という、報告をしたかった(笑)
ではでは、捻くれ者の最弱最強譚#24
どうぞ!(*゚▽゚)ノ
「どういう事だ!なぜ急に!?」
「おいおい、変な事聞くなよ。どういう事だって、さっき言ったろ?オレがさっきまでの俺と一緒だと思わないことだな、ってさ。そのままの意味だよ。」
確かに、目の前の男、俊からすれば
ただ、さっきまでの俺は迷っていただけ。力を出し切れていなかっただけ。それは俺であってオレではない。オレは迷ってなんかい。だから、力を、全力を出し切れる。
本当は俺もそれくらい出来るのだが……
まぁオレの闘いを見て学んでくれるとありがたい。迷わなくていいってことを……
「さぁ、やろうぜ!殺し合いをさ。やりたいんだろ?壊したいんだろ?オレを、父さんの……守一の宝物をさ」
「ッッ!?……言われなくても、殺してあげるよ!僕は絶大な力を手に入れたんだ!もう誰にも負けない。なんだって出来る!」
未だ、狼狽えていた俊に対し、オレは挑発じみたような態度をとる。
すると、俊はそれに大きく反応し、体を怒りに震わせながらオレに両手を向けてくる。
すると、先ほど俺を地面に叩きつけたのと比べ物にならないほど大きな龍が形成されていく。そして、龍は大きく口を開けながらオレに向かってくる。
さすが、絶大な力を手に入れたと豪語するだけの事ある。
だか、そんなものオレにはきかない。
オレは体制を低くし、元素を方足と右拳に集め、圧縮していく。
そして、それができた瞬間、片足の元素を一気に解放し、龍との距離を自分から縮めに行く。
そのオレの行為に俊は高笑いをあげる。
「あははは、無理だよ。君ではどうしようと、この僕の技を防げないよ!」
しかしオレは、その言葉には気にもくれず、龍に向け突っ込んでいく。
そして、距離があとわずか、となった時に、言葉を発しながら、右拳の元素を解放し、コークスクリューを放つ。
「いいこと教えてやるよ!巨大で絶大な力の技ほど、一点集中攻撃によって、脆く崩れやすいんだよ!渦雷!」
「なっ!?なに!?」
俺の放った渦雷によって、俊が放った大技の龍は跡形もなく霧散した。
自分にとっては結構な大技だったのだろう。仮面に顔は隠れてはいるが、オレが龍を霧散させた事に驚いているように見える。
それもそのはずだ、先ほど俺が放った渦雷は全身纏いもなしの状態で受けたのにも関わらず、俊は何もダメージを喰らわなかったのだ。
なのに、その同じ技で、しかも同じ人物に、自分の技をいとも簡単に打ち破られるとは思わなかったのだろう。
「な、なぜ……僕の
「……急に質問が増えたな俊。何そんなに狼狽えてるんだよ。その問いの答えもさっき言ったろ?巨大で絶大な力の技ほど、一点集中攻撃によって、脆く崩れやすい、ってさ。つまり、元素を拳の一点に、そして、攻撃の当てるところも一点に集中して、お前の技を打ち砕いた。ただそれだけだよ。」
オレがそう答えると、俊は声を荒らげながら、怒りを顕にし、俺に向かって突っ込んでくる。
怒って、単調な攻撃になる。という事はなく、オレの目の前に来たと思った瞬間、そのまま攻撃するのではなく、目の前から消えたかのように錯覚するほどの速さでオレの後ろへと回り込んでくる。
そして、掌の上で形成されている風の圧縮弾を、放つのではなく、ゼロ距離で当てようとこちらに手を出してくる。
「だから、言ったろ?オレはさっきまでの俺とは違うってさ……見えてるっての」
「だからなんと言うんだ!今からは避けることも出来ない!」
「だな……なら、避けなければいいだけの話だよ」
確かに避けることはもうできないだろう。俊とオレとの距離はもう1m程しかない。それにオレは俊に背中を向けている状態だ。この状態で無理に避けようとしてしまうと、余計にダメージを受けることになってしまう。
