東北伝   作:独田圭(ドクタケ)

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まえがき

紅魔館INしてから迷った挙句、偶々立ち寄った部屋で出会ったフランドール・スカーレットと何故か遊ぶ(戦闘する)羽目になってしまった一刀。闘いの中でフランの欠点を見付けた一刀はある作戦に打って出る。果たして吉と出るか凶と出るか……










【姫海棠はたての幻想郷TOPIX】

はたて「まさか本当に始まるなんて……」

カンペ『はたてさん、もう始まってますよ』

はたて「は、はひ!?そ…それでは第1回目の幻想郷TOPIXを始めます。

まず最初に注意事項から……ですね」





【注意】

・この小ネタ(小ネタ言うな)は本編とは一切合切関係ありません(多分…)
・本当にしょーもないネタなので不要な方は本編へGO!!
・それでも大丈夫な方はゆっくりしていってね♪(テンプレ乙)
・不定期!!(ここ重要)





はたて「では次は何をしたらいいですか?」

カンペ『最近話題になっている事をはたてさんが掘り下げていくんです。この企画の趣旨はそこですよ』

はたて「話題になっている事?

…そう言えば近頃河童が香霖堂の店主や北郷さんと協力してタバコを本格的に生産始めるみたいですよ。そういう話は北郷さんから聞いてませんか?和さん」

カンペ→和『出来れば名前を明かして欲しくなかったんですが……

まぁ一刀様は予てからタバコを幻想郷に流通させる計画を立てていたようですね。まだまだ課題は沢山あるとは仰ってましたが』

はたて「外の世界も風当たりが強くなっていますからね。そういう問題をどう処理していくかが肝心ですよね」

和『そういう事になりますね。

でははたてさん、締めをお願いします』

はたて「はい。

以上、姫海棠はたての幻想郷TOPIXのコーナーでした」




















はたて「……こんな感じで良いですか?」

和「上出来だと思いますよ」



9. 体育の授業なんてもんは結局物理だから頭で覚えられねぇなら体で覚えりゃ良いんだよ

 ◇

 

【体育の授業なんてもんは結局物理だから頭で覚えられねぇなら体で覚えりゃ良いんだよ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「…えっ、本当に良いの?」

 

フランは一瞬耳を疑った。彼女から見てただの人間でしかない一刀の発言は自殺行為と呼ぶに等しく、また吸血鬼を相手にそんな発言をする奴は始めて見た。

 

一刀「良いって言ってるだろ。何、聞こえなかった?」

 

頭に?が浮かぶ表情のフランを見て、一刀はまぁ無理ねぇかと思う。

 

何せ彼女は自身の能力をまだ完全に使えていない。完全に使えないという事は、その能力のポテンシャルを完全に把握出来ていないとも言える。

 

一刀がこれからやろうとしている事は簡単に言えばフランへの教育。能力を使えないのであれば使える様にすれば良いという至ってシンプルな発想である。

 

勿論能力が暴走するリスクは伴うが、それも想定内。寧ろとっとと暴走してもらった方が一刀にとっては都合が良い。

 

他にも別の作戦を考えてはいたが相手は幼いフラン(少なくとも見た目は)、理を持って説き伏せたところで意味はない。そこで一刀は「理論が駄目なら物理っしょ」という結論に至り、頭ではなく身体でもって覚えさせる作戦を選んだ。

 

その際一刀は攻撃という手段を一切使わない。これには勿論理由がある。

 

冷静に考えて吸血鬼と人間が真正面から勝負すれば、はっきり言って人間に勝ち目は無い。それは一刀もフランも良く解っている。

 

事実フランは人間なんてすぐ壊れる人形以下の玩具としか思っておらず、一刀に対しても同じ様な認識を持っていた。

 

一刀はその認識を利用するつもりなのだ。人間の心理として後一歩のところで相手を倒せそうという場面まで追い詰めた場合、人間という生き物は考える事を止める。ただ本能のままに追い討ちを掛けるのだ。

