ハイスクールD×D 永遠の皇帝<エターナル・エンペラー> 作:てこの原理こそ最強
第1話
とある朝。カーテンの隙間から入る太陽の光で目が覚める。クローゼットの上に掛けられている時計に目をやると5:30。いつもなら目覚ましか誰かに起こされない限り起きることはないのだが、今日はなぜだか早く目が覚めてしまった
起きたと自覚してから約二分後、布団の中でオレの上に誰かが乗っていることに気づく。しかも両腕はまた別の誰かに抱き枕のような扱いを受けているようだ。オレの上に二人、両隣に二人。オレも含めて計五人でこのベッドを使っていることになる。ベッド的にはかなりの重労働だろう。いつもお世話になってます
さて、このまま二度寝に入ってもいいのだが、せっかく早起きしたのだ。たまにはオレが朝ごはんでも作ることにしようか。そう思ってオレは冬なんかオレのこと大好きすぎてなかなか離してくれないベッドを出る決意をした
布団の中に誰がいるか大体予想つく。起こさないようにそーっと手を抜き布団を剥いでみる。首だけ動かして誰だったのかを確認すると、オレの上には長い金髪でピンクのチェック柄のパジャマを着ている小学生ぐらいの女の子と、同じくらいの年頃で白髪の長い髪に黒がかった赤いワンピース型のパジャマの女の子がいた。二人とも気持ちよさそうに眠っている
そして右側にはオレに乗っている二人よりも長く紫がかった髪に薄紫の半袖パーカーとショートパンツというラフな格好でいる少女。左側には黒髪ショートで黒と赤ストライプパジャマを身につけている。この二人がオレの腕を抱き枕代わりにしていた犯人だ。しかし二人共心地良さそうに寝息を立てている
オレはオレの上に乗っている二人をそっと下ろし四人が川の字+一本という形で寝るようにしてベッドから出て再び布団をかけるのであった。しかし今思うと一晩布団の中で暑くはなかったんだろうか…
「うし。顔洗って支度すっか」
可愛い寝顔達の前で軽い伸びをしながら小さな声でそう告げた
四人を起こさないように部屋のドアを開け、外に出てまた静かに閉める。何気に神経を使う作業だ。あ、着替えは持って出ました
その後洗面所に行って顔を洗い持ってきた着替えに着替える。まぁ着替えって言っても学校の制服だけど。そしてリビングへ行きキッチンに入る。うちはそこらにはいないなかなかの大家族で、家自体もそうだがそれぞれの部屋が大きく作られている。このリビングもそうだしキッチンも然りだ。キッチンには大人四、五人は入るだけのスペースはあるだろう
さ〜て。今日の朝は何にしましょうかね
ー6:15ー
男が起きてから四十五分後、今度はある青髪の少女が自分の部屋で目を覚ました。ショートヘアーで片目が前髪で隠れている少女はベッドから起き上がり時計を一度確認してから部屋を出た。顔を洗うために洗面所へ向かう途中、リビングの明かりがついていることに気づいた
「?誰でしょう。こんな時間に」
いつも家の住人の中で一番最初に起きている彼女はそんな疑問を口走る。自分の身だしなみよりも先にそっちの方が気になってしまってリビングのドアを少し開けて隙間から中を覗いてみた
「っ!」
中にいる人物を見て彼女の頰は赤みを帯びる。それもそのはず。なにせ中では彼女が好意を向けている人物がキリッとした顔で料理をしているのだ。そんな姿を見てキュンとしてしまっている彼女であった
青髪の少女は一度覗くのをやめて急いで手櫛で髪型を整える。こんなときに自分の寝相の良さをありがたく感じてしまう彼女であった。最後に自分の気持ちを悟られぬようフーッと深呼吸をし心を落ち着かせてドアを開けて中へ入った
「おはようございます」
「ん?あぁ、おはよう。”レム”」
青髪の少女ことレムは彼の笑顔でまた心臓の鼓動が早くなるのを感じる。しかし顔には一切出ておらず平然を保っている
「相変わらず早いんだな」
レム「朝食を作るのもレムの仕事の一つですから」
「そっか。いつもありがとな」
レム「いいえ。それにしても珍しいですね。こんなに早く起きているなんて」
「ん〜。なんか目が覚めちまってな。まぁ早起きはなんたらの徳とも言うし。今日は久しぶりにレムのパジャマ姿を見れたからな。こりゃあ得だろうよ」
レム「なっ!何言ってるんですか!」
「ははっ、レムは可愛いな」
