの日、フェイトが見てしまった、ユーノの机の上にあった資料。フェイトはその1枚だけを見ただけだから、肝心の情報を手に入れることはできなかった。
――『ジュエルシードは次元干渉型のエネルギー結晶体であるが、望んだ内容を非常に単純な手法で限定的に叶え、かつ過剰な威力を発揮する。『背が高くなりたい』という願いに対し、高層ビル並みの巨大な体になってしまうなどがいい例であろう。このように、元の姿を失ったり、理性を失ったりと、どのような代償を負うかもわからないことも、このロストロギアの危険性を示すものだ。スクライア一族がこのジュエルシードの発掘を行った際、この代償の点を改良したと見られる別のエネルギー結晶体の存在を示唆する古文書が共に見つかっており、聖王家などの有力国家が乱立した覇権戦争の最中もトライアン皇国が中立を保っていられたのは、皇国が技術大国であったためという説を裏付けるものと見られる』
――『だが如何に技術大国トライアン皇国と言えども、ジュエルシードよりは程度がはるかに低いとは言え、その分、正確に祈願を成就させることができるこのロストロギアは、並大抵の代償では発動できなかった』
――『
――『しかしこのロストロギアを、皇国は自国にまで及び始めた戦火に対し、使用を余儀なくされた』
――『トライアン皇国は何とか侵略する敵国を退けたが、その代償はあまりにも大きく、皇族も皇国民たちもほぼすべての記憶を失い、聖王家によるベルカ全土統一を目前とした、そのわずか3年前に、静かに滅亡していった』
――『このロストロギアは、基となったジュエルシードに倣ったのか、古文書にも次のように記されていたため、私たちもこのロストロギアをそう呼称したい』
――『イデアシード、と』