 

比較的頭を使う人間ですらそうなのだから、人間と違って策をあまり使わない妖怪ともなれば一層この傾向が強くなる。それにフランは五百年近くもの間ずっとあの部屋に幽閉されていたと戦闘前一刀に語った。

 

……という事は、フランは実年齢四百九十五歳だが、外に出てない=世間を知らない事で精神年齢は全く成長してはいないという事になり、感情をコントロール出来ないフランでは本能が理性を上回る瞬間が早く訪れる事にもなる。

 

つまり一刀は【防御一辺倒であたかも自身が攻撃出来ない風に見せてフランの能力『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』を意図的に暴走させる】作戦を考えているのだ。だから無駄な攻撃は一切しない。

 

あまりに荒療治で有効的な手段とは言えないが限られた時間で効率良く事態を収束させる事を優先し、人間でありながら人間として生きる道を捨てた一刀だからこそ出来る荒業である。それに一刀は異変解決者ではないのでスペルカードルールに則った闘い方をするつもりは毛頭無い。例え二者択一を迫られても恐らく一刀は力ずくでその両方を奪いにいく筈。二兎追う者は一兎も得ずはこの男には一切通用しない。

 

一刀「言っておくが、本気で来いよ。

 

じゃねぇと俺は壊せねぇぞ」

 

しかもここは幻想郷。世間の常識という枠組みから外れた者達が集まる場所。常識なんて風が吹けば遥か彼方にすっ飛んでいく。

 

一刀にしろ、その従者和にしろ世間一般の常識から外れた存在なのだ。そんな者達が今更常識を語ったところで本当に今更でしかない。

 

それに一刀は、自分と同じ土俵に上がってもいない相手と闘って勝ちを得たとしてもはっきり言って何の自慢にもならない。『壊す』『遊ぶ』という言葉は土俵に上がってから言えと一刀は思っている。

 

だからコレは教育なのだ。わざわざ自分の好敵手となり得る存在を創造しなくてもと一刀は己の中で笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…結論から言えば、一刀のこの思惑はものの見事に外れる事になる。

 

フランドール・スカーレットは一刀が想像していた以上にずっと幼かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

紅魔館には大図書館がある。

 

…といっても紅魔館の住人に読書好きな者は居らず、ここに立ち寄る事があるとすれば図書館の主の魔法使い【パチュリー・ノーレッジ】かその部下【小悪魔】に用事がある時ぐらいのもの。

 

ましてや紅魔館の住人以外の者で図書館を利用する者は居ない。そもそもここまで辿り着ける者がまず居ない。

 

だから今日という日は珍しい事が起こるものだとパチュリーは思う。

 

パチュリーの視線の先にはトンガリ帽子を被った白黒の魔法使い、霧雨魔理沙が図書館にたむろして本を読み漁っていた。

 

彼女の出で立ちから魔理沙が魔法を使う人間である事は人目見てすぐ分かった。

 

ただし、彼女は魔法を使う人間であって魔法使いではない。それを見抜けたのは魔理沙が道具を使っていたから。

 

魔法使いが魔法を使う時は基本的にマジックアイテムと呼ばれる物は使わない。魔導書一冊さえあれば大抵用は足りるのだ。

 

その魔理沙がどさくさ紛れに読んでいた魔導書を懐に仕舞おうとして…

 

パチュリー「…何してるの」

 

魔理沙「何って……借りるだけだぜ。死ぬまでな」

 

それはもはや借りパクと言ってもおかしくはないのではないか?さも当然の様に言ってのける魔理沙に開いた口が塞がらなくなる。

 

霧雨魔理沙という少女は借りパクの常習犯として幻想郷で有名である。主な被害者は香霖堂の店主、森近霖之助。彼は商品として取り扱っている物をことごとく魔理沙に持ち逃げされている。その都度霖之助に咎められているが魔理沙本人に反省の色が無いと呆れていた。閑話休題。

 