レム「からかわないでください!」
「ははは、悪かったよ。早よ着替えといで」
レム「もう…わかりました」
レムは彼の言葉に従い着替えをするため一旦自分の部屋に戻った
レムが戻ってくると朝食の準備を手伝ってくれた。まぁいつもはレム一人でやってくれてるんだがな。ホントに感謝いたします
「こうして一緒にキッチンに立つのも久しぶりだな」
レム「そうですね。普段の誰かさんはまだ起きていませんでしょうから」
「ぐっ…面目無い」
レム「ふふっ、大丈夫ですよ」
レムとそんな他愛もない話をしながら料理を進めていると二階から誰かが降りてくる足音が聞こえてきた。開けっ放しになっていたドアから見えたのは上は黒の半袖スポーツウェア、下は黒のジャージで黒髪のイケメンだった
「あ、”達也”。おはよう」
達也「ん?あぁ、おはよう」
「おはようございます」
達也「珍しいな。今日は核ミサイルでも降るのか?」
「おい、物騒なこと言うんじゃねぇよ。これから鍛錬か?」
達也「あぁ」
「そっか。先生によろしくな」
達也「わかった」
そう言って達也は家を出て行った。先生とは達也に稽古をつけている先生のことだ。この家からおよそ五キロほど離れた山の寺で普段住職として働いているがその正体は「忍び」らしい。オレも何度か稽古をつけてもらったことがあるが、おそらく世界の武道の選手の何十倍も強いお方だ
「達也はすげぇな」
レム「はい。懸命に強くなられようとしていますね」
「そうだな。それが達也の強みだな。毎日欠かさずトレーニングを続けてる。そりゃ強くなるわ」
レム「そうですね」
「さて、続きやるか」
レム「はい!」
オレ達は引き続き朝食の準備に取り掛かった。まぁもうほとんどできてるんだけどな
ー7:20ー
達也「ただいま」
「おっ、おかえり」
レム「おかえりなさい」
大方朝食の準備も整ったとこで達也が帰ってきた
「戦果はどうだったよ?」
達也「今日も一本も取れなかったよ」
「そうか。じゃあまた今度だな」
達也「あぁ。シャワーいただくぞ」
「抜かりないぜ。四十度ジャストだ」
達也「そうか。すまんな」
「いいってことよ」
達也の鍛錬はそんじょそこらの人達とはわけが違う。本人はシャワーでいいと言うがオレが半強制的に風呂に浸からせている。そして風呂に向かおうとする達也に親指をグッと立てた手を出して見送った
レム「あ、そろそろ時間ですよ?」
「ん?ホントだな。あとの皿出しとか頼んでいいか?」
レム「はい。任せてください」
「じゃあ頼んだ」
オレはあとのことをレムに頼み他の住人を起こすためそれぞれの部屋へ向かった
この家に住んでるのはオレを含めて十六人。一階と二階にそれぞれ部屋がある。オレは上から起こしていくことに決めて階段を上がり一番奥の部屋のドアをノックした
コンコン
「”十六夜”。起きてるか?」
『あぁ。大丈夫だ』
「わかった。もう朝食できてるからな」
『オッケーだ』
中から返事が返ってきたため次の部屋へ移動する。十六夜の隣の部屋は達也なのでスルー。その隣の部屋をノックしようとすると
ガチャ。ポフッ
ドアが勝手に開き中の住人がオレの体とぶつかった。まぁ走っているところに衝突したわけじゃないから怪我はないだろう
「おはよ。”深雪”」
深雪「〜♪はっ!お、おはようございます!」
既に学校の制服に着替え終わっている純白の肌に綺麗な長い髪が際立つ深雪。なんか匂いを嗅がれた気がするのは気のせいかな?
「大丈夫か?」
深雪「だだだ大丈夫です!申し訳ありません!」
こんな何でもないことに全力で頭を下げて謝罪の言葉をかけてくる深雪。そんな深雪の頭に手を乗せる
「ごめんな。一応起こしに来たんだけど、深雪にそんな心配はいらなかったな」
深雪「いえ!とても嬉しいです!」
「そうか。あっ、達也なら日課の鍛錬から返って来てるぞ」
深雪「わかりました」
「それと、悪りぃんだが深雪。この階のやつら起こしてもらっていいか?」
深雪「はい。承知しました」
「頼むな」
二階の他の連中のことを深雪に頼み階段を降りる。その際に深雪の頭から手を離すと「あっ」という小声と少し名残惜しそうな顔をしていた、かな…
一階に降りて一番奥の部屋のドアをノックした
コンコン
「”タツマキ”〜、タツマキ〜、タ〜ツマ〜キちゃ〜ん」
バタン!
