仮面ライダーヨハネ   作:がんもどきもどき

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†A-2† 契約

ドッペルゲンガー、というものがある。

自分と全く同じ容姿をしていて、遭遇すると命を落とすという、妖怪や悪魔というよりは、超常現象や都市伝説の一種。

そんな情報が、善子の脳裏にちらついた。今目の前にいるのが、正しく自分と全く同じ容姿をしていたから。

 

「あ、なたは……なに?」

 

ドクンドクンと心臓が早鐘を打ち、体は恐怖で小刻みに震えながらも、掠れた声を絞り出す。

誰?と聞かなかったのは、その人ならざる雰囲気を感じてのことだった。

 

「呼んでおいてなにとは失礼ね!さっきも言ったでしょう?私はヨハネ。貴女が召喚した堕天使様よ」

 

ゾクリッ!と、言いようのない感覚に、善子は大きく身を震わせる。似ているのではない、声も容姿も全く自分と同じの何かが目の前にいる。動いている。

そして、背中に感じる鈍い痛みが、これを善子に夢ではなく現実であると教えていた。

 

(気持ち悪い……)

 

自分の眼前に起こる非現実的な光景に感じたのは、恐怖と嫌悪感。さらに理解できる許容範囲を超え、頭の中をぐちゃぐちゃにかき回される様な感覚に、眩暈も起きてきた。

ついには不快感に嘔吐しそうにもなるが、喉元にグッと力を入れてなんとか堪える。

 

「あら、偉いわね? 普通だったら吐いちゃうんだけど……まぁ、その方が私も楽で助かるわ」

 

そう言ってヨハネはベッドに仰向けの善子に馬乗りになる。二人分の重さにベッドが軋みながら深く沈む。腹部に感じる重さに、善子はハッと我に返る。

 

「なっ!?ち、ちょっと!やめてっ!」

 

身の危険を感じてジタバタと身を動かし、ヨハネを振り下ろす。いや、振り下ろそうとした。しかし───

 

(な、んで?体、動かなっ……!?)

 

恐怖で動かないのとは違う。まるで見えない何かで、物理的に体を拘束されているかの様に、体が1ミリも動かせなかった。

 

「ごめんねぇ。暴れられると面倒だから。それじゃあさっそく───」

 

妖艶な笑みを浮かべて、ヨハネは善子の顎に手を添え、顔を近づける。自分ってこんな表情できるんだ。なんて現実逃避のように思いながら、何もできず、ただこれから起こるであろうことへの恐怖に震えることしかできない。目を瞑るこも許されず、ただヨハネが近づいてくるのを怯えながら見つめていた……

 

(殺される───)

 

「いただきます♪」

 

ちゅっ

 

 

(───へ?)

 

突如唇に感じた柔らかな感触に驚く。何をされたのか分からない、のではなく。『それ』を何故されたのかが分からなかった。

 

結論から言うと

 

善子はキスされた。

 

唇に、唇で。自分と全く同じ顔の、堕天使と。

 

「〜〜〜☆○×f¥$€+→#%j&!!」

 

(なんで!?キス!??わ、私、悪魔、と、キスして………!!??)

声にならない悲鳴をあげようにも、声すら出すことができない。抵抗もできず、ただ善子はヨハネに唇を弄ばれるように何度も口付けをされるしかなかった。

やがて、ニュルンと湿り気を帯びた何かが口内へと侵入してくる。善子はそれが何か理解しながらも、理解したくはなかった。

 

(う、そ……し、舌いれ、られっ……!!)

 

ピチャ、ペチャという粘ついた水音が、脳内に直接響いているように思えた。善子は必死に抵抗するが、やがて諦めるように力を抜いた。

恐怖はある。嫌悪感もある。しかし、それらがもうどうでも良くなるぐらいに、言いようの無い感覚が、善子の思考を支配していた。

 

(気持ち、いい……)

 

「ん、ふぁ……」

 

いつの間にか漏れていた自分のものとは思えない、艶のある声に驚く。気づけば体は動くようになっていたが、何故か力が入らない。

グググとヨハネを押し返そうとするも、そんなの御構い無しにヨハネは善子の口内を蹂躙する。

 

「やっ……んっ……はぁっ……!」

 

善子の舌、上顎、歯の裏側、頬。全てを舐めまわされると、善子は力を抜いた。

 

(もう、このまま殺されるなら、いっそ……)

 

「んむっ………もっ───」

 

この快楽に身を任せて───

 

「───ぷはぁっ!」

 

全てを諦めそうになった善子だったが、急にヨハネは唇を離した。タラっと二人の間にどちらのかも分からない唾液が橋を作り、それをヨハネは指で掬い取るとペロリとなめ取り、妖艶な笑みを浮かべた。

その仕草も恥ずかしかったが、なによりそれをしているのが全裸の自分ということに、善子は羞恥心が爆発しそうだった。

 

「ご馳走様。これで、契約は完了ね」

 

ペロリと舌なめずりするヨハネ。手を上に翳すと、ヨハネと善子を中心に風が巻き起こった。その風の勢いに思わず腕で顔を覆う善子。目を閉じる瞬間、部屋の中心で儀式に使用した四つが淡い光を放っているのを確かに見た気がした───。

 

 

 

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