リリカルなのは ANOTHER LOCUS   作:ウルフ中隊

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INTERLUDE 3

 

「そうか、それは何よりだ。君には期待しているよ」

 

 通信画面の先で礼をする少年に柔和な表情で返し、すっと手を立てて少年の礼に応じながら部屋の主は通信を切った。その所作1つにも貴族のような気品が漂う。

 時空管理局の制服は、本局と地上本部ではデザインが違う。青と白を基調とした本局と、ブラウンで統一した上下服の地上。さながら海や空の青色と、空に浮かぶ白い雲を感じさせるような組み合わせと、砂――大地を意識させるようなブラウン。当初よりはっきりと分かれていたデザインは、当時としては本局と地上を隔てるような意図はなく、まさに前述の『陸』や『海』、『空』を意識しただけに過ぎなかった。だが両者が険悪となった今では、まるで旗印のように互いの所属を一見して明確にする意味を持ってしまっている。とは言え、現場レベルではまだ本局と地上部隊はそれほど仲が悪いわけではない。現場レベルで仲が悪いのはほんの一部だ。問題は高官クラスでのいがみ合い。その高官クラスは等しく青と白を基調とした制服が基本ときており、何とも皮肉なものであった。一部の地上の高官は、高官クラスも制服を分けるべきと主張しており、階級にしても将官以上は陸・海・空を分けていない現状を、はっきり区分けするよう求めている。

 

「…………」

 

 例外的に許されているのが、執務官のような特別職で、彼らは黒を基調とした制服だ。

 執務官ではないが、執務官以上の特別職にある部屋の主もまた、黒い制服に身を包んでいる。身分を示す階級章がシャツの襟についているだけで、勲章などは付けていない。ただ1つ、左胸のポケットにつけた逆三角形のバッジ以外は。椅子から立ち上がった彼は、背後の窓から外の景色へと視線を移す。

 本局の外は味気ない次元空間だが、この窓からは本局内部の街並みが一望できる。設定されているミッドチルダ首都クラナガンの標準時では夕刻の時間帯。本局では一部の区画を除き、擬似的な人工の灯が朝焼けや昼間、夕焼けから夜の暗さを演出する。朝も昼も夜もない次元空間でも視覚的に時間の経過をわかりやすくすることで、生活のリズムを整えるためだ。

 彼はその仕掛けが、嫌いというわけではなかった。ミッドチルダの技術でなければもっと好きになれたかもしれない。ベルカであればより一層。

 窓に映る自らの目……街並みを眺める中に見下しの色が籠もっていることに、彼が何かを思うことはない。無意識のうちにそうなるものだから。

 その視線がおもむろに持ち上がった。そして身体ごと振り向く。机の上の通信機器が呼び出し音を鳴らしていた。

 

「――何かね?」

『ベルニッツ顧問官。ノース・ミッド・グランダー・インダストリーズCEO、シェーン・ホフヌング理事官がお越しになりました』

「通してくれ」

『かしこまりました』

 

 飲み物をお出しします、という秘書官に、時空管理局知識顧問官アシュレイ・ベルニッツは、その要はないと断った。顧問官同士の話があるからとむしろ人払いを任せ、備え付けの冷蔵庫から1つの瓶を取り出したところでノックされた扉に「入ってくれ」と応じた。

 

「失礼いたします」

 

 楚々とした足取りで入ってきた女性は、冷蔵庫を閉めながら瓶を掲げて笑うアシュレイに迎えられる。アシュレイとは対照的な、白いスーツを着こなした彼女は、白人種ということもあってとても眩しくアシュレイには映った。掌を差し出して机の前のソファーへと誘い、アシュレイもグラスを2つ用意して彼女の対面に座す。

 

「いつも遠路はるばる、すまないな」

「大したことはありませんわ。ミッドの地上本部からは転送で一瞬ですもの」

 

 解けば背中に流れるくらいのブロンドの髪を首下で束ね、右肩に乗せるようにして前に流す。その所作はアシュレイに負けず劣らずの優雅さを醸し出している。ミッドチルダ首都クラナガンの郊外に本社を構える巨大多界籍複合企業『ノース・ミッド・グランダー・インダストリーズ』の最高経営責任者(CEO)にして、時空管理局の財務顧問官に理事官と要職を兼ねる、次元世界においてキャリアウーマンと言えばこの人とさえ言われるシェーン・ホフヌング。

 そんな彼女の胸ポケットにも、アシュレイと同じバッジが光っていた。

 

「その恰好ということは、理事官や顧問官としてではなく、CEOとしての商談だったのか?」

「ええ。ミッド地上のゲイズ閣下と例の兵器に関して」

 

 瓶の栓を開け、アシュレイはシェーンのグラスに中身を注いだ。炭酸の心地良い音とレモネードの香りがふわりと漂う。シェーンのグラスに注ぎ終えると、自分のグラスへも。

 

「どうだった?」

「あれほどの巨大兵器に対して費用が安いことを疑っておられましたわ」

「ふむ。手抜きの欠陥品でも渡されてはたまらないというところか。私が見る限り、あれは戦闘機人や人造魔導師などから目を逸らすための囮ゆえ、多少手抜きでも良いと思うのだが」

「隙なく完璧に作られていれば、それがまさか囮とは思わない。そういうことではないでしょうか?」

「なるほど。一理ある」

 

 先の公開意見陳述会にて地上本部が明かした地上防衛用の三連装砲塔を持つ巨大兵器。通称『アインヘリヤル』。その開発と製造先に選ばれたノース・ミッド・グランダー・インダストリーズのCEOとして、この巨大ビジネスの交渉にシェーンが直に当たっている。

 アシュレイはグラスの底を押して机の上をスライドさせ、グラスをシェーンへ。シェーンは小さく会釈し、グラスを持ち上げて顔に近づけた。

 

「――あら。このラドラー、ベルカ産ですわね。それも特一級のものではありませんか」

「香りだけで気付くとはさすがだな」

 

 ビールにレモネードを1対1の割合で混ぜたアルコール飲料。ベルカ自治区と言わず、今ではミッドチルダ以外の次元世界でも飲まれるほどよく知られたものである。しかし本場ベルカのビールにベルカでは最も希少な種のレモンを使ったレモネードを混ぜたこれは、最も値の張るものだった。当然甘みがあり、アルコール度数も2~3%程度。キャリアウーマンにしては少々似合わないかもしれないが、シェーンはラドラーの愛飲家であった。

 

「まさか次元世界にポツンと浮かぶ箱庭でこんなラドラーが飲めるなんて思いにもよりませんでしたわ。如何されたのです?」

「いやなに。いろいろと便宜を図ったことへの御礼ということでね」

「グラシア公爵家のご令嬢とアコース侯爵家のご子息ですか。納得いたしました。ですがベルニッツ様のお口には少々合わないのでは?」

「そんなことはない。偉大なるベルカが生んだ一品。私にとってはミッド最高級の酒にも勝る」

「同感ですわ」

 

 チン、と小気味よい音を鳴らしてグラスを合わせ、2人して飲み干す。程よく冷えたアルコールと甘みに、ゆったりとした吐息を漏らす。息が合ったように同じタイミングで。アルコールのせいか、そんなお互いに愉快な気分になってきて、構わず笑った。

