灰色騎士と黒兎   作:アマシロ

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本日2話目です。




4話:灰色の騎士と黒兎

 

 

 

 

 

――――――ハリアスクへの潜入は、意外なほどすんなりと進んだ。

 

 

 街の外壁をクラウ=ソラスのステルスモードで抜けただけではあるのだが、監視のために置かれた人形兵器も特別な装備は積んでいないのか、ステルスモードであれば無反応で通り抜けることができたのだ。ただ、問題は――――。

 

 

 

「―――――首都の中に人形兵器を放っているのか…!?」

「どうやら無差別に攻撃するわけではなさそうですが。恐らくは警戒のため……あるいは市街戦も辞さないという意思表示かと」

 

 

 

 大通りに鎮座する、まるで戦車のような巨大人形兵器。他にも拠点防衛用など大型のものを中心に。その規模はかつてのガレリア要塞どころではなく、千以上は放たれているだろうという異様な光景だった。

 

 なるほど、これは貴族連合軍が機甲兵による精鋭だとしても市街地の破壊を避けるのならば苦戦を強いられるだろう。しかし何よりも問題なのは市民が避難していないことだ。

 

 

 

「これでは、貴族連合軍の機甲兵師団が来ていることを知らない可能性もあるのでは?」

「……っ」

 

 

 

 どこか異様な空気に不安を感じつつも、理由が分からず日常を過ごす市民たち。

 いや、戦闘になれば首都の外に人形兵器を外に出す予定なのかもしれないが―――。

 

 

 

「どこか、避難できる場所はあるのか…?」

「ノーザンブリア自治州では過去の“塩の杭”事件の被害が未だに残っていると聞いていますが」

 

 

 

 それを裏付けるかのように、海でもないのに感じる塩の臭い。

 聞き込みをするべきかもしれない、と特別実習での経験から思う。この状況では困っている人も多いだろうと。しかし問題を根本から解決することができるのは――――。

 

 

 

「……アルティナ、確か結社と繋がっていると思われる議員の居場所は」

「はい。ノーザンブリア議会に併設された宿舎かと。市内に潜伏された可能性もありますが……それでもある程度は絞られるかと」

 

 

 

 何故か、と聞く必要はなかった。

 荒廃した、とまではいかないもののクロスベルの旧市街のように、雑然としたハリアスクの街並み。よほど根性のある議員でなければそれなりに整った建物にいるのではないだろうか。

 

 

 

「……そういえば、まだクレア大尉……少佐は到着していないか。確か集合場所は……」

「遊撃士協会でしたか」

 

 

「ああ。一応確認のために顔を出しておこう」

「了解です」

 

 

 

 

 

 大通りから一本だけ外れた場所にある、遊撃士協会。

 <北の猟兵>の根拠地だからなのか、どこか寂れた雰囲気こそあるものの帝都のものと違ってエンブレムが掲げられ、確かに営業中ではあるらしい。

 

 入り口を潜ると目に入るのは奥にあるカウンターと、そこで分厚い紙束を捲るスキンヘッドの中年男性。彼は鋭い眼光でリィンたちを見据えると、興味を失ったかのように紙束に目を戻した。

 

 

 

「―――――話は聞いてる。そろそろ戻ってくる頃合いだ、上の席にでも行ってろ」

「? すみません、誰が戻ってくるんですか?」

 

 

「何だ、何も聞かされてないってのか――――」

 

 

 

 

 と、ちょうどその瞬間。どこか懐かしい気配を感じて振り返ると、入ってきたのは幾度となく顔を合わせ、そして内戦後に士官学院を退職して遊撃士として復帰した――――。

 

 

 

「やっほー、ずいぶん背が伸びたじゃない。久しぶりね、リィン。それに情報局の子だったかしら」

 

「サラ教官!?」

「……どうも」

 

 

 

 

 

 遊撃士協会の二階にあるテーブルは、主に話し合いの為に使われる。

 ホワイトボードに貼られた市内の地図にはいくつかの印が付けられ、何枚かの顔写真には不審な行動について列挙されている。

 

 

 

「なるほど、教官はあらかじめ<結社>と繋がりがある議員を調べてらしたんですね」

「うーん、まあそういうことになるのかしら。本当は別の用事というか、気になることがあって来てたんだけど――――不幸中の幸い、ってヤツね」

 

