スマホちゃんと林檎ちゃんはとても仲良し。2人はいつも一緒に過ごしていました。そんなある日、2人は”あること”がきっかけで離れ離れになってしまいます。お互いを探しあう二人・・・。果たして2人はまた出会えるのでしょうか。
今日も良い天気だ。
太陽の光が燦燦と降り注ぎ、朝露に濡れた草花がその光に照らされてキラキラと輝いている。
部屋の中には出来たてのパンの香ばしい匂いが立ち込めていて、その匂いで今日も元気百倍!とガッツポーズをしたくなった。
ベッドから起き上がり壁に掛けた茶色いマントを、コウモリが羽を広げるかのようにバサッと広げて羽織る。
肩のボタンでマントを固定して姿見で自身の姿を確認すると最後はニコッと笑顔を作った。
寝室の扉を開けて廊下に出るとさっきより一層香ばしいパンの香りが鼻をくすぐる。
今日はどこへパンを届けるんだろう。
そんなことを思いながら2階の寝室を出て1階のパン工場へ向かった。
パン工場の重い鉄扉を開けて中に入ると、そこにはいつものコック帽とコックコートに身を包んだやさしい顔のジャムおじさんがニコニコ楽しそうにおいしくなーれおいしくなーれと歌いながら一生懸命にパン生地を練っている。
「ジャムおじさんおはようございます。」
パンを作っているときのジャムおじさんはとてもうれしそうだ。
ジャムおじさんのおいしいパンを今日もみんなに届けられる。
みんな喜んでおいしそうに食べてくれるだろう。
「おはようアンパンマン。おーいバタ子や新しい顔を持ってきておくれ。」
アンパンマンが起きてきたことを確認するとジャムおじさんは生地を練る手を止めて大きい声で奥にいるらしいバタ子を呼んだ。
かまどの前にはさまざまな形に整形された焼かれる前のパン生地が銀のトレイにきれいに並べられており、その横にはバスケットに入ったフランスパンやクロワッサンなどのパンたちが湯気を立てながら収まっている。
その匂いにアンパンマンが顔をほころばせているとどこからともなくバタバタと走り回る足音が聞こえてきてその少し後にバタ子が奥の部屋から新しい顔を持ってやってきた。
「おはようアンパンマン。」
「バタ子さんおはよう。」
2人は向かい合って挨拶を交わす。
「新しい顔に交換するから少しかがんでくれる?」
大きいアンパンマンの顔を両手で抱えバタ子は背伸びをした。
毎朝これを繰り返しているのでアンパンマンはバタ子がそれを言い終わる前に自身で今の今まで体についていた顔を外し左脇に抱えると膝を少し折り曲げた。
「よいしょっと。」
新しい顔がアンパンマンの体に装着される。
焼きたてパンのふわっとした感触が首全体を包み込んでなんともいえない気持ちよさが全身を駆け抜けた。
テーテ テレ テーテーテー テテレ テッテレテッテ テッテレテッテ テー
ドーパミンが放たれていつもの音楽が脳内で鳴り響く。
「元気百倍!アンパンマンッ!!」
体が浮いて自然と口からお決まりのセリフが飛び出る。
新しい顔が窓から差し込む日の光に照らされてキラリと光った。
「アンパンマンや、今日はこのパンたちをカバオ君たちの小学校へ届けておくれ。」
パン工場の外のいつもの場所でそういって手渡されたバスケットにはさっき見たときよりも多くの種類のパンが整然と並べられている。
あんぱん、食パン、カレーパン、ジャムパンにバターパンにチーズパンどれもこれもおいしそう。
大事にみんなの下に届けなくては。
「わかりました。ジャムおじさんのおいしいパンをみんなに届けてきます。」
そういうとアンパンマンはふわっと中に浮かび上がり空高く舞い上がるとそのままぎゅーんと小さくなってどんどん見えなくなっていく。
「いってらっしゃーい!気をつけるんだよー!」
「アンアーン!」
ジャムおじさんとバタ子さんとチーズはアンパンマンの姿が見えなくなるまでいつまでも手を振り続けていた。
パン工場から山をひとつ越えたところにある町の一画にカバオ君たちの通っている小学校がある。
工場を飛び立ったときお日様はまだ東の空の真ん中を少し越えたところにあったからこのペースで飛んで行けばみんなのお昼ご飯の時間に間に合いそうだ。
アンパンマンはおいしそうにパンをほおばるみんなの顔を思い浮かべながら空を飛んでいると、誰かが呼んでいる声が聞こえてきた。
「おーい!おーい!。」
誰だろう、少し高度とスピードを落として眼下に広がる岩肌むき出しの山に目を凝らす。
少し先の大きな木が一本立っている場所でこちらに大きく手を振っている人影があることに気が付いた。
「どうしたんですか。」
急降下してその場に降り立ち人影に声を掛ける。
人影はアンパンマンが気が付いて自分のところへ降り立ってくれたことに安堵したのかへなへなと地面に座り込んで言った。
「降りてきてくれてありがとう。私の名前は林檎ちゃん。」
今にも泣きそうな顔をしながらアンパンマンの顔を見つめるとお礼を述べた後、自身を林檎と名乗った。