 職場でアルコールを、それも顧問官が揃って、というところだが、もう定時は回っている。2人は共に酒には強く、一瓶空ける程度では酔ったうちにも入らない。それでも問題は問題なのだが、このくらいの『祝杯』、上げたくもなるというもの。

 

「話を戻すが、その商談、つまりは地上がもっと金を積んできたということでよいのか?」

「ええ。まず試験用に小型のものを3基とのことでして」

「3基? 試験段階で3基もいるかね? 戦闘機のようなものなら確かに複数作るが」

 

 戦闘機は戦闘以外に偵察など複数の使い方ができるため、そのマルチロールな試験に応じるために試験機として複数機生産することが多い。しかし『アインヘリヤル』のような巨大兵器、試験段階で複数作るのは割に合わないはず。

 

「……現時点ですでに正式採用の目途が立っているということか?」

「その辺は濁されましたわ」

 

 最高評議会の面々も『アリンヘリヤル』にはどちらかと言えば懐疑的であったようにアシュレイは受け取っている。『アインヘリヤル』は見た目がどうしても質量兵器だからだ。最高評議会にとって魔導戦力の占有による一極支配を揺らがせる可能性のある質量兵器は、決して存在を許せぬもの。『アインヘリヤル』に対する世論の批判も強い中では、正式配備には及び腰になるはず。

 

「レジアスお得意の『既成事実化』といったところか」

「ゼスト隊が回収し、現在は局員の庇護下にある2体の戦闘機人について知らないはずもないでしょうし、黙認していると見るべきです。であれば、『アインヘリヤル』も同じかもしれませんね」

 

 強引な戦力増強には批判が根強かったが、レジアスはそれを押しきり、結果として地上の検挙率アップを成し遂げている。結果で物を言うレジアスについていく者、賛同する者も少なくないし、当初は批判していたメディアや識者の中にも賛成もしくは様子見に傾く者が後を絶たない。

 最高評議会としても戦力強化そのものには賛成しているし、レジアスの責任で様子を見るつもりかもしれない。

 

「私は管理局の理事官であり財務顧問官でもありますから、局の支出に関しては厳しく精査し、理事会や評議会にて意見せねばならない身。癒着があると思われると厄介ですので、ヴェルナー・ノア・エンタープライゼスとの共同ということで受注するつもりです」

「賢明だ。ヴェルナー社はAAアビエーションプラント技術を持っていたな」

「ええ。この技術は安価な大量生産に向いています。『アインヘリヤル』そのものは大量生産に向きませんので、必要な部品を彼らに生産させ、我が社にて組立てを行います」

「承知した。それで? 私は賛成すればよいのかね? それとも反対か?」

「中立的なお立場で、知識顧問官としてメリット・デメリット双方を明示していただけると助かります」

「会計顧問官は本局出身者だから反対、技術顧問官は地上出身者だが中立的な傾向が強かったな……」

「はい。そして何より、法務顧問官があの3提督の1人、レオーネ・フィリスです。彼は反対でしょう」

「ということは、理事会や顧問団としてはまだまだ反対の流れが主流、ということにしておきつつ、メリットの提示で正式採用の余地は残しておくということでよいのだな?」

「その通りです」

「承知した」

 

 アシュレイはベルカ出身であり、強硬派で知られる『ラルド派』に属する。本気でラルド卿に従っているわけではないし、家系的なしがらみで繋がっているだけで、ラルド卿からも距離を置いているというのは知っている者は知っている事実。それでもベルカの人間である以上、ミッドチルダを中心とした時空管理局の更なる戦力強化に反対を示すと見る者は多かろう。にもかかわらず、中立的なスタンスであくまで顧問として知識を明示するに留まれば、変に疑われることも、時空管理局と聖王教会のどちらの肩も持たない顧問官だという清廉なイメージを損なわずに済む。

 瞬時に思考を巡らせ、シェーンの依頼にすぐに頷く。

 

「とは言え、最高評議会が裏からどう指図をするかは知らないがね」

「ええ、存じませんわ。私たち理事官や顧問官は局の部署や部隊への指揮命令権を持ちませんし、局の意思決定に自らの意思を反映させることはできませんもの。ましてや裏でどのような指示が出ようと、私たちが関知するところではありません」

 

 理事官や顧問官はあくまで相談役。直接的に時空管理局の運営に関わることはできない。

 どれだけ個々人の影響力が強かろうと、直接的には。

 とは言え、実質的な話をすれば、影響力や人脈というものはいつの時代、どこの世界、どんな組織だろうと、人の集まりである以上、違いはそうない。

 

――そのように仕向けるなり、意図した通りに動くように、流れを誘導すればいい。

 

 豊富な語彙で語りかけ、言葉巧みに騙ればいい。

 最高評議会の面々は150年以上を生きる存在。が、その程度、アシュレイたちからすれば他と大差はないのだから。

 

「我がベルカ、いえ、祖国の技術を以ってすれば、『アインヘリヤル』3基分の費用で4基作れます。余剰分の資金と資材は効果的に使わせていただきませんと。おかげで同胞には予定より充実した武装を用意できそうですわ」

「それは重畳。バッベルも助かるだろう」

「ええ。『フッケバイン』の追撃で『暁の鷹』にもそこそこの被害が出ていたようですし、管理局が『暁の鷹』に対する特務部隊を増強しておりますからね。彼らにも対抗できるだけの人員と武装の補充・強化が必要でしょう」

 

 クロノの一件で、その場から逃亡したジェイルの戦闘機人はベルカ聖王教会の教会騎士団第三部隊が、同じく逃亡したカレンたち『フッケバイン』を次元世界最大規模のテロ組織『暁の鷹』が追撃していた。残念ながらどちらも逃がしてしまったようだが。

 

「『世界を殺す猛毒』などと分不相応なことを叫ぶだけはある、というところでしょうか」

「左様。グラオの1人から逃げおおせたことは褒めてやって然るべきだろう」

 

 次元世界を股にかけ、時空管理局・聖王教会を始め、各世界政府から財界、はては同じようなテロ組織まで、すべてを敵に回して恐れられる、危険度最高ランクに位置づけられる巨大テロ組織『暁の鷹』。これを率いるアーネ・バッベルという男は、ジェイル・スカリエッティにも並ぶ次元犯罪者として指名手配されている。

 彼にはもう1つの顔があった。

 『グレイバック』メンバーの1人、〝グラオファルケ(灰色の鷹)〟という顔が。

 

「シュナイダーは今回、いい所なしですわね」

「そう言わないでやってくれ。ラルゴという暗愚を抑えるのに日々苦労しているのだよ。今はハイメロートが暗愚のそばにいるから、彼の肩の荷も多少は軽くなるだろうがな」

 

 バスティアン・シュナイダー。ベルカ聖王教会騎士団第三部隊『ゲルプ隊』隊長。

 クロノの救援に向かい、そのままジェイルの戦闘機人の追撃に移った彼もまた、『グレイバック』メンバーの1人。〝グラオヴェスペ(灰色の蜂)〟のコールサインを持っている。

