相変わらず店舗が早いですが、ゆっくり読んで頂ければ幸いです。
プロローグ 異世界転移が急に来て。
とある都市の、バス乗り場の列にて、チンピラと、女子高生らしき女性がやり取りをしていた。
周りはみな、面倒そうにそのやり取りを見ていた。
「ううっ...」
「良いだろ? 俺らとちょっと遊んでよ~」
典型的なナンパである、しかも、相手のガラが悪いので尚更質が悪い。
現代の何処にでもいる女子高生―――古庄知秋―――は、目立つタイプでもないし、そもそも積極的な人間でもないため、ナンパなんてものは初めてである、ある意味、声を掛けた人間は物好きと言える。
周りからの視線も痛く、人生において、目立たないように動いてきた古庄にとって、それはもう四面楚歌な気持ちであった。
どうしよう、とあたふたしていると、不意に、後ろから盛大な溜め息が聞こえた。
驚いて全員が振り向くと、最後尾で腕を組み、どうでも良さそうに、此方を見やる男が居た。
またまた痛い視線についに視線を落としてしまう。
しかし、男の視線は横のチンピラに行って居たらしく、「ああ?」とドスの聞いた声で男へと向かって行った。
驚いて顔を見上げる。 そのとき、所構わず喧嘩を吹っ掛けたチンピラは、その男に殴りかかった。
目を瞑る。 だが、パシッっと殴っただけでは鳴らない音が聞こえ、目を見開くと、男が殴りかかったチンピラの右拳を左手で掴んだ所だった。
「軽いな、もっと腰を入れて殴らないとな」
「んなっ」
チンピラが蹴るが、それも見事に脚で受け流されていた。
「ちっ、覚えてろよっ」
敵わないとわかったのか、ずこずことチンピラは何処かへ行った。
「えっ?」
結果的に助かったのである。お礼を!、と思い付いたときにはバス停から離れていた。
「あっ、待って下さい~ お礼をっ!」
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「懐かしい夢だな~」
今日夢で見た、二・三ヶ月前での思い出は、こうして時より夢で見る事が多くなった。 しかし、所詮夢なので、見た、という意識しか無いのだが。
「また、会えるかな?」
なんて言いつつ、そのときに見た頬の切り傷と、鋭い目付きを思い出し、仄かに顔を赤くしながら通学路を行く。
「おはようございます」
呟くように言うと、そそくさと隅の自分の席に座り、腕を枕に伏せる。
教室の朝の喧騒はクラスのリーダー格を中心に、ガヤガヤと聞こえてくる。
意識を深いところに押し込み始めると、不意に視界が光で一杯になった。
「ああっ? なんだこれ?」
「目がぁっ、目がぁ~っ」
驚きにクラス中が包まれる中、クラス四十人のうち、教師含む、三十五人が、異世界に転生させられたのだった。
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「何処だ、ここ」
誰かの呟きに顔をあげると、見知らぬ、大広間のような、神聖さで溢れている部屋にいた。クラスでである。
「ようこそ、勇者と、その眷属、顔を見れることを、光栄に思う」
厳格な声が響き、その発生源を見ると、深く席に腰を掛けた、初老の男性が居た。
「我が名は、クシミニク・シュロネー。 シュロネー国の現王だ」
「何で、俺らはここに居るんでしょう?」
「問題があり、必要とし、私らが呼んだからだ」
「帰れる、んですか?」
「わからぬ」
どよめきが広がる、「帰りたい~っ」やら、「何で俺らが」とかである。
「皆、もしかしたらその問題を解決すれば帰れる道筋がわかるかもしれない! とにかく頑張ろう!」
そう言うのは、クラスのリーダー格である、柳瀬隼人である。
「わからないよ? 王様の言う通りなら、殺しをしなきゃ何でしょ...」
と、寄り添って言うのは、藁科優名である。 リーダーにいつもくっついている幼馴染みである。
「しょうがないだろ...! 俺らがやれなきゃ、誰がやるって言うんだ!」
「おお、気合い十分じゃな。 まずは、王都をでて、戦闘訓練をしつつ、都市フォトルヌスの近辺に住む悪党を狩ってくれると助かるな」
「おうよ、何処までもやってやる! 帰る為だ!」
どうも、リーダーには周りをその気にさせる雰囲気でもあるらしい。 いつの間にか周りも、「やってやる!」とか、「そうだそうだ」とか「これで異世界ハーレムは我の手に」とかいろいろ言っていた。 んや、最後は違うな。
「それで、ポケットの中にプレートが入っているのだが、そのプレートに、勇者、とついていたものは挙手しろ。 聖剣を与える」
「あっ、俺だ」
柳瀬である。 当然とも言える結果かもしれない。
「私はなんだろう...?」
制服のスカートに手を入れつつ、プレートを引き抜き、見やると。
「んー? きょ、うせん、し? 狂戦士!?」
クラスが振り向くほど、大きな声を上げていた。
これが、浅間達哉が山賊を壊滅させる二日ほど前の話である。
一人一人、決意を浮かべ、王都から近い、フォトルヌスに向かうのであった。
プロローグとは別にすべきだったかな...?
まあ、お疲れ様です、ふりずむです。
次回は視点を戻します。 時系列も戻ります。