以前は「アルカディア」という小説投稿サイトさんのほうでも小説を投稿させていただいていましたが、PCのほうがウィルスにやられて長らく執筆及び投稿が出来ない状態にうありました。
今回は新しくPCを買い直しましたので心機一転、新作を投稿させていただきました。
以下、注意点がいくつか御座いますのでご注意ください。
・本作品は二次創作小説です、今後原作の進行いかんによっては原作とキャラクターの齟齬が生じる可能性が御座います、ご注意ください。
・当然ながら原作が原作、ということもありますので歴史改変や史実の人物の性転換など御座いますのでご注意ください。
・タイトル通り、真田家三代の武将が親子ではなく兄妹となっております。
・原作には登場していないオリジナルの武将やオリジナルの展開がございます。
・また、本小説は「アルカディア」様のチラシの裏でも投稿させていただいております。
以上の事が承認できるかたは是非暇つぶしにでもご覧ください、また承認できないという方は大変不愉快な気分になる可能性がありますので、ブラウザバックをオススメいたします。
随分と深く眠っていたと思う。
自分の意識が目覚めていくことに気づくと、そこから少しづつ薄らボンヤリとしたグレー色の意識が鮮明なものへと塗り替えられていく。
------確か道場で日課の稽古を済ませてその日はそのままベットに飛び込んだっけ。
意識がハッキリとしたものになっていくのにつれて、自分の部屋に戻って布団に飛び込み、そこから意識を失うまでの記憶を思い出した。
だが、意識がハッキリとしていくにつれて妙な違和感を感じ始める。
本来ならすっかりかぎ慣れた自分の敷布団の臭いと、昔は抵抗があったが今ではすっかりと馴れてしまった布団の柔らかみに、その一枚向こうに隔てた畳のしっかりとした感触がない。
変わりに感じるのは---、土の臭いと泥の感触、勢いの強いシャワーのように体を打つ水の感触。
------遠くで誰かが自分を呼んでいる気がする。
それに気づいて意識を一瞬でも傾けた瞬間、まるでワイヤーで一気に引っ張られたかのようにバッと意識が覚醒した---
「------っい!…っかりとしろ!」
「…う…ん…?」
ボンヤリとした意識が徐々に目覚めていくと、それに準じて体の様々な感覚も目覚めていき、まず体が感じたのが氷のように冷え切った体温と、更にそれを後押しする様に体を打つ大量の水---雨だった。
次に感じたのは自分の体がまるで鉛のように重い事、体調的な意味で重いのではなくて文字通り物理的に『重い』のだ。
体は雨ですっかりぬかるんだであろう泥の地面に沈み込んでおり、背中から染みてきているドロリとした冷たい感覚がたまらなく不快だった。
目を開くまず真っ先に認識したのは視界を一面に覆う灰色の曇り空、そして次に視界に入ったのは、不安げな表情を浮かべる男の姿、きっと彼がさっきから自分に声をかけている人なんだろう。
ただしその男の見た目は普通じゃなかった、それはこの男の顔つきがそこらへんの男では勝負にならないほど整っていたということもあるのだが、もっと現実離れしたいたのが、その男はまるで戦国時代の武将のように甲冑を着て、刀を腰に差しているということだ。
未だ本調子じゃない頭を回転させて考えて見るが一向に理解が追いつかないまま辺りを見渡すと、…順調に動き始めていた脳がその光景を見た瞬間急停止した。
------目の前に広がっていたのは、まるで大河ドラマのように手に刀なり槍なりを持ってぬかるんだ泥の中へと倒れこんでいる人間の姿。
「---おい、大丈夫か!?右京殿!」
「…殿?」
今まで学校やバイト先で「くん」や「さん」付けで