Sword Art Online For Dark Souls   作:心折れた男

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( T)<貴公...

ブラボの方でヤーナムの影にてんやわんやした作者です。
三人がかりとは姑息な手を...(銃パリィからの内臓攻撃を主軸にし、一番後々に殴りやすい呪術師を瀕死にして一体にしながら)

ちょっとこれまた理由があって、この2000人が亡くなった一ヶ月間、『あの人』は何度か、人の死を目の当たりにしていることにしています。

原作本見たことないんで、ここもまた、ボス戦で『ラストボーナスを知ってた人』が逝った時が初めての死だったのかわからず、独自解釈しかないんですよね。
悲しい。

ダクソとかの食い違いもあり得るし、オリジナル設定とかも追加するべきでしょうか。

長期連載は初めてなので、色々首を傾げます。

それでは。

【亡霊...】





残骸

 

 

 

遠い過去に、人は炎を見出した。

 

それは、自らの身を燃やし尽くす狂気だと分かっていても、本能では炎を求めずにはいられない。

 

ああ、今思えば、仄かな一時の灯りにすら、不死人達は、その温もりや眩しさ、薪の弾ける音に、確かな救いを見出していたのかもしれないが。

 

 

だが、現在この暗闇の中、焚き火を前にして虚空を見つめているのは不死人ではない。

 

至って正常な、青い服に軽装の胸当て、茶の長ズボンを着た黒髪の青年だ。

 

死地に送られる歳には思えない見た目だ、しかし現にここは『死地』である。

 

その背には柄に納められた一振りの長剣。

 

 

それだけでも、戦いを強いられていることは目に見えてわかった。

 

 

この世界における大事件が幕を開けてから、もう一ヶ月に近寄ろうとしているのにも関わらず、実際には進展など一つも無い。

 

そこにあるのは遊戯で得られる満足感など微塵たりとも存在せず...

 

 

死、死、死、死、死。

 

 

いち少年に背負わせられる荷の重さではない。

 

実際に人が死ぬ、その瞬間の悲鳴や形相、感情。

 

そんなものを何度か直で見てしまえば、それこそこのくらいの歳の少年ならば、『壊れて』しまう。

 

 

少年は、この『ゲーム』という部類の遊戯を楽しむ天性の才能に恵まれていたものの、狂気に塗れ切った現状を楽しめるはずも無い。

 

 

壊れはしなかったものの、疲れ切った表情で。

 

獣避けの火、そこに潜む虚空を見つめ続ける。

 

 

今日も、何人もの死者を出すだけの、無意味な日々なのだろうとすら思える静かな世界。

 

その存続は。

 

 

「貴公...」

 

 

一人の呼び声で終わりを告げる。

 

 

 

 

 

炎の光で浮かび上がるその姿は、茶の布切れに身を包む錆びた甲冑の男。

 

その手にあるものは松明、そして小さな短剣である。

 

 

「...なにか用か?」

 

 

多少なりとも、この事件により精神に荒みがあるのだろう少年のぶっきらぼうな返し。

 

警戒の色も見えるが、男が感じた違和感は、それでは無い。

 

 

——見た目からすれば怪しさの塊でしか無いものだが、この見た目が『警戒とやや手痛い挨拶』で済むだろうか。

 

教会の内にこの装備で入れば、明らかに見た目では浮き。

 

沼地ならばと思えば、今度はただの亡者か何かだと無視される。

 

それとも、これくらいの見た目ならば通用する時代、ということかもしれない。

 

 

一つのヒントを今の取引で得つつも、このまま警戒されっぱなしではなんのメリットもないだろう。

 

そう思った彼が、自分の主張を言葉にするスピードは冷静沈着な程に早かった。

 

 

「貴公が良ければ...私も、火に当たらせてもらえないだろうか」

 

 

言葉だけでは無く、かの黄色指から学んだ一礼も織り交ぜる。

 

信用を得るためならば、頭を下げることなど彼にとっては紙よりも軽いプライドの損失で済むのだ、躊躇う価値のある選択ですらない。

 

 

「構わない」

 

 

その甲斐あってか、睨みに近い視線を向けていた少年の表情は和らぎ、警戒の意思が薄れていく。

 

 

「助かる」

 

 

礼を述べると、鎧に身を預けていた肉体をようやく腰に下ろしてやる。

 

数時間歩き続けるのも慣れ親しんでいるとはいえ、やはり不死にもスタミナは付き物だ。

 

特大の剣を振り回し、鎧を引き摺りコロコロと前転すれば、歩くくらいしか出来ないほどに疲れもする。

 

所詮、不死人も武器の力を借りねば人の外を越えない弱者。

 

時折休息してやらねば、疲労骨折で死亡(YOU DIED)なんて事になれば笑い話にもならない。

 

 

望んでいた炎の癒し、それと共に休息を取りながら、一つ、また男は少年の頭あたりを見ながら気付いたことがあった。

 

 

——彼の頭部に、緑の、やや下に長い縦菱型の四角に、また見知らぬ文字。

 

 

またもや謎の物体を発見した男の脳裏に、先程困惑させられた疑問が持ち上がる。

 

