僕は部屋の扉を開けた。
僕は「神白 直人」(かみしろ なおと)。中学2年だ。
趣味はバスケ。運動はあまり得意では無いが、好きな物は好きだ。特にやることが無くて入った僕の部屋。特に何も無くて、ただゴロゴロしていた。
僕は顔はそこそこ、勉強は中の上の方で、普通だ。特に特徴は無く、多分目立たない方だと思う。かと言って、友達は少なく無い。いつもゲームの話をする事が多い。
いつものようにゴロゴロしていると、急に眠くなって、寝てしまった...
起きると、そこは知らない場所だった。
1章「出会い」
家を探して歩いていた。あまり外に出ず、家でゲームやバスケくらいしかしてなかったので、道はうろ覚え。でも、こんな所無かった気がする。
「どっかで見覚えあるな...」
という声が後ろから。振り返ってみると、
「あ、お前か!直人。」
名前を知っているから、どこかで会ったのだろうが、誰だ?
「俺が誰だかわからねえような顔してんな、お前の隣のクラスの光川 炎だよ」
マジか、とは思う。いつからか行方不明になって噂されてたあいつか。ある程度の記憶力はあるので、学校内の生徒の性格くらいは覚えられるが、暗い感じのやつだった。変わり過ぎな気がする。だが、気にし過ぎても仕方ない。少しきいてみた。
「あの、僕の家って分かります?」
すると笑顔で、
「当たり前だろ。俺記憶力良いから、学校内の生徒の家とか家族構成とかそういうのは覚えてるよ。」
マジで言ってんのか。ってそういう場合じゃない。
「なら、ここから帰りたいんですけど、どう行けば良いですかね?寝て起きたらここにいたんですけど...」
「ここから帰るのは無理だ。ここは「幻想郷」といって、簡単に言う別世界みたいな所だ。」
最初は嘘だと思ったが、顔が真面目だったので、信じる事にした。
「ま、一旦あそこ行ってみるか」
と言ってついたのが、森の奥の神社。
「ここが博麗神社だ。おーい、霊夢ぅ〜。」
神社に向かって叫ぶと巫女であろう人物が現れた。
「あら、また誰か連れて来たの?」
「またってそんなたくさんじゃないだろ。」
「もう4人目よ。まあ良いわ、立ち話もあれだから、中に入って。」
呆れた表情の彼女に、僕達はついていった。
「自己紹介がまだだったわね。私は博麗霊夢。この神社の巫女よ。」
「こいつ美人だろ。でも性格おっかないやつだかんな。」
「余計な口叩くんじゃ無いわよ!」
仲悪いのかな、この人達。
溜息をつくと、背後から、
「おうおう、またケンカしてんな〜」
声の主は、大きな帽子をかぶった、金髪の女性だった。
その時、右手の甲に小さな痛みを感じた。そこには魔方陣のようなものが描かれていて、赤く光っていた。その瞬間、意識が薄れて、無意識に体が動いた。僕は立ち上がり、金髪の女性に向かって、
「久しぶりだな、と言っても、この姿で会うのは初めてか。こっちはお前に恨みがあって来た。ここでお前を殺して、その恨み晴らさせてもらう」
意識ははっきりとしたが、体が誰かに乗っ取られているようだ。観戦している感じだ。
「魔理沙!」
霊夢の声。この女性は魔理沙というのか。
僕は魔理沙の顔面を鷲掴みにしてそのまま上空に投げ飛ばした。天井がもともと無かったかのように、飛ばされるスピードは減らなかった。そのまま僕は飛び、魔理沙の脚を掴んで、里の方に投げ飛ばした。
「そのまま死ね!破術「混沌の罪弓」!」
いつの間にか光る弓を手に持っていて、構えていた。そこから放たれる矢は、恨みや憎しみから生まれた闇の瘴気が漂っていた。
「まあ、お前には更に苦しんで死んでもらおう。死ぬ覚悟もさせねぇぞ」
「崩壊魔術 Death・moon!」
両腕に黒い炎をまとい、そのまま魔理沙に一撃加える勢いだった。「混沌の罪弓」を受けた魔理沙は虫の息で、もはや反応すらできそうになかった。それどころじゃない、このままでは魔理沙を殺してしまう、この体で、人を殺す...
