追跡者を担ぎ上げ、待ち合わせの噴水へと出ると、ちょうど勇者パレードと遭遇した。どうやら、あちらさんもギルドに用があったらしい。
拘束された人間を担いで歩くという異常性に、パレードとは違った意味で道が開いていく様を見ると、どうにもやるせない気持ちになった。支えは、先ほど合流したシャノンとシルヴィである。
取り敢えず、面白い事を漏らした追跡者からさらに情報を得るため、ひとまずは場所が欲しく、ギルドに行こうと思ったが、少し悩む。そういう部屋が有るか、もし有ったとしても借りれるかわからなかったからだ。
「どうすっかな... まあ、取り敢えず部屋を借りれるか聞いてみるか...?」
「ギルド長いるか?」
「あの、勇者様達の御相手で忙しいの見てわかりません? まあ、要件だけ伝えておきます、要件は?」
「前の拠点不明の山賊の件で、用が有るから空き部屋を貸してほしいと伝えてくれ、出来れば、水が使える部屋だと良い。」
「えっ!? は、はい、すぐ伝えます。」
何回か受付をしてもらっている職員なので、職員の受け答えが雑でも気にしないのだ。
取り敢えず、暇なので、勇者どもの顔を眺めることにする。
戦闘職重視なパーティーは見た感じは、バランスよく配役されているように見えるが、少し連携に不備がありそうだ。 何故なら、直剣を携えた者の中心に人が集まっているように見えているが、集まり方を
そんな集団を眺めていると、余り人混みに慣れていないのか、キョロキョロと辺りを見回していた奴と目が合った。すると、相手の目が驚いたように見開かれる。
「ん? なんだあいつ?」
「どうしたのですか? 達哉さん?」
「こちらを見ている勇者御一行の一人がいた」
「きっと達哉さんが格好いいと見えたのでしょうね~」
そうか? と返すと、奥からギルド長が顔を覗かせ、こちらと、勇者御一行について来るようにと促した。
それに気づいた勇者らしき者が動くように促すと、ぞろぞろとこちらに向かって歩いてきた。
「ギルドの支部長に手柄をとった奴ってチクられそうな達哉、可哀想」
「まだ決まった訳じゃないからな。」
そう言いながら、ギルドの奥の部屋に入るのだった。
シルヴィは、シャノンと居てもらい、一人で情報を引き出すことにした。
二人は昼食を先に摂っていることにしたようだ。
~~~
「それで、達哉殿、こちらの部屋で良いかな。? 後で経過を聞かせて貰いたいのだが」
「構わない、部屋をありがとう」
そう短く答えると、一緒についてきた勇者御一行の視線に晒されつつ、階段を降りて地下に行った。
「ふむ、気絶しっぱなしだし、先に起こすか...」
椅子に座らせ、背もたれを挟み後ろ手に拘束させる。その時、親指を個別に結ぶことを忘れない。そのあと、頭から水をかけた。 因みに、バケツがこの世界には有ったので、部屋に置いてあったそれを使わせて頂く。
すると、力なく俯いていた頭が上がり、徐々に瞼を開き、焦点の合わない目でこちらを見た。
「おはようさん。 さて、何故俺の後をつけた」
「......」
「応答なし、っと」
なるべく相手を意識のあるまま拷問する必要があるため、どうするか考えるが、まあ良いかと考えを切り捨て、右太ももにナイフを突き立てる。
「あがっ」
「どうだ? 話すか?」
顔を覗きこみながら、突き刺したナイフを少しずつ抉るように捩っていく。
すぐに泡を吹きながら、口早に降参を告げた。
「はあ、んで、何で後をつけてきた」
「組織の復讐のため...」
「ん? 俺が潰した盗賊の集団の事か?」
すると、痛みで血走る目をを爛々と輝かせ、こちらを見やった。
「ああ、でも、もうお前は我等の手からは逃れることは出来ない」
「何故だ?」
「支部が潰されても、まだ、本部があり、常にお前の首を狙って居るからだ」
「本部とはどこだ?」
「いうと思うか?」
はあ、と溜め息をつき、刺したナイフを勢いをつけて少し捩る。
あがっ。と声を上げ、泡を吹きながら痛みで気絶した。
「はあ、喋りすぎだと思うんだがな」
ナイフを抜き、インベントリから取り出した布で血糊を拭うと、懐の鞘に刺し、部屋を後にした。
~~~
部屋を出ると、ちょうど勇者達と支部長の話が終わったらしく、ぞろぞろと部屋を出ていく勇者集団と出くわしたので、通路の地下に下がる階段の壁に寄りかかり、支部長が出てくる所を待つと、ギルドの受付前で目が合った奴を見つけた。
すると、何かを感じたのか、ゆっくりとこちらを振り向き暫く見られると、顔に満面の笑みを浮かべさせ、こちらに駆け寄ってきた。
「あ、あの! 何処かで会ったことありますよね?」
「ん? 気のせいだな、少なくとも、見覚えは無い」
え、と急にしゅんとなると、何かを思い出したのか、また明るい表情で問いかけてくる。
「えと、その! お、お名前は何て言いますか?」
流石にぐいぐいと迫られると、何かに気圧され、仰け反る気分で返す。
「あ、ああ。 浅間達哉だが」
「やっぱり! 雰囲気が同じだったので直ぐわかりました!」
感極まったのか、手をとり柔らかい手のひらで包んで握られた、しかもどんどん顔が近づいて来る。
「えと、ナンパされてる所を助けて貰った者です! お、覚えていらっしゃいませんか?」
泳いでいた目線を右にやり、考えるが、思い出せず。 取り敢えず迫る頭を片手で押しやり。
「申し訳ないが、人違いじゃないか? 」
「そ、そうですか... 失礼しました...」
また急にテンションが下がり、明らかに肩を落として歩いていく。 はて、そんな人助けをしただろうかと考える。
「駄目だ、チンピラに絡まれるという面倒事しか思い付かん... ん? 待てよ、確か妙にお礼をしたいって絡まれた時があった気が...」
急に思いだし、肩を掴むと、「にゃああっ!? にゃ、にゃんですか!?」と可愛らしい声を上げて振り返る。
「お前さん、妙にお礼させろって煩かった女子高生か」
「良かった! 人違いじゃなかった... ん? あれ? 何でこの世界に居るんですか...?」
「あ」
勇者側にバレたくない事実が露見してしまった。
お疲れ様です。ふりずむです。
えと、ゼロ章は浅間さんの武装を整える回だったので、一章はそれなりに長くなる予定では居ますが...
まあ、今後ともよろしくお願いします。