 そして先日まで時空管理局の理事官を務め、グラシア公爵家の令嬢たるカリム・グラシアに理事官の座を明け渡したミヒャエル・ハイメロート。彼は今、『グレイバック』がいい隠れ蓑として利用している、ベルカ強硬派盟主であるヴァルデマー・ラルド卿のそばについている。『グレイバック』の〝オヴニル〟として。

 

「それで、逃げた両者の行方は?」

「エンケに追跡を依頼している。優先するのはジェイルの方だ」

 

 世界中の情報を収集する裏の情報屋にしてブローカー、ハンノ・エンケ。カレン・フッケバインにも情報を与えていた彼こそ〝グラオカーター(灰色の雄猫)〟である。

 

「『フッケバイン』の方はよろしいのですか?」

「監視は続けておく。今回の一件でカレン・フッケバインがジェイル・スカリエッティとの接触を図ったことが気にかかる。どのような会話があったか、取引の類でもあったのか……魔力分断の件も合わせ、優先度は高い。が、今はジェイル・スカリエッティの方が最優先と判断した」

「それがよろしいかと。魔力分断についてはこちらでも解析を続けております。今回得られたデータは貴重ですわ」

「管理局も教会もそれぞれで解析を行っている。管理局の方での解析データを渡しておこう。教会の方の研究成果はハイメロートから回してもらうといい」

「ありがたく頂戴いたします」

 

 情報が入った記憶端末を受け取り、シェーンはしばし端末に目を落としたのち、カバンへと入れた。本当はすぐにでも見たいのだろう。シェーンは技術者としての顔もある。すぐに見てみたいという欲求が表情に現れたのを、アシュレイは見逃さなかった。

 今のところ、時空管理局と聖王教会の技術協力は限定的だ。本局と聖王教会は友好関係を持っているとは言え、一定の距離は必要なことだし、互いに牽制し合ってもいるところ。聖王教会は聖遺物盗難事件で影響力を落としており、時空管理局に協力を要請する見返りに、カートリッジシステムや融合デバイス関連の情報を渡す羽目になった。現在、唯一の融合デバイス持ちである八神はやてが時空管理局に所属してしまっていることもあり、聖王教会は技術的・軍事的優位性を失いつつある。時空管理局が現在水面下で行っている融合デバイスの研究に、聖王教会も何とか協力という名目で関わっているのは、時空管理局に融合デバイス技術で先を行かれるわけにはいかないからだ。

 一方で、魔力分断に関する研究は、時空管理局と聖王教会に技術協力関係はない。どちらも互いを出し抜くために個々で研究を行っている。今回のクロノの一件で得られた魔力分断の情報は、互いにとって非常に有益なものとなった。

 

「魔力分断については戦乱期に研究していた国家があったと記憶しております。聖王家はAMFを用いた戦略・戦術を得意としましたが、これに対抗する形で」

「やはり何らかの生体兵器か……ともかく今後の戦場では魔法の無効化が主軸になってくることは間違いあるまい。AMF然り、魔力分断然り」

「それでも管理局が魔法を主体とするという絶対方針を曲げることはないでしょうね」

「最高評議会の支配体制が揺らぐからな」

 

 魔法は誰もが使えるものではない。対して質量兵器は誰もが手にして振るうことができる力。

 ゆえに最高評議会は質量兵器を禁じ、魔法を唯一の武力行使の手段とした。そして絶対数が限られた魔法の使い手、つまり魔導師たちを次々に時空管理局が確保してしまうことで、誰も抗えない状況を作り出した。弊害として魔導師ランク制度に見られるような魔法至上主義が蔓延ってしまっているが、最高評議会にとっては無視していいことなのだろう。

 この支配体制は変わらない。まして長年をかけて作り出したこの自分たちに都合のいい状況を変えることは今後もないだろう。

 

「いち早く我々は対抗策を講じ、対処可能な態勢を取らねばならない」

「敵の魔法無効化を突破し、できればこちらは敵の魔法を無効化できるといい。どこの世界だったか、矛と盾の話を聞いたことがありますが、なかなか両立させるのは難しそうです」

「技術者としては挑んでみたくないか?」

「それを言うのは卑怯というものでしょう、ベルニッツ様」

「はっはっは! 君の腕に期待すると言っておこう」

 

 シェーンの技術者としての矜持を刺激すると、シェーンは気の強そうな、少しばかり吊り気味の目を細めてアシュレイを見据える。『グレイバック』が1人、〝シャンツェ〟のコールサインを持つ女史の威圧はなかなかのものだったが、アシュレイはむしろその変わらぬ威圧にこそ満足したように笑うのみ。

 

「しかしこの魔力分断、いったいどこで手に入れた力でしょうね?」

 

 睨んでみたところでアシュレイには通じない。シェーンは諦めたように話を変えた。別段怒っていたわけでもないので、気にするほどのことでもない。

 

「それも調べねばならん。が、如何にエンケと言えどもすべてを同時に調べはできまい。なに、まだ魔力分断を使える者は『フッケバイン』を含めて僅かだ。今はAMF対策の方が肝要。『聖王のゆりかご』の件もある。それらの意味でもエンケにはジェイル・スカリエッティの情報収集と捜索を優先してもらう」

「とは言え、私たちも何もしないままとはいかないでしょう。手持ちの駒を使って探ってみたいと考えております」

「何か思い当たることでもあるのかね?」

「ええ。よくはわかりませんが、ちょっと財界の動きに気になることが」

「ほう。どのような?」

「軍需に携わる企業は我が社では常にマークしております。まあ、どこでもやっていることではありますが、産業スパイというものですね」

 

 有能な人材を見つけ出してはヘッドハンティングを仕掛けたり、会社の情報を聞き出したり。サイバーだけではなく、こうして直接人を介した諜報活動は次元世界でも変わらない。

 現在、ノース・ミッド・グランダー・インダストリーズがライバル視するような軍需企業はいくつかある。

 ゼネラルリソース。

 ニューコム。

 カレドヴルフ・テクニクス。

 ヴァンデイン・コーポレーション。

 ヴェルナー・ノア・エンタープライゼス。

 アックス&ハンマー・プレシジョン・インスツルメント・インダストリー。

 いずれも時空管理局に武装・兵器・システムなど、多くの分野で関わりを持っている。

 

「最近、ヴァンデイン・コーポレーションが勢いを落としておりまして。正直、警戒レベルを落とそうとしていたのですが」

「気になることがあると?」

 

 主力事業であるデバイスで新興企業のカレドヴルフ・テクニクスにシェアを急速に奪われているヴァンデイン・コーポレーション。警備装備や特殊車両の開発で何とか持っているが、落ち目であることは否定できない。

 

「今はまだ噂程度なのですが、新たなクリーンエネルギー開発にシフトするというものがあります。産業スパイからの報告では、社内でもそれがどんなものかあやふや。なのに研究資金をかなり注ぎ込んでいることがわかりまして。社内でも根拠どころかどんなものかさえ明白でないものにそれだけ資金を注ぎ込むという点は理解しかねます」

「確かに」

「有益であるのならば、我が社が買収に乗り出すなり、資金援助を行うなりという手もあります。有害であるのならば……」

「管理局による強制捜査、合法的に行うことが難しければ『暁の鷹』を使って排除か」

「はい。魔力分断と関わりがあるかどうかはわかりませんが」

「承知した。そこは君に一任しよう」

「お任せを」

 