「………」

 

 

 

 なにやら黙ったままのアルティナが若干気になったのの、とりあえず無方針で動く必要が無くなりそうなことに安堵する。

 

 

 

「では、場所はやはり?」

「ええ、議員宿舎の最上階――――あと数十分もすればそこで会議が始まるらしいの。いやー、正直間に合ってくれて助かったわ。あたし一人じゃ流石にちょっと色々問題があってね」

 

 

「ああ……遊撃士の内政不干渉ですか」

「そうね。何か問題が起これば人命救助の名目で多少の無茶は効くんだけど」

 

 

 

 申し訳なさそうなサラ教官に、しかしリィンは不敵に笑って見せた。

 

 

 

「――――大丈夫です、それくらいならこなしてみせます。サラ教官と模擬戦をさせられるよりよっぽど楽ですし、アルティナもいますから」

 

「………サポートは任せて下さい」

 

 

 

「言ってくれちゃって。―――――しばらく見ない間にまた頼もしくなったわね」

 

 

 

 

 

 そうして手短に打ち合わせをして、外に出る。

 まだ貴族連合軍は国境付近にいるはずで、時間はある――――猶予はあるはずだった。

 

 

 

 

 そして、それは唐突に起こった。

 大通りに出て、議会のある方角を目指そうと三人で向かおうとしたちょうどその瞬間。

 

 大音量で警報が鳴り響き、あちこちで住民たちが何事かと空を見上げる中で、恐らくは自治州政府によるものだろう放送が流れた。

 

 

 

『―――――只今、帝国軍の部隊の接近が確認されました。市民の皆さんは落ち着いて避難を―――――』

 

 

 

 まだ来ないんじゃなかったのか、と誰かが叫んだ。

 ある人は呆然としたままで、ある人はその場にうずくまり、ある人は駆け出し。

 

 

 

「――――落ち着きなさい! 遊撃士よ、すぐに避難所――――教会に向かいなさい!」

 

 

 

 サラ教官の叫びに、ぽつぽつと人が動き始める。

 そんな中で、リィンは何かを感じて空を見上げ――――。

 

 

 

「―――っ、そうか! 内乱の時と同じ―――!」

「……機甲兵の、飛空艇輸送ですか」

 

 

 

 最初から、全て計算づくだった――――そんな言葉が脳裏に浮かぶ。

 絶対に間に合わない、ノーザンブリア併合の流れは止めれない、と。

 

 

 飛空艇で運ばれてきた機甲兵の部隊がハリアスクの外に展開された人形兵器と砲火を交え始めたのだろう。激しい砲撃音が轟き、怯える市民の悲鳴が聞こえる。

 

 リィンも倒れた人を助け起こし、あるいは怪我をした人にティアの薬を渡し、そして異変は続いた。

 

 

 

 

 大通りの真ん中で鎮座していた大型の人形兵器――――戦車のような機体が、僅かに音を立てた。ちょうど買い物かごを持ち、弟か何かだろう子どもを連れて避難しようとしていた少女の眼前で。

 

 

 

 

「なっ!? ―――――来い、ヴァリマール!」

「センサーに反応を感知―――――クラウ=ソラス!」

「冗談キツイわね――――!」

 

 

 

『――――応!!』

 

 

 空間転移――――それにより一瞬で現れた灰の騎神に、リィンが光の球体となって乗り込む。その間にも人形兵器はその腕を振り上げて、容赦なく振り下ろそうとし―――。

 

 

 

「―――――くっ」

 

 

 クラウ=ソラスが障壁を張って割り込むものの、凄まじいパワーに弾き飛ばされる。そこでようやく少女たちも頭上の脅威に気づいたのか、呆然と上を見上げ――――。

 

 

 

「はああああアアアアアッ!」

 

 

 

 ―――――<鳴神>。

 サラ教官の持つ銃が正確に、かつ連続して雷を放ち僅かにその動きを押しとどめる。

 

 その時間さえあれば、なんとか間に合わせることができる――――。

 通常のヴァリマールであれば間に合うか危うかったかもしれない。あるいはクラウ=ソラスが弾かれたように一撃で破壊するにはパワーが足りなかったかもしれない。

 

