Sword Art Online For Dark Souls   作:心折れた男

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ほわああああ評価とかが赤になってるしUAは3000こしてるしお気に入りが70とかになってるううううう(900バーン発狂)

作者です、なんだかすごいことになってきちゃったぞ。

なんか言葉も喜びで出なくて前書きすることが飛びました。

今回アホみたいに長いです、以上!

非力な私を以下略。


【悲しみ...
そして、ヒント】






種火

 

 

 

——さて。

 

美味な食事に舌鼓を打ちつつも、一人孤立した席で彼の推測は始められていた。

 

時は少女を救い出し、そしてその少女に、キリトが彼女の友を助ける為の手段を教授している時。

 

つまりは、つい先程あった茶髪のお姫様と、黒の王子様の救出劇のその後、更けてきている夜の最中、ということだ。

 

 

そして、この喫茶店は、彼女らが泊まる宿屋も同時に経営していて、その個室が並ぶ場所のすぐ下の階にある場所である。

 

かのカタリナ騎士から頂戴した至高の一杯には敵わずとも、ここの一杯は簡素な味わいで食事に疲れた舌をリフレッシュし、更なる食卓の彩りへの布石として、シンダーを楽しませてくれた。

 

 

しかし、その至福の時間を中断してまで、何を考えるというのか。

 

 

——妙だ。

 

依頼主の男から聞いた時よりも、状況は深刻であるにも関わらず、まるで彼女は勿論、彼女の友が殺される事は仕組まれていたかのようではないか。

 

 

 

つい我慢出来ず、皿にいくつか残してあったシンプルなサンドイッチを兜の下からかぶりつきつつ、少女から聞かせてもらった一連の流れというピースで、この状況を当て嵌まる。

 

 

 

——回復役を分配しなかったリーダー役の『ロザリア』という女性の行動は、明らかに『少女が死んでもいい』と割り切った為のことと見える。

 

疎み、嫉みといった事が原因か?

 

ならば、何故そんな少女を煽る手などを使って死の場へと赴かせようとしていたのか。

 

それに、真っ当な存在が、そんなことを思いつくものだろうか。

 

 

 

情報が欲しい、更なる情報が。

 

元々、不死人というのは探究心の塊のようなものだ。

 

知りたいから欲し、その為に命を棄てることなど平時である、狂気の類い。

 

 

恥など持って探求するものなど無惨に狂うか死ぬのがその世の常時。

 

思った時は即刻即断。

 

それが、シンダーが持つ、一つの考えだ。

 

 

彼の数少ないフレンドリストの記載者。

 

このタイミングでうってつけである情報屋は、『友』ではないが故にこちらから打って出る事はできない。

 

キリトは彼女と親しいらしいが、今は少女に説明中である。

 

途中に割り込むのも申し訳ないし、それになぜか彼は、あの少女に肩入れしている節が強く見えていた。

 

話を聞く限り、どうやら彼女は妹に似ているとか。

 

そんなものに乱入してやる程、『今の』彼は無粋でもなく。

 

選択肢のうちにも入らない...

 

 

 

ならばどうするのか、その答えは、別の登録者にあった。

 

彼ならば、知っているのではないか。

 

 

はじまりのボスレイドの流れを生み出した先達者であり、また、その統率者であろうとした存在。

 

今では、一攻略組のギルドで、良きギルドリーダーとしてその才能を振るっているという。

 

 

普通ならば、最早シンダーのような傭兵紛いのフリーが近付けるような立場ではないらしいのだが、メッセージでならば、なんの干渉も受けない付き合いが出来る。

 

時代は変わったな、などと思いながらも、その恩恵を十二分に使い熟す彼の『汎用性』は、やはりあの世界譲りだろうか。

 

 

『貴公、突然で悪いが、聞きたい事がある』

 

 

そんな何の変哲も無いメッセージを送ってから早数分。

 

 

『俺でよければなんでも聞いて欲しい』

 

 

好意的な返信には勿論訳がある。

 