避けられないのが決まっているのなら、避けなければいい。
ならどうするか……簡単だ。その技に対抗しオレも技によって、ぶつけ合わせ、粉砕させればいい。
ちょうど、俊は後ろにいる。つまり振り向くには回転しないといけない。ならその回転すら攻撃に組み込めばいい。
俊が突っ込んできた時から溜めていた、片足の元素を解放し、回転に元素の力を加える。そして、その勢いのまま振り向きざまに右拳に溜めていた元素を解放しながらコークスクリューを放つ。
「くらえ!!」
「旋雷・大渦巻き!」
--------ドォォォォン
オレの技と俊の技。それぞれがぶつかい、オレと俊の周りの地面は抉れ、すごい風が吹き荒れる。
「グッ!?」
その瞬間、俊は抉れた地面に足が取られたのか、それともオレの攻撃により少し仰け反ったのかは分からないが、体制が崩れる。
オレはそれを見逃すことなく、追撃に入るため、瞬時に両掌に元素を集め圧縮していく。
そして、その両掌を俊の鳩尾に横向きにして添え、一気に元素を解放し、掌を縦に旋回させ、技を放つ。
「雷刃旋回弾!!」
「なにっ!?グアッ!?」
オレの技により俊はすごい勢いで吹き飛ばされていく。いつもの俺なら片掌だけだが、今回は両掌で放ったため威力も上がっているはずだ。
それを現しているかのように、俊は途中で体制を整えることができないまま、地面を何度も跳ね壁へと激突する。
オレはその間も次の行動に、次の攻撃に移るために、両足裏ではなく、
「ガハッ!?この僕が……なぜ……」
「そろそろ、その仮面もうざくなってきた……ぶっ壊してやるよ!ほら、まだまだ行くぜ!」
俊は
俊は力を手に入れるために、どんな事でも
だから、その仮面を無理矢理にでも引き剥がしてやる。
そして、元素を両脚に集めしっかりと圧縮できたところで、元素を解放しながら、俊に向け一気に加速する。
そして、技を放つため、腰を捻り、
「行くぜ!空裂波!」
「その技は僕には利かないよ!それに、もう油断もしない、全力で受け止める!」
オレが技名を叫んだからか、それとも腰を捻り裏拳を出そうとしたからか、俊は、俺の繰り出す技が、空裂波だと思いこみ、それをガードしようと顔の前に腕をかざし、防御の姿勢に入る。もちろん、俊は全身纏いの状態だ。そこに、何も元素を集めていない状態で、しかもこのスピードで、この右拳を防御されると、オレの右拳は粉砕するかもしれない。
だが、それは俺が本当に空裂波を放てばの話だ。オレは元から空裂波を放つつもりは毛頭ない。
「目に頼りすぎなんだよ!」
「なに!?」
そして、オレは、自分の右拳と俊の腕が当たる瞬間、裏拳を放つのではなく、俊の腕を掴み、その腕を軸にして俊の後ろへと素早く回り込む。
「背中…がら空きだぜ?」
ただ回り込むだけで終わるのではない。
オレは俊の後ろへと回り込んだ瞬間、溜めていた脚の元素を解放しながら俊の背中へと回し蹴りを放つ。
とっさの事だったのか、それとも完璧に空裂波と思い込んでいたのか、腕に防御を集中させていたため、俊は背中の防御が間に合わず、オレの回し蹴りによって蹴り飛ばされる。
「グハッ!!」
俊が吹き飛んでいくのを確認してすぐに、追撃に移るために、元素を解放し一気に加速し、俊との距離を縮める。
そして、今もなお吹き飛ばされ、体制を整えることができていない俊の正面へと回り込み、お腹へ向け、今度は膝蹴りを放つ。
「
「カハッ!?」
俊はすごい勢いで吹き飛ばされていた。その勢いが、お腹に膝蹴りをされたことによって、全てがその部分に集中された。相当なダメージだろう。