 時空管理局であろうと聖王教会であろうとジェイルであろうと他の誰であろうと、自らを上回る存在など許してはならない。

 偉大なる祖国こそが、この世界の至高の存在にして盟主足りえるのだ。

 

「ジェイル・スカリエッティ……やはりアルハザードに連なる者なのでしょうか?」

「まだ確証と呼べるものはない。個人的な推測を述べるのならクロなのだが」

 

 再びラドラーを注いだグラスを手にし、顔の前に立てながらアシュレイはシェーンへと顔を向ける。シェーンの碧眼が揺れる液体の先で揺らいでいるが、視線の強さは液体などで軽減されることはない。

 

「今も昔も、アルハザードの技術は我々にとっても脅威です。あの男を捕らえるなり殺すなり利用するなり、何にせよ勝手をさせるわけには参りません」

「左様。あの男がアルハザードに連なる者であろうとなかろうと脅威であることに変わりはない」

 

 最高評議会との繋がりはクロノの一件で確定した。最高評議会に対してはこのままアシュレイが情報収集に当たるが、手っ取り早いのはジェイルに接触することだ。ヴェロッサから得た情報では、ジェイルは最後に『何者か』の関与を確信していた様子。ただの天才科学者ではなく、物事の本質を見通す、物事の裏にあるものも見逃さない観察眼・洞察力も併せ持っている謀略家でもある。『聖王のゆりかご』についても確保せねばならないし、奪われているとすれば奪取せねばなるまい。放置するわけにはいかない。

 

「『暁の鷹』の方で製造した2体の『モルガン』の様子はどうだ?」

「ADFX-01と02ですわね。順調に人間社会に馴染んできているようです。ナカジマ捜査官の使っていた格闘技……ストライクアーツでしたか? 習得しつつありますわね。後天的に戦闘技術を学ばせるに当たって、貴重なデータですわ」

 

 ジェイルが公開した技術を用いて『暁の鷹』の方で製造した2体の試作戦闘機人。『グレイバック』では統一名称として『モルガン』と名付けている、機体番号『ADFX-01』及び『ADFX-02』。戦闘機人などの違法開発関連を追っていたゼスト隊が保護し、ナカジマ捜査官が引き取り、それぞれギンガとスバルという名前を与えられているらしい。試作とは言え、それでもかなりの出来。とてもではないが、今まで『グレイバック』が持つ技術でも生み出すこと叶わなかったレベルだ。これほどのものを開発してしまうジェイルを『グレイバック』が警戒しないはずがなかった。

 

「量産はできそうか?」

「まだ量産には少しかかりますわね。おそらくスカリエッティも量産にまでは至っていないでしょう。今回出てきた2体の戦闘機人も、おそらくは量産型ではなく量産に至る試作の最終タイプというところでしょう。であればこちらも『モルガン』をより発展させた新型戦闘機人『アドラー』に注力すべきかと」

「よかろう。重点的に進めてくれ」

「そのつもりですわ」

「うむ。それと、戦闘機人よりは性能が下がるが、人型戦闘機械の方はどうだ?」

 

 戦闘機人は人間を素体として機械を入れ込んだ、いわばサイボーグであり生体兵器に分類される。それだけに批判も根強く、大量生産も難しい。

 一方で、人間の形をしているものの、完全な機械である人型戦闘機械については戦闘機人ほど倫理に抵触することもなく、費用も手間も少なくて済むだけに、大量生産にも向いており、すでに開発が試みられていた。カレドヴルフ・テクニクス社も時空管理局から先日、主契約先企業として選定されたばかりで、これから開発に入っていくことになる。

 ノース・ミッド・グランダー・インダストリーズはこの受注競争に名乗り出ていない。ただ、社内では密かに開発が進んでいる。『Z.O.E.計画』という計画名の下で。

 

「カレドヴルフ・テクニクス社の『ラプター』の仕様書は入手済みです。密かに開発中の『ファルケン』は試作段階ですでに性能で上回っています。2~3年のうちには配備できますわ」

「結構」

 

 量産はできないが強力な戦闘機人『アドラー』と、戦闘機人には劣るものの量産が可能な人型戦闘機械『ファルケン』。『ファルケン』を『アドラー』の護衛かつ手駒として使い、『アドラー』は指揮官としても機能させる。時空管理局や聖王教会と比べると、どうしても数的劣勢が否めない『グレイバック』としての組織的問題をクリアするためにはどうしても必要な計画だった。

 

「ところでベルニッツ様、フロゥは変わらず執務官をしているようですが……よろしいのですか?」

「今はね。いつも通りに過ごすよう指示している。今は彼女を下手に動かさない方がいいだろう」

 

 機嫌の良かった顔に若干の懸念を浮かばせ、グラスを置きながらシェーンは問う。アシュレイはもっともな懸念に、背中をソファーの背もたれに預けながら腕を組みつつ答えた。

 時空管理局執務官の顔を持つ〝グラオオルカ(灰色のシャチ)〟ことフローリアン・ハルツォクは、ヴェロッサに頭の中を思考捜査されたことを失態と受け止めている。とは言え、これは完全に予想外。フローリアンだけの責任とするのはアシュレイにも気が引けた。そもそもヴェロッサを近づけたのはアシュレイなのだから。

 

「アコース侯爵の倅とは先ほども通信していたが、何かしら不審を抱いている節はない」

「2つのレアスキルも相まって隠密としての能力は非常に高い少年です。交渉事もグラシア公爵や彼の令嬢にも負けず劣らず。ベルニッツ様と言えども油断なさいませんよう」

「忠告に感謝する。だが一度直に会ってみねばな。あの小僧の心に巣食うものはグレアム同様、利用できる。何より今回の件で『アースラ組』の信用を得ることができたと見ていいのは大きい」

「八神はやて、ですか」

「そうだ。あの小僧にとって八神はやての存在はなかんずく無視できまい。何でもないように振る舞おうと、今だ『夜天の書』を『闇の書』と呼んでしまうあたりが若いな」

 

 ヴェロッサの父であるアコース侯爵は、前々回の闇の書事件の際、秘匿作戦で戦死している。命令を出したラルド卿は情けないとアコース侯爵を今でも侮蔑しており、ヴェロッサもかつては周囲の冷たい視線に晒され、人間不信や復讐心に溺れていたらしい。グラシア公爵に引き取られてからはすっかりそんな影も消えたようだが、それは見た目だけ。まだまだあの少年の中には暗い影が残ったままだ。グレアムがそうであったように。

 

「とにかく、ハルツォクはしばし動かさん。職を辞することも考えたが、表向き、特に失態を犯したわけでもないのに辞職などしてしまえば、逆に怪しかろう」

「それは同意いたします。ただ、ジェイルを追う執務官たちを統括する立場であるフロゥを動かせないのは痛いですね」

「致し方あるまい。執務官という立場はなかなか便利なものでもある。焦って事を仕損じることの方が痛手だ」

 

 フローリアンの元にヴェロッサがあれ以来接触してくることもない。ヴェロッサはクロノの一件に関してのみ思考を捜査させてもらったとのことだったから、本当にそうだった可能性もある。『グレイバック』のメンバーやその目的などを知られた可能性は低い。