その見た目はよくある果物の林檎の形をしていて頭には右上にのびる楕円形のヘタ
全身の色は黒く眼鏡をかけて無精ひげを生やしているその顔立ちは、かの有名なアップルの創始者スティーブ・ジョブズを思わせる。そして体の右側が少しえぐれているように見えた。
「ぼく、アンパンマンです。林檎ちゃん大丈夫ですか?体に齧られたような跡がありますが・・・」
心配そうに林檎ちゃんの体を指差すアンパンマン。
林檎ちゃんはその指を眼で追い、自分の右半身のことだとわかると口を押さえてくすくすと笑った。
「大丈夫!これは生まれつきよ。怪我をしたのでも病気でこうなったのでも無いから安心して。」
その言葉と笑顔で林檎ちゃんが怪我をしたのではないことがわかり少しほっとしたのだが、
ではなぜぼくのことを呼んだんだろう。新たな疑問がアンパンマンの脳裏に浮かんだ。
「なにか困ったことがあるんですか?」
「あ!そうなの!じつは・・・一緒に旅をしていたスマホちゃんがどこかへ行ってしまって、探していたのです。アンパンマン!スマホちゃんを知らない?」
スマホちゃん?アンパンマンは首を傾げた。
「うん、スマホちゃん・・・私達昨日まで一緒に旅をしていたの。なのに今日朝起きたらスマホちゃんがいなくなってて・・・それで、私・・・どうしたら・・・」
林檎ちゃんはそれっきりうわああんと涙を流して泣き出してしまった。
これは大変だ、大切な林檎ちゃんのお友達を探してあげなくっちゃ。
「林檎ちゃん大丈夫だよ。ぼくも一緒にスマホちゃんを探してあげるから。だから泣かないで。」
アンパンマンは林檎ちゃんの頭を撫でながらそっとやさしく言った。
「アンパンマン・・・」
林檎ちゃんは大粒の涙を流しながらヒックヒックとしゃっくりをあげている。
「あの子・・・ヒック、一日に、一回充電をしないと・・・ヒック、いけないの・・・でないとヒック、スマホちゃん電池が切れてヒック、動かなくなっちゃヒック、うわ・・・」
「急がないとダメじゃないか!さあ林檎ちゃんぼくの背中に乗って。」
アンパンマンはくるりと体の向きを変えると林檎ちゃんに背中を向けてしゃがみこんだ。
林檎ちゃんは両手であふれ出る涙をぬぐいながらその背中へと乗り込む。
「いい?飛ぶよ?」
「うん・・・」
アンパンマンは空高く舞い上がった。
地面がどんどんと遠くなっていく。
林檎ちゃんはあまりの高さに驚き目をまん丸に見開く。
瞬きもせずに息を呑んでいるとさっきまでの涙もしゃっくりもすっかり止まってしまっていた。
「林檎ちゃん!スマホちゃんがどこに向かったか心当たりはある?」
両腕を伸ばして前をまっすぐに見据えながらアンパンマンは林檎ちゃんへ声をかけた。
林檎ちゃんはうーんと腕組みをして目を瞑って考える。
そういえば昨日、スマホちゃんと町を歩いていたときふと目に止まったショウウインドウに陳列された白いiFaceのケースを眺めていたっけ・・・
それがほしいの?と私が訪ねると彼女はコクッと頷いたっきりしばらくそこから動かなかった。
スマホちゃんが今見につけているケースは透明のソフト樹脂素材のものだったが長く使用していたことが祟って経年劣化で黄ばみが目立ち始めていてスマホちゃんはそろそろ新しいケースに買い換えたいと言っていた。
「そうよ!アンパンマン!スマホちゃんは恐らく町に向かったんだわ!きっとそうよ!」
林檎ちゃんははっきりとした声でアンパンマンに伝えた。
「町だね!わかった!林檎ちゃんしっかり摑まってて!」
アンパンマンはそういうとグンッとスピードを上げた。
「林檎ちゃーん!どこー?」
うっそうと茂る草を掻き分けながら彼女は友人を探していた。
昨日この場所で彼女が友人と野宿していた時のこと
昼間に町で見かけたあの真っ白いiFaceのケースがどうしても忘れられなくて欲しくて欲しくてたまらなくなっていた。
しかし町からはだいぶ歩いて来てしまっていたし、友人に昨日の町で買いたいものがあるから今日歩いて来た道を戻りたいとは到底言えなかった。
だから彼女は今日の朝太陽が昇る少し前にこっそり起き出して一人で町へと戻っていたのだった。
目的の物を買ったら友人が起きる前までに戻って新しいケースを身に付けた自分を見せて驚かせよう。
そう思っていたのにどうやら友人は自分が思っていた以上に早く起きてしまい私がいないことに焦りどこかへ探しに行ってしまったらしい。
ここで友人の帰りを待つべきか、それとも自分も探しに動くべきか
彼女は選択を迫られていた。
私が黙って行ってしまったばっかりに友人はわけがわからずパニックになったことだろう。
知らない場所で一人ぼっちで目を覚まし、さぞや心細い思いをしていることだろう。
自分の身勝手さと友人への申し訳なさから彼女は涙が出そうになった。
ひゅーん・・・