 

——もしや、この少年に、この時代のことを聞けるのではないか。

 

言葉は通じるようだ、読むことが出来ないが言葉自体は同じだという理解し難いこともあるが、問うてみて損は無い筈だ。

 

恐らく、この少年は『良い』人間。

 

そんな気がする。

 

 

半ば断じれたのは、きっと彼が辿ってきた道のりの賜物だろう。

 

それに、一刻もはやくこの時代の事を知らねば、後々にも差し支える。

 

急を要しても、少年に問うことは、メリットの方が比較的大きかった。

 

 

「貴公...火を貸してもらって、なお願いを乞うのは烏滸がましいだろうが...聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

 

一人だけの状況よりも、やはり二人居た方が精神的にも楽なのだろうか。

 

返す少年の表情は、どこか微笑みが混じっていた。

 

きっと、時期が来れば、乱入してきた人間には常に警戒を施す程に少年には才能があるのだが、まだ巻き込まれて一月前だ。

 

まだ少年自身の心は、少年の域を脱してはいない。

 

 

そう、まだ。

 

 

 

「いや、この世界は一体なんなのだろう...と疑問でね」

 

「もしや、貴公なら知っているのではないか、そう思ったのだ」

 

 

 

...自分のように堕ちないことを切に願いながらも、彼の単刀直入な致命の言葉は、地獄を生き抜いたからか包むものがなかった。

 

しかしながら、返ってきた言葉もまた。

 

 

「この世界...『ソードアート・オンライン』のことか?」

 

「ソード、アート?」

 

 

包むものがない、まさに致命返しなものだったとさ。

 

 

 

 

 

 

そこから少年から『ゲーム』の説明を受ける男。

 

事細かに、かつ手早く伝えられる過剰情報の数々に、まるで亡者の群れに呑まれるかのように混乱する。

 

 

「...ゲームを知らないのか?」

 

「あ、ああ...訳も分からないまま、気付けばこの世界に飛ばされてしまっていてな...」

 

 

訝しげに首をかしげる少年。

 

——『ナーヴなんとやら』がなければこの世界へ入れない、とは赤い目のオーブのようなものだろうか。

 

 

規格外にも程がある情報の嵐であり、いくら知識を呑める力(理力)がそこそこあれど、元の物が無ければ理解なんて出来るはずもない。

 

仕方無く、元々ある知識に当てはまりそうなものを選び、代用する事により、世界の解明を急いでいく。

 

そんな中、また一つ、現在の彼の身について、ヒントになる事が分かった。

 

 

少年から教わった通りに指をスライドすると、謎の丸が出て来て、鎧の中で怪訝な表情を作る男。

 

だが。

 

少年に見てもらいつつ、言う通りに指を使っていくと。

 

 

「...アイテムストレージとスキルが存在しない?どう言う事だ...?ステータスは万能型のレベル1と記載されているのに...?バグ...?いや、これは」

 

 

普通ならばあるはずのものが、男にはないらしい。

 

表情を混乱に包んだ少年の呟きの意味を解することは出来ないが、なんとなく大切なものが欠けている、ということだけが理解できた。

 

——今更、まともな人と比べて欠けていることなど数えきれるか。

 

そんな風に毒を自らに向かって吐き出す。

 

 

「....ん?」

 

 

その時、男の腕を少年が取り、操作することで言葉を解読してもらっていた少年の動きが止まる。

 

何事だろうかと男が問う前に、少年の方が疑問を口に出す方が早かった。

 

 

 

「なぁ...あんた、ロードランって知ってるか?」

 

 

 

兜に隠された、男の表情が、凍り付いた。

 

『何故その事を知っている』

 

そう反射的に問いかけそうになった。

 

あの忌まわしき始まり。

 

古き神が統治していた土地、それがロードランという場所だ。

 

 

ここにはその面影も無いというのに、何故『言葉を』知っているのか。

 

これまた切り込むことは容易いが、今度はしっかりと包みながら問う事にする。

 

さながら、盾を構えて隙を狙う戦法のように。

 

 

「聞いた事がある程度だが...どうして?」

 

「いや...言語の翻訳に、ロードラン語っていうのがあったんだ...俺の方には、そんな言語はなかったはずだが」

 

 

翻訳も出来るとは、便利な時代だ。

 

そんな事を呑気に思いながらも、彼の脳裏には、一つの閃きがあった。

 

 

「もしや、この左上の棒などに書いてある文字のようなものを変換できるのか?」

 

「左上の...HPバーのことか」

 

 

「勿論出来るが...ああ、そういうことか、わかったぜ」

 

 

男の考えを理解してくれたのだろう、軽く笑みを浮かべた聡い少年の手が、男の指をテキパキと操作する。

 

すると、どうだろう。

 

 

みるみるうちに見えていた透明の板や、謎の棒に刻まれた字が読めるようになっていくではないか!

 

 

「...読める、な」

 

 

左上の未知の文字は、いつの間にか、一つの名のようなものとして現れた。

 

しかし、その一言は彼をあまりにも上手く言い表している。

 

男の内心では自嘲の笑みで大爆笑でも起こしそうな程に。

 

言葉が淀む理由も、理解できて然るべきだろう...

