Sword Art Online For Dark Souls   作:心折れた男

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評価とかお気に入りとか、感想とかUAとか、やっぱり万人ウケしないと思う私の文章で、実は昨日書くのをやめかけた考えもありました。

だが奴は弾けた。

どんな悪評を叩きつけられようと、少しでも楽しんでくれる人がいる限り、私は好き勝手に弾けちまおうと!

低評価は『アナトリアの傭兵のはじめあたりの評価』のツンデレだとおもいました!(啓蒙99)

まぁ、ここが読みにくいなどなどは最高にありがたい鞭なのですが、合わないから低評価的なのは半ば意識の隅に追いやるかもしれません。

全員が喜ぶような巧い人では作者はありません、ということを承知してくださいな。


【希望万歳!】





『人』

 

 

 

いつの夜も明けるが理。

 

時は巡る、それは人の想いも同じ。

 

闇に溶ければ日に当てられることもあり、その周期はランダムであっても、絶対に明けぬ夜はない。

 

 

だが、あれほど立ち込めていた濃霧が完全に『霧散』し、照らされた19層の世界は、あまりにも、あまりにもドス黒かった。

 

続けば明けぬ夜はない、しかし夜のまま切り捨ててしまえば二度と先は来ないのだ。

 

 

辿り着いた『真実』、その一件が終わった後のキリトの心中は、あまりにもドス黒い血の絵の具で塗りつぶされているかのように黒ずんでいた。

 

たかがアイテムごときで、たかが奥さんの本来の気質が見えてきただけで殺した。

 

そう、『たかが』。

 

 

きっと、彼の過去に『不本意な殺害』というあるべきのない闇が刻まれていなければ、それを告げた、『今回の事件の黒幕』に哀れみの視線を送りでもしたのだろう。

 

だが、『この』彼はそれが許せなかった。

 

 

「なんで...たかがアイテム如きで、少し奥さんの性格が見えてきたくらいで大切な人を殺したんだ!?」

 

 

人の命の尊さを、『史実』よりも強く、そして重く捉えている彼の否定の叫びは、あまりに悲痛なもので。

 

レアアイテムをこよなく愛し、ゲームを最高までに楽しみ尽くす才能のある『キリト』ではなく、一人の人間である『桐ヶ谷和人』として、彼は心より憤怒したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...すまなかった、キリト...私がもっと早くに来ていれば」

 

「...シンダーのせいじゃ、ない」

 

 

晴れた空、輝く太陽の光はこの時ばかりは、汚らしい『真実』を強引に明かす愚者のスポットでしかない。

 

全ての者において、『真実』は幸せなものではなく、人によれば、知る必要も知られる必要もないものだってあるのだから。

 

 

 

その例が、端正な顔付きを歪め、苦渋に満ちた思いで言葉を吐き出すキリトだった。

 

 

そして、更にまた一人、生きる人間を殺したシンダーもそう。

 

最後の声が、感触が、表情が。

 

彼の良心をドス黒く侵していく。

 

 

重く、あまりにも凍り付いた空気。

 

 

 

 

「ねぇ、キリトくん」

 

 

 

 

優しく微笑んだアスナが、その『暗雲』に孔を穿った。

 

 

 

「ごはん、食べない?良ければシンダーさんも」

 

 

 

片腕に釣れる程度の大きさのバスケットを持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは...」

 

「む、むぅ...?」

 

「ど、どう...?美味しい...?」

 

 

 

あまり背景は良くないものの、取り敢えずアスナの提供してくれたブルーシートの上に三人共に腰を下ろし、彼女がバスケットから出したそれはサンドイッチ。

 

一口で半分くらい齧れる程の一般的なものであり、少々重苦しい空気の中、さぁどんなものかと二人で頬張ってみた(シンダーは冑と首の間の隙間を広げ、器用に食んだ...こんな微妙な技量の使い方は技能全振りの人からは誠に遺憾であろう)のだ。

 

無風の空間、優しげな栗色の髪を揺らし、不安げに首を傾げて両者を交互に見つめるアスナ。

 

 

だが。

 

 

 

 

 

 

「...う、旨い...そこらの喫茶店やレストランなんてもんじゃないぞ...」

 

 

「こ...れは...あまりに、あまりに美味だ...これほどの食べ物があったのか...」

 

 

 

 

 

 

キリトはその美味に舌を巻くどころか目を大きく見開き。

 

シンダーはといえば、冑の中では、太陽虫に洗脳されてしまった友を見てしまった時並みの、まるで全身にモーンの怒りを叩きつけられたかのような衝撃を受けていた。

 

 

——こんなものがあるならば、不死人の不幸は疎まれるだけではない。

 

これでは、不死人があまりにも憐れではないか...!