うっうっと今にも泣き出しそうなそのとき、遠くの空から何かが飛んできているような音がかすかに聞こえた。
彼女はハッと顔を上げて空を見上げる。
姿はまだ見えないがだんだんと何かは近づいてくる。
彼女はその音を頼りに雑木林を一直線に走り出した。
ガサガサッ
バリバリッ
自分の背丈よりの高い雑草が何度も何度も体に当る。
すりつぶされた草の汁が飛び散り、鋭利な葉が自分の体を傷つけていく。
それでも彼女は構わず走った。
すると突然、広い岩場が目の前に現れた。
草木が生えておらず遠くの山まで見通せる。
ここなら空が良く見えそうだ。
はぁはぁと肩で息をしながらじっと空を見つめる。
ひゅーん・・・
さっきよりも音が大きい、こちらに向かってきていることは間違いない。
彼女は両手を高く上げて大きく振りながらまだ姿の見えないそれに向かって叫び始めた。
「おーい!おーい!おーい!」
やがて奥に見える岩山から徐々に音の正体が姿を現した。
アダムスキー型を思わせるそれは、上半分は半球体のガラス張りの操縦席のように見える、その下は紫色の金属がぐるりとガラスの淵を囲うように放射状の円を描いていた。
その更に下は同じく紫色の金属の一枚板をくるっと巻いたような筒型をしていて。
ガラス張りの頂上部分にはアンテナなのかこれまた紫色の先の丸い2本の棒が伸びていた。
誰かが一人乗っているようだがここからでは逆光でよく見えない。
それでも彼女は大声でそれを呼び続けた。
しばらくすると声に気が付いたのかそれはゆっくりと彼女を目掛けてゆっくりと降りてきた。
エンジン部から真下に向けて浮力が働いているのだろうか、だんだんと周囲を砂埃が舞い始める。
それでもゆっくりとそれは彼女の前に着陸した。
音も無く操縦席のガラスが下から開いて中から真っ黒い人影が現れる。
「ハーヒフーへホー!お前か?俺様を呼んだのは?」
吸い込まれてしまいそうなほどの真っ黒い全身に紫色の鼻と唇、顔の半分ほどもある大きな口と、その口いっぱいになんでも噛み砕いてしまいそうなほどの大きさの牙が上下きれいに噛みあって生えている。
頭には2本の角、ギョロギョロとした大きな目で彼女を睨むそれの出で立ちはまるで悪魔を思わせた。
「は・・・はは、はい・・・」
あまりの迫力に彼女は腰を抜かし悪魔から目を背けることが出来ずその場にぺたんと座り込んでしまった。
「んん~?見たこと無い顔だな。何者だ?お前は。」
悪魔は彼女の顔を覗きこみながらどんどんと近づいてくる。
彼女はぶるぶると震えながら何とか自分の名前を言おうと試みた。
しかしあまりの恐怖に言葉が出ない。
ついにはぽろぽろと涙を流し始めた。
「おい、どうやら俺様が怖いとみえるな。いいぞいいぞ!ハーヒフーへホー!」
彼女の怯える姿に悪魔は笑い歓喜の雄たけびを上げる。
「ところで、俺様を呼び出していったいなんの用だ?返答次第じゃタダじゃおかないぞっ!!」
「は・・・はい、私スマホちゃんていいます・・・あの、そのっ・・・」
震える唇でなんとかそこまで口にすると悪魔はにやりと口元を歪ませた。
「そうか、スマホちゃん、このバイキンマン様に何の用だ。さっさと言いやがれ。」
「・・・はい・・・」
体の震えが止まらない。
「その・・・友達と、はぐっはぐれてしまって・・・一緒に探してほしいんです・・・」
ぎゅっと目を強く瞑り彼女は声を振り絞って答えた。
バイキンマンは答えない。
スマホはそっと片目を開けてバイキンマンの様子を伺った。
「・・・」
薄目から見えたバイキンマンはむすっとした様子でこちらを見ている。
「なーんでこの俺様がお前の友達を探すのを手伝わなければならないのだ?」
「・・・」
「友達を探したら何かしてくれるのか?」
このままここで何も答えずにいたらきっと自分はこの悪魔に食べられてしまうだろう。
そうなれば二度と友人に会うことは出来ない。
これは自分の責任だ。
この悪魔の助けを借りてでももう一度必ず友人に会う。
体の震えを抑えながらバイキンマンの顔を見るとスマホは毅然とした態度で言い放った。
「私の特技はネット検索!もし私が無事に友人の林檎ちゃんに会えたならあなたは私を使ってあなたの知りたい情報を1つ調べていいわ!」
いつのまにか、涙は止まっていた。
「俺様が知りたい情報はひとつだと?面白いっ!良いだろう!さあ俺様のUFOに乗るんだ!その林檎ちゃんとやらを探しに行くぞ。」
バイキンマンは目を細めて笑うとスマホを自身のUFOへと導いた。
乗り込んだUFOの操縦席は見た目よりもずっと狭く、しかも少しかび臭い。
鼻を摘みながら操縦席後ろの補助席を倒してそこに腰掛けると今まで開いていたガラスがシュルシュルシュルと音を立てて閉じていった。
スマホはバイキンマンの座る前の席に目を向ける。
そこにはさまざまな色をした計器やボタンが所狭しとたくさん並んでいる。
そのいくつかをバイキンマンがポンポンと押していくとどこからかピピッと音がした。