そして、オレの膝蹴りにより、その瞬間だけ時間が止まっているのではないかと思ってしまうほど、俊は空中で綺麗なくの字で体が曲がっている。
本当は燕脚舞には三連撃目が存在するが、それを中断し、違う技に繋げる。それがこの燕脚舞の利点だ。この二連撃目から違う技に繋げやすいのだ。
そして、オレは飛び上がり、空中でくの字になっている俊の後頭部へと回転して勢いをつけたかかと落としを放つ。
「
「ガッ!?」
それにより、俊は為す術もなく、仮面のつけた顔面から地面へと叩きつけられる。その時、地面に叩きつけられる音と何かが割れる音がした。
相当なダメージを負わせることができたはずだ。
俊は顔を抑えながらフラフラと立ち上がる。そして、立ち上がったと同時に、顔から手を離し、両手を広げ体を逸らしながら、大声をあげる。
「クソがーーーーー!!クソがクソがクソがクソが、クソがーーーーー!」
「おいおい、そんな言葉遣いしてたか?お前。仮面、外れてるぜ?文字通りでもな。」
そう、俊の顔には仮面がつけられていなかった。その顔には30代後半と言うには少し若いような、青年のような顔を覗かせている。しかし、顔には一筋の血が流れており、そして、顔をすごく歪ませている。
どうやら、さっきの何かが割れた音は仮面が割れた音のようだ。
「やっと仮面、外れたな。」
「クソが!ぶっ殺してやる!お前を殺してやる!」
オレが挑発じみた笑みで言うと、俊は仮面が外れるまでの言葉遣いとは違い、言葉遣いが荒くなっている。
「これは使いたくなかった。強すぎるからね。それにすごく醜いからね……だか、お前を殺すにはちょうどいい!」
俊がそう言葉を発した瞬間、風が吹き荒れ、そして、黒く染まっていく。その黒く染まった風が俊の体へと纏われていく。
「……これが悪魔との取引によって、手に入れた力かよ……悪魔と取引したものは元素が黒く染まるとは聞いたことはあったが……まさかここまでとはな。」
「アハハハ、アハハハハハ……殺す!殺してやる!
俊がそう声を上げると、俊の体に纏わりついている黒い風が大きな龍を形どっていく。ものすごい元素量の上に元素濃度も高い。威力もすごいだろう。
しかも、それが二体だ。これは流石にヤバイ……
(さて……いつまでもオレが俺の体を譲り分けてもらう訳にはいかないからな……)
オレはありったけの元素を右拳の一点に集め圧縮していく。
そして、それを行いながら、ある奴に言うべきこと言うため声を上げ言葉を発していく。アイツに聞こえるように……心に響かせれるように……
「よく聞けよ!お前は、もう決めたんだろ!大切な人を護ると。その為だけに力を使うと、全力を尽くすと。ならもう迷ってんじゃねーよ!」
「誰に言っているんだい?僕はもう迷ってないよ。この力を使うのも、これから何をするのかもね!もっと力を手に入れて、僕がこの世界を支配する!」
俊が何かを言っている。だか、オレは俊に対して言っているわけじゃない。
だから、オレは俊のことには気もくれず、言葉を続けていく、
「この世界がなんだ!守一がなんだ!他人の正義がなんだって言うんだ!自分で決めたことなら他人に惑わされず、自分の見つけた答えを、自分の正義を貫け!貫き通せ!本当に護りたいなら、自分を犠牲にしても護れ!自分の大切な人を、ものを護りたいなら、覚悟を決めろ!この世界は悪だ!それが普通だ。その悪から護り通すには時に自分自身が悪にならないといけない時もある!だから、悪になってでも自分を、自分の決めた答えを、正義を貫き通す覚悟を決めろ!いや、もう決めてたんだろ!なら!…………迷うな!八神界人!!」
オレに体を譲り渡してから俺は周りが暗いどこかに浮いていた。でも、悪い気はしない。どちらかと言うと心地いい感じだ。
