Fate/Corruption Justic 作:らららい
夢に見るのは黄金の剣。他には何もなく、ただただ荒野が広がっているだけのその場所に突き刺さっているその剣は、常に光り輝き、周囲を照らしている。
「先輩、起きてください。こんなところで寝ていたら風邪引いちゃいますよ」
聞き慣れた声を目覚まし変わりにして、目を覚ました。寝ぼけ眼をこすりながらあたりを見渡すと、中身のないテレビやラジオが目に入ってきくる。
どうやら俺は我が家、衛宮家の土蔵で寝てしまっていたようだ。よいしょと声を出して立ち上がり、わざわざここまで起こしにきてくれた人物に向かって話しかける。
「……おはよう、桜。……また寝ちまってたみたいだ」
そこにいるのは紫がかった黒髪の麗人。美人かどうかと問われて10人中10人は美人だと答えるであろうほどの美人である少女は、俺が起きたのを確認すると
「おはようございます、先輩。次からはちゃんと自分の部屋で寝てくださいね」
「悪い」
それを聞くと桜はニコリと微笑んで、朝ごはんできているので着替えたら居間に来てください、と言うと、土蔵から出て行った。
んんーと伸びるとボキボキと背中がなるのがわかる。しっかりと目が覚めたところで、土蔵から出て自分の部屋に着替えに行った。高校の制服に袖を通して、居間まで行くと、こちらに向かって、ごはんまだーと叫ぶ女性が一人。真名を藤村大河。またの名を冬木の虎。25歳にして剣道5段を持っている、誰もが認める実力者だ。彼女が我が家にいるのは色々な理由があるが、簡単に言うとご飯を食べにきたのである。
「たまには自分で作ったらいいだろ?作ってもらってるのにあんまり贅沢言うなよ」
「お姉ちゃんが料理できないの知ってるくせにー!!!」
はいはいと藤ねえをなだめていると、桜が朝食を運んできた。
「悪い、桜。全部任せちまって」
「いいんですよ、先輩はいつも頑張ってるんですから、たまには楽してもいいんです」
と言いながら配膳を終えると、桜は自分の定位置に座る。
「「「いただきます」」」
3人同時に食事を始める。藤ねえは行儀の悪いことに新聞を読みながらご飯を食べている。そんな藤ねえをぼーっと見ながらとろろご飯に醤油をかけると、藤ねえが新聞を閉じて目玉焼きを食べ始めた。関心関心と思いながらとろろごはんを口へ運んで
「………っ!!!……これ、ソースだぞ。とろろにソース。どう考えても合わないだろ!!!!」
そんな俺を見た藤ねえは、へッヘーんと笑いながら立ち上がってVサインをすると、なぜか自慢げに語り出した。
「食事前に士郎の醤油とソースを入れ替えておいたのさっ」
「また、なんでそんな無駄なことを」
藤ねえはそれを聞くと、むーっと膨れながら言った。
「士郎がこの前私のこと虎って呼んだのがいけないんだからね!勘違いしないでよね!」
勘違いするも何も、これをどうやって好意と受け取れと言うのだ。
「はぁ、まあいいや。!もうこんな時間じゃないか!そろそろ家出なきゃ!」
ふと時計を見ると、8:10そろそろ家を出なければ遅刻してしまう。急いでとろろソースご飯を口に詰め込んでカバンを取りに自分の部屋へ向かう。部屋へ向かっている時に、背中から桜と藤ねえの話し声が聞こえた。
「まさかここまで綺麗に引っかかるとは思わなかったわ」
「そうですね。時計の時間まで変えてのイタズラでしたもんね」
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少しだけ二人を怒った後、俺はすることがないので学校に行った。学校に着くと、弓道部の主将の美綴が話しかけてきた。
「おう、衛宮!今日はお前も朝早いんだな」
「お前も早いんだな。今日は弓道部朝練ないだろ」
そう言うと、美綴は恥ずかしそうに頬をかきながら
「寝ぼけて今日朝練がある日だってまちがえてちゃったんだ……。そういえば、今日遠坂も朝早かったぞ」
遠坂が?俺や美綴みたいにおっちょこちょいで早くきてしまった奴らとは違い、何か目的があったのだろう。
「ところで衛宮、今日、弓道部に顔出さないか?」
「んー、今日は一成に修理頼まれてるんだ……だから今日は無理だな」
美綴は少し残念そうに笑いながら、じゃあ気が向いたら顔出してくれ、と言うと弓道場に向かっていった。その背中はどこか寂しそうに見えた。
一成との約束早めに終わらせて顔でもだしてやるかな、と思ったので、生徒会室に向かっていった。生徒会室に向かう途中に、左手に一筋血が垂れているのを見つけた。どこかで切ったかな、と思っていると、いつのまにか生徒会室についていた。生徒会室につくと、一成が驚いてこっちに向かってきた。
「どうした衛宮。今日は早いのだな」
「ああ、藤ねえが……な」
そう言うと、一成は苦笑して、うなづいた。
「そうだ一成、昨日行ってた壊れたストーブってどれだ?今直そうと思ったんだけど……」