「チャージ完了、ミッション、オールパーフェクト。“天...」
この先を聞く前に、いつの間にか腹に痛みを感じ、意識が薄れていた。
目覚めた時には、博麗神社の中にいた。
「お、起きたな、霊夢達を呼んでくる。」
そう言って炎さんはどこかへ走って行った。
そして皆が集まった。真っ先に霊夢が、
「よくも魔理沙を〜!」
なぜか殴りかかって来たが、全く痛く無い。
「よくも魔理沙を〜」
ふざけて来た炎は頭を掴んで横に投げた。バランス崩して倒れるだろうと思ったが、壁突き破って吹き飛んだ。まだ力残ってんのかよ。
「で、お前誰だよ。」
眼鏡を掛けた少年に話しかけてみる。
「黙れ。魔理沙さんを傷付けたんだ。死んで償え。」
「それは俺に喧嘩売ってると捉えて良いんだよな?」
「別に良いが勝てるとでも?」
「今の俺のパワー見たのか?」
「さっきの暴走状態を蹴りで止めたのは俺だが良いのか?」
「お前だったのか...じゃない、別に良いが、俺はお前が気に食わない」
「奇遇だな、俺もだ。」
すると、
「おい止めろ、喧嘩をするな」
魔理沙の声。
「はい、すいません。」
奴は執事の様に返事をする。
「魔理沙、調子には乗り過ぎるなよ。」
「わかってるって、炎。」
なんかよくわからん会話。
「あ、言い忘れてたな、一応、魔理沙は俺の嫁だ。」
へぇ〜。
「で、こいつは「銀 俊」(しろがね しゅん)。魔理沙サポート隊の幹部的な存在だ。」
へぇ〜。
なんかイライラしてきた。まあ良いけど。すると炎が、
「そういえば、さっきの暴走状態は何だったんだ?」
という質問。といっても、全く心当たりが無い。
「多分だが、あれは昔霊夢が封印した魔物だ。」
と、魔理沙が呟く。
2章「憎悪」
魔理沙の一言で、その場の雰囲気が凍りついた。僕も数秒はぽかんとしていた。
「直人、お前は恋愛感情を抱いた事はあるか?」
魔理沙の質問に僕は
「ま、まあ、あるといえばありますけど...」
「そうか。まあ、本題はそこじゃない。私には昔、一人の恋人がいたんだ。目立たないやつだったが、優しい所に私は惹かれたんだ。そいつとは毎日一緒だった。毎日が楽しかった。だがある日、親父の病気が悪化して家に帰らなくてはならなくなった。若い医者も連れていたんだが、そのときあいつとばったり会ってしまって、浮気だと誤解されて、裏切り者だの男たらしだの散々言われて、ついカッとなって、あのときはかなり感情的で、ついマスパを撃ってしまってな....。でもあいつは生きていた。傷一つつかなかった。ホッとした。だがこっちを向いたあいつの顔は、まるで悪魔のように、白目は黒く、黒目は紅くなっていた。もうあいつは化け物になっていた。そのときの奴の雄叫びで吹き飛ばされた。空中で留まった私に見せつけるかのように、あいつは一撃で村を破壊した。そしてあいつは私の目の前にきて、
『所詮お前は人間だ。欲の為に他人を蹴落とす。お前と過ごした過去、今では思うだけで胸糞が悪くなる。』
と言って、過去にあいつにプレゼントしてもらったペンダントを握り潰された。あのままだと私は殺されるところだったが、奴が油断し過ぎた間に霊夢が奴を封印した。それで終わったと思ったが、まさか今頃蘇るとはな。ああ、私って馬鹿だよな...。」
魔理沙が落ち込んでいるのは目に映ったが、僕は魔理沙の胸ぐらを掴んで、
「ああそうさ、お前は馬鹿だ!信頼していたお前に裏切られた!そんな奴を憎まないわけがないだろ!ったく、こんな最低な奴がいるとは思わなかった!二度と顔を見せるな!反吐がでる!」
そう言うと僕は森の中に入った。行く当てもあるわけではないが、何かに導かれるような気がした。
そして着いたのは、祭壇だった。そこでまた、あのように意識が薄れたが、すぐに回復した。目の前には、魔理沙の話していた男性が
立っていた。