バイキンマンは自分の目の前にある自分の角そっくりな2本の操縦桿を握ってぐんっと前に倒すとUFOは音も無く浮かび上がった。
「とりあえず町に向かう。さっさと林檎ちゃんを見つけ出してアンパンマンの倒し方を調べるのだー!!、ぐふっぐふふ・・・ハーヒフーへホー!」
UFOはバイキンマンの下品な笑いを残し空の彼方へと消え去っていった。
お日様はとうとう空の一番高いところへ昇ってしまった。
アンパンマンと林檎ちゃんは山を越え、町が見下ろせるところを飛んでいた。
「どうだい?スマホちゃんはいるかな。」
背中の林檎に声を掛ける。
目を凝らして眼下を行き交う人影に意識を向けるがそれらしい姿は見つからず、林檎はううんと首を振って返事をした。
「おーい!アンパンマーン!」
林檎の返事に肩を落としていると遠くから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「あの声は!」
アンパンマンが空中で止まって声のしたほうへ振り返ると小学校の校庭で4人組が手を振っているのが見える。
「誰?」
林檎が不安そうな顔で声を掛ける。
「ぴょん吉君たちだよ。おーい!」
アンパンマンは林檎を安心させるように言うと手を振りながら小学校目指して進みはじめた。
あっという間に4人の目の前に降り立つとみんな待ってましたとばかりに口々に話し始める。
「アンパンマーン、おそかったじゃないかーボクもうおなかがへりすぎて目がまわりそうだよぉ。」
「ごめんねカバオ君、来る途中にこの子のお友達を探していたら遅くなっちゃたんだよ。」
そう言ってアンパンマンは自分のマントに隠れている林檎の背中を押した。
ポンと押されて出てきた林檎は恥ずかしそうにもじもじしている。
「その子はだあれ?」
うさ子が不思議そうな顔で林檎の顔を覗きこむ。
林檎は恥ずかしさでまたアンパンマンの影に隠れてしまった。
「恥ずかしがらなくてもいいゾゥ!ぼく達いじめたりしないよ。」
「そうそう!大丈夫だから出ておいで。」
ちびぞうとぴょん吉が笑いながら林檎に近づく。
アンパンマンも大丈夫だよと言ってマントをまくって林檎はようやくみんなの前に姿を現した。
「あの・・・はじめまして、わたし林檎ちゃん・・・」
恥ずかしそうに挨拶を済ませるとみんな一様に林檎を囲って始めまして!やこんにちは!と返したあと各々自己紹介をしていった。
アンパンマンがそれをニコニコと見守っていると遠くの校舎からみみせんせいが駆け寄ってきたのが見えた。
「まぁまぁアンパンマンさん、ジャムおじさんからこちらに向かっていると連絡を受けていたのですがなかなかいらっしゃらないから心配していたんです。」
というみみせんせいに予定ではお昼前には到着してパンを渡しそのまま午後はパトロールへ行こうかと思っていたが来る途中で林檎に会い、はぐれた友人探しを手伝っていたので遅くなってしまった。とアンパンマンは申し訳なさそうに謝罪を持っていたパンの詰まったバスケットを手渡した。
「あらあらそれはたいへんでしたね、それでそのお友達は見つかったのかしら?」
受け取ったバスケットを両手で抱えながらみみせんせいは林檎とアンパンマンを交互に見たが2人の塞いだ表情を察してか、まぁ・・・と一言呟いた。
「ボクもいっしょに探してあげるよ!」
突然カバオが林檎の手を取り叫んだ。
その声にみんな最初は驚いたがすぐさま残りの3人も林檎を囲ってボクも!わたしも!と声を上げた。
林檎もそれを握られた手をうれしそうに握り返すと笑顔を作りありがとうとお礼を言った。
今身に着けている透明なケースは、生まれたときから身につけている物だった。
生まれたばかりの頃の私はみんなから祝福されとても幸せに過ごしていた。
今まで黒色しか生まれなかったこの家系からはじめて生まれた白い体、手のひらにすっぽり収まるサイズ感、何よりも以前の機種より通信スピードが大幅にアップしていることが自慢だった。
自信のある白くてきれいなボディ、それを活かす透明な樹脂素材のケース。
あの頃は毎日が楽しかった・・・
しかし、わずか数年でまわりの環境は一変する。
私より後に生まれた兄弟はみな私よりも通信スピードが速い、おまけに頭も良かった。
私では考え込んでしまうような問題も彼らはほんの数秒で答えてしまう。
それでも他の兄弟達の中で唯一誇れるサイズ感だけが私の支えだった・・・。
でも気が付けばみんな7とか8とか言っているしXってなに?本当に訳分かんない。
世間は私のことなんか見向きもしなくなっていた。
絶望に打ちひしがれているとき、古くからの友人である林檎が私に言った。
「世界にはまだあなたを必要としている地域が必ずあるよ。私と一緒にそこを探そう?」
涙が溢れた、
まだその場所は見つかっていない、しかしいつの日かそこに辿り着いたときのためになんとしてでも新しいケースが欲しかったのだ。