タツマキ「うっさいわね!一回と呼べばわかるわよ!」
「そっか。早くリビング行けよー」
タツマキ「なによっ!」
年齢にそぐわない背丈でいつもツンツンしているタツマキ。彼女と初対面で親しくなるのは通っている学校で最大の難関と言われているそうな
そんで次の部屋へ移動、のはずなんだが次の部屋には誰もいない。間違いない。なぜなら、オレの部屋で寝てるから。いつも思うけどいつオレの部屋に侵入してんだろうな。そんなことを思いながらオレの部屋にいる四人を起こすため向かった
部屋に入ると未だに起きた様子のない四人がスースーと眠っている。とても気持ち良さそうだ。しかし時間も時間だし起こさなければならない。あっ、いつもオレのこと起こしてくれるみんなってこんな気持ちなんかな。感謝感謝
「おーい。朝だぞー。起きろー」
「「「「zzz…」」」」
誰も起きる気配なし。ダメだ…一人ずつ起こしていこう
「ほら”ティナ”。起きな」
ティナ「ん…ふぁ〜…おはようございます、お兄さん。昨日は楽しかったですね…」
「そうだな。朝食できてるから、顔洗って行きな」
ティナ「ふぁ〜い」
金髪の少女、ティナの言っていたことはおそらく昨日の夜のおしゃべりのことだろう。ティナは夜型のためたまにオレの部屋にやってきては雑談をする。昨日もそれをやった
さて、次だ
「”アンナ”。起きな」
「…」
白髪の少女、アンナは声を発さずムクリと起き上がった
「おはよ。朝食遅れるぞ。今日はオレが作ったやつだ」
「っ!行く」
「オレはこいつら起こしてから行くから先に行ってな」
「…わかった」
そう言ってアンナはタッタタッタ小走りで部屋を去って行った
さて、一番の難関だ。今寝ている二人はこの家で朝起きないナンバー1、2なのだ。起きないときはとことん起きない。しかも平日に起きないんだからタチ悪い。休日は「どっか連れてって!」って起こしにくるくせに
「”ユウキ”!”クロメ”!起きろ!」
「「zzz…」」
「起きないならもう遊んでやらんぞ」
そう言うと黒髪ショートのクロメの体が一瞬ピクッとなったのを見逃さなかった
「クロメは起きてんだろ。ホントに遊んでやらないぞ?」
その発言が決め手になったのかクロメはゆっくりと体を起こした
クロメ「やだー」
「なら早く行きな」
クロメ「ん」
寝起きなだけにそんな淡白な返事をして部屋を出て行った
さて、ラスボスだ。オレはユウキの体を揺さぶる
「ユウキ!」
ユウキ「んん…ふぇ…?あれ、どうしたの…?」
まだ寝惚けているのか目を半開きのまま体を少し起こす
「どうしたもこうしたも朝だから起こしに来たんだよ。てかここはオレの部屋なんだけども」
ユウキ「朝…朝ごはん」
ユウキは目を擦りながら起き上がった
「もう用意できてんぞ。久しぶりにオレが作ったんだ。早く行こうz「本当!?」…お、おう…」
ユウキ「やったー!」
ユウキはよっぽど嬉しいのか走って行ってしまった。そこまで喜んでくれるのはありがたいんだけど…
「このやろう…」
起こしてやったオレは放置か!?
リビングに戻る途中洗面所のドアが開いた。中から腰まであるくらいの長い金髪に少女が出て来た
「あっ!おはよう!」
「おはよ、”カナリア”」
カナリア「遅かったね」
「クロメとユウキ起こしてた」
カナリア「あぁ〜…ご苦労さま」
「ホントだわ」
二人でリビングに入るともう全員揃っていた。オレらも席に座る
「じゃあみんないいか?いただきます」
『いただきます』
朝と夜のご飯は余程のことがない限り一緒に食べる。この家のルールだ
「レム、残りのことありがとな」
レム「いえ。あとはお皿を出すだけだったので」
「そっか。ん?なんだよ、”シノア”」
「なんですか〜?二人でこそこそと」
紫の髪を後ろで束ねてリボンで留めている少女、シノアがジト目で尋ねてきた
「今日はたまたま早く目が覚めてな。朝食をレムと一緒に作ったんだよ」
シノア「はは〜ん。ということは今日の朝ごはんは二人の愛の共同作業でできたものということですね?」
レム「シ、シノアさん!何を言ってるんですか!」
レムは恥ずかしいのか顔を真っ赤にして抗議する
「そうだぞシノア。変なこと言うな」
シノア「え〜。でも、嫌ではなかったのでしょ〜?」
「そりゃあな。久々にレムのパジャマ姿も見れたし」
シノア「可愛かったですか?」
「もちのろんよ!」
レム「っ〜!」