どうも、彼の助言、そして割り込みでのパリィなどの件からか、彼の事を命の恩人だと思ってくれているようだ。

 

『恩人』、その言葉は、何度も命を助け、そして散らした者達の姿を見ているシンダーにとっては、凄まじく重圧のある言葉でもある。

 

その強さ、立場が変われど尊敬に近い感情を向けられていると言うだけでもさっせると言うものだ。

 

その好意を今度は裏切るまい、そう新たに誓いながらも、メッセージでの情報のやりとりが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魂だけは、もう誰にも穢させぬ...!ましてや、貴公のような人皮の獣にはな!』

 

 

 

 

——私には、彼の言いたい事が分からなかった。

 

虐殺、虐殺、虐殺。

 

その繰り返しで、きっと最初の火の炉の前、仲間たちと語らうまでは、かつての記憶を思い出しでもしない限り、人として大切なものが抜け落ちていたのだ。

 

 

 

 

 

『貴公!何故、魂までも求める!?獣には、肉体だけで充分だろう!?』

 

 

 

 

 

敵対する存在の魂を略奪し、自身の肉体へと転換する事など、もはや歯牙にもかけぬ程に、狂気的なものへと、そう『獣』。

 

私の場合は、肉体などでは無い、魂のみを欲する『獣』だったのだ。

 

故に、その道を阻害する彼の言葉の意味を解することなど断じてない。

 

そう、所詮は獣。

 

言葉も解せぬ狂人なのだから。

 

 

 

 

 

『彼女は...ロザリアは!もう既に苦しんだ!なのに...貴公は、貴公という【化け物】は...!』

 

 

 

 

 

だから、彼を殺した。

 

彼が蘇る気も無くなるほどに、何度も何度も切り、打ち、焼き、凍て付かせ。

 

 

 

 

 

『貴公のような...貴公のような、『化け物』なぞに...』

 

 

 

 

 

それは、この時代を訪れる前の出来事。

 

全ては『生まれ変わりの母』の為に動き、彼女のソウルを、いずれ強奪するであろうかつての私から守る為に逃げ、そして『怪物』に殺された。

 

一人の、『人間』の遺した言葉。

 

 

この時代までに、その彼女の名前に縛られる事になるとは、きっとそれは、『人でなし』に堕ちかけていた『シンダー』でなかった時の、火の無い灰への罰だったのだろうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディアベルから聞いた情報をまとめよう。

 

『ロザリアは、善良な存在を表す緑のカーソルの持ち主であるが、それはあくまで彼女を隠すフェイクである』。

 

『そして、彼女自身は普通の人々から盗人の行為を繰り返すギルドのリーダー』である、と。

 

 

合点がいった、それならば、この女性が少女への悪意ある行動を行なった行なった後に、なにかしらの罪悪感による行動を取らなかったのも頷ける。

 

 

 

『助かった、この礼はいつか返させてもらう』

 

『俺の方こそ、こんなことでよければいつでも呼んでくれ』

 

 

 

完結のメッセージを送って、冷めてしまったサンドイッチを頬張りつつ、情報を元に考えはじめるシンダー。

 

自らを知れば百戦危うからず、そしてその上で敵を知れば、更に危機に対しての準備は万全だ。

 

 

——何故、彼女はあの少女を放置したか。

 

『苛立つ』から死地に送るような煽りを選んだ、死ねばそれはそれでよし。

 

生き延びるのも、自分の範囲から消えれば何でも良い。

 

 

解せないのはここからだ。

 

 

そんなリーダー格をする者が、簡単に範囲内の人間に、依頼という名の密告など、易々と通してやるだろうか。

 

 

彼女にとって、死んでもどうでもいいような存在であるにも関わらず、何故賭けとはいえ、出が悪ければ少女の命が助かるような真似を選んだのか。

 

 

それだけが...推測などは有っても、締めくくりには至らない。

 

 

「ふむ...」

 

 

さてはて、とシンダーが思考を一旦中止、クールダウンしようとしていた最中に、それは起きた。

 