昨日、それをついに見つけた。
無地の、私と同じ真っ白の、正規品のiFace
これしかない、いやこれ以上はない。
そうおもっていたのに、私を救おうとしてくれた友人とはぐれ代わりに横には黒い悪魔がいる。
人生はなんて厳しいのだろう。
そんなことを思いながらスマホは外を眺めていた。
岩肌だらけだった景色は見る見るうちに変わり気が付けばまたこの町まで戻ってきていた。
林檎はこの町で私を探しているのだろうか、それともどこか別のところへ私を探しに行ってしまったのだろうか
言い知れぬ不安がスマホを襲った。
「ハーヒフーへホー!!おいスマホ!しっかり外を見ていろよ。林檎ちゃんとやらを見落としたら許さないからな。」
バイキンマンの檄が飛ぶ。
スマホは余計に集中して流れる景色を眺めていた。
そのとき
「あっ!」
無意識に声が出る。
林檎だ。
学校だろうか、大きい建物の横の広場で何人かに囲まれている林檎が見える。
やっぱり林檎も私を探してくれていたんだ。
うれしさで飛び跳ねてしまいそうになるのを我慢しながらバイキンマンに告げる。
「バイキンマン!いたよ!林檎いた!」
思わず前の席を興奮してバシバシと叩いてしまった。
「いたいいたいッ!おい!やめろ!!叩くんじゃない!まったく・・・で?どこにいるんだ?」
「あそこ!学校みたいな大きい建物のところにいるよ!」
林檎!林檎!会いたくて興奮が収まらない。
脈が速くなっている気がする。
ああ、もうすぐ林檎に会える・・・
遥か遠くの地上に見える友人からスマホは目を離せないでいた。
そわそわしながらUFOが着陸するのを待つ。
あと少し・・・あと少し・・・
だんだんと地上に見える林檎以外のシルエットがはっきりと見え始めてきたとき
バイキンマンがヘンテコリンな奇声を発した。
「ゲゲッ!!?あそこにいるのはアンパンマンじゃないかッ!!!」
アンパンマン?それはあの林檎以外の6人の中の誰だろう・・・
スマホがきょとんとしているとバイキンマンが急にこちらを向いて大声を出す。
「おいスマホっ!!林檎ちゃんとやらが見つかったんなら俺様は約束を果たしたことになるッ!!今この場で約束の調べたい情報を調べさせろッッ!!!」
バイキンマンの右腕がスマホの左腕をがっちりと掴んだ。
「痛いッ!!」
叫び声をあげたがバイキンマンは腕を離さない。
むしろ叫び声を上げたことによって余計力が加わった気さえする。
「やめてッ!離して!!!」
必死に抵抗を続けるスマホ。
「うるさい!!俺様はあいつを!憎きあのアンパンマンを倒したいんだッ!!!今がその絶好のチャンスなんだよッッ!!!」
バイキンマンはそう叫ぶと力の限りスマホを自分のほうへと引っ張った。
次の瞬間。
スマホはバイキンマンの力に耐え切れず操縦席へと体が倒れた。
その反動でスマホの体の一部がバイキンマンの手を離して方の操縦桿に当り安定して飛んでいた機体がまっさかさまに墜落を始めた。
急激な下降による危険を知らせるアラームがけたたましく鳴り響く。
高度を示す計器の数字がものすごい速さで減っていていたが2人にはそれを確認する余裕があるはずも無かった。
「ッッッ!!!!!!」
一瞬見えた地面らしきものを認識した直後ものすごい衝撃と爆音がスマホを襲った。
校庭の隅に何かが落ちた。
落ちた、というよりも激突した。と表現した方が良かったかもしれない。
轟音と激しい地響き、それと共に自分の伸ばした腕の先すらも見えないほどの砂煙にアンパンマンたちは何が起こったのかもわからずただただ狼狽えるしか無かった。
「ゲホッ!ゲホッゲホッ!!」
「わあああっ!?な、何がおこったの!!?」
「目に砂が入っていたいゾォッ!!何にも見えないゾォ!!」
「ブヘッ!!?ゴッホゴッホッ!!!」
「きゃあああッ!!!みんなーーーッ!!」
「きゃああ!!!助けてえええアンパンマーーーン!!!」
砂煙の中からみんなの悲鳴が聞こえてくる。
だがみんな自分の周囲のわずか先ですら目視することができないので誰かを助けたり助けを呼びに行くことはできずただただ全員が全員の無事を願っていた。
どれほどの時間が経っただろうか。
空高く舞っていた砂埃が徐々に薄くなってきている。
まだ薄目であっても砂が入って来てしまう状況だが、それでも視界は広くなっていた。
「みんな・・・大丈夫・・・?」
すぐ近くで誰かの声がする。
右腕で鼻と目を押え、極力砂埃の影響を受けないように声のするほうへ視線をやるとゆらゆらと影が見えた。
「ボクはぶじだよー!」
またすぐ近くで声がする。
その声に反応するかのようにそこかしこから無事を告げる声が聞こえてきていた。
良かった・・・みんな無事のようだ・・・。
しかしこの騒ぎはいったい何なのだろうか、何の前触れもなく空から何かが落ちてきたような・・・?