一成は、机の下にあったストーブを持ってくると、それを俺に渡してきた。
「これだ。俺から見ると天寿を全うしたように見えるのだが、衛宮が見たら違うかもしれん」
「全うしてたらもう無理だろ……でもまあ見て見るよ。じゃあ、やって見るから頼む」
一成はうなづくと部屋から出て行った。よし、やって見るか。
「
頭の中に、ストーブの設計図が流れ込んでくる。
「よし、これなら専門的なものはいらないな」
ちゃっちゃと終わらせて、一成を呼ぶ。
「終わったぞ、一成。天寿は全うしてなかったよ」
それは良かった。いつもすまないな、と一成が言ってくるので、いいよ、ほとんど趣味みたいなものだし、とかえす。
仕事が終わって外に出ると、校門にちらほら生徒が投稿してくるのが見えた。そろそろクラスに行こうかな。そう思い、歩き始めた。
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今日も何事もなく、いつも通り藤ねえが暴れて暴れて暴れまわった。帰るために昇降口へと向かっていると、少し青い黒髪の10人に聞いたら7人はイケメンだと答えるくらいの顔をした男が、数人の女子を連れてやってきた。慎二である。慎二は、俺を見つけるとニヤニヤ笑いながらこちらに近づいてきた。
「おぉー、衛宮じゃないか。ちょうど良かった。ちょっと弓道場の掃除を頼まれてたんだけどさ、見ての通り部活終わったら用事があるんだよ。だからさー、ちょっと弓道場の掃除やっといてくんないかな」
「いいぞ、俺今日どうせ弓道部に顔出すしな」
それを聞くと、慎二は顔を歪めて何か言いたげに口をパクパクさせていたが、少しすると、けっと言ってもと来た道を帰っていった。それを見届けて、俺は弓道場へ向かった。
弓道場につくと、美綴が出迎えてくれた。
「おー!!衛宮!来てくれたんだな!来てくれないかと思ったよ」
と言いながら手を掴んで、ぐいぐいと弓道場に引きずり込む。
「おいおい、そんなしなくても俺は逃げないぞ」
「いやいや、簡単には信じないぞ。おーい、藤村せんせー!衛宮が来たぞー」
「え!?士郎が!?なんで!?」
寝転んでた藤ねえは、俺が来たと聞くや否やパッと立ち上がり、ドタドタと足音を立ててこちらまでやって来た。
「え!?なんで来たの!?」
「来ちゃいけなかったのか?」
藤ねえはそれを聞くと、そんなことはないけど事前になんか言っといてよねー、といってきた。美綴は、今日はやるのか?といってきたが、弓とか持ってきてないからできない、と答えた。
その後桜が来て、なんでいるんですか?って反応して来たが、見るだけだからっていってかえした。
俺はみんなが弓を射っているのを眺めて、みんなが帰った後に弓道場を掃除した。これが思ったよりも時間がかかってしまい、外に出たら空が暗かった。
学校でも注意されたし、早く帰らなきゃなと言いながら、校門を目指していると、ふと校庭からキンキンと金属がぶつかり合っているような音がすることに気がついた。
校庭に目を凝らして見ると、青い男と赤い男が、何かを交じらわせているではないか。
何か、と言うのは、音がするだけで何がぶつかり合っているかは見ることができなかったからだ。それを見つけたときに、俺は蛇ににらめつけられた蛙よろしく身動き一つできないでいた。
動かなかったら死ぬ。それでも動かない。そんな膠着状態の中、動け動け動けと念じていながら校庭を見ていると、もう一人誰かいるのが見えた。赤い服を着た女性のようだ。
あれは、遠坂?どうゆうことだ。遠坂に気を取られたおかげで、からだの膠着がとれた。とれたのは良かったのだが、とれた勢いで物音を立ててしまい
「誰だ!」
そう叫んだのは青い男だろうか、それとも赤い男だろうか。どちらにせよ、命の危機なのは変わらない。とにかく無我夢中に走って逃げると
「まてっっっ!!」
どちらかが追いかけてきた。いや、両方かもしれない。それを確認したいが、振り向く余裕がない。走って走って走り回っていると、いつのまにか校舎の中にいた。
「ハァハァハァ。撒いたか?」
廊下の前後を見ても、なんの影もない。これは大丈夫かと思ったところで、心臓から赤い刃が出てきた。
「悪く思うなよ坊主。目撃者は殺さなきゃいけないんでね。せめて一撃で眠れ」
世界が横向きになった。自分の周りに血の海ができているのを確認したときに、初めて自分が倒れたのだと自覚した。
「ったく、胸糞悪い殺しさせるんじゃねえよ」
そう言いながら遠ざかっていくのは、青い男。どうやら追ってきたのは青いほうだったようだ。今となってはどうでもいいが。ああ、やばい。意識が薄れていく。まだ、死ぬわけにはいけないのに。まだ、やらなきゃいけないことがあるのに。そんな思いもむなしく、俺、衛宮士郎はこの日、死亡した。