 ただ、低いだけでゼロではない。ゆえに警戒は怠れない。特にヴェロッサとの物理的接触は要注意だ。

 幸いにもフローリアンがジェイルを追う執務官たちを統括する立場であることに変わりはない。彼女がジェイルを追ったとしても職務をこなしているだけと言える。今すぐに何かしらの問題が起こるわけではない。いつも通りにしていればそれでいい。

 

「ハイメロートの理事官からの失脚と、ハルツォクの問題。損なったこと、懸念すべきことはあったが、総括すれば今回の一件は損失に見合うだけの、いや、それ以上の成果を得られたと見てよかろう」

 

 ラドラーをそこで一気に飲み干す。シェーンは甘い酒などアシュレイの口に合わないのではないかと言っていたが、ベルカのものであれば甘かろうが辛かろうが構うことはない。自分が好きなものを相手も好んでくれればシェーンとしては言うことなどない。アシュレイの言葉に頷きながら、彼女もまたラドラーをゆっくり、しかし息継ぎなしにグラスを空けた。

 

「ジェイル・スカリエッティと最高評議会の繋がりに確証を得られたこと。魔力分断の情報を得られたこと。3提督と八神はやてへの接近。そして予想外も予想外であったが、イデアシードの発見と確保、そして封印が成ったこと。これらはいずれもここ最近ないほどの大成果だ」

 

 事の大きさを今一度実感するかのようにアシュレイは背もたれに身を完全に預けながら目を閉じる。元々はジェイルと最高評議会の繋がりの確証だけでも得られればよかったのだから、これは損失を含めて考えても大金星と言ってよい。

 

 

 

「我らが祖国の生み出した偉大なる力――『ヒドゥン』をかろうじてとは言え抑えたロストロギア。これを発見し、封印できたことは実に僥倖」

 

 

 

 かつて実験として用いた際、辺境の皇国はジュエルシードを模倣して作ったイデアシードを以って『ヒドゥン』を退けた。皇族も国民もすべての記憶を失うという代償付きではあったが。

 『ヒドゥン』を退けられるなどあってはならない。これを成したイデアシードは確実に手に入れておかねばならなかった。だが技術大国トライアン皇国の技術は、国が滅びてなおイデアシードを隠蔽し続けた。『グレイバック』が数百年をかけて探し続けても見つけられなかったものが、ひょんなことで現れ、見事時空管理局が確保して封印せしめた。

 紆余曲折はあったものの、大元のジュエルシードも虚数空間にプレシア・テスタロッサと共に消えた分以外はすべて確保して封印してある。『ヒドゥン』を抑えることのできるだけのロストロギアを手元に確保しておけたのだ。『ヒドゥン』の対抗策となりうる脅威がまた1つなくなったと言ってもよかろう。

 

「ジュエルシードと言えば、ハイメロート様は即断即決の武断派なのは結構ですが、少々手荒すぎます。いきなり輸送船を攻撃するなど、さすがにやり過ぎですわ」

「確かに。あのときは肝が冷えた」

 

 八神はやての下に闇の書があったことを確認できたのはP・T事件より何年も前。グレアムが彼女を支援し始めた時点で存在はわかっていたのだ。発動までの年月など、これまで生きてきた年月に比べれば短いものだとじっくりと待っていたのだが、ミヒャエルは我慢できなかったらしい。ジュエルシードという魔力にも変換可能なエネルギー源が第97管理外世界付近を通過すると知り、即座に行動に出たのだ。

 

 

 

 輸送船を攻撃し、ジュエルシードを撒き散らすという行動に。

 

 

 

「ジュエルシードの持つエネルギーに引かれて闇の書が起動することを狙ったのだろうな。ジュエルシードのエネルギーを吸収できれば、書のページはすぐに埋まったやもしれん」

「とは言え、次元震まで起きる事態になったのです。ハイメロート様には猛省いただかねば」

 

 実際、虚数空間が開いてしまうほどの事態だった。もし次元断層でも発生して第97管理外世界が巻き込まれていたら、闇の書も世界ごと失われてしまっていたところ。第一、闇の書が起動したとしても、ジュエルシードを追ってプレシアが介入したことでP・T事件が起こってしまったのだから、場の収集がつかなくなったろう。

 ただ、虚数空間が顕わになるほどの事態などそうはない。おかげで『ヒドゥン』の補充はできた。それを理由にミヒャエルは許されているが、いくら仲間とは言え甘過ぎだとシェーンはアシュレイに厳しい目で迫った。苦笑を以って返すと、シェーンは溜息をついて引き下がる。

 

「ジェエルシードにしてもイデアシードにしても、管理局に保管させてよかったのですか?」

「あれらは注目を浴び過ぎた。下手に我らが保持すれば世間の目が向きかねん。それならば管理局に持たせておけばよい。本局(ここ)にあるとわかっているのだ。必要とあらば手を回せる」

 

 こんなに上手く事が運んだのだ。祝杯を上げたくなるのも当然のことだった。

 ただ、アシュレイの機嫌を損ねたいわけではないが、シェーンは懸念すべきことを言わずにはいられなかった。

 

「無限書庫に関してはもう妨害が難しくなりそうですが」

「3提督が目をつけているからな。元々妨害以外の手が必要なときだった。都合よく、グラシア公爵の令嬢は無限書庫に対する懐柔策を取るつもりのようだからな。これに便乗させてもらう。アコース侯爵の倅がクロノ・ハラオウンとユーノ・スクライア、引いては『アースラ組』の信用を勝ち取れたことも利用できよう」

「妨害から支援に手を変えるのですか?」

「私は時空管理局の情報、そして蓄積されてきた資産や技術を運用するために必要な助言をする立場である知識顧問官だ。無限書庫の支援に手を貸すには絶好の立場。同じく無限書庫の支援に立つ3提督の信用も得られる」

 

 妨害から支援へと手を変え、支援という形で接近しつつ監視する。無限書庫で得られた情報は随時確認できる立場として。

 アシュレイがクロノの一件で考案した二次策とは、『フッケバイン』がクロノを殺すことができなかった場合、〝グラオヴェスペ〟に殺させるというものではなく、クロノを救うことで信用を得るというものであった。

 クロノはユーノと共に無限書庫の立て直しを先頭に立って行ってきた。クロノの信用を得ることができれば、無限書庫に関して情報も得やすくなる。そして今やクロノは3提督に気に入られ、協力さえ要請されるまでになった。クロノとの協力体制は、3提督とのパイプを持てるということでもある。

 

「何しろ、我らが長年に亘って探し続けてきたイデアシードの情報さえも有していた無限書庫。危険を孕むが、利用価値があることも確かだ」

「我々『グレイバック』や祖国に関する情報、そして……『ヒドゥン』に関する情報さえも見つかってしまうかもしれませんよ?」

「案ずるな。無論、理解している」

 

 アシュレイは端末を操作し、空間モニターを投影。手に入れておいたとある論文を表示させる。モニターをシェーンの方へ移動させ、シェーンが確認し始めると、ややあってシェーンの眉に皺が寄り始める。美人には似つかわしくない、危険な色を感じさせる表情。

 

「……ベルニッツ様。これは?」

「先日、ユーノ・スクライアがミッドの考古学会に提出した論文だ」

 