今後この大図書館も借りパク常習犯霧雨魔理沙の被害者の常連として名を連ねる事間違いない。パチュリーには気の毒だが逞しく生きていって欲しいと思う。閑話以下略。

 

パチュリー「…貴女、そんな事繰り返しているといつかバチが当たるわよ」

 

パチュリーのこの発言に魔理沙の脳内で二人の人物が浮かび上がった。

 

魔理沙は以前、かっちゃん堂でも食い逃げを仕出かそうとしたが、速攻捕まり一刀からシバかれ、和からは長時間に渡り説教を喰らわされ、身も心もボロ雑巾にさせられた過去がある。

 

それが魔理沙の軽いトラウマになっているらしく、たまに夢として思い出すのだとか。

 

魔理沙「…まぁ、善処するぜ」

 

だが、それを反省材料にしていない所は如何にも魔理沙らしい。我々は魔理沙を少々(?)わんぱく(??)な少女……という事にしておこう。

 

魔理沙は最初っから大図書館に用事があった訳ではない。霊夢と共に異変の黒幕を突き止め紅魔館に侵入したは良いが、広大過ぎる館内を探索している内に霊夢とはぐれてしまい右も左も分からず彷徨っているといつの間にか図書館に辿り着いた。

 

そこでパチュリーと出会うのだが、特に門前払いされる訳でも歓迎される訳でもなかったので魔理沙はこうして図書館に居座っているのだ。

 

魔理沙「それにしてもお前、よくこんな状況で平気な顔でいられるよなぁ」

 

唐突な魔理沙の呼び掛けに一瞬何の事か分からなかったが、異変の事を指している事に気付くと「あぁ…」と小さく漏らして…

 

パチュリー「…私は別にレミィのやってる事に興味は無いわ」

 

もしパチュリーがこの異変に一枚噛んでいたとしたら魔理沙が図書館に忍び込んだ時点で既に蜂の巣にされていた筈だ。魔理沙も思い当たる節があるので特に言及はしない。

 

魔理沙「誰だよ、そのレミィって奴は?」

 

パチュリー「この紅魔館の主、レミリア・スカーレットの事。一応私の友人よ」

 

パチュリーはそれだけ言うと再び魔導書に視線を戻した。魔理沙も話す事が無くなったのでこちらも魔導書を読み漁る。それっきり図書館は静寂に支配される。

 

魔理沙はこう見えて……という言い方は失礼に当たるが豪快な性格とは裏腹に魔法の研究には余念が無い。

 

その分実力は折り紙つきで、彼女の友人の魔法使い曰く「捨食・捨虫の法を習得すれば一流の魔法使いになれる素質はある」と評価している。もっとも、本人にその気があればの話だが(今のところは無い)。

 

先天的な閃きの強さで異変を解決する博麗霊夢を天才肌だと称するならば、魔法への飽くなき探究心で己の地力を底上げしてきた霧雨魔理沙は雑草魂と呼ぶに相応しい。

 

この後魔理沙はパチュリーに指摘されるまで異変の解決の事をすっかり忘れて魔法の研究に没頭していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

ーー誰かの高笑いが聞こえた。

 

そうかと思うと、直後に先程とは比べ物にならない程の轟音が館内に響き渡る。

 

…いよいよ正念場を迎えましたか。

 

レミリアの自室に避難し皆がそれぞれの展開を予想する中、和は大広間がある方角から視線を外さずにジッと見据えていた。

 

ハッキリ言って一刀の心配は全くしていない。勿論慢心でも何でもなくちゃんとした確証があっての事だ。

 

大抵自分一人で問題を解決出来ると一刀自身が判断した場合は和はこれといった手助けはしない。その時の和の仕事はただ一刀の無事を信じて待つだけである。

 

ただ不測の事態というのは起こりうる可能性は必ずしも無いとは言い切る事は出来ない。一人では無理と判断した場合に一刀から和に向けてゴーサインが出る。

 

それに備えて和は二人の気を探っていつでも出動出来るようにしている。無論、その様な事態が起きない事に超した事は無いが。

 

レミリア「心配かしら?主の事が」

 

和「……さぁ、どうでしょうか」

 

扉の前でじっとしているとレミリアが話し掛けてきた。どうも主を心配していると思われたようだ。

 

確かに心配しているという気持ちは5%ぐらいはある。主に一刀のボケスイッチがONになってしまわないか、という方で。

 

……というかいつ私が一刀様の従者である事を知ったのだろうか?