 

 

 

『誰だッ!』

 

「む」

 

 

 

二階の寝室が揃う部屋から聞こえる怒声、それは最早聴き慣れた黒の剣士のもの。

 

そして、階段からドタドタと聴こえる激しい足音。

 

 

よもや、夜も更けて、のんびり食っている彼くらいしか一階にいないような時間に、こんな駆け下りてくるなど極々珍しいもの。

 

自慢の集中力を利用し、兜の奥から覗くシンダーの眼球が、一階に降り、彼など眼中にないかのようにそのまま走り抜けていく『人物』を、たしかに捉えた。

 

 

かの『鷹の目』から学んだ弓の射手の眼光は、全身に姿を隠すフードを纏っているため、完全に暴くとまではいかないが、誘惑の色気を孕んだ赤髪の女性であることをいとも容易く看破する。

 

その人物のカーソルは、緑。

 

表情も、なかなかどうしてニヒルな笑み。

 

 

なんともその風貌、もとい第一印象のすべてが、少女やディアベルから聞いた『ロザリア』の情報と合致する。

 

 

何故ここまで来たのか、そこまではわからない。

 

だが、その笑みの理由は、シンダーの長年の経験から即座に判断されていた。

 

 

アレは、なにか悪どい事を企んでいる時の小悪党がよく浮かべるものだ。

 

しかし、その表情に油断が垣間見えるところからは、どうやらその格はパッチには数段劣るようだが。

 

 

 

あの敵を追い、そして殺害すれば、罰を与えられるのかも知れない。

 

 

 

...果たして。

 

彼女を殺してしまえば、全てが丸く収まるのだろうか。

 

自身が罰を与えようなど、それ故に命を奪おうなど、傲慢ではないのか。

 

 

 

『生まれ変わりの母』の為に全てを尽くした男、レオナール。

 

彼の最後の嘆き。

 

そして、彼の懐の中で静かに燃える、『母』のソウル。

 

結局は何にも使う気にならなかったソレは、狂気的な母性と温もりを持って、シンダーの過去の考えを、この時改めへと導こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトと少女...シリカが向かう先は、47層の花園。

 

そこの最奥に、少女の友を救う為の『慈愛』がある。

 

多種多様な花が舞い散り、目を極楽への世界に誘うその場は、正に幻想の世界。

 

森の美しさが『陰』とするならば、ここはその通りの『陽』としての美しさが視界と言う名のキャンパスを、色鮮やかに塗り切られた場所だ。

 

 

「えっと、あの...し、シンダーさん!よ、よろしくお願いします!」

 

「ああ、宜しく頼む。貴公の友の助けに間に合わなかった借り、ここで返上させてもらう覚悟だ」

 

「いえ...でも、キリトさんにシンダーさん、二人がいればきっと大丈夫です!」

 

 

少々暗くなった表情から、空元気の如く太陽のように眩しく笑うシリカの存在は、シンダーにとって、消えかけた灰に灯す小さな、しかししっかりとした種火のように輝かしかった。

 

 

 

 

 

「シンダー!そっちを頼む!」

 

 

 

ここの辺りの敵は、花に化けた、頭からかぶりついてくる気色の悪いナメクジがデカブツになったかのようなグロテスクな怪物達が主。

 

その触手を一刀両断、そのまま懐へと潜り込み刺突を与えたキリト。

 

しかし、敵は一匹だけではない。

 

二匹、三匹、四匹...数え切れぬほどの敵に囲まれているのだ。

 

 

「了解した!シリカ嬢は安全地帯に!」

 

「は、はい!」

 

 

手にした鬼切、そして姥断。

 

その真髄はただ早く切る事だけではなく、舞い踊るかのように空中を駆け、奇襲の如く敵の首を引き裂くことにある。

 

だが、この場面では、この武器から学び扱う行動はソレではない。

 

 

敵から放たれる触手の威力を殺し、それを足場に、剣から学んだ確かな空中移動を利用して怪物の頭部へと辿り着き。

 