 

 

 

自身の友や、他の不死人への憐れみに思わず一筋の男泣きをする程に。

 

彼女の想いは杞憂を通り過ごし、必然の成功の前の憂いのレベル。

 

 

 

「そ、そんなに美味しかった...?」

 

 

 

照れ臭そうに横髪を指でクルクルと巻きほどき、ほんのりと頰を赤らめた『シェフ』はなんとも愛くるしい。

 

しかしそれに目がいかない『獣』二人は、やはりなんともいうべきか、どこか鈍感なのだろう。

 

 

 

「美味しいなんてもんじゃない!店で売られてもおかしくない、むしろ店売りなんかよりよっぽど旨い!!」

 

「アスナ嬢!私は長く生きて来たがここまで食事が素晴らしいことだとは思わなんだ!貴公と早く出会っていれば食の観点が逆転したと言ってもおかしくはないぞ!」

 

 

 

あの重苦しい空気はどこへ行ったのか、アスナに許可を取ったのちに、どこかの狩人様が見れば、狩るべきか狩るべきでないか困惑する程に本能に素直となって、バスケットにあるサンドイッチを食らう彼等二人は、無垢な少年のようで。

 

 

 

「...フフッ、キリトくんもシンダーさんも、子供みたい」

 

 

 

作ったものを美味しく食べてもらえる料理人としての嬉しさもあってか、心より少女らしい笑顔を、太陽の光を浴びつつ浮かべながら呟く姿は、どこか母親のようですらあり。

 

また、一少女として、どこまでも可憐な姿でもあった。

 

 

 

 

「...むぐ?」

 

「...ほむ?」

 

 

 

 

...食事とは、これほどまでに盲目のベールを纏わせるものだったか...?

 

しかし幸せそうに貪る姿、貴公らは獣ではない、あれは...やはり人だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリトくん、その...ね、良ければ教えてくれないかな?」

 

「...わかった、シンダーにも聞いて欲しいんだけど、構わないか?」

 

 

お腹が膨れて落ち着き、至福の時間を過ごした後。

 

冷静さも戻った少年は語りだす。

 

 

霧は晴れ、明けた夜の太陽の光を持って、『真実』は明かされる。

 

 

それは、苦く辛い、そして、キリトのような少年が背負うべきではない重荷の告白であった。

 

 

 

 

 

 

——俺がまだ、このデスゲームの宣告をされてから数日経つか経たないかって時。

 

仲間もいなかったし、知り合いも一人しかいなくて同行も断られて、たしかに一人では戦えたし、βテストの経験もあったから進み方も、効率的にレベルを上げる方法も、安定して野宿する場所もわかってたけど...それでも、やっぱり不安だった。

 

それで、俺が少しずつレベルを上げていて、また一日夜を迎えようなんて思ってた日に、『アイツ』がやってきた。

 

 

 

名前も知らない、フードや手袋とかで肌の色や顔すら分からなかった奴だった。

 

そんな奴が夜に、急に声をかけてきて...それから先、振り向いたら、そいつが剣で殺しにきて。

 

 

咄嗟に俺は、相手の武器を持つ方の手を背の剣で切りつけて、武器を弾いた...あまりにも急な事で、何が何だかわからなかったけれど、殺す気なんてなかったし、やりたくなかったからそうした。

 

 

けれど...あいつは、懐から短剣を今度は取り出して...ずっと、ずっと追ってきた...何をしようと此方を殺す気、顔は分からなかったけどなんとなくそう思った。

 

 

今の俺ならば絶対に冷静でいただろうし、足を切るなりして逃げ果せるくらいなら当たり前のようにできたと思う。

 

けど...あの時は、単純に怖かった。

 

死ぬ事も怖かったし、この先どうなるのかわからないって不安で一杯で。

 

 

そこで自分のうちで何かが切れて...気付いたら、相手の心臓を剣で刺していたんだ。

 

 

終わった後も、何が何だか分からなくなって、レベルを上げることができる気分でもなくて、しばらくはずっと焚火の前で食事以外は居ていた...そこに、シンダーがやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