 ジュエルシードとイデアシードに関する学術論文。ユーノは次元世界に数多存在する考古学会の中で、それほど権威があるわけでもないところに、学士として認めてもらうための論文を提出していた。それがこの論文。権威がないところを選んだのは、あくまで無限書庫再編が最優先だから。考古学士としての仕事にノルマを課すような厳格な所では無限書庫の司書としての再編業務が疎かになるからと、その学会を選んだらしい。

 するとこれが考古学や歴史学などを始めとした学界を大きく騒がせるものとなった。若干11歳の少年が、ロストロギアに関する論文を提出してきた。それも根拠をこれでもかと揃えて。どれほど性格の悪い学者が見ても突っ込めないほどに。これによって無限書庫でこれほどの情報が得られたという副次的効果も得られ、『無限書庫司書ユーノ・スクライア』は考古学界で一躍時の人となっている。ユーノが考古学や歴史学では名を馳せるスクライア一族であること、次元世界最高学府の地位を争うクラナガン次元世界交際大学を飛び級で卒業していることも合わせ、なぜうちに来てくれなかったのだと権威ある学会などは泣いて悔しがったという話もすでに出てきていた。特別待遇で迎えるとスカウトする学会まで現れる始末である。

 シェーンにとっては、それらは別にどうでもいい。重要なのは、その論文の中に出てくる祖国の名前。そしてジュエルシードやイデアシードの精確な記録。

 

「改めて潜在的な脅威を感じたよ、無限書庫には」

「これを支援すると?」

「表向きはな。無限書庫の持つ情報力は侮れん。これを危険視する者は我ら以外にも必ず出てくる。例えば、無限書庫の地位が向上することで、これまでぞんざいに扱ってきた本局は肩身が狭くなるだろうし、無限書庫を下に見てきた情報部は発言力や存在感を増してくる無限書庫に焦るだろう」

「なるほど……無限書庫に収められた書物の中には、おそらく管理局や各世界の要人たちが隠したいものもあるでしょうね。無限書庫に圧力をかけることは間違いない。そんな彼らを利用する、ということですわね」

「左様。我々が直接手を下さずとも、やりようはいくらでもある」

 

 無限書庫の人員強化の際にでも工作員を紛れ込ませ、関係する書籍を秘密裏に滅却する。同時に必要な情報があれば探索させる。信用を得ておけば、工作員を司書として紹介することもできるだろう。アシュレイも監視はするし、クロノやユーノにより近い立ち位置で信用を得ている手駒もいる。

 直接的な方法だけでなく、間接的に無限書庫の存在を危険視、ないし都合が悪く思う者たちを煽って圧力や妨害をかけさせる手も併せて行えばいい。

 

「物理的に破壊する手は?」

「無理だろうな」

 

 アシュレイは首を横に振る。今までならばいざ知らず、今後そのような手に出ることは難しいと。

 ユーノの論文によって注目を浴びた無限書庫。あまりに低い利用状況、有益な情報が埋もれているにも関わらずロクに改善もせずに放置していたこと、司書の勤務状況の過酷さや待遇の低さなど、メディアが連日報道を続けている。これら問題視されている中には杜撰な警備体制も含まれており、時空管理局は近く大幅な警備体制の強化を実施すると発表していた。

 

「学術的に価値のあるあの論文には、そうした政治的な意図も含んでいるのだろうな」

「ユーノ・スクライア……思った以上に厄介な子供ですわね」

「いや、あの小童ではなかろう。大胆な行動を取ることもあるのは確かだが、なにぶん自己主張が薄く、人脈も限られている。単に論文を発表するだけではここまで大きくはならなかっただろう」

「では」

「うむ。クロノ・ハラオウンの差し金だろうな」

 

 クロノも人付き合いのいい方ではなかったが、2年前のなのはやユーノとの出会いを経て、性格は軟化し、人当たりも良くなった。元々生真面目で誠実な性格なので、柔らかさが備われば自然と人付き合いも良くなってくる。執務官という名のある立場も多くの部署とやり取りをすることは多いだけに顔は広いし、人脈作りを意識すればむしろ相手の方から接触を図ってくることも多いだろう。

 加えて今のクロノにはミゼット・クローベル、レオーネ・フィリス、ラルゴ・キールという『伝説の3提督』が後ろ盾になっている。

 

「最大限にユーノ・スクライアの論文を活用して無限書庫の再編を推し進めたのだろう。3提督という後ろ盾を利用するに留まらず、メディアや世論という外部の圧力をも存分に利用したその手腕、称賛に値する」

「物理的な破壊という手段は取れないということですか……」

「空間が複雑に捻じ曲がったあの無限書庫を下手に破壊などすれば、その瞬間、本局は大量の書物に埋もれるかもしれん。もしくは空間の捻じれが波及して本局そのものが飲み込まれる可能性もある。どちらにせよやめておいた方がよかろう」

「結界魔導師でもあるベルニッツ様がそう仰るのであれば」

 

 そしてクロノやユーノとの接点を持ち、パイプを作っておくことで有利に働くことは他にもある。

 

「私がグレアムに密かに協力したのは、夜天の書を手に入れるためだ。正確にはその中にあるものに、だがね」

 

 夜天の書の現在の主は八神はやて。それがアシュレイたち『グレイバック』が彼女を監視し続ける理由でもある。

 

「トライアン皇国での実験にて、やはり2つの書の力がなければ、我が祖国が生み出した力――『ヒドゥン』を有効に扱うことはできんことが判明している」

「夜天の書が本来持つ『知識の蒐集』を『魔力の蒐集』へと改変することは過去に行ったことですから、いくらでもできるでしょうけれど。夜天の書の最奥に封じられたもう1つの書と、核となるエーベルヴァインの娘は健在でしょうか?」

「調べてみないことにはわからん。それゆえ、管理局より聖王教会のラルドの下へ八神はやての身を移したかったのだがな」

 

 ミヒャエルがはやてを聖王教会に引き抜こうとしていたのもそのためだ。聖王教会とて八神はやてを大事に扱おうとするだろうが、強硬派のラルドがいるため、彼を隠れ蓑にできる分、聖王教会の方がいろいろとやりやすい。

 残念ながらクロノがはやてを庇っていること、はやて自身が時空管理局を選んでいること、時空管理局も融合デバイスの情報を得るためや戦力面の問題ではやてを迎え入れていることなどの事情から引き抜きは成らず。

 はやては融合デバイスの管制人格を新たに創造するため、研究には積極的に協力している。そのため、自らの身体データなども提供しており、アシュレイは知識顧問官としてその情報を仕入れていた。

 

「今のところ、管理局にも八神はやて自身にも『もう1つの書』のことは気付かれていないようだ。必要とあらば、私自身の手で八神はやてと夜天の書を調べることも選択肢の1つと考えている」

「それはかなりハイリスクでは? 知識顧問官というせっかくの地位も失いかねません」

「リスクは承知の上だ。地位などどうとでもなる。『ヒドゥン』を使い、祖国再興を果たすために必要とあらば躊躇う理由はない」

「……承知いたしました」

 

 現在の地位に未練など、『グレイバック』の誰もが持ってはいない。すべては祖国再興のためなのだから。

 