 

 

「―――――コォォォッ! <神気、合一>ッ!」

 

 

 

 なぜ、このタイミングで――――。

 その疑問はあった。まるで、“仕組まれた”かのような。あるいは何かに導かれたかのような。それでも、リィンは誰かを救うために躊躇うようなことはしなかった。

 

 

 否、できなかった。

 

 

 

 

「――――――え?」

 

 

 

 そして、“一段深く”外れた。あるいは、外れかけた。

 

 “塩の杭”が出現したノーザンブリアという特殊な場所の影響か、あるいは何かしらの仕掛けか、もしくは来るべきものが来ただけなのか。

 

 力が溢れ、思考が“力”に飲み込まれ始める。明らかにいつもの<神気合一>とは違う感覚。それよりも深く、強く。

 壊せ、砕け、燃やせ―――――幼少期から恐れていた力の暴走―――――すぐに静めろ、と頭の冷静な部分は言う。

 

 

 眼下では、一度弾かれたアルティナがもう一度人形兵器の前に立ちはだかろうとしている。だから、任せておけばいい。このまま力に飲み込まれるわけにはいかない、と。

 

 

 

 

 

―――――それは、アルティナが傷ついても?

 

 

 

 アルフィン殿下とエリゼを浚い、幾度かⅦ組の前に立ちはだかった無感情な少女。それなら傷ついても構わない? そんなわけはない。

 

 

 どう思われているのかは分からない。それでも懸命に付いてこようとしてくれる少女に何も思わないことはない。

 

 

 仲間ではない。ヴァリマールのような相棒ではない。エリゼのような妹ではないし、お世話になった人々とも違う。けれど、迷っていた自分以上に何も知らない、“何か”を見つけようとしている少女を守らなければ―――――いや、守ってあげたいと思う。

 

 

 いつも自分が誰かに守ってもらっていたように。

 仲間たちに、トワ会長、サラ教官に、クレア大尉に、トヴァルさん、シャロンさん、オリヴァルト殿下やアルゼイド子爵閣下――――――そして、クロウに。

 

 “力”に振り回されることを恐れてはいられない。<灰色の騎士>などと持ち上げられているのだから、せめて自分のパートナーくらいは、守ってみせろ―――――!

 

 

 

 

「おおおォォォォオオオオオオッ! <無想、覇斬>ッ!」

 

 

 

 ヴァリマールの機体が、身体が軽い。力が溢れる。煌魔城の城門を破壊した時よりも、今までのどの神気合一よりも。

 ゼムリアストーンの太刀が一撃で人形兵器を切り裂き、爆風をクラウ=ソラスの障壁が防ぐ。

 

 

 

 

「逃げるわよ、すぐにこっちに!」

「リィンさん、支援します――――リィンさん?」

 

「………う、ぐ…っ、お、ぉぉォォオオオオオオッ!」

 

 

 

 

 胸が、灼けた鉄を差し込まれたように熱い。

 力が燃え上がらんばかりに溢れ、視界が灼熱に染まる。

 

 その逃げ場を探すように、次の得物に向けて太刀を振るった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――――――騎神での神気合一。

 

 

 強い輝きに包まれた灰の騎神がまるでゴミでも片付けるかのように、全ての人形兵器を一刀で切り裂く。アルティナはそれを支援しようとクラウ=ソラスに乗って灰の騎神の頭部と同程度の高さにまで上がり――――。

 

 

 

『―――――アルティナ、俺から離れて住民の避難を誘導しろ』

 

 

 

 灰の騎神から、声がした。

 人形兵器は次から次へと湧き出し、住民は無差別に逃げ惑い、或いは立ち尽くす。

 

 なるほどそれは必要だろう。

 けれどそれはもうリィンさんの恩師だという遊撃士が行っている。どこからか現れたクレア少佐たちTMP(鉄道憲兵隊)の隊員たちも。

 

 

 

「――――いえ、それではリィンさんの負担が――――」

 

 

 

 パートナーなのだ。

 リィンさんが救助した人の避難を誘導するとか、あるいはクラウ=ソラスの障壁で戦いやすいように住民を保護するとか、いくらでもできることはあるのだと思った。

 

