ランキング入り!
本当にありがとうございます!!
いつもより少し長めになりましたが、今回も宜しければお付き合いください。
ではでは
ーーー分散首都「東京」 東京議会場ーーー
会議が終わり、小規模の波のように扉から議員が出てきた。上陰もその波に流されるように扉から出る。
「上陰次官補」
広い廊下にたどり着くと同時に部下の一人に声をかけられた。
「失礼いたします、こちらを」
そう言って手渡されたのは、茶封筒だった。
他の議員の邪魔にならないようにと、壁際により、茶封筒の中身を確認する。
そこには、どうやって撮影したのかわわからないが、上陰の考える計画の主軸となる401と、霧の哨戒船である重巡洋艦タカオが交戦しているのがわかる戦術マップが描かれていた。
「このデータはいつのものだ?」
「今から20分前の出来事です」
他にも書類があったので、それらも流し読みで軽く把握しておく。
「ん……この手の状況は判断しかねるな」
「ーーーというわけだ!」
ふと目をやると、ガハハと豪快に笑う白い軍服の男性が歩いていた
「浦上中将!」
「おお、上陰くんか!どうした?」
「よろしければ……これを見てご意見を頂戴したい」
そういって上陰は戦況マップとともに複数の書類を浦上に渡した。浦上は怪訝な表情を浮かべながらも書類を一枚ずつ目を通していく。
「なにかねこれは……?」
「
「…………なるほど」
「約20分前の名古屋沖で重巡クラスとぶつかっています。この状況は私では判断尽きかねますので」
そう呟くと、連れていた海兵に一言二言伝える。離れていく部下を見送ると、廊下に設置されているソファーに向かいながら401の置かれた状況を解析し始めた。
「ふむ……台風を隠れみのにしようとしたと言ったところか。
確かに、海上艦の索敵範囲は気象に左右される。特に光学、電気系のセンサーは雨に弱い」
果たして霧の艦艇にも同じことが言えるかは知らんがな、と言いながらさらに言葉を続けていく。
「にしても、博打打ちというか!若さ溢れるというか!
この画像に写っている物が?」
浦上は書類を指差しながら上陰問いかけた
「どれかが本物の401でそれ以外がデコイだと思われます。401は今……横須賀を目指して北上しているはずです」
「なるほどな……それで、この書類は?」
そう言ってもう一枚の書類を手に取る。
「横須賀から約60キロ地点の海域で高エネルギー反応があったという報告書です。同じく、霧の艦隊かと思われます」
「そりゃ、このご時世に海で何かあったとなれば大抵は霧のことだろうよ」
浦上はそう零すと書類に目を向けながら懐からタバコの箱を取り出し、一本引き抜くと口に咥えた。
「案外、401と同じように人類に加担するために目覚めた優しい船かもな」
ガハハハハとひとしきり笑うと、上陰の視線に気づく。冗談だよと言うと上陰にタバコの箱を向けた。
「いるか?」
「いえ、私は……」
「そうだったな、君はタバコはやらんのだったな」
タバコの箱を懐に戻すと、ため息をつき、浦上はジロリと上陰の方を見る。
「霧の艦艇については謎が多すぎる。軍人としてはこれを認めるに悔しさもあるが…………401クルーの方が経験も豊かだし。それに、我々が必死こいて開発した『スーパーキャビテーション魚雷』は無力だ。彼らを信用するしかあるまい?」
なんの反応も見せない上陰を見ると、上陰の視線はこちらに向けられておらず、会議室の出入り口に向けられていた。
周囲のざわめきがいっそう大きくなった。
浦上も何があったかと会議室の出入り口を見ると
「北良寛か…………」
北良寛ーー彫りの深い顔に立派な白いひげを生やした男ーーがちょうど会議室の出入り口から出てきたところだった。そんな彼は陸軍派の代議士であり、現与党の幹事長を務めている。その席に長くついていることもあり、様々な方面にパイプを持つが故に、上陰にとっては最も警戒するべき人物だ。
「次の首相候補のナンバー1だったかな。そういえば、彼は君のプロジェクトに反対だったか?」
「はい」
当の彼はこちらを一瞥すると、秘書や部下を連れてさっさと消えてしまった。
「まぁ、お互い政治家に睨まれるとつらい立場だな。せいぜい上手く立ち回ろうや」