「グラシア家のご令嬢が3提督やクロノ・ハラオウンと接触しているとお聞きしております。おそらくは聖王教会で管理局との融和を望むグラシア卿の意向。管理局と聖王教会の繋がりが強化されることはあまり好ましくないのでは?」

「地上本部と聖王教会の仲は今後より悪化するだろうが、本局がどんなものだかな」

 

 最高評議会としては聖王教会の影響力が邪魔なはず。聖遺物盗難事件は渡りに船だったろうし、ここぞとばかりに聖王教会を押さえにかかっていた。

 聖王教会では時空管理局に対して、特に強硬派が反発している。

 本局と教会融和派は繋がりを強化する一方で、最高評議会・地上本部と教会強硬派が対立を深めるという構図だ。互いが一枚岩として関係を強化しようとしても強化できない状態にある。

 『グレイバック』としては互いに争って共倒れしてくれるのが理想的と言える。従って対立する方は放っておいてもいいだろうが、関係強化を狙う本局――特に3提督と教会融和派の接近には警戒しておかねばならないだろう。

 

「『アースラ組』については如何いたします?」

 

 高ランクの魔導師が多く、密接に繋がり合っている者たち。別にそれだけならば取り立てて警戒する対象ではない。ただ、アシュレイたち『グレイバック』の関わるところにここ最近悉く関係していることや、闇の書・無限書庫・3提督・最高評議会にジェイル・スカリエッティ、さらには『フッケバイン』にも関係してきた。彼らの動向もまた無視できない。

 

 

 

「ついさっき入った情報によれば、クロノ・ハラオウンが執務官の座を辞して正式に次元航行隊の提督候補となったらしい」

 

 

 

 シェーンが唇を引き結ぶ。

 クロノは数日の休みが明けた本日、正式に法務部の部長に異動願いを提出。優秀な執務官を手放すことには法務部も渋ったようだが、執務官資格は保有したままであることを条件に受理された。おそらく前もって話は通してあったのだろう。次元航行隊はクロノを勧誘していた部隊だけにクロノの異動を歓迎しており、早々に配属先を通達。

 L級次元航行巡航艦8番艦『アースラ』。

 将来の艦長、そして提督候補として、まずは『アースラ』の副艦長に任命されていた。

 

「今や『アースラ』はただの巡航艦ではない。2つの大事件を1隻の巡航艦とそこに配備されていた僅かな人員だけで収拾した『奇跡の艦』。ここに配属される意味は大きい」

「3提督が所属していた第2艦隊群が『花形』と称されておりますが、今や『アースラ』も名誉の艦ですからね」

「加えて、高町恭也という人物だが、嘱託として登録されているようだ」

 

 時空管理局内で計画が進んでいる『融合デバイスによる非魔導師の魔導師化計画』。要するに、魔法資質のない者を融合デバイスで魔導師にしてしまおうという計画。当然だが融合デバイスとの相性などの問題もあるのだが、恭也はその相性をクリアしている適性者であるという。試作段階の融合デバイスを用いて試験を重ねつつ、恭也は嘱託としてクロノ配下という扱いだ。

 

「第97管理外世界の住人は魔力資質を持つ者がほとんどいないはずでは?」

 

 リンカーコアは先天性の器官であるため、後天的に発生することはほとんどない。人造魔導師の研究でもリンカーコアが元々あることが前提で、ジェイル・スカリエッティの研究でもリンカーコアと何らかのエネルギー体を融合させることで強化するものである。リンカーコアがない者に人工的に作り出したリンカーコアを埋め込むという構想もあるにはあるが、そもそもにしてリンカーコア自体がまだまだ謎に満ちた器官のため、作り出すことができていない。

 遺伝性もあるにはあるが絶対ではないし、逆に突然変異で持って生まれることもある。第97管理外世界はその突然変異性が非常に高いとされている。グレアムやなのは、はやてがいい例だ。

 

「高町恭也のリンカーコアは非常に微弱。ゆえに魔法行使はほぼ不可能。シューター1つ生み出しただけで魔力が空になる程度だな」

「ほとんどないに等しいレベルですわね……けれど、リンカーコアが()()()()()()と」

「そうだ。リンカーコアがどれだけ微弱であろうと()()()()()()。であれば、あとは融合適性があるかないかだ」

「融合デバイスとの融合適性を持つ者は稀。これはこれで突然変異種ですわ」

「その適性値はSだそうだ」

「……は?」

 

 キャリアウーマンと呼ばれるシェーンが間の抜けた顔をするというかなり珍しい光景。もっともな反応だと思いつつアシュレイは突然変異のオンパレードだなと苦笑と共に皮肉った。

 

「高町なのはに八神はやて。突然変異種が辺境の島国のそのまた一地方で2人ほぼ同時に現れただけでも珍しい事例ですのに、同じ地域で3人目が現れるだなんて、どのような偶然が重なればこうなると?」

 

 しかし、続くシェーンの愚痴には笑みを消すアシュレイ。

 シェーンも技術者なので魔法に関する知識も持ってはいるが、あくまで技術者としてであり、魔力素や魔力資質の突然変異に関しては学問が違うからだろう。シェーンは魔導工学の技術者であり、魔力素や魔力資質などは工学分野ではない。

 

「一般的に世界に満ちる魔力素は±15%が適性値とされる。君はあの第97管理外世界の魔力素の濃度を知っているかね?」

「ほんの数%と記憶しておりますが」

「左様。それゆえに魔力資質を持つ者がほとんど生まれないと言われる」

 

 実際、ユーノが第97管理外世界にジュエルシードを追って来訪した際、なかなか回復しなかったのも第97管理外世界の魔力素との相性が悪かったため。それ以外に、魔力素の濃度が薄すぎて回復が遅れたという事情もある。

 魔力素の濃度が濃すぎた場合も、魔法が暴走するなどの問題が生じる。そのため、魔力素の濃度や相性は、部隊が出撃する際などに必ず調べておかねばならない情報になる。相性が悪い魔導師が多いなら違う部隊を召集すべきだし、濃度の変化に対応できる魔導師がいる方が汎用性の高い部隊と言えるわけだ。

 

「ではホフヌング。あの世界に魔法文化はないということになっているが、実のところ、かなり独特の魔法文化や種族が存在していることは知っているか?」

「……初耳ですわね」

「そうか。ちなみに、クロノ・ハラオウンとユーノ・スクライアはすでにこのことに気付いているようだぞ?」

「…………」

 

 アシュレイは挑発するように言っているが、つまりは2人の先見の明を警告しているのだろうと、シェーンは即座に看破して続く言葉を飲み込んだ。

 クロノとユーノは密かに第97管理外世界について観測調査を続けている。当初は2人も魔法文化はないと認識していたようだが、霊力という力を持っている那美と接したことで現地調査を再開したらしい。

 

「今のところ、霊力と呼ぶ魔力に似た力以外にHGSと呼ばれる異能保持者が突然変異の1つではないかと考えているようだな。現地では稀に起こる遺伝子障害として扱われているようだが。未確認ながら他に吸血鬼もいるという情報もある」

「存外、魑魅魍魎の抜鉤する世界ですのね……」

「呆れるのはわかるが、問題はここではないぞ、ホフヌング」

「まだ何か?」

「ジュエルシードと闇の書。2つのロストロギアが幾度もその魔力を撒き散らしたせいか、事件の中心となった海鳴という街を中心に局所的に魔力濃度が増減を繰り返している。2年以上が経過しているが、今だこの不安定な状態は収まっておらん。もしかすると、高町恭也の突然変異のような適性値はこれが理由かもしれん」