 

「シッ!」

 

 

顔面を何十にも乱舞として切り裂き、手早く敵の命を刈り取る事。

 

敵が形を無くして砕け散る前に、そのぬめりのある嫌な『地面』を蹴って、更なる敵に縋り付き、同じように嵐の如く裂きまくる。

 

 

今のキリトが一太刀で敵を討ち取る強者ならば、彼は敵を撹乱し、確実に死角から殺しにかかる外道の暗殺者だ。

 

 

 

しかし、そんな彼でも。

 

 

「きゃあああああ!?!?見ないでくださいぃぃ!!?」

 

「ごめんっ!出来るだけ見ないようにするから!」

 

 

まさかキリトの渡した強靭な装備のせいで、逆さまに触手で釣り上げられたシリカの下着が見えてしまう状況となり。

 

 

「...見ました?」

 

「見てない...見てない」

 

 

きっと見てしまったのだろう、キリトが顔を手で隠しながらも震えた声で言っている姿、その光景は予想だにしないものだった。

 

余談だが、その事件が起こったのはシンダーが敵の頭部を切り刻みながら渡り歩いている最中であり、彼がシリカの『ソレ』を見ることはなかった...つまり。

 

 

言い方は悪いが...『役得』の恩恵を得られたのは、キリトだけだったということである。

 

 

 

 

まぁ、もっとも。

 

 

 

——この先に、きっと奴等はいるだろう。

 

私はどうすればいいのか。

 

殺すことが正しいのか、やってきた通りに。

 

それとも...

 

 

 

彼には『情事』に視点を向けられるほどの余裕が無かったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の予感は当たり前のように的中した。

シリカの友を救える雫、それを得た帰り道に、奴等は当たり前のように待ち伏せていたのだ。

 

付近の木々から、隠れていた彼女の仲間であろう男達が湧き出てくるのをみて、かつての亡者地獄を思い出しつつ辟易するシンダー。

 

シリカを庇ったキリトは語る、彼女自身が、『裏技』を通して自身のみ緑カーソルを維持している悪徳ギルドのリーダーだと言うことに。

 

そして、彼は宣言した。

 

このギルドの者達を投獄する事が、彼がかつてに受けた依頼の一つなのだ、と。

 

 

 

さて、キリト、シリカ、そしてシンダーの前に立ち塞がる数人の男と、主格の女は逃してくれる気もないようで。

 

数で押せばいい、そして緑カーソルの者が、この世界の人々に『一定環境の外』以外でダメージを与えれば即刻橙化する、それを普通ならば恐れるであろうことを見越した、たしかに『良い手』なのだろう。

 

 

「さっさとレアアイテムをよこすかそれとも死ね!」

 

 

実に分かりやすい言葉である。

 

勝ち目が見えている者の余裕、それがきっと、これを叫ぶ男の心に優位性を与えているのだろう。

 

彼等が、この美しい花園のキャンパスにこびりつく事は、最早違和感などではない、不快でしか無いのだ。

 

 

颯爽と何人かに分かれ、キリトに雪崩れ込み切り掛かる男達だったが。

 

 

切れども、切れども、黒の剣士に直撃どころか掠ることすら無い。

 

 

彼自身のHPを犠牲に強烈なDPSを叩き出すそのスタイルは曲がる事なく、その上でシンダーから学んだ『相手の攻撃を利用する』動きを完璧に学び、多人数の攻撃であろうと、いとも容易く合間を縫って躱し、弾き、同士討ちさえも思うがまま。

 

 

キリトへのダメージは0であるにも関わらず、同士討ちのみでの愚かな消耗戦は、全員平均がHP黄色の域になるまで続いた。

 

哀れな事だ、レベル差もあるだろうが、徹底的に『学ぶ』天才と、外道に落ちただけで『学ばない』人間では、格が違う。

 

 

彼等大人が、外道のみでなく、そもそもの鍛錬があればきっと他の手段を講じれただろうに。

 