「嘘でしょ。なんだってあんたが。………まだ息がある。でも、もう死にそう。ええい、こうなったらちゃんと生きてよね」
「そいつを生かす意味はないと思うのだが」
「それでも、こいつには生きてもらわなくちゃ困るの………じゃあ、もう死なないでね、衛宮君」
目がさめると、知らない天井だった。いや、正確に言うと知っている。この天井は、我が高校の天井だ。
………………どう言うことだ。俺はあの青い男に殺されたはずだ。しっかりとあの胸を刺された時の痛みは覚えている。それに、シャツにはしっかりと血の跡と穴が空いている。
………………どういうことだ。いや、それよりも今は帰ろう。ここにいつまでもいてあの男にバレると、次こそ殺される。
誰にもバレないよう細心の注意を払いながら家に帰ると、居間のテーブルの上にラップに包まれたご飯とおかず。その上に藤ねえの字で、
『人助けもほどほどにしてちゃんとかえってくるのよ』
と書かれたメモが置いてあった。
それを見て和んでいると、家の結界に反応があった。
この家の結界は、特に何かあるというわけではないが、この家の住人に敵意を持ったものが入ってきたら分かるようになっているのだ。きたのは、多分さっきの青い男だろう。
俺は次は殺されないように、近くに武器になりそうなものが無いか探したが、あったのはチラシのみ。仕方ないのでそのチラシを武器にすることにした。
「
珍しく成功した。俺の魔術は成功率がとてつもなく低いのだ。
何はともあれ、いまこのチラシは、鉄パイプよりは硬くなっているだろう。
どこから来るかと身構えていると、ゾクってと寒気がしたので、横に転がる。すると、さっきまで俺がいた場所には、青い男が赤い槍を突き刺していた。
「同じ人間を2度殺すなんて、今までやったことねえよ」
「俺も、2回殺されるなんて初めてだ」
「まあ、次も一撃で眠れ」
と言い、赤い槍を突き刺して来る。その槍を、手に持ったチラシでそらすが、その槍があまりにも固いのか、それとも男の力があまりにも強いのか、鉄パイプより硬いはずのチラシが折れ曲がった。
「ほう、なかなか面白い戦い方するじゃねえか。じゃあ、これはどうだ!!」
次に来たのは横薙ぎだ。とっさにチラシで防御したが、勢いを殺せず、俺の体は縁側の向こうの、庭まで出ていた。
「ほらほらほら」
と言いながら槍を突き出して来る。
全て致命傷になりそうなところばかり狙って来ているが、なんとかチラシで受け流すことができている。だが、それもそろそろ限界だ。
多分土蔵には、武器になるものがあるはずだから、そこに向かおう。
そう思い、土蔵に向かって走り出したのだが、当然ながら青い男は黙って見ておらず、槍で追撃を放って来る。
その一つの横薙ぎが俺の横っ腹に当たり、俺の体は吹き飛ばされた。
幸運にも、吹き飛ばされた先は、土蔵の目の前だった。なんとか土蔵の中にたどり着いたのはいいものの、青い男はすぐそこまで来ている。
とりあえずそこにあった鉄パイプを拾い上げて強化する。
「
鉄パイプを構えて、青い男を待つ。
青い男は、土蔵の入り口から入って来て、俺に向かって一撃を放った。なんとか鉄パイプで受けたものの鉄パイプは砕け、俺はあまりの威力に倒れてしまった。
「なかなか筋がいいじゃねえか、坊主。だが、もう終わりだ」
「お前みたいなやつが、」
「あ?」
「お前みたいな命を軽く扱うやつがいるから、この世界に不幸な人が生まれるんだよ!」
それを聞いた青い男は、顔色も変えずに
「かもな、でも死ね」
青い男は、次こそ俺を殺すのだろう。
いやだ。せっかく拾った命なんだ。こんなところで死ぬのなんて、だめだ。
青い男の槍が突き出される直前、俺の頭の中に、いつも夢で見ている黄金の剣が現れた。そこに向かっているのは、俺の魔術回路。
だがその魔術回路は黄金の剣に付くかどうかといったところで、
青い男は、一瞬それを気にした風に眉をひそめたが、すぐに俺に向き直ると、槍を突き出した。その槍が俺の頭に着くか否やというところで、槍は何かに弾かれた。青い男は、驚愕の表情をしながら
「バカな!7体目のサーヴァントだと!!」
そこにいたのは、くすんだ金髪をした男。
鼻から上には、謎の仮面をつけていて、黒い軍服のようなものの上から白衣を羽織っていた。その男は、ティッシュよりも軽そうな声で、こう言った。
「こんにちは、それともこんばんわかなぁ?みんなの堕落王、フェ・ム・ト・だよ」
その男は、床にいる俺を見つけると、ニヤニヤ笑いながら、
「いやぁ、これが英霊っていうものか。退屈だったから寝起きの2分かけたかいあったよ。少しの間は退屈しなさそうだ。ああ、そうだ。呼び出されたらこれを言わなきゃいけないな。」
その男はコホンと息を整えてから、ニヤニヤ笑いを顔から消して俺の目を見つめながら言った。
「サーヴァント・セイバー。召喚に応じ参上した。問おう、