開けていく視界を頼りに何かが落ちたであろう場所へと歩く。
よほどの重量物が落ちたのだろう。抉れた地面の土らしきものが降り積もり足下がとてもふかふかしていて何度も足を取られよろめいてしまった。
なんとか出来たての土の山を登り切ると見えた光景に思わず息を飲み込んだ。
山の頂上はクレーターになっていて、中央が大きく窪みが口を開けている。
ものすごい衝撃だったのだろう、穴の直径は10メートルはありそうだ。深さも相当あるだろう、積み上げられた土の影で底がとても見えづらい。
それでも目を凝らして覗いてみると底にはUFOのように見える乗り物が一機、ぶすぶすと黒い煙を上げて横たわっているのが確認できた。
暗がりに少し慣れてきて全貌を現し始めたそれは煤や土で汚れていて、いたるところにへこみや傷も見えているが外観は原型を留めていて今にも動き出しそうでそれがとても不気味さを醸し出していた。
何だ・・・?これは・・・
「ゴホゴホッ・・・り、林檎ちゃん大丈夫・・・?」
いつの間にかみみせんせいが横に立っている。
全身砂だらけで先ほどまで掛けていたはずの黄色い眼鏡も無くなってしまっていたが怪我などはしていなさそうだった。
「みみせんせい・・・無事で良かったです・・・私は大丈夫・・・」
お互いに無事を確認し合うと林檎は黙って横たわるUFOを指差した。
ところでこれって何なんでしょう?そう言おうと口を開きかけた瞬間、みみせんせいのかすかにつぶやく声が聞こえた。
「・・・バイキンマン!?」
ばいきんまん?何だろうそれは・・・林檎にはそのつぶやきの意味が理解できなかったが
みみせんせいの絶句している表情を見るにこれがとても恐ろしいものだと言うことだけは想像することができた。
バキッと何かの割れる音がして林檎とみみせんせいは穴の中を注視した。
先ほどまで土を被っていて中が良く見えなかった操縦席らしきガラスがなくなっていて、その中からもぞもぞと何かが動いているのが見える・・・
いや、あれは・・・這い出てきている?
逃げた方が良いと頭ではわかっているのに2人はその場を動くことはもちろん、目を逸らすこともできない。
穴の中では相変わらず何かがUFOから這い出してきている。
恐怖で奥歯がガタガタ鳴るのを体全体で感じていた。
「ううう・・・」
穴の奥から這い出ようとしているそれは腕を空へ伸ばしながらうめき声を上げた。
なんだか聞き覚えのあるような気がして林檎は耳を澄ます。
林檎ちゃん・・・
はっきりとそう聞こえた。
恐怖に震え慄いていたものの正体は探していた友人のスマホであったのだ。
林檎は無意識のうちに穴に飛び込み友人へと駆け寄る。
「スマホちゃん!!私よ!林檎ちゃん!!・・・スマホちゃんいったい、何が・・・?」
スマホの体に腕を回し支えて体勢を整える。
起こされた上半身を苦しそうに仰け反らせ苦しそうにするスマホは右手をそっと伸ばして林檎の頬に触れた。
「良かった・・・やっと、会えた・・・」
消えそうなほどか細い声でつぶやく。
「スマホちゃん!スマホちゃんしっかりして!!」
目に大粒の涙を浮かべながらスマホを励ます。
スマホの右手に触れようと自分の左手を添えようとすると、頬に触れていた右手が力を失いスッと地面に落ちた。
何が起こったのかわからず頭が真っ白になる。
今まで感じたことの無い感情が無数に頭の中を占領して、目の前の出来事を脳が理解しようとしてくれないのだ。
フッと意識が遠のいてスマホに覆いかぶさるように林檎はその場で意識を失った。
「林檎ちゃーん!!林檎ちゃーん!!」
穴の入口で集まったぴょん吉たちがみんな必死に呼びかける。
誰もが林檎ちゃんの無事を祈っていたが彼女は一向に底から姿を現さない。
最悪な事態を想像し始める者まで現れ険悪な空気になりそうな雰囲気だ。
そんな中、カバ夫が気が付いたように声を出した。
「・・・アンパンマンは?」
アンパンマンがいない・・・
あたりを見回してもその姿が見当たらない。
舞い上がった土砂で埋もれてしまったのだろうか。
「おーい!アンパンマーン!!」
そう呼びかけながら周囲を歩き回る。
とある一角に差し掛かったときこんもりとした土の中からアンパンマンの声が聞こえた。
「こーこーだーよー・・・」
弱弱しく聞こえた声を頼りに必死で全員がその場の土を掘り進める。
やがて見覚えのあるアンパンマンの黄色いグローブが見えてきた。
アンパンマンがんばれ!!うさ子がその手を握り締めて励ました。
握られた手がぎゅっと握り返される。
大丈夫だ。アンパンマンは生きている!!