そして、遠く……いや、近く……分からないが、オレが闘っているのが見える。
オレに代わってからは戦況は大きく変わっている。俺ではダメージを与えることが出来なかった俊に、オレは物凄い力でダメージを与え、技を粉砕し、そしてまたダメージを与える。
なんでそんなに強いんだろうか……なんで、そんなイキイキして闘えるのだろうか……
オレは最後俺と体を変わる時、迷うなって言った。あれは、どうゆう意味だったのだろうか……
オレの闘いを観ながらそんなことを思っていると、俊の体の周りに黒い風が集まっていくのか見える。それも物凄い、元素量に元素濃度だ。
譲っていると言っても俺の体だ。オレが右拳に元素を一点に集め圧縮していくのが分かる。
そんな時、俺の頭の中に……その暗闇の世界の全体にオレの声が響き渡ってくる。
『よく聞けよ!お前は、もう決めたんだろ!大切な人を護ると。その為だけに力を使うと、全力を尽くすと。ならもう迷ってんじゃねーよ!』
これは俺に対して言っているのだろう。それはすぐ分かった。
「決めた……決めたよ!でも…」
分からなくなった。父さんの正義、絵里奈さんの正義、俺の正義……それらを見て感じて、何故かわからないが分からなくなってしまったのだ。怖くなってしまった。これが迷っているという事なのだろうか……
『この世界がなんだ!守一がなんだ!他人の正義がなんだって言うんだ!自分で決めたことなら他人に惑わされず、自分の見つけた答えを、自分の正義を貫け!貫き通せ!本当に護りたいなら、自分を犠牲にしても護れ!自分の大切な人を、ものを護りたいなら、覚悟を決めろ!この世界は悪だ!それが普通だ。その悪から護り通すには時に自分自身が悪にならないといけない時もある!だから、悪になってでも自分を、自分の決めた答えを、正義を貫き通す覚悟を決めろ!いや、もう決めてたんだろ!なら!…………迷うな!八神界人!!』
「自分を……貫き通す……自分の正義を、答えを……この世界は悪だ。それが普通。その悪から護るためには悪にならないといけない時もある……か……」
なぜだろう。コイツの……オレの言葉はスっと俺の心へと入ってくる。心に響く……
「父さんの正義は父さんのもの、絵里奈さんの正義は絵里奈さんのもの。そして、俺の正義は俺のもの。」
迷うな。その言葉が今やっとわかった。俺は他人の正義を見て、自分の正義は正しいのか、これでいいのか、と迷ってしまっていたんだ。
だから、オレがそれを教えてくれた。もう迷うなと。自分を貫き通せと。
オレが…俺自身がそう言うのだから、迷っている暇なんかないだろう。もう迷えないだろう。貫き通すしかないだろう。
もう決めたんだから。決めていたんだから。だから……
「俺は自分の正義を、見つけた答えを貫き通す!もう迷わない!絶対に!俺は…八神界人だ!!」
「決心したか……面倒かけるんじゃねーよ。オレの役目はここまでだな……あとは頼んだぜ。俺!準備はしておいた。」
「さっきから何を言っているんだ?お前は!」
オレが俺に体を返してくる。そして、俺の意識は完全に戻り目を開ける。
するとその瞬間、俺の右拳には雷が纏われていく。部分纏いだ。
そして、目の前には仮面を外された俊の姿。その俊の両隣りには黒く染まった風の龍。
「まさか、こんな準備万全の状態にしてくれるとはな……オレのお陰で目が覚めたよ…ありがとう。もう大丈夫だ!」
そして俺はオレに礼を言ったあと、雷を纏った右拳を後ろへと引いていく。
「もういいや!死ね!八神界人!!」
俺が右拳を後ろに引いた瞬間、俊は俺に向け、その二頭の黒い風龍を飛ばしてくる。