 

レミリア「あの男の事なら心配ないわ。私にはそれが解る」

 

……あのスミマセン、私には貴女の言ってる意味がサッパリ分からないんです。だから自己完結するの止めて貰えますか?

 

和が心の中でレミリアにツッコんでいるのを余所に当の本人は得意気な笑みを浮かべて更に続ける。

 

レミリア「運命を見たのよ。私達と……あの男のね」

 

ようやく和は納得した。それが彼女の能力なのだとしたらこの先どんな事が起こるか言い当てられても不思議ではない。……もしかしたら、それを自身の思うがままに操る事も出来るのではなかろうか。

 

和の予想は当たりである。レミリア・スカーレットの能力【運命を操る程度の能力】とは使用者本人を含めた全ての者の未来に待ち受ける運命を覗き見るだけでなく、それを書き換える事も可能な能力なのだ。

 

元々身体能力がずば抜けて高い吸血鬼のレミリアが持つにはなんて反則級な能力なんだろうかと和は自身の能力と比較してちょっぴりブルーな気持ちになってしまった。

 

キャラ設定で言い忘れていた事だが(それを言うな)和の能力『頭を使う程度の能力』は何かを発明及び開発する時や策を講じる時に役立つ能力なのだが、日常生活においての応用の幅の狭さが欠点にある。

 

おまけに100%集中している状態でないと能力が発動しないという厄介な条件が足枷となって使い勝手は悪く戦闘には全く向いていない。どちらかと言えば研究者向けの能力だと和は考えている。

 

和「異変の方はどうするんですか?」

 

レミリア「霧は全てが終わり次第すぐに消すわ。あのまま博麗の巫女と勝負していても私が負ける事は明白だった」

 

……なんと潔い。

 

もしかして自身の能力で自分が負ける運命を見てしまったのだろうか?もしそうだとしたら何故レミリアは運命を操ろうとしなかったのか?

 

そこまで考えた時、和は霊夢の能力を思い出した。

 

博麗霊夢の能力は『空を飛ぶ程度の能力』。名前だけ聞けばなんのこっちゃと思うかも知れないが、空を飛ぶ=霊夢自身が宙を舞う=それ以外の物事も宙に舞う=相手の弾幕、能力、攻撃の全てを受け付けない事を意味しており、大まかな性質だけで言ったら一刀の『有無を操る程度の能力』の下位互換の能力と言っても良い。

 

……全く、どうして自分の周りには主を始めにこうも優れた能力を持つ者が多いのだろうかと和はやはり自分の能力に劣等感を抱いてしまう。

 

天は二物を与えぬという言葉は嘘っぱちだと和は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

余談だが、和は幻想郷で最も長く生きている妖鳥として有名人である。

 

その仲間意識の強さから他の人妖達には排他的な態度を取る天狗(鴉天狗)の文やはたてからも偉大な先輩として尊敬されているのはもはや周知の事実である。

 

確かに自分より長く生きてる妖鳥に会った事は無いし尊敬されている事に悪い気はしない。でも今はそんな事はどうだっていいのだ。

 

こんな見た目をしている自分が悪いのかも知れない。或いはこんな姿に生まれ落ちた己の運命を呪うべきなのかも知れない。

 

だがそれでも…それでも……

 

レミリア「私はレミリア・スカーレット。500年もの悠久の時を生きてる誇り高き吸血鬼よ」

 

和「私は和と言います。年齢は……少なくとも貴女の10倍程は生きています」

 

