前作の短編と変わらず心象風景を想像しながら書いてみました。
俺の部屋に、見かけは高校生ぐらいだが、13歳という女子生徒である烏丸 和歌(からすま わか)が、昨晩から碁盤の横で寝ていた。
昨晩は碁盤を枕にして寝ている和歌をみて
「俺を犯罪者にするんじゃねぇーぞ」
と思ったが、見た目は俺と同じくらいなだけあって、手を出してしまいそうな自分が怖い。
そんな俺は鷺坂 総司(さぎさか そうじ)、17歳だ。
中学生のうちにプロ棋士となったから、高校にもかよっていない。
そして、そんな和歌を起こそうとして
「おい、起き――」
涙を浮かべながら、寝ていやがる。
明日の少年少女囲碁大会に参加するのに、明日の相手は院生元1位か
院生とは、プロ棋士の養成機関みたいなものだ。
俺も、昔そこにいたし。
今の和歌には、少々、いや、かなり荷が重いかもしれない。
囲碁は棋力が上がるほど、偶然(運)が入る要素が少なくなる。
しかし、逆説的だが相手との勝敗を決するのは、その運の要素が大きい。
俺にとって、今、囲碁を打つのは、自分に運があることの確認作業でしかない。
和歌は、弱かったころの俺と同じだ。
俺は弱かったころに、自分に運をたぐりよせたくて、占いにたよりにして自分の気持ちを安定させている。
和歌にも、何かすがるのがあるのがよいだろう。
そして、碁盤を枕にして寝ていた和歌のために、起きないよう静かに横にさせて、毛布をかぶせてやった。
俺は、いつも見ているテレビ番組の占いをみていた。
その最中に和歌は起きた。和歌はかに座うまれだったよな。
かに座のラッキーなことは、『白いアイテムを持ち歩こう』か。
俺は、和歌へ身近にある白い碁石を投げ渡した。
「ありがたく持っていけよ」
「あ…ありがと。うれしい!
「何せキョーコ先生の占いだからな」
あまり信じてはいないが、一番相性の良い占いの番組だ。
こうやって、和歌に少しでもたよりになるものをもたせられた。
「行ってきます。師匠!」
「はあ!? なんだよ師匠って」
いきなり師匠と呼ばれて、とまどった。
昨晩、うちに無理やり入ってきたのは、知っている中で分別のある大人がいるのがここだからっていうのが理由じゃなかったのか?
なんとなく、気にかかって、普段なら自分からは行かない、アマの大会である少年少女囲碁大会に行ってみた。
到着して、和歌と元院生1位の対局解説を個人している飯塚プロがいた。
盤面をどのように見ているか、興味もあったので、そばに行くと、院生元1位が、普通なら行わない手を打ってきた。
飯塚プロが、個人相手にその手を説明するのに、迷っていたので一言
「ハメ手だな」
「さっ、鷺坂くん。どうしたんだい」
簡単に事情を説明すると、
飯塚プロが相手にしていたのは、和歌のいとこだった。ずうずうしいのは家系か。
そして、和歌は、元院生1位とは、幼馴染で、きれいな碁と表現していたが、その評価を知っていて、和歌にハメ手を打ってきたのだろう。
「どこが、おキレイな碁だよ。いい根性してるじゃねーか」
盤面の石が数手置かれていったところで、和歌も気が付いたらしい。
先ほどのハメ手から、自分がフリな状況に置かれたと。
俺は、そこで悩んで、心が折れそうな和歌を見ながら、心が折れたら、負けだと思いつつ、手直にあったチーかまの先端をハサミで切ったら、切ったチーかまの先っぽが、たまたま、和歌のところまで、飛んで行って、俺に気が付いたようだ。
そうすると何を考えているのか、今朝投げ渡した白い碁石をポケットから取り出してキスしやがった。
「――な、何やってんだ、あいつ」
このサイトで囲碁を題材にしているのは「ヒカルの碁」が中心みたいですが、世の中には少女コミックもあるので、珍しさから続けて書いてみました。
当初2巻の予定だったそうですが、しばらく続く可能性があるらしいので、気が向いたら、続いて書いていくかもしれません。
大学生の男子学生と中一の少女のカップルって、このコミックではありましたね~
2013/08/03 初出