 

 

——燃え殻。

 

これほどにも、自分の正体を的確についた言葉はあるか。

 

 

軽く心に黒いシミが湧き出るが、それに縛られていては何も始まらない。

 

永久の眠りは求めても、心を喪った亡者として生きる気は、更々無いのだから。

 

すぐに我に帰った男は、すぐ様読める言葉を流しながら眺めていき、少年の頭部にあった文字も、『キリト』と解読する。

 

 

「そうか...貴公は、キリト殿、というのか」

 

 

この世界のことを教えてくれた恩人に、目線を合わせて静かに語りかける。

 

 

「ああ」

 

 

肯定の意を示すように頷きながらも、少年——キリトからも、男の『名』が返った。

 

 

「アンタは...『cinder』...シンダーで、いいんだよな?」

 

 

男の目から見れば、『燃え殻』と表記されているのだが、キリトの翻訳では、また別の読みらしい。

 

だが、結局は同じ意味でしかない筈である。

 

ならば、否定する意味も無く。

 

 

「問題無い」

 

 

男は、『燃え殻』の名を得て、新たな生に『縛られる』事になったのだ。

 

 

 

 

 

 

夜も更け、普通の人間ならば、眠る時間となった。

 

無論警戒のために番をする存在は必須であり、その立場をキリトは自ら買って出ようとする。

 

やはり、彼は善良に値する人間だ。

 

目に狂いはなかった、と心の奥底で呟きながらも、『自分がその番をやりたい、火に当たって考えたい事がある』。

 

そういった誠の言葉を伝えると、シンダーの意思をすぐに汲み取ってくれたキリトは、無理しないように、と念押ししてから就寝。

 

 

...今意識を持って火の前にいるのは、シンダーだけなのだ。

 

番をする彼の近くには、元々中身がすっからかんだったエスト瓶、灰の瓶。

 

その両手に、『継がれ続けた焔』を宿した、螺旋を描く大剣。

 

 

優しく、かつ力強く燃え盛る焚火を目の前にして、シンダーの目は、どこか懐かしい情景を浮かべていた。

 

 

——火継ぎを否定した私が、この剣を用いる事になるとは、なんという皮肉だろう。

 

 

言葉が、想いが、意思が。

 

火の無い灰として縛られていたときの彼の心を思い出させる。

 

 

だが、ここで朽ちてしまえば、彼等の想いを無駄にすることに等しい。

 

最後まで、自らが狂い果て、亡者として呑まれてしまうまで、延々と、この運命に足掻き続けよう。

 

 

それが、『シンダー』に出来る、今現在の、最初から最後まで持ってきた、大切な使命だった。

 

 

意思を決した彼の全身からは、やがて燃ゆる炎が噴出する。

 

それは静かに。

 

しかし、絶対なる熱さを持ち。

 

 

彼が一つの『薪の王』としての証だった。

 

 

その灼熱を持って、彼は、『王たち』が持つべき剣で、焚き火を貫く。

 

 

 

今ここに、はじまりの草原で、『はじまりの篝火』は産み出される。

 

産声の如く、先程までの炎とは違う、ぬくもりの火が轟と叫ぶ。

 

そのまま突き刺された剣から手を離すと、彼の身体から燃え上がる却火もなりを潜め、また、暗闇に静寂が満ちていく。

 

 

その火をエスト瓶に詰めた後、火継ぎの剣を引き抜き、元の『あるべき』姿への焚き火に戻すと、また周囲を警戒し、番を再開するシンダー。

 

 

 

この時代に篝火を、無闇に生み出すべきではない。

 

そして、この火継ぎの剣は、『王たち』を否定し、自らの手で殺害した自分の手で持つべきだろう、と。

 

 

懐かしさや、その火を求める不死人の本能もあるが。

 

あの時代達の産物で、幸せな世界を汚染させる訳にはいかない。

 

 

不死人たる存在の彼が、誰かを友人とし、裏切られてもなお信じ続ける優しさの現れが、そこにはあった。

 

 

 

 

誰も知らない『黒』と『暗き魂』の邂逅を終えて、夜の闇は満足したのか、ここからは何も起こることなく、炎の揺らぎと共に時は過ぎ去っていく——

 

 

 

 








主人公の名が決定しました。ダクソ1のラスボスは。
『Lord of cinder』。
直訳すれば燃え殻の王。
そんな印象もあり、そして、ダクソ1の火継ぎから、3の火継ぎの終わり。
そこまでの長い、とても長い呪いを経て、『灰』、すなわち『燃え殻』となる。
変に凝った名前よりも、それがここの『彼』らしいと思ったからです。

シンダーという読みがダサい?でもこれしか思いつかなくて...

あ、ダクソ1主人公=ダクソ3主人公なんて説は、私なりのフロム脳によるでっち上げの塊なのでご注意を。

あとあと、文章の描写は、こってりしすぎないように、出来ればあっさりめに行こうと思ってたり。

そんなこんなで。

【隠密の予感...】
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