 

 

『―――――いいから離れろ! っ、ぉぉォォオオオオッ!』

「……リィンさんっ!?」

 

 

 

 ヴァリマールの刀から放たれた衝撃波が同時に数体の人形兵器を爆散させ、暴走する人形兵器を、特に周囲を破壊しているものにヴァリマールが斬りかかる。

 

 

 

 

「――――まさか、力が暴走しかけているの!?」

 

 

 

 

 サラ・バレスタインの声がどこか遠くから聞こえるような気がした。

 

 知らず、拳を強く握りしめる。

 わたしでは戦力にならない―――――大型の人形兵器が相手では、時間を掛けなければ倒すことはできない。邪魔にしかならないのだ。

 

 

 

 

 強く、なりたい――――。そう願った。

 

 任務をこなすために―――――リィンさんの力に、なりたい。

 

 

 だから今は、せめて。

 リィンさんの要請に応えよう。

 

 

 

 

「―――――…逆方向からの避難誘導を実施します」

「……っ、ええ、頼んだわ!」

 

 

 

 

 鬼神の如く、戦場と化したハリアスクで灰の騎神が駆ける。

 自分の苦しみを顧みず、多くの人を救っていく。力に溺れそうになって足掻きながら、それでも確かな意思をもって。

 

 

 

(―――――遠い)

 

 

 

 そう、思った。

 今のままでは近づくことはできない。だけどきっと、近づける誰かがいる。

 それなのに、わたしにはできない。パートナーなのに。

 

 

 

 

―――――置いて、いかれたくない。

 

 

 

 

 

 胸を刺すようなもやもやは止まることがなく。

 それでもアルティナは避難誘導を続け。灰の騎神を、リィンを見つめ続けた。

 

 

 

 そして、全てが終わった時――――灰の騎神が人形兵器の最後の一体を切り捨て。外に出たリィンが“鬼”の状態のまま倒れた時に。ただ遠いだけだと思っていたリィンの無理を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 ノーザンブリアの遊撃士協会にあるベッドで、“鬼”の状態のまま眠るリィンの姿があった。既に戦闘が終結してから丸一日が経過し――――。

 

 

 

「…………」

 

 

 

 熱をもったリィンの額に、絞った濡れタオルを載せる。

 アルティナはそれが正しいのかも分からないまま、ただ“熱”に対する対処として知っている行為をしていた。いわゆる寝ずの看病であり。それが有効なのかどうか考慮する前に実行していた。

 

 

 

「―――――ふむ、酷い隈だな」

「――――…っ、オーレリア・ルグィン将軍ですか。リィンさんでしたらまだ目覚めていませんが、何か」

 

 

 

 振り返ると、何度か任務の関係で顔を合わせた<黄金の羅刹>その人の姿があった。

 感覚が鈍っていることを嫌でも知覚させられ、思わず呼び出していたクラウ=ソラスを引っ込める。

 

 

 

「オーレリアでよい。いやなに、最大の功労者が倒れていると聞いたので見舞いに来たのだが―――――なるほど、厄介なことになっているようだな」

 

「………そうですね、“市民を救助した”功労者が倒れているのは問題かと」

 

 

 

 厄介なこと―――――まぁ、原因不明で目を覚まさないのは厄介だろう。

 胸のもやもやをそのままに、やや睨みつけるように言うと、オーレリア将軍はどこか驚いたように、あるいはやや面白そうに言った。

 

 

 

「そなた、変わったな。以前は何もかもつまらなそうな顔であったが」

「…………そうですか。それで、リィンさんに何か御用が?」

 

 

 

 こんなことで体力を消耗させられるのも非合理だろう。

 丁重にお帰り願いたいと思いながらも問いかけると、今度は一転して真剣そうな顔になって言った。

 

 

 

「――――まぁ、ともかく睡眠くらいは取っておくことだな。そなたが倒れて、シュバルツァーが狼狽える姿を見たいのであれば構わんが」

「この程度であれば生命活動に支障はありませんので、倒れるとは思えませんが」

 

 

 

 淡々と事実だけ述べれば、今度はどこか呆れたような顔をされた。それも、何故かリィンさんとわたしを見て。

 