レミリア「……」ポカーン

 

……何故そんな反応をする。

 

10倍と聞いてレミリアの顔から余裕の笑みが一瞬にして消え去った。誇り高き吸血鬼と自称していたあの頃のレミリアの姿はどこにも居ない。

 

こういう何とも言えない微妙な空気になる事に和はどうも釈然としない。

 

確かに和の外見(顔)は外の世界でセーラー服を着ていても違和感が無い程若く身長も平均的である為、和がレミリアの10倍生きてると言われてもとても想像が付かないのは理解出来る。

 

しかしそれを言ってしまえばレミリアだって500歳にしてはどう見ても幼さ過ぎるし、背中に蝙蝠の様な翼が付いてなければ吸血鬼だと認識出来ないのだ。

 

私でこの反応なら一刀様の時はどんな反応を見せるのだろうか……ってそうじゃなくて。

 

つまるところ和は何を言いたいのかというと、妖怪及び人外は人間の想像力の豊かさが生んだ精神体に限りなく近い存在である為、老化という現象はほぼ無縁なのである。

 

和の認識の正誤以前にこの事は幻想郷内外に住む妖怪達の共通認識でありもっと簡単に言ってしまえば妖怪達の常識なのだ。それなのに何故自分だけこんな扱いを受けなければならないのか……解せぬ。

 

こんな時私が某妖怪アニメの砂かけ婆みたいな外見をしていたらこんな反応されずに済むのになぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……イヤだからそうじゃなくて。

 

実年齢より若く見られる事自体は悪い気分ではないが、ギャップがあり過ぎるのも考えものである。

 

和「文さん……あのカメラを所持している方でもレミリアさんのおよそ2倍は生きていますよ」

 

文「あぁーーーーーー!!和さん、私の年齢をカミングアウトしないで下さいよ!」

 

レミリア「えっ……まさか、今フランと戦っているあの男も……」

 

和「はい。少なくともこの面子の中では最年長ですよ。後、この幻想郷の長である紫様もーー」

 

……と、言いかけたところで和は頭上を見た。

 

和の頭上では、丁度紫のスキマから大きなタライが落ちてきてる最中であった。和はタライが頭に当たる直前に両手で掴み、それをスキマ目掛けて投げつける。

 

…ゴスッ!「ぴぃ!!」

 

……掴み損ねたようだ。後でどんな姿で現れるのか。

 

年頃の少女ならいざ知らず、大妖怪の八雲紫ともあろう者が何故いちいち年齢を気にする必要があるのか?

 

以前和はその事を紫に問い、また『明らかに人間よりも長い時を生きているのに今更年齢の老若を気にする事に意味は無い』と真正面からド正論かまして論破したところ……紫は灰になった。

 

この時の経験から、その者の本当のタブーは直接踏み込んでみないと分からないものだと和は気が付いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

そんな話をしている内にあれだけ五月蝿かった轟音が収まり、気が付けば大広間は嘘みたいに静かになっていた。

 

決着が付いたかどうかは2人の気を探れば一発で分かった。

 

和「……どうやら勝敗が決まったようですね」

 

霊夢「どっちが勝ったか分かる?」

 

和「どっちって…どちらもちゃんと生きてますよ」

 

…ガクッ

 

4人「(死ぬ事前提かよ!!)」

 

和以外の4人は一斉にズッコケた。

 

なにゆえ勝敗が決まる事がデッドオアアライブに直結してしまうのか。仮に死人が1人でも出たらもはや異変の範疇に収まらなくなり、仕舞いには罪人は牢獄の中で一生を過ごす事になるだろう。まぁそんな場所は幻想郷の何処にも無いが……

 

勿論和は冗談で言ったに過ぎない。裏を返せば、今はそんな冗談を言える程状況は落ち着いていると言える。

 

後は一刀が巫山戯た事を仕出かして紅魔館の住人に要らぬ迷惑を掛けやしないか……寧ろそっちの方が和にとっては不安である。

 

