『アギト』ではなく、『ギルス』です。
ギルスにしたのは考えているストーリー的に『アギト』より最適だからです。
それではお楽しみください。
ガキンッ!ドガギッ!
暗い美術館の敷地内で木霊する暴力の戟音。
2体の『バケモノ』が闘っていた。
1体は龍の頭を持つどこか神々しいバケモノ。
もう1体は…緑の醜いバケモノだった。
人間ではとても到達できない凶悪なる闘い…その闘いが今、緑のバケモノの勝利に終わろうとしていた。
「セリャァァァァッ!」
緑の化け物が腕から甲殻類を思わせる鉤爪で龍のバケモノを斬り刻んだ。
「グォォォォッ!?」
龍のバケモノは溜まらず退く。
「くっ…不完全な覚醒をしたとはいえ、もっとも強力な『神の力』を持つ者か。この『火のエル』が相手にならんとは…」
「………」
緑のバケモノはゆっくりと龍のバケモノに近づいていく。
見ると踵の刃が凶悪に伸びていく。
「くっ、くくくっ…貴様、貴様のような奴が生きていてなんになる!?」
その言葉に緑のバケモノは足を止める。
「人間《ヒト》を超えたが神にもなれず、まして神の領域に不遜に手を伸ばした罰がその醜き姿!貴様こそ…!」
あざ笑う『火のエル』。
「い…な…」
緑のバケモノは懇願するような声を出す。
「貴様こそ正真正銘の…」
「いうな…」
「バケモノよ!」
「いうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
緑のバケモノは飛び上がり、凶悪な踵の刃を『火のエル』に振り下ろす。
『火のエル』の苦し紛れに張った障壁は簡単に砕け、深々と、『火のエル』の脳天に突き刺さる。
「ガァ…ガッァァァァァッァァァァァァッァァァァァァァッ!」
緑のバケモノの咆哮が辺りを木霊する。
その咆哮は勝利の叫びではなく、深い嘆きのようだった。
『火のエル』の頭上に光の円が浮かんだ次の瞬間、
ドガァァァァァァァァァァァァッ!
大爆発を起こした。
緑のバケモノはそのまま吹き飛ばされ、壁に叩きつけれられた。
「ぐっ…うぅ…」
苦しむ緑のバケモノの姿が変わっていく。
なんと化物は学生服を着た少年に姿を変えた。
「は、はは…これでも、死ねないのか…」
不死身で嫌になるな、と少年は呟く…
「ぐぅ…ぐぁっ…」
別の苦しみが少年を襲う。
みると少年の手がまるで老人のように変わっていく…
「
しかし、いつもと感覚が違う。まるで全てを失くしていくような感覚だった。
「ついに…ネタ切れか…やった…」
少年は護る為に戦った。
大切な人達を護る為に苦しみながら変化した。
しかし、大切な人達が、少年の戦う姿を見た時、反応は全て一緒だった。
『バケモノ!』
『今まで騙してたの!』
『俺達を喰う気か!?』
『た、助けてくれぇぇぇぇ!』
とてつもない喪失感の中、少年は笑いながら、『絶望』を思い出す。
「あ~あ…なんで俺…『心』もバケモノになれなかったのかなぁ…」
それができればどれだけ楽だったか…
全てを見捨てて、人間のフリを続ければ、こんな運命避けられただろう。
しかし…
「あぁ…」
バケモノにも『ありがとう』といった子供。
自分の子をそのバケモノから護ろうと身を盾にする母親。
そして、家族を護る為に立ち向かおうとする父親。
「…なれるわけないだろ、カミサマ…」
少年はどことなく手を伸ばす…
死んでいく己の手を見ながら、
(独りは…寂しいな…)
とそこで、少年の意識は途絶えた。
美術館に飾られていた展示品である『銅鏡』が輝き出す。
その優しい光は、少年を包み、消えた時には、少年はいなかった。
一刀は現代で、ギルスバットエンドな状況になっております。
心からバケモノになれず、温もりを求めたくて縋りたいのに、真実を知られる恐怖で縋れない所を書きたいと思います。
一刀が救われるかは今後の展開で。
それでは