 

 

「成程、受付が匙を投げるわけだな。己のことを顧みないところなどよく似ている」

「………わたしが、リィンさんに似ている…?」

 

 

 

 

 不本意だ、とは何故か思わなかった。

 こんなに心配をかける人で、不埒な人で、あんなにも遠いのに。むしろ、どこか心が温かくなって―――――。

 

 

 

「そなた、そこのシュバルツァーが死にそうで、自分が死ねば助かるとすればどうする?」

「サポートがわたしの任務です」

 

 

 

 何を考えるでもなく、リィンさんを庇うことに問題はない。

 それが任務だ、と迷いなく口にした。

 

 

「では、そなたが死にそうで、シュバルツァーは自分が死ねばそなたが助かる場合にどうすると思う?」

「………そ、れは」

 

 

 

 そんな必要はない、だからしないでほしいと理性は言う。

 なのに、どうしてか命を賭けても守ってくれる姿が鮮明に想像できてしまう。

 

 

 

 

「似ているとは思わんか? 子は親を見て育つともいうな」

「………不本意です。それに、わたしに親と定義されるものの知識は存在しません」

 

 

「ふむ。まぁそれで、そなたが寝込んだ時にシュバルツァーが寝ずの看病をして倒れたらどう思う?」

「………………有り得ないと思いますが」

 

 

「シュバルツァーが倒れることも想像できなかっただろうに。さてどう思う?」

「―――――――ものすごく不本意なのは間違いありません」

 

 

 

 サポート役がサポートされるなど、笑い話にもならない。

 どうしたものかと視線を寝たままのリィンさんに向けると、オーレリア将軍は言った。

 

 

 

「そこで私に良い考えある」

「……何でしょうか」

 

 

「離れるのが心配ならば、すぐ傍で寝れば良いではないか」

「…………はあ」

 

 

 

 寝ていては何の意味もないのでは。

 と思いつつ将軍を見返すと、将軍は真剣なような面白がっているような顔で言った。

 

 

 

「なに、抱きついて寝れば異変に気づかぬということもあるまい」

「………それは不埒なのでは?」

 

 

「では人工呼吸は不埒だと思うか?」

「…………それは、医療行為ですので」

 

 

「では寝ずの番をした結果、傍で眠るのは不埒か?」

「…………………まあ、一理ある……のでしょうか?」

 

 

「なに、試しにやってみるがいい。それでシュバルツァーが起きたらそれはそれで目出度いと思わんか?」

「―――――まぁ、起きて下さるのは良いことですが」

 

 

 

 そういう問題ではないような気もするのですが。

 

 何やら丸め込まれているような、と思ったものの、将軍はそのままひらひらと手を振って「ではな。シュバルツァーが起きたらまた来るとしよう」などと言いながら出ていき。

 

 

 

 

 

――――――部屋にはどこか苦しそうなリィンさんの寝息だけ。

 

 

 瞼は重く、思考は鈍い。

 昨日にはとても遠くにいるような気がしたリィンさんが、とても近くにいる。手を伸ばせば届きそうで――――。

 

 

 

 ふと、リィンさんに似ていると言われたのを思い出す。

 

 

 

 

「…………わたしも、不埒なのでしょうか」

 

 

 

 

 恐る恐る布団に潜り込むと、“鬼”の力の影響なのかリィンさんの身体は熱くて。

 不安なのに、心配なのに、辛いのに、苦しいのに、それなのに、心があたたかくなる。

 

 

 

 

 

(―――――わたしも、リィンさんみたいに)

 

 

 

 

 

 

――――――誰かを守れるように、なりますか。

 

 

 

 

 貴方を守れるように、なれるでしょうか―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 なんだかいつの間にかそれなりに多くの方に読んでいただいてしまっていたみたいで大変恐縮です。閃Ⅲのアルティナが可愛すぎて再現できないのが申し訳ないです。誰か書いて! 同志よ……。

 とりあえず書きたかったところまで書いたのでこれにて完結――のつもりだったのですが、何個か小話を考えて出すかもしれません。でもⅢのアルティナ書けな(ry


 とりあえずほんとに公式で北方戦役までの流れほしい……。

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