レミリアの発言が本当であれば、きっと何事もなく終わる筈なのだが……

 

決着が付いたという事でレミリアはフラン以外の紅魔館住人を自室に集まるよう咲夜に命じた。命令を受けた咲夜は『時を止める程度の能力』を使いパチュリーや美鈴を始めとした面々をレミリアの部屋に呼び寄せた。

 

その際魔理沙も同じく集められたのだが、魔導書を脇に抱えた姿に全員がジト目を向けたのは置いておく。

 

レミリア「全員揃ったようね。たった今フランの戦闘が終わったところだけど……その前に初対面は自己紹介を済ませましょうか。

 

私はこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ」

 

霊夢「博麗霊夢よ」

 

魔理沙「私は魔法使いの霧雨魔理沙だぜ☆」

 

文「どうも、私は清く正しい射命丸文です!」

 

和「お初にお目に掛かります。わたくし和と申します」

 

パチュリー「……パチュリー・ノーレッジよ」

 

小悪魔「小悪魔と言います。気軽に『こあ』と呼んで下さい」

 

美鈴「私は紅美鈴です」

 

咲夜「十六夜咲夜と申します。宜しくお願いします」

 

一刀「俺様は北郷一刀だ。宜しく頼むぜ」

 

一刀と和以外の全員「……!!」

 

いつの間にかレミリアの部屋に浸入していた一刀に予め気配を察知していた和以外の全員が驚いた。……しかも背中に眠ってる小さな吸血鬼を背負っている。

 

和「一刀様、そちらの御方は…」

 

やや緊張した面持ちで和が問う。対する一刀は非常にあっけらかんとした表情で……

 

一刀「あぁ、コイツは闘い疲れて眠ってるだけさ。まぁ、あれだけ派手に暴れればなぁ」

 

一刀の言葉を聞いて和はホッとした。流石にこの状況では一刀もまともにやってくれたようだ。

 

スペルカードルールに則った初めての異変は一刀達のバックアップの効果もあって無事解決となり上々の船出となった。後は紫からたんまりと報酬を掻っさらうだけである。

 

フランをベッドに寝かせた一刀にレミリアが近付く。それを見た和達はまた少し緊張した面持ちになる。

 

レミリア「妹が面倒掛けたわね。狂気を消してくれて感謝するわ」

 

一刀に感謝の言葉を述べつつも、その眼は一刀を値踏みするかの様な鋭い目付きだ。

 

それに対して一刀はいつもの様に死んだ魚の眼をしたまま……

 

一刀「別に狂気は消しちゃいねぇぞ。ただ制御出来る様にしただけだ」

 

一刀は自分が企てた計画をレミリアに説明した。狂気はフランそのものである為、消し去る事は困難だった事。そこでフランが狂気を制御出来る様に仕向けた事。そしてその為にわざとフランを暴走させた事等、一刀は順を追って述べた。

 

一刀「まぁ、アイツが分身を使った時にはちっとばっかし驚いたわ。リュ○ケンと対峙するラ○ウみたいな気分だったぜ」

 

和「あの……例えるならもう少し皆さんに納得してもらえる物にしてくれませんか(汗)」

 

幻想郷内外を自由に行き来出来る一刀とは違って他の面々は外界でまともに暮らした事の無い者がほとんどなのでこの例えは少々分かりづらいのではなかろうか。

 

そう思い、和は口を挟んだのだが……

 

美鈴「あっ、その本なら私が全巻持ってます」

 

和「エェーーーーーーッ!!本当ですか!?」

 

まさかそのマンガの持ち主がこの紅魔館内に居たなんて……

 

流石は幻想郷。常識には囚われない何でもアリな世界である。

 

一刀「話を戻すが、これでコイツの狂気が暴走する心配は無くなった。全て俺の計画通りだ」

 

しかし一度暴走させたからといってこの先二度と暴走しないという保証はどこにあるのか?一刀は自信満々のようだが正直に言ってあまり理に適ったやり方だとは思えない。

 