そして、その二頭の龍と俺との距離があと僅かとなった時に俺は引いた右拳をその龍を殴るように放つ。
「大雷!!」
--------ドォォォォォォォォォン
二つの大技がぶつかり合う。そして、黒く染まった風の龍は俺の技によって吹き飛び、俺はその風によって、壁へと吹き飛ばされる。
「グッ…ガハッ!?」
「なんだと!?」
ダメだ……ありったけの元素を右拳に集めていたのか、もう立てる力さえ残っていない。でも、目の前の俊は元いた位置より後ろに飛ばされてはいるが、立っている。
なら、勝負はまだついていない。負ける訳にはいかない。俺がもう立てないということを、闘えないというのを悟られるわけにはいかない。
「グッ…ハァ…ハァ……ハァ……」
「まさか……僕の、あの技を打ち砕かれるとは……」
俊も俺にあの技までもが打ち砕かれるとは思っていなかったのだろう。困惑しているのが目に見える。
「兄さん!」
「界人!」
「界人くん!」
「八神くん!」
そんな時、俺の後ろから声が聞こえてくる。俺の護る人達。護りたい人達。その人達の声が。
「みんな……」
「兄さん。人質はみんな助け出しました!他の闇市場の連中も倒しました。」
「八神くん!お父さんと誠也を助けることが出来たよ!君のおかげ。ありがとう。」
後ろを振り向くと、凛、御子柴、水戸、高原先輩の四人がそこにはいた。四人とも結構派手にやりあったのだろう。服とかもボロボロだ。
でも四人とも笑顔を俺に向けてくれている。
先輩に至っては泣きながらお礼を言っている。
でも、まだだ。ここで終わりじゃない。俺は言った。凛を助けると、先輩を助けると。それは俊を倒し、この闇市場を潰さないと助けたとは言わない。
「ハァ……ハァ…もう終わらせようぜ、俊。俺がお前に勝って助ける。それで、これは終わりだ」
「ほざけ!見れば分かる。お前にはもう力は残っていない。立っているのもやっとだ。そんなお前に僕が負けるわけないだろう!」
確かにそうだ。俊の言う通り、俺は立つのでやっとだ。もう腕を上げる力すら、一歩踏み出す力すら残っていない。もう元素がない。
でも、俺一人では無理だが、策はある。
そして俺はわざとらしく、大声で声を上げる。しっかりとあの人に聞こえるように。理解してもらえるように……
「なぁ、知ってるか?俺は雷刃旋回弾のように、人の体内に自分の元素を流し込むことが出来る。」
「それがどうした!」
「なら、その逆も出来るんじゃないのか?体外から元素を、雷の元素を取り込めるんじゃないか?」
「はっ!?……八神くん!受け取って!!」
俺がそう言った瞬間、俺の後ろの方から声が聞こえる。
良かった。どうやら、聞こえてたようだ。理解してもらたようだ。俺が今からしようとしていることを。これは俺一人では絶対にできないこと。だから……
「お願いします。高原先輩!」
その瞬間、俺に雷が降り注ぐ。結構な元素量に元素濃度だ。相当な威力があるはずだ。その上、今の俺は防御なんてできる元素は持っていない。なのに、全く痛くない。
「アハハハハハ!馬鹿め!元素がもう残っていない奴に攻撃を放つとは、気でも狂ったか高原!それともやはりお前はこちら側だったか?」
「ふざけないで!」
俊が馬鹿にしたような声を上げながら、一歩、また一歩とゆっくりこちらに近づいてくる。
しかし、俺は動かず、高原先輩にもらった雷を、元素を体内に取り込むイメージをし、集中する。
『お前にとって力とはなんだ?』
その時、オレとはまた違った声が俺の頭の中で響き渡ってくる。
『お前はこの残酷な世界で、何のために力を使う。』
何のためか……そんなのもう決まっている。護るためだ。
『お前は、世界を裏切ることは出来るか?何かを守るために世界を、そして、何かを犠牲にする事が出来るか?』