「やあ、すまないね、君がこの世界に入ってきた時に俺は君に乗り移ってしまった。入った時はどうしようかと思ったけど、魔理沙の顔を見るとカッとなってね...。かなりこの体も使いづらい。一度封印された体で、力も十分に出せないんだ。まあ、俺は悪人だ。誤解で大切だった人を傷つけた。俺はずっとここに封印されておくよ...」
「待ってください!」
「え?」
「あなたはそれで良いんですか?勘違いされたからといって魔理沙はあなたを殺すところだったんですよ!本当に大切だと思っているのなら、感情的になっても殺そうとはしません!所詮あいつはそんな女なんですよ!少しでも復讐がしたいなら協力します!僕の体を使って下さい。僕は心の底の方で眠っています。あなたには、不幸のまま終わって欲しく無いんです!」
そう僕が言うと、少しためらってあの人は
「...ありがとう!」
といって僕に乗り移った。
復讐心で姿を変えた僕は、もう独りだった。あいつを恨み続け、遂にチャンスが来た。直人、ありがとう。俺はもう名前も忘れた。君の名前、少しばかり借りるよ。これで俺は満足できる。
神社に戻ると、みんなが待っているように集まっていた。
「ふぅ〜」
とため息をつく。チャンスを待つ。バレないようにして、一撃で消す。元恋人だからというためらいは無い。もうあいつは、俺を殺した張本人だからだ。
いや、一撃で消すよりも、まずは絶望を与えておきたいな。というか、バレても良い。死んでも良い。あいつの絶望した顔が見たい。
「あの、すいません、炎さん、ちょっと良いですか?」
と、俺は炎を外に連れ出した。
特に何もない森の中に入った。そして俺は、
「ちょっと、失礼しますね」
と言い放ち、炎の腹に膝蹴りを入れた。かなり歩いたはずなんだが、炎は博麗神社に激突した。
魔理沙が出てきた。運がいい。俺は魔理沙に
「てめえの夫は俺が預かる。返して欲しけりゃ来な。相手してやる。って、どうせ本心ではこいつの事なんとも思っちゃいねえんだろ?最低でも俺の事はそうだったろ。本当に大切だと思ってんなら、感情的になっても殺そうとしねえよ。じゃあな、せいぜい足掻け。安心しろ、お前が来るまでこいつは俺のサンドバッグだ。俺の役に立つ。暇つぶしの「玩具」としてな。死んでも責任は取らねえぜ、ハハッ」
と言って俺は拠点に行った。奴等の様子が見られるのは運がいい。気配の応用編ってとこだ。
「せいぜい足掻け。そして苦しめ。今からお前は全てを失う。ぶっ壊してやんよ、全部。」
そう呟いて俺は笑った。多分他の人が見たら不気味な笑みだと思うだろう。
そのときの俺の心には、何か引っかかるものがあったが、そのとき俺は気づかなかった。
3章「決心」魔理沙視点
炎を連れ去られた私は、何の迷いも無く、直人の気配のする場所に向かった。そういえば、お前の名前も「神白 直人」だったな。あの件は私が悪かった。だからこそ私はあいつとの関係を取り戻す。その決心が私を前に進めるようだった。
「えっと、直人さーん、もしもーし。」
森の中から聞こえる声。声の主を探してみると、青髪の若い男性。それより、今「直人」って言ったよな。少しでも情報を聞き出そう。
だが、つい癖が出てしまって、
「おい、そこの青いお前。直人の事、知ってる限り吐いてもらうぜ。」
「うん?あーなるほど。めんどくさ。まあ、こっちから行く手間が省けたのは良いか。」
「別に素直に教えてくれりゃ私は手荒な真似はしない。だから教えてくれ。」
するとあいつは、
「なーんだ。そーゆーことか。」
あいつが面倒臭そうな表情でこちらに歩いてくる。
「僕も戦いはそんなに好きじゃ無いのよー。それで済むならそれで良いかな〜。」
そう歩いて私の隣に来たとき、あいつは私の耳元で
「な〜んちゃって」
と囁いた。同時に腹に加わる力。数泊遅れて痛みが走った。
「えっとー、こいつをここで殺せば良いんでしょ〜」