あ、やべ…レム顔真っ赤。蒸気でそう
ユウキ「レムりん、顔真っ赤ー!」
カナリア「可愛いー!」
「もう!みなさん!そんなにレムさんをからかわないでください!」
「”雪菜”…頰にご飯粒ついてるぞ?」
雪菜「ふぇっ!?」
黒髪で中学の制服を身につけている雪菜の頰についていたご飯粒を取りもったいないからそれを食べた
「っ!」
『あー!!』
「っ!な、なんだ!?」
「雪菜だけズルいにゃ!」
黒い髪に猫耳を生やし、黒い着物を着ている黒歌が叫んだ
「うるさいぞ、”黒歌”。静かに食べないなら一週間魚料理なしな」
黒歌「あ、あんまりにゃー!」
「なら大人しく食べろ」
なんとも騒がしい朝食だ。まぁ、嫌いじゃないがな
するとそんなことを考えているオレの膝の上に隣の席に座っていたアンナが移動してきて座った
「アンナ?どうした?」
アンナ「…膝の上に座ってるだけ」
「それはわかるが…なんで?」
アンナ「なんとなく」
「さようか」
アンナはユウキやカナリアと違ってあまり感情を顔に表さない。でもこれでも昔よりは感情豊かになった方だ
「アンナだけズルい」
「”犬千代”?お前もか?」
犬千代「アンナがいいなら犬千代も」
「まぁいいが…」
アンナに対抗してかアンナやティナと同じくらいの背丈でなぜかトラの被り物を着ている犬千代も膝の上に座った
「そういえばアンナはなんでオレの部屋で寝てたんだ?ユウキとクロメもだけど」
アンナ「ティナの話し声が聞こえた。抜け駆けは許さない」
ティナ「あ、あれは…ただお話ししてただけで…」
アンナ「でも一緒に寝てた」
犬千代「何それ、ズルい」
ティナ「うぅぅ…」
アンナと犬千代の威圧でシュンとしてしまうティナ
「アンナと犬千代はそこまで。ティナも大丈夫だから。それで?クロメとユウキはなんでだ?」
「「ん?一緒に寝たかったから?」」
ハモってるし。てかなぜに疑問形?
「はぁ…先に一言言ってくれ」
「「はーい」」
こんな感じ、いつも通りの朝食を進めていく
『ごちそうさまでした』
みんなが食べ終えたところで終わりの号令をかける
「うし!皿を流しに持ってきて着替えてないやつは着替えてこい。他はテーブル拭いたり手伝ってくれ」
『はーい(わかった)』
朝食を終え自分の使った食器は自分で流しに持っていく。これもこの家のルールだ。それからユウキやクロメといった着替えてない組、用意を終わらせてない組は自室へ、それ以外はリビングに残って手伝いとなった。オレは皿を洗うためキッチンへ
「マスター、お手伝いいたします」
「サンキュー、”ジブリール”」
腹や足といった部分をさらけ出している露出度の高い服に完全に人間ではない耳に腰辺りからは羽が生えているジブリール。彼女はレムには劣るものの家事全般はできるようになった
「黒歌!お前も手伝え!」
黒歌「えー、めんどくさいにゃー」
「じゃあお前これから一緒に寝るの禁止な」
黒歌「是非お手伝いするにゃ!」
「よろしい」
現金なやつ…黒歌がキッチンに入ってくると
ジブリール「マスター、そんな駄猫の手伝いなど不要でございますよ」
黒歌「屑鳥の言うことはよくわからないにゃ」
バチバチバチ
睨む合う二人。この二人会ったときから馬が合わないんだよな。なんでこんな仲悪いかなー
ぺチッ!
「ひゃっ!」
「にゃっ!」
睨み合っている二人に軽いチョップをする
「睨み合ってないで早く終わらすぞ」
ジブリール「はいマスター」
黒歌「わかったにゃ」
二人は納得いっていないような表情を出しているが手際よくやってくれる。途中からレムや深雪も手伝ってくれたおかげで早く終わることができた
後片付けを終えたオレは今仏壇の前に座って手を合わせている。そこにはまだ若く、30代の男女が写っている写真があった
「父さん、母さん。この街に来てもう一年が経つよ」
オレの両親はとある事故で亡くなった、と聞かされている。実のところホントのことはわかっていない。そういう風に聞かされていたのでホントに事故だったかさえ曖昧である
「昔は父さんも母さんもいなくてめちゃくちゃ寂しかったよ。でも今は一緒にいてくれる家族ができた。だから全然寂しくねぇ。心配しないで見守っててくれ」
そう写真に報告するように話すと
『蓮夜(さん)(くん)!』
玄関からみんなの呼ぶ声がした
蓮夜「じゃあ行ってくる!」
写真に向かってそう行ってみんないる玄関へ足を運ぶのだった