できる。そう決めた。そう覚悟した。貫き通す。もう迷わない。
『そうか……なら、儂を使うといい。』
そう何者かの声が頭で響いた瞬間、何かの映像、記憶が流れ込んでくる。
『界人。よく聞くんだ。』
父さんだ。
『俺は……俺の正義は間違っていた。俺は間違ってきた。でも、今日やっと俺にとっての本当の正義を見つけたんだ。それは、何があっても、何を犠牲にしてもお前を、俺の家族を護り抜くことだ。』
そうか、父さんも俺と一緒だったんだな。
『でも俺は間違いすぎた。自分を偽りすぎた。だから、コイツは最後まで俺に力を使わせてくれなかった。でも、お前なら、界人ならコイツを使いこなせる。今は……分からないだろうな……でもな、いずれ分かる……思うがままに生きろ、そして、自分だけの正義を見つけるんだ。界人。そうすれば、必ずこいつは力を貸してくれる。』
うん。今ならわかるよ。見つけたんだ父さん。俺だけの正義を、答えを。そして、それを貫くと決めた。覚悟を決めた。だから、もう大丈夫だよ。だから、もうそんな悲しそうな顔をしなくていいよ。
俺はもう迷わないから!
『さぁ、儂を使うといい。儂は喜んで力を与えよう。我が主よ』
あぁ、ありがとう……
『さぁ、唱えるとよい。我が名を!』
その声が頭の中で響いた瞬間、言葉が頭の中に浮かんでくる。
そして、先輩の雷が、元素が完璧に俺の体内へと吸収され俺の力へと変換されていくのがわかる。どうやら成功したようだ。
そして、俺は右腕を横に出し、体内に溜まった元素を一気に解放させる。
「な、なんだそれは!?」
「に、兄さんが……全身纏いをしてる…」
「なんだよ、あの力……」
「すごい界人くん……」
俺が右腕を横に出した瞬間、俺の体からは雷が溢れだし、そして、全身に纏われる。
俊も、そして、俺が纏いができないことを知っている、凛、御子柴、水戸も驚いたような声を上げている。
「四人とも、自分の周りに防壁を造って自分の身を守れ。」
俺は四人の方へ顔だけ向け、そう告げる。すると四人は何も言わずに頷き、それぞれの元素で防壁を作っていく。
今から放つこの技は、多分この地下を、廃工場を吹き飛ばすだろう。それぐらいの威力はある。なぜか分からないが、それは分かる。
そうなれば、瓦礫や色々なものがここに降り注ぐことになる。だから、四人には防壁を造ってもらった。
「俺の分は……まぁなんとかなるだろ……」
「なんなんだ!?その力は!!」
「何だっていいだろ?行くぜ!
俺がそう声を上げると、横に出している右腕の近くに雷を纏った白虎が顕現される。
すごい勢いで元素がその白虎に吸われているのがわかる。どうやらこの技はものすごい量の元素を必要とするようだ。このままゆっくりしているわけにもいかない。そんな事をしていると、技を放つ前に俺の元素が無くなってしまう。
だから、俺は未だ俺の方を見て狼狽えている俊には気もくれず、横に出した右腕を次は後ろへ引いていく。
「絵里奈さん……ごめんなさい……あなたに、大切な人を、俊を助けて欲しいと、救ってほしいと言われだけど、俺は俺の大切な人だけを護ると決めたから、その為だけに力を使うと決めたから。だから、俺は自分の大切な人を護る為に貴方の大切な人を倒します。」
俺は俊を見ながら、小さな声でそう呟き、そして、引いていた腕を、拳を一気に前へ出す。
「
白虎は俊に向け駆けていく。そして、白虎が一吠えした瞬間、物凄い爆音とともに、この地下は…ここ一帯は白い光に、雷に包まれた……
捻くれ者の最弱最強譚#24
いかがでしたでしょうか
バトル描写難しすぎるだろ……
でも、楽しんでもらえると、面白いと思ってもらえるとありがたいです。