霊夢「……カズ兄さん、本当にそのやり方で大丈夫なの?別の方法とか無かったの?例えば言葉で言い聞かせるとか……」

 

霊夢の疑問に一刀の運命を覗き見たレミリアと従者の和以外のほぼ全員が一斉に頷いた。

 

その疑問を受け、一刀は語り出す。

 

一刀「理屈でどうこう出来たなら俺だってそうしてたさ。ただアイツは頭で理解する力が備わっていなかったから消去法で物理的手段を選んだに過ぎない」

 

更に一刀は続ける。

 

一刀「俺の莫大な経験則から言うと、能力を使いこなす様にするにはまず本質を理解する事。次に欠点を見抜く事。そして最後に限界を知る事。

 

この3つのポイントを押さえとかないと能力を思い通りに使うのは無理だ」

 

一刀の有無を操る程度の能力で分かりやすく表すと、本質はこの世の有象無象を改変出来る事。欠点としては能力を使用するには霊力を消費する為、無闇に多用は出来ない事。そして同時にそれが一刀の能力の限界でもある。

 

一刀「この中で特に重要なのが限界を知る事だ。己の能力の限界を知って初めて本質と欠点を理解出来るものだと俺は思う」

 

つまり一刀の話を掻い摘んで説明すると、フランに決定的に足りなかったものとは能力の限界を知らなかった事だと言える。

 

一刀「さっきも言ったがフランドールは頭で物を理解出来ない奴だから直接体で覚えさせた方が手っ取り早いと思ったんだ。

 

一口に暴走するって言うが、裏を返せばその時が全力を出してる状態って言えるだろ?能力の規模に体が追い付いてないから暴走ってもんが起こる。

 

だがそういうのは本人が忘れていても体がしっかりと覚えているもんだ。一度暴走したら今後そういう事が起きないように本能が肉体のキャパシティ内に能力の規模が収まる様に調整してくれる。

 

俺が二度と暴走しないって言ったのはそういう事だ。まぁ雑なやり方だったのは認めるがな」

 

話を聞いて皆納得した表情をする。だが和だけは少し違った解釈をしていた。

 

一刀本人は雑なやり方だったと言っていたがそれは違う。時間と効率を重視したこの場で最もマストな方法だと和は思う。

 

それに今日出会ったばかりの赤の他人にそこまでの事を思い、失敗すれば後が無い状況でこれだけ思い切った行動が出来る者が果たしてどれだけ居るのだろうか。

 

幻想一ちゃらんぽらんな男として有名な一刀だがここ一番の場面では和以上の頭のキレっぷりを見せ、常に完璧なまでの仕事をする姿はまさしくカリスマだと言える。

 

そんな主のある種のカリスマ性に私は心惹かれたのだと和は改めて北郷一刀の従者として生きる事に生き甲斐を覚えた。

 

その後意識が回復したフランは一刀に懐き『お兄様』と呼ばれた一刀が万歳三唱しながら泣き崩れたり、頭にたん瘤付けた状態で紫が登場して和に散々文句を言ったり、一刀に『お子ちゃまは身の丈に合った行動をしろ』と言われたレミリアが怒り狂ってグングニルを振り回すなど色々あったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尺の都合上全て割愛する。

 

こうして最後には皆が笑顔のまま紅霧異変は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

早苗「凄く良い話ですねぇ。私感動しましたぁ」グスン

 

和「……いつからそこに居たんですか?」

 

早苗「最初っからずっと一刀君の部屋に居ましたよ」ケロッ

 

一刀「オイ」

 

和「イヤ、それもうストーカーです」

 

……しかも回答が的外れ。

 

一刀「来たなら早く店手伝え」

 

早苗「ハーイ♪」

 

神出鬼没という面だけで言えばあの八雲紫と良い勝負なのかも知れない。店の手伝いをしてくれる事だけは有難いとは思うが。

 