浦上は、立ち上がると同時に各書類を上陰に返すと、また大声で笑いながら帰っていった。
上陰は意見を聞かせてもらった浦上に礼を言い頭を下げた。ちょうど見えなくなったタイミングでその頭を上げると、後ろで同じく頭を下げている部下に指示を出す。
「振動弾頭の梱包を急がせろ。保管場所を与党、そして幹事長に気取られないように」
「わかりました」
「それと、刑部博士に連絡を」
「はっ」
「やれやれ、いきなり奥の手をぶっ放されるとはな」
「タカオ級が装備している火器ではあれが最大射程を持っていますからね」
手すりに腰を下ろして、話す杏坪にその特殊なマスクの一部を開けてストローでジュースを飲みながら僧も賛同した。
「イオナやタイホウの言うタカオの情報が確かである前提ですが、自己の索敵範囲外への攻撃をするにはあれしかありません」
『タカオの索敵範囲、そして火器などのデータは401の言った通りで間違い無いわ』
タイホウの言葉を最後に艦内が静かになった。
「………………問題はそこだ」
再び静かになったところで、最初に口を開いたのは群像だった。
「我々はタカオの索敵範囲外を航行した、しかも台風の暴風圏の中を。晴天である台風の目の中にいるタカオからすれば、暴風圏の中の我々は豪雨の幕の向こうの存在だ」
『そうね、霧とはいえど海上艦の索敵システムだって気象の影響をうけるわ』
「タイホウの言う通りだ。…………随行していたアクティブデコイの状態は?」
「量子通信も含めて3隻とも全部健在だ」
「となると、我々本艦を迷いなく狙ったと言うことになる。自己の索敵範囲外の……しかも光学観測機器での観測が困難なこの状況で」
艦長の椅子に深く座り直すと顎に手を当ててさらに状況を整理していく。
「ダミーを含む4隻の艦隊の中の我々を的確に見つけて狙撃した」
「かんがえられない状況です」
群像が挙げた401の置かれている状況に僧も意見を出す。
「こちらはさらに用心してデコイを潜航させ、われわれは浮上航行して
「……こちらの損害は?」
群像がいおりに問う。
「超重砲がかすったおかげで強制波動装甲は臨界一歩手前。タイホウ戦の影響で満足に使えるエネルギー回路は7割くらいかな。装甲が溜め込んだエネルギーを放出しないと、これ以上吸収しきれずにエネルギー飽和状態になって崩壊するかも」
「どれくらい保ちそうだ?」
「ん〜、イオナからもらったデータとタイホウからの解析結果。二つ照らし合わせてみたけど、もう余裕はないね。今の状態なら通常火器でも私たちを破壊できると思う」
「防御力0ですか……かといってもなぁ、装甲に溜まったエネルギーを放出しても的にここですよって言うよんなもんだしなぁ」
『一旦、状況を整理しましょう』
「そうだな。タカオは我々が思っている以上に広大な索敵範囲を持っている。そして、探知した上で、デコイと我々を区別する術があると考えられるな」
『一方こちら側は、侵食魚雷が残り8本、
「我々はタカオを退けなくてはいけない。そのためにはタカオの索敵範囲を攻略することは必要事項」
「こちらが本来のタカオの索敵範囲です」
僧が、正面の一番大きいディスプレイにタカオの索敵範囲を記す。
「そして、先程イオナが出した予測範囲に今の話やデータを踏まえて訂正して算出した予測索敵可能範囲を重ねます」
「おいおいおい!大戦艦級
改めて図示されたタカオの索敵範囲の予測結果、暴風圏という壁を超え、401とデコイを完全にカバーするその範囲の広さに杏坪は驚きの声を上げる。群像も険しい表情のままだ。
「しかし、現実に我々は探知され、識別され…………狙撃された」
そこから導き出される答えとは
「いるな…………もう一隻」
『もう一隻…………いるわね』
群像とタイホウの声が重なった。
ポプテピピックがなんというか、その……すごかったですね
霧の装甲空母、ドジっ子タイホウ!
あれれ?今回出番あった?おかしいわ!彼女、主人公なのよ!!
やめて!上陰おじさまはそんなカッコいいキャラじゃないわ!
ツンデレ重巡洋艦タカオに襲いかかる401とタイホウ!
そんなの、過剰暴力よ!!
え?ズイカク、その手に持っているものは………………
えぇ!焼きちくわ!?そんなもの何に使うっていうの!?
次回、『女の花道 タイホウ玉砕』
エンゲージ!