「あとはシンダーが知ってる通りで...数日の中でようやくまともな人に出会えて、ホッとしたんだ」

 

 

ちらりとシンダーの方を見つめ、幸薄い笑みを浮かべるキリト。

 

 

「...俺の話はこれで終わりだ、聞いてくれてありがとうな、アスナも、シンダーも」

 

「...ごめんね、無理矢理言わせるようなことをして」

 

「いや、いつか言う時が来たかもしれないし、大丈夫だよ」

 

 

申し訳なさそうに顔を伏せるアスナをキリトは優しく諭す。

 

そんな中、シンダーの心の中は、あまりにも渋いものだった。

 

 

——一人きりとはいえ、わざわざそこまでキリトを殺すメリットがあったのだろうか。

 

キリトが嘘をつくはずもない、どうも『キナ臭い』。

 

まるで、誰かがその苦しみを『背負わせようと』、もしくはそれを『見たくて』?

 

...所詮は推測の域を出ることはない、か。

 

しかし、『人を殺した』感触は忘れられるものでもない...

 

 

 

 

 

思考を打ち切り、シンダーは憂いの面持ちを見せるキリトの目を見据える。

 

それは、彼の経験談からの一言。

 

 

 

そして、彼が唯一現在、キリトにかけられる心よりの言葉だった。

 

 

 

「キリト、貴公は強く、そして善人だ」

 

「な、なんだ急に...?」

 

 

 

鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべるキリト。

 

 

 

「だからこそ、人を殺したことは貴公にとって重いものだろう」

 

 

「...故にな、キリト、貴公に頼みたいことがある」

 

 

 

言葉を頭で紡ぎ、精一杯に考えて、不死人として、あまりにも人の『魂』を喰らった彼が言うのはあまりにも『哀れ』なのかもしれない言葉。

 

だが、今の彼は『不死人』ではなく、キリトの友人の一人である『シンダー』として、対等な立場として願いを届ける。

 

 

 

 

「貴公が殺めてしまった命、その分だけ大切に生きてくれ」

 

 

 

「貴公を襲った者が殺した命の分もまた然り」

 

 

 

 

 

「貴公は...これまで通り、『キリト』として生きて欲しい」

 

 

 

 

「決して自身の命を軽んずることがないように、な」

 

 

 

 

 

それは、果たして彼が、不死人になる前、喪ってしまった願いで。

 

結局今の自身に刻まれていたことは、そんなものがあった、という証拠のみで、どんなものかも覚えていない。

 

そんな成し得なかった願い、そして信念を。

 

きっと彼なら、善人に位置し、最高の強さを兼ね備えた彼しか成し得ることができないであろう難問を。

 

 

 

「...」

 

 

 

突然の言葉に瞬く間、惚けていたキリトだったが、彼は聡い。

 

疑問もなく、彼の表情に強い意志が芽生えた。

 

 

 

「...ああ、約束する」

 

 

 

きっと、彼ならば、キリトならば。

 

一つの不死人へと変わり果てた『落魄れ』の願いを叶えてくれるに違いない。

 

 

 

「...私も手伝うよ、キリトくん」

 

「...ありがとう、アスナ」

 

 

 

彼には、強さも、彼を受け入れてくれる仲間もいるのだから。

 

 

 

 

名もなき『不死人』ではなく、本当の意味で、『シンダー』という一人の人間の産声が、誰にも聞こえることなく晴れ晴れとした、光り輝く早朝の世界へと響き渡って行く。

 

 

キリトの友人として、キリトへ『不死人』だった頃の願いを託して、ようやく『不死人だった頃の彼』は、死ぬことが出来たのだ。

 

 

『かつての自分の意思』を持つ、『青の騎士』シンダーとして。

 

これから先、逃げてきた過去を、忌むべき自身の行動を、不死の印を、少しずつ受け入れていくに違いない。

 

 

 

 

キリトとアスナが暖かい笑顔を交わし、それをどことなく居辛い空気を察して退散していくシンダー。

 

 

二人の青春、一人の新たな新生を祝う、かの男が求めた強く煌めく太陽は、祝福を願うかのごとく微笑んでいた。

 

 

 

 

それが仮想のものだとしても、きっと彼等には『本物』の光なのだ。

 

 

 

 







ユウキのスカートめくりry

失礼しました。

アスナさんは美人かわいいです。


【この先、うっかりに注意しろ】
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