子供ではなく、既にかの黒の剣士は、この世界の戦いにおいては、ほぼ全ての構えが一流であったのだ。

 

ただの略奪者では、手も出せない程に。

 

 

 

 

これでは拉致があかないと判断した短剣を持つある一人が、狙いを変え、今はシリカを守るシンダーへと刃を向ける。

 

確かに、見た目では落ちぶれた騎士程度にしか見えない姿だ。

 

汚らしい姿は、情けなく逃げ延びた弱者とすら思わせるかも知れない。

 

しかしシンダー、もとい『不死人の末路』の技量や経験が、それを否定する。

 

英断だと思えば、彼を狙った行動は『蛮勇』でしかなかったのだ。

 

 

 

 

「なぁ、シリカ嬢...こっちを見るな、キリトの方を見続けろ」

 

「絶対、絶対にだ」

 

 

 

 

その言葉を反射的に受け取り、彼女が目を逸らした瞬間、無理矢理筋肉を引き千切ったかのような、生々しい両断の音が、空間に響き渡った。

 

 

 

血は、無い。

 

だが、草むらの中へと静かに落ちていったのは、果たしてシンダーに襲いかかった男の、武器を持つ方の手首から先。

 

 

「あ...?」

 

「なっ...」

 

 

 

茫然自失となるのも仕方ないだろう、突如としてシンダーの手に『大振りの何か』が握られたと思った瞬間、自身の利き手首から先の感覚が無くなったのだから。

 

別の場所で戦っていたキリトですら、その行動に目を奪われた。

 

それは、余りにも早く、余りにも残虐な一太刀で、綺麗に両断されたのではなく、『砕き、折り、言葉の通り引き千切る』打撃に近い一撃。

 

 

どこまでも因果と言うべきか、彼の手に握られていた武器の名は、『処刑人の大剣』であった。

 

そして、今までにこの時代で誰にも見せた事がない、『闇』の側面。

 

 

 

「な...あ、あんた...そんな事すりゃ、オレンジになるのをわかって...」

 

 

 

あまりにも手慣れ過ぎた一撃に言い淀み、心から恐れた。

 

そんな彼女を、この時だけは誰も否定しないだろう。

 

 

「だからどうした?」

 

「略奪に来ているのだ、まさか『死ぬ覚悟』も無いとは言うまい?」

 

 

あまりにも当たり前のように、サラリと言ってのけるシンダーの目は、『灰』の時よりも更に冷たい。

 

それで射抜かれれば、一瞬にも心の臓を凍てつかれそうな程に。

 

 

 

「...!」

 

 

 

——歯向かえば、そこできっと『殺される』。

 

そう思わせるだけの強烈な威圧感があった。

 

その上で、彼女のことを『敵』でもない、ただの『被処刑者』としか見ていない恐ろしさ。

 

それは、射られている彼女にしか理解できず、また、理解する事すら悍ましいモノ。

 

 

心の剣が折れる音が、彼女の内側で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諸悪の女性を殺さなかったことが、果たして正しかったのだろうか。

 

牢獄に送られていく彼女らを見ながらも、かつてのことを自答する。

 

答えがわからない、聞く事すらもできない、幼子のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てが終わった後の花園で、右から順にシリカ、キリト、シンダー。

 

その三人が座り込み、一段落したのちの話し合いをしている。

 

美しい世界で、やはりシンダーの姿は明らかなる異端であった。

 

 

 

「なぁ、シンダー」

 

「なんだ?」

 

 

 

転移結晶で送ったのがシンダーであった為に、まだ緑のカーソルのままであるキリトが、少し言いづらそうな顔でこぼしていく。

 

 

 

「転移結晶で送る事をアンタが請け負った事も、そして、敵対したあの男の腕を切ったのも、全て早く終わらせるだったんじゃないか?ロザリアを『恐れさせる為』に...」

 

 

 

対するシンダーは、無言。

 

 

 

