少し時間が出来たので一話だけ書けました
それといつの間にかUA25000&お気に入り登録1000突破していました
有難うございます!これからも頑張りたいと思います
オリヴィエに励まされたあの日から俺はさらに頑張るようになった
理由としてはオリヴィエの仏頂面を驚愕させてみたいとか、オリヴィエに褒められたいとか……
つまり惚れてしまったんだよ、オリヴィエに。まさか俺がこんなチョロインみたいな惚れ方するとは思わなかった
昔はアニメ見ながらこんな人は絶対居ないって高を括っていたけど、人間何が原因で恋に落ちるかなんて分からない。今まで心の中で馬鹿にしてたチョロインの皆さん、すんませんした
でも今思えばオリヴィエのあのセリフが咄嗟に出てくるわけがない。多分事前に考えていたはずだ。部屋でどうやって俺を励まそうかと悶々と悩むオリヴィエを妄想するとメッチャ萌える
……重症だな。もうどうしようもねぇ。えーりんも匙を投げるほどの末期だ、これ
話が逸れたな
オリヴィエに励まされて俺は出来るだけ錬金術の知識を蓄えようとした。いくら勉強しようが錬金術が成功することはないだろうが何もしないよりは遥かにましだし、もしかしたら何かの突破口が見つかるかもしれない
でも書庫にずっと引き籠っている訳では無い
午前中には書庫で勉強をして午後にはアームストロング邸に行ってオリヴィエと特訓してる。特訓と言っても唯俺がオリヴィエにフルボッコにされるだけだけどな
そんな感じで毎日充実に生きていたらいつの間にか十五歳になっていた
七年の修行のお陰である程度強くなれた…はず。今ではオリヴィエと本気で試合しても一撃も攻撃を喰らうことはない。当てたことも無いけど。
それに錬金術の知識もそれなりに学べた。錬金術は未だに出来ないけどね。でも何とか突破口を見つけることが出来た。これが出来れば国家錬金術師にはなれるだろう。でもこの突破口というのは勉強したものから来たんじゃなくて、前世で見たハガレンのワンシーンからアイデアを得ただけだけどね。この時だけはアニメオタクだった前世の自分を褒め称えたね
因みに国家錬金術師になれたらオリヴィエにプロポーズしようと考えてる。七年前のあの時に「私が惚れる位の良い男になってみろ」なんて言われちゃ男としてビッグな事をしなきゃいけないでしょ。あのオリヴィエもまさか俺が国家錬金術師を目指すとは思わないだろうから彼女に銀時計見せたらきっと驚くはずだ。そんな妄想をしながらニヤニヤしてたらオリヴィエに「キモイ」って言われて手に持っていた剣で切腹しようかと悩んだのはいい思い出だ
待ってろよ、オリヴィエ!!俺が迎えに行くからなぁぁぁああああ‼‼
…また話が逸れちまった。オリヴィエの話になるとどうも自制が利かなくなる。末期だなぁ
そんな訳である日、書庫に行ってみると事件が起こった
そろそろ全ての本を読破するなと考えながら読む本を探していると本棚の奥の壁に不自然なくぼみがあったんだよ。不思議に思ってそのくぼみを触ってみると何かのスイッチだった様でカチッという音と共にくぼみが押し込まれたんだよ。するとすぐ横に小さな扉が出てきた。まさかの隠し扉という男心擽る出来事に興奮のままにその扉を開けた
その中で俺は見てしまったんだよ
親父の隠していたエロ本の数々を
それを確認した瞬間、俺は扉をそっ閉じした
親父の性癖なんて一ナノメートルも興味ないからね
だが数日後、俺はまたその禁断の扉を開けてしまった
いや待て!石を投げるな!言い訳をさせてくれ!