がんばれ!がんばれ!!
全員で励まし合いながら掘り進めてアンパンマンを何とか救出したが、その姿はあまりに悲惨なものだった。
顔全体は汚泥にまみれ鼻は取れかかっている、顔のいたるところが潰れていて中身のあんこが飛び出していた。
とてもではないが直視できるものではなかった。
「か・・・顔が・・・汚れて、ち・・・力が出ない・・・」
ちぎれかけていた顔の一部がボトリと足元に転がった。
急いでパン工場へ向かわなくてはアンパンマンの命が危ない。
カバ夫とぴょん吉がアンパンマンの両脇を支えずるずると引きずるように歩き始めたそのとき、ゴゴゴゴと不気味な地響きが発生した。
「うわっ!!今度はなんだ!?」
叫ぶと同時にクレーターの穴からバイキンマンのUFOが飛び出してきた。
黒い煙をモクモクと上げながらこちらに近づいてくる。
バチバチと何かがショートする音と火花も時々確認できる。
どうやら飛ぶだけで精一杯のようだ。
操縦席のバイキンマンがおもむろに立ち上がりアンパンマンたちを見下ろしながら叫ぶ。
「ハーヒフーへホー!おいッアンパンマン!!お前いいざまじゃないか!!この俺様のバイキンUFOも致命傷を負っているが今のお前なんかこの程度の力で充分だもんねー!!!」
UFO本体の底部が開くとにょろにょろとハンマーを持った大きな手が2本現れる。
それらはまっすぐにアンパンマンたち目掛けて襲い掛かってきた。
「ほれほれほれー!!!早く逃げないとぺちゃんこになるぞー!!!」
バイキンマンが悪魔の笑みを浮かべながら操縦桿を操っている。
今日!ついに俺様は憎きアンパンマンと決着をつける!!!
俺様が勝って世界制服を果たすのだ!!!
「終わりだーっ!!!アンパンマンンンンっ!!!!!」
ハンマーの狙いをアンパンマンに定めた。
もう逃しはしない、やつの周囲にいる者たち全員巻き添えにして終わらせてやる。
バイキンマンは己の勝ちを確信した。
バイキンUFOのハンマーが目の前に迫ってくる。
顔が汚れて自分ではもう動くことすら出来ない。
自分を庇おうとしてくれている彼らまで巻き込んでしまう。
アンパンマンは自分の無力さにぎゅっと眼を瞑った。
そのときだった。
「アンパンマン!新しい顔よ!!」
どこからかバタ子さんの声が聞こえた。
それと同時に自分の顔が砕け散ったのがわかった。
投げ込まれた新しい顔と入れ替わるときぼろぼろだった古い顔がぶつかった衝撃に耐え切れず木っ端微塵になったのだった。
「!!!!!!」
アンパンマンは一気に覚醒した。
体に力が漲り、頭はとてもクリアになった。
テーテ テレ テーテーテー テテレ テッテレテッテ テッテレテッテ テー
いつものあの音楽が鳴り響く。
「元気百倍!アンパンマン!!」
もう大丈夫だ。みんなは僕が守る!!
瞬時に左手を伸ばしてハンマーを止めた。
衝撃が腕を伝わったがダメージは無い。
「やめるんだ、バイキンマン。」
頭上にいるバイキンマンを睨みつける。
「ゲゲッ!?復活しやがった!!」
バイキンマンは目を丸くし驚くと操縦席に座り込んでパワーウインドウを閉めた。
こうなったらまた顔を汚して弱らせてやる。
攻撃プログラム変更、パワーハンドウエポンにハイドロウエポンユニットを装着。
手馴れた操作でプログラムを書き換えていく。
よしっ!これで完璧!あとはアンパンマンをギッタギタに・・・!?