 

 後天的に魔力資質を持つ者が現れることはほとんどない。ではこの常識が異常な魔力濃度という環境下でも通用するかどうか。

 恭也の融合デバイスとの相性度はS。これは異常と言っていい。融合デバイスである闇の書、その闇の書の闇が撒き散らした膨大な魔力が海鳴を今だ漂っているとしたら、これが融合デバイスとの相性が合うように恭也のリンカーコアを変質させたという推測を否定することはできるだろうか。

 答えは――否。否定することは不可能だ。

 逆に合っているかどうかもわからないのだけれど。結論としては、現時点ではわからないというしかない状況。

 

「そんな男を採用するのは、おそらくクロノ・ハラオウンの護衛役としての意味もあるのだろうな」

 

 暗殺されかけたのだからクロノは今後も警戒されるだろうし、当然ながら実力を以って排除しようという悪意が向けられることも想像するに容易い。大きな組織や世界の暗部と戦うのだから、当然に予想されることだ。

 その点、恭也はもともと要人警護などを請け負ってきていたし、彼の剣術流派である御神流は護ることに重きを置いている。護衛役としてこれ以上ない人選と言えるだろう。クロノと恭也の2人が信頼で結ばれているというのもある。

 とは言え、管理外世界の住人、それも魔法資質がほとんどない人間を採用するなど、本来ならばありえない人事。3提督にしてはかなり強引な手と言える。

 しかし時空管理局の人事関係者を頷かせるだけの説得力があったのも事実。それというのも、恭也の持つ戦闘技術である。強固な装甲さえも無視して衝撃を貫通させる『徹』。索敵魔法も使わずに相手の存在を感じ取る『心』。AMFや魔力分断の影響を受けないという点。転移や高速移動の魔法と見紛う『神速』。そして実際に『フッケバイン』の1人を倒しており、相性が合うこと自体が稀な融合デバイスの適性者でもあるともなれば、これが戦力化できればと時空管理局上層部に期待させるには充分だった。

 強引な手を使ってでも、3提督は恭也をクロノのそばに配置。これだけでも3提督がクロノに向ける期待の大きさが見て取れよう。

 

「引き続き、八神はやてもクロノ・ハラオウン直属の部下ということだ」

「つまり八神はやての身柄を押さえるには、クロノ・ハラオウンに加えて高町恭也もどうにかして排さねばならないと」

 

 そういうことになる、とアシュレイは首肯する。

 クロノと恭也だけではなく、情報面でフルサポートするユーノにもアシュレイの懸念は及んだ。

 

「ユーノ・スクライアも存外侮れん。未完成とは言え、〝マスタードライバー〟ファーン・コラード以来、誰1人使い手がいなかった『カウンター戦法』、その要である『ストラグルバインド・カウンターコード』を使ったという報告が上がっている。しかも儀式魔法である『ディストーションシールド』を1人で制御するほどの結界魔導師」

「……ベルニッツ様。まさかあの子供が『ヒドゥン』を抑え込むかもしれないと仰るおつもりですか?」

「…………」

「そんな。さすがにそれは考えすぎでは? 高位の結界魔導師であるベルニッツ様ですら『ヒドゥン』を抑え込むことはできないのです。ましてあんな子供がなんて」

「…………」

「…………承知いたしました。厳に警戒するよう、皆に伝えます」

 

 無言で腕を組んで目を閉じたままのアシュレイに、シェーンは言い知れない威圧を感じて引き下がった。

 アシュレイとてクロノやユーノがそこまで大それた魔導師などとは思っていない。ただ長い年月を生きる中で大物に化けた者たちを幾人も見てきた。聖王家の『オリヴィエ・ゼーゲブレヒト』はその最たる例といってもいいだろう。『依存』に流されてきたユーノが見せた今回の一件、そしてクロノが垣間見せた可能性を、アシュレイは無視できなかった。

 単なる戦闘能力や魔法資質のみならず。それ以上にアシュレイが警戒するのは、先ほどの第97管理外世界の異常性や無限書庫の有用性に最も早く目を付けた先見の明や、ジェイル・スカリエッティでさえ見逃したカレン・フッケバインの思惑に気付く観察眼や洞察力、そして魔力分断に対抗する術をその場で見出すほどの発想力やそれを即興で行える柔軟性、そして今回の一件で垣間見える行動力に決断力だ。

 これらと戦闘技術や魔法資質、さらに彼らの仲間たちが加われば――そう考えたとき、アシュレイはクロノとユーノを脅威と見做さないわけにはいかなかった。

 

「……3提督は元より、『アースラ組』で最大に警戒すべきはクロノ・ハラオウンとユーノ・スクライア。それと、高町恭也。今のところ、他の面子に関しては我々への関与は薄い」

 

 視線を胸元で組んだ両腕に落としながら少し考え、アシュレイは続けた。

 ヴェロッサの報告では、どうやらクロノとユーノは2人してなのは・フェイト・はやてを始め、仲間を時空管理局の裏の事情に関わらせたくはないという考えだそうだ。むしろ彼ら2人は、彼女たちのためにそうしているところもある。今回のクロノの一件でも、基本的に関わってきたのはクロノとユーノだ。

 クロノは3提督を後ろ盾にして動くことになり、ユーノと恭也だけは事情を明かして協力を要請し、3人は仲間にも知られないように動く形を取っている。この3人は今後も時空管理局や聖王教会といった組織の持つ暗部と向き合うことになり、そうなれば必然的にアシュレイたち『グレイバック』とも関わることになる。

 

「ジェイル・スカリエッティと『フッケバイン』、そして最高評議会に聖王教会、3提督に『アースラ組』。対応せねばならぬ対象は多いが、当面の目的は『2つの書』の確保だ。そのためにはどうしても八神はやての身柄を押さえねばならない」

「彼らはまだこちらの正体には気付いておりません。ですが、スカリエッティが示した『何者か』――つまり我々『グレイバック』については警戒しているものかと。一筋縄ではいかないものと思われます」

「焦ることはない。だが着実に進めよ」

「かしこまりました、ベルニッツ様。すべては偉大なる祖国のために」

「うむ。真に正統なるベルカである我らが祖国再興のために」

 

 シェーンの言葉に、時空管理局知識顧問官アシュレイ・ベルニッツ――『グレイバック』を率いる〝グラーバク〟は、満足げに頷くのであった。

 

 

 

 

 




 
 リリなのの公式設定では、世界の魔力濃度が±15%が適性値だとwikiを見て知りました。
 第97管理外世界では魔法文化はなく、突然変異的に現れることはあっても、基本的には魔力資質がない人が多いようです。しかしとらハ3の設定を持ってくると……霊力保持者にHGSに吸血鬼にと途端に魑魅魍魎の世界なんですよね。第97管理外世界は魔力濃度が薄いけれどそれゆえに起こる変異があちこちで起こっていて、なのはやはやては魔力資質という形で現れただけで、実はあちこちで魔力濃度が薄いゆえの変異が起きていたんですよって解釈をしてみました。
 
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