この世界って性欲を発散する手段が少なすぎるんだよ。ネットも無いし
それに俺も男の子だ。親父の性癖に興味はなくともエロ本自体には興味がある。おっと、そこで「精神年齢は……」なんて言うのは野暮ってもんだぜ。男なんて万年発情期だし
俺はそっとエロ本を手に取った。こういう時ってやたらと五感が敏感になるよね。家鳴りにもビビっちゃうし
そして俺はエロ本を開いた。この時俺は今までに無いほどこの世界に複写技術があることに感謝した。俺は無我夢中にエロ本を読んでいった
そこで俺は何かの違和感に気付いた
普通なら感じる事も無くスルーするはずだが五感が敏感になっている俺にはその違和感を感じ取れた
その時俺は思い出したんだよ。マルコーが自分の研究書を料理本に偽装していた事を
もう一度注意深く本を見ると確かに錬金術について書いてあった
確かに研究書をエロ本に偽装したのは正解かもな。俺も最初見た時にそっ閉じしちゃったし
親が国家錬金術師だって事は知っていたが何を研究していたかは教えてくれなかった。だがこの本を解読すれば何を研究していたのか分かるはずだ
俺は後でゆっくり読むために解読した奴を別の紙に写した。勿論日本語でだ。この世界で日本語を未だに見たこと無いから解読されることはないだろう。それにもう読む本もそろそろ無くなってきた丁度いい
こうして俺は親の研究所の解読を始めた
…傍から見たらエロ本を書き写す危ないガキに見えるだろうな
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
解読を初めて一年が経ち俺は十六歳になった。
そして親の研究書の解読が終わって、その全貌が明らかになった
「……まさか人体錬成を研究していたなんてな」
まさか自分の親が錬金術の禁忌に手を出していたなんて予想出来る訳もないだろ
この研究所って軍に提出しているのかね?そんな訳ないか
こんなエロ本に偽装する位だ、提出しているはずがない
もしこれが軍に見つかったらうちの家ヤバくね?
そんな事を考えながらゆっくり解読したものを読んでいるととある文章が目に入った
「人体錬成で錬成された物は決して術者の蘇生対象の肉体になることはない」
ん?これは一体どういうことだ?
この文章によると俺がもし親父を錬成しようとしてもその肉体は親父の物にはならないって事か?いや、可笑しい。そんな筈はない。だってそれだと――
ホムンクルスはどうやって生成される?
ホムンクルスは陣錬成の失敗体に不完全な賢者の石を与えることで出来る者じゃないのか?
前提が完全に崩れてしまった。もしかしてこの世界にホムンクルスは存在しないのか?
いやそんな筈はないだろ
この国の大総統はアニメ通りキング・ブラッドレイだし。彼がホムンクルスって保証は無いけど何の理由も無く眼帯付ける必要も無いよね?
それに賢者の石のせいで滅びた国の伝説もあった。確か国の名前はクセルクセスだったかな?アニメには名前までは出てきて無かったからな。つまり何者かがその国の人間を使って賢者の石を作ったって事だ。たとえホムンクルスが居なかったとしても黒幕のダンテさんが居るのは間違いない
何にしろ楽観視は出来ないって事だ
そしてこの世界は俺が知っているハガレンの世界とは違う可能性がある。もしかしたら俺の一番の切り札である未来が分かると言う物はもう使えないかもしれない
困ったな
アニメのイベントをポップコーン食べながら見学することが出来なくなるかもしれなくなっちゃった。イベントが変わるかもしれないしね
溜息しか出てこねぇよ、まったく
「それで、さっきからエロ本を見ながら何を頷いているんだ?」
「え゙?」
誰も居ないはずなのになぜか後ろから声がした
ゆっくりと後ろを振り向くと
「なななななんでお前が此処に居る、オリヴィエ」
「お前が何時もの訓練に来ないから迎えに来た。でもまさか訓練に来ない理由がエロ本を読むためだったとは」
俺の婚約者殿が後ろで仁王立ちしていた
最悪だ。一番見られちゃいけない場面を見られた
やめろ!そんな憐みの眼で俺を見るな!
「待て、オリヴィエ。これには理由が――」
「お前が男故にそういう物に興味を示すのは知っている。だがほどほどにしろよ?」
それだけ言うとオリヴィエは書庫から出て行った
誰か……俺を……殺してくれっ!
主人公がやっと自分が違う世界に居る事に勘づき始めた回です
この話から時間が直ぐに進むと思います
早く原作に入りたいので
誤字とかあれば報告してくれると助かります
感想、評価してくれたら私の疲れが取れるかもしれません