「あ、名乗り忘れてたね〜。でも死ぬから意味ないか。まあ言っておくよ。ジャック、とでも呼んでくれ。」
ジャック、厄介そうだ。その一言。
「神罰大魔法 1or1の世界(タイマンフィールド)
周囲には結界が張られた。出る事も他の人が入る事も出来そうに無い。
「僕はさ〜血を見るような戦い、大っ好きなんだよね〜。虐殺、殺戮、そういうの大好き。」
そう言うとジャックはあくびを一つして、
「神器 処刑台の剣(ギロチンソード)」
と言い放つ。するとジャックの手にはいつの間にか刃の細い剣が握られていた。
「結界張ってあるけど、声くらいなら届くから、別れの挨拶済ませとけば〜」
そう言われたが、無論死ぬ気は無い。当たり前だ。ジャックの言葉など気にせず、戦闘態勢に入った。
「良いの?殺すよ?まあ良いなら良いか。」
すると剣を振りかざして
「バイバーイ」
と一言。その隙に
「恋符 マスタースパーク!」
渾身の一撃を放った。おそらくジャックは油断していた。ただじゃ済まないだろう。
煙が薄れる。そこに映る影は、間違いなくジャックの物だった。煙が完全に消えると、
「あーもう良いや。結界邪魔だな〜。3対1で来なよ。暇。退屈。」
そこには傷一つないジャックの姿。ジャックは
「あ、間違えた、2対1だ。気分があれだから、魔理沙とか言う奴先に殺すわ。守りたければ守りなよ。できるものなら。」
そう言って刃の先端を私の顔目掛けて投げて来た。すると
「危ない!」
と、俊が駆けつけ、クロスした腕で飛んでくる刃を止めた。さすが鋼の肉体の持ち主。
「魔理沙さんには傷一つつけさせねえぞ」
俊がその言葉を発し、剣も勢いが無くなり地面に落ちるところだった。少しばかり私は安心してしまったが、地面に落ちたのは「人の両手」だった。目の前の俊がうつ伏せに倒れた。その俊には手首から先が無かった。
「まず一人。」
そこには血の付いた剣を持ったジャックがいた。
「ま、まさか、あの鋼の肉体を持つ俊を...。」
「ん?もちろん。落ちかけてた剣を持って振り上げたらあのくらいできるよ。」
まさか、あの距離からか...かなり離れていたのに、一瞬で...。まず分かる。こいつ、ヤバい!
「えっと、あれが「鋼の肉体」だあ?笑えない冗談はやめろよ。」
余裕の表情で発言するジャックに一瞬恐怖を感じた。
「えっと、こいつは「俊」って言うんだっけ?とりあえず邪魔だから片付けるね。」
そう言ってジャックは剣を俊の首に突き刺し、俊を持ち上げた。
「君の体もさよなら。」
そして俊の体をちょうど腰のあたりで斬り、剣を上に放り投げて俊の顔面を掴み、どこかに放り投げた。その勢いで回転して、下半身の部分を蹴り飛ばした。
「ゴミクズは肥料にでもなーれ」
ジャックの発言。この発言に、私はカッときた。
「俊が、ゴミクズだと...」
「ん?」
「ジャック!お前だけは許さねえ!」
「なんで許されなきゃなんないの〜?」
完全にキレた。もう恐怖なんて無い。怒りだけで動く。今まで俊には助けられてきた。今度は私が、俊のために。
「じゃあやってみるかー。親父でも瞬殺する俺を止められるかな〜」
ジャックはそう言って剣を構えた。
「神罰剣術 殺の型」
ジャックは見たことも無いような構えをした。中腰になり、腰に差すように剣を構える。私は少し警戒したが向こうからは何もして来そうに無い。私からかかることにした。いざとなれば「あれ」がある。
前傾姿勢で思い切り拳を突き出した。ジャックは余裕の表情を見せて、剣を振り上げてきた。前傾姿勢でそのままではかわせそうに無い。でも、俊から教わった「あれ」なら切り抜けられる。
「エア キック」
俊から教わった技。その名の通り、空気を蹴って移動する技だ。
避けられると思ったが、切られた。だが、かすり傷程度だった。少し後退したが、また向かって行った。すると、驚いたことに、さっきより速くなっている。ジャックも驚いていた。今度は当てられた。それどころか、ジャックは吹き飛び、骨が砕けた感覚がした。