一刀「はい、お待ちどう。たこ焼き2つ」

 

咲夜「有難うございます」

 

一刀達は後日談を話そうとしたが、咲夜があんまり長く立ち話をしているとレミリアが機嫌を損ねると言いやんわりと断った。

 

咲夜「では失礼します。時間があればまたいつでもお越し下さい。妹様が喜びますので」

 

そう言うと咲夜は一瞬で姿を消した。

 

一刀「……やれやれ、アイツも我が儘な主を抱えて苦労してるなぁ。」

 

和「一刀様も人の事は言えませんよ」ボソッ

 

一刀「ん?何か言ったか?」

 

和「いえ、何でもありません」

 

我が儘な主に困り果てている者は何も咲夜に限った話ではない。だが言っても治らないので和はもう諦めている。仮に一刀にその事を指摘しても「それが俺のデフォだから」とかメタな事言ってやり過ごすに決まってる。

 

早苗「一刀君、後日談とは一体何ですか?」

 

一刀「後日談ってのは宴会の事だ。幻想郷じゃあ異変解決の後に異変の主犯を歓迎するっつー名目で宴会をやるんだ。オメェ等の時もそうだっただろ?」

 

和「要するに一刀様がまたやらかしたという話です」

 

早苗「へぇ~、そうなんですか」

 

一刀「人聞きの悪い事言うな!俺は誰よりもアイツ等を歓迎してただろうが!

 

どうすれば宴会が盛り上がるか俺は常にその事を考えて宴会に参加してるんだよ……(笑)」

 

和「恥部丸出しな裸踊りを見せ付けられてどこが盛り上がるんですか……

 

後最後笑うな」

 

後はワインばかり飲んでいたレミリアに一刀が口直しと称して焼酎をストレートで飲ませたところレミリアがぶっ倒れたり、霊夢のサラシを取ろうとして和にシバかれたり、美鈴の胸を見て「和もコレぐらいあればなぁ…」と発言したが為に咲夜のナイフを拝借した和に串刺しにされたりといつも通り滅茶苦茶な宴会であったと言っておこう。

 

一刀「こんな話してたら酒が飲みたくなってきたぜ。

 

どうだ、仕事終わりに蕾で一杯やらねぇか?」

 

早苗「良いですねぇ。行きましょう!」

 

和「私はお酒飲まないんですが…」

 

一刀「わぁーってるって。お前は俺達3人の介抱を頼むわ」

 

和「酔い潰れる事前提なんですね……

 

って3人ですか?」

 

一刀「おうよ。1人どうしても付いて行きたそうにしてる奴が居るしな。

 

……そうだろ?紫」

 

紫「さっすが、よく分かってるじゃない一刀」ヒョコ

 

和「あぁ、そういう事ですか」

 

こうしてスキマからひょっこりと現れた紫を含めた4人は仕事が終わると同時に夜の人里へと消えていった。

 

ちなみに翌日一刀は酷い二日酔いで全く仕事にならず和が涙目になっていた事は言うまでもない。

 

 





【教えてぇ~、一八先生!!】





一刀「……ペンネーム平和の象徴さんから頂きました。

『一刀様、今回の紅霧異変編は戦闘描写がカットされていましたが、その辺についてはどうお考えですか?

後、投稿が遅れた事についてはどう弁明するつもりですか?』

はい、ではズバリお答えしましょう。

考えとしては主人公が直接関与していない限り、原作異変は戦闘描写をバッサリカットするつもりです。基本的に東北伝はギャグがメインの小説なのでその辺は理解して下さいとしか言いようがありません。

次に弁明についてですが、これはタグをよく見て質問して下さい。以上です。




















……あれ和、何で木刀なんかを振り上げているんだ?

あっ、オイ、チョット……










アギャーーーーーーーーーー!!」ピチューン☆

教えて一八先生【完】




















一刀「投稿大幅に遅れてすみませんでした……」

ボロ雑巾

和「始めからそう言っていれば良かったんですよ……」
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