手元の操作を終えて視線を外に向けたバイキンマンは目の前の光景を理解するのにわずかに時間が掛かった。
眼前にはアンパンマンが右手を振りかぶってパワーウインドウを挟んだすぐ目の前に浮いている。
「えっ?あ・・・ちょ・・・ま・・・」
言葉にならない声を上げる。
「アーン!パーンチ!!」
振りかぶられた右手がバイキンUFOの機体側面にクリーンヒットする。
メリメリメリと拳が食い込み外装を突き破った感覚があった。
力の限り深く奥まで届くように突き刺した腕を伸ばすとバイキンUFOは流星のように瞬く間に空の彼方へと吹き飛んでいった。
「ばいばいきーん!!」
バイキンマンの声がこだまする。
パラパラと振り落ちるUFOの部品だけがその場に留まっていた。
「やったー!バイキンマンを倒したぞ!!」
ぴょん吉たちが飛び回りながらはしゃいでいる。
気が付けばアンパンマン号もその近くに止まっていてジャムおじさん、バタ子が顔を覗かせて手を振っていた。
アンパンマンはみんなの中に降り立つとみんなに声をかけた。
「みんな、助けてくれてどうもありがとう。みんなのがんばりとバタ子さんとジャムおじさんが駆けつけてくれなかったら負けていました。」
「みみせんせいからアンパンマンがいつまで待っても到着しなくて心配していると連絡があったの。なにかあったのかと思ってジャムおじさんと駆けつけたのよ。」
バタ子が安心したような顔でジャムおじさんと顔を見合わせている。
この人達がいてくれて本当に良かった。
アンパンマンは心の底からそう思っていた。
クレーターの中にいる2人を引き上げなければいけない。
一部始終を目撃していたみみせんせいから事情を聞いたアンパンマンはゆっくりとクレーターの奥へと下っていった。
薄暗い底を見渡していると、法面に体を横向けて重なって倒れこんでいる2人の姿を発見した。
近づいて確認すると上に載っているのは確かに林檎だった。
その下にいるのが探していたスマホであろうか。
アンパンマンは優しく林檎を抱きかかえるとクレーターの外まで運び出した。
同じようにスマホも運び出すと林檎の横に寝かせてやる。
2人を見下ろすようにみんなが囲って立って黙ったまま悲しみに打ちひしがれた。
「うう・・・ん。」
林檎がうめきながら薄目を開ける。
それに気が付いたうさ子が大声を上げた。
「みんな!!林檎ちゃんが目を開けたよ!!」
上半身を起こし自分の両手の平を見つめながら助かったのが信じられないというような顔をしている。
無事だったことを確認するとみんな声を上げて喜んだが
「スマホちゃんは・・・残念だったね・・・」
とカバ夫が言うとすぐさまみんな口をつぐんでしまった。
泣き出す者もいて悲しみが辺りを再び包もうとしていた。
「ううん、スマホちゃんは生きているわ。」
林檎が静寂をかき消すようにはっきりとそう答えると起き上がりスマホの頭部左側にある長方形のボタンのような突起をぎゅーっと押す。
みんまがそれを食い入るように見ているとスマホの画面がパッと点いて一行の文字が現れた。
LOW BATTERY Please Chage.
(電池切れ 充電してください。)
「これ、ただの充電切れなの。スマホちゃん古い機種だから電池が古くて一日持つか持たないかなのよ。」
そういうと林檎は充電用のアダプターを取り出しスマホの下半身にグッと差し込んだ。
その反対側のコンセントを許可を得て開放してもらった学校のコンセントに差し込むとスマホの画面に映し出されていた文字がコードと電池の絵に変わり充電され始めたことが伝えられた。
スマホちゃんの回復は早かった。
充電器を差し込んで約二時間、時間が経つにつれてスマホは意識を取り戻し完了したときには完璧に回復していた。
その後2人はパン工場で数日を過ごしたあと、つい先日再び世界を巡るたびに出かけた。
「アンパンマンありがとう。あなたは私達の命の恩人よ。だから・・・」
そういってスマホはアンパンマンに何か調べ物をするのに自分を使ってよいと申し出たがアンパンマンに特に調べたいことも無いと言ってそれを断った。
2人は少し驚いていたが、アンパンマンは僕はここでみんなと仲良く暮らすだけで幸せだからと笑って答えた。
「アンパンマン、気をつけて行ってくるんだよ。」
いつもの場所でジャムおじさんが優しく笑う。
バタ子もチーズも見送りにいつも来てくれる。
そう、これでいい。この人たちが自分の家族でいてくれれば僕は何も要らない。
そう、それが知識であっても。
「それじゃあパトロールに行ってきます。」
そういうとふわりと浮かび上がり空高く舞い上がった。
背中からみんなの声が聞こえる。
「それいけ!アンパンマン」
おわり