その後知ったが、ジャックに切られた傷で軽く神経が狂い、あのようなパワーが出たらしい。
ジャックの元に行ってみたが、ジャックはもう死んでいた。しかし、俊はもう戻ってこない。
悲しんだ。しかし、進まなければいけない。そして私は、前に前にと歩み進めて行った。
ーどんなに苦しくても
失った過去を、取り戻すためにー
4章「過去」直人視点
まさかジャックが負けるとは思わなかった。予想もしなかった。驚きもしていたが、俺の心にはもう一つの感情があった。
「面白い」
もう見るだけではつまらない。もう殺しに。
ーどんなに苦しくても
あの過去を、消し去るためにー
「おはよっ」
いつもしていた声。この声を聞いて朝という実感が湧く。そして僕はいつも通り答える
「おはよう、魔理沙。」
振り向いた時に目に映る魔理沙の笑顔。僕はそれを見るだけで嬉しい。
「そういえば直人、今日の朝食は何だ?」
「米飯、味噌汁で十分かな?」
「ああ、昨日の夜は豪華で食い過ぎたからな、今日の朝食は少なめがいい。」
「了解。美味しくできるようにします」
「頼むぜ」
こんな毎日が続くと思っていた。しかし、小さな傷でその生活は崩れていった。
ハッとする。これは、昔の記憶。今更思い出す。そして俺は呟く。
「あの時は楽しかった。最高だった。だが、もう戻らない。だからこそ、この過去は消し去る。待っていろ。」
そして俺は、“敵”の元に向かった。
少し飛ぶと魔理沙の姿が見えた。しかし、そのまま会っても面白く無いので、
「鬼術「混沌の聖槍」」
手元に現れる槍。それを魔理沙目掛けて投げる。
魔理沙は当たる直前で気付いた様で、ギリギリで避けた。
「な、直人!」
気づかれた。というか、空中にポツンと一人浮いていれば気付かれるのも当たり前か。俺は魔理沙に向かって叫んだ。
「魔理沙ぁ!俺はお前と決着をつける!あの過去を、消し去るために!」
そして降りた。負ける気なんて無い。そもそも負けるとは考えてない。目指すのは「勝つ」では無い。「殺す」。
魔理沙の顔を見るが、魔理沙の顔は「泣いていた」。
「すまない、直人。あの時は、あの時はぁ...本当に...すまなかったぁ...」
涙を流し倒れこむ魔理沙。しかしもう捨てた過去。あとは消すだけで済むのに、なぜ消せなかったのだろうか...
「辛かったんだよ。きっと」
いつも耳に入る声。いつのまにか知らない空間にいた。どこまでも青が続く世界。ここは...そして、俺の前に立つ人間は...
「ここは君の心の世界。そして僕は、今の君の体の主。直人。君の名前も「神白 直人」だって、偶然かな。それより、君があの過去を消せなかった理由だけど、君の心の中を探ってわかった。君は気付いていない様だけど、あの過去を失うのが怖かった。辛かった。あの時君は、心から幸せだった。そうだっただろう?だから、ここから、魔理沙との過去を取り戻して。僕は心も、なにもかも消える。今からこの体は君のものだ。魔理沙の心は、君しか満たせない。魔理沙を守る。それが君の償いだ。だから...
いつのまにか俺は元の世界に戻っていた。俺は涙を流し、膝をついた。魔理沙が泣きながら俺に抱きついてきて、
「直人、直人ぉ...」
数泊置いて我に帰った俺は、泣きながら魔理沙に
「魔理沙、すまなかった...。俺のせいで、苦しませてしまったな...。これから君を守って、償うよ...。いつか、過去を取り戻せる日まで...。本当に、すまなかった...」
そう言って魔理沙を抱きしめた。
その後、また魔理沙と恋人として住むことになった。炎は、どうやら俺の事を気遣って、別れてくれた。あの頃を思い出し、あの生活を取り戻しつつある。そして俺はいつもの様に魔理沙の笑顔を見て、楽しんでいる。
そして今日も、魔理沙に笑顔で
「おはよう、魔理沙。」