「そして、シリカにその光景を見せようとしなかったのも、彼女の為を思ってのこと...俺がオレンジになる事も庇ったんじゃないかって、少し思ったんだ」

 

「さてな」

 

 

 

答える気はないようで、そっぽを向いた先にはたまたまシリカ。

 

気まずそうな笑みを作る彼女であったが、それでも健気に、少々暗めのシンダーへと笑いかけた。

 

だが、その笑顔は無理矢理作ったものではなく、想像した何かが面白くてつい笑ってしまっているような。

 

そんな雰囲気のもの。

 

 

「えっと、シンダーさん」

 

「...どうした、シリカ嬢」

 

「あの...ですね」

 

 

 

 

「私達の為に頑張ってくれて、キリトさんがオレンジプレイヤーになることを庇ってくれてありがとうございます...なんだけど...なんだか、ちょっとシンダーさんが、お父さんみたいに思えちゃって...それも、ちょっと頑固そうな」

 

 

 

 

重苦しい雰囲気が、吹き飛んだ。

 

 

 

「...シリカ嬢?」

 

「えっ、いやその悪く思ったなら謝ります!ごめんなさい!」

 

「いや、そうではなくてだな...」

 

 

 

キョトンとしたのちに、なんとも言えない面持ちを仮面の下に浮かべつつ抗議にならない抗議を行おうとするシンダーだったが、ふとキリトの方を見ていれば、思い切り吹き出しているではないか。

 

 

 

「うっ...くっ...シンダーが父さんって...」

 

「キリト...何を笑っているのだ」

 

「だってさ...っははは...駄目だ、我慢できないって...」

 

 

 

なんだか無性に苛立たしい、それは先程の戦いに感じた負の感情ではなく、どこかこそばゆいような。

 

一仕事終えたのに、何か微妙な気分で終える1日。

 

 

 

彼の内で、『過去の記憶』、その痛みは和らげられたとは言え、忘れることは断じてない。

 

きっとそれを受け入れ、共に歩める日まで、ずっと彼は苦しむに違いない。

 

 

だが、今の少々の談話の幸せに甘んじるくらい、構わないではないか。

 

どこか、花畑の中で不貞腐れるシンダーの姿は、先程までは全く馴染んでいなかったのにも関わらず、美しい花びら達が受け入れ、三人共に一つの絵として彩られた光景となっていた。

 

 

享受できた人としての喜びを感じつつ。

 

かつて自身が『生まれ変わりの母』、そして理解者達に行った行為を今なお振り返る事になりながら。

 

この時代で、きっと無垢であった『灰』は変わるのだろう。

 

 

 

その火の無い燭台に、真なる『暗い魂』が灯らぬことを願うばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 








なんとなく、不死が『死ねる』ことは、ゲールマンおじいちゃんのように救いなのかどうか、ってことがよくわからなくなったりします。

その過程がどうあろうと、永久に縛られる地獄から抜けられるならば、本当に幸せなのでしょうか...それは、史実で、『死』というものから、デスゲームを脱したサチも。

昨日ゲールマンおじいちゃんとやりあったのですが、そのBGMの悲しいこと、そして覚醒からの歌詞は、おじいちゃんの独白を綴るモノ、聴いておじいちゃんを殺すまでの瞬間、その歌詞を知った時、涙が止まりませんでした...これが、あの人への最大の恩返しだったのでしょうか....



さて、サチといえばあれです、人形ちゃんと同じくマリア様とも同じCVでしたね。


27階層で宝箱を開ける前に突然サチが不死人や狩人、悪魔狩り特有の異次元の懐から出した落葉をガチャンしながら


「アイテム禁止エリア漁りとは感心しないな」

「だが、分かるよ。宝箱の中身の秘密(罠や貪欲者的な意味で)は、甘いものだ」

「だからこそ、恐ろしい仕掛けや罠が必要なのさ」

「愚かな好奇を、忘れるようなね」


なんて言い出して皆を(命ごと)止めにかかる...無いな、没。

訳がわからん。


【この先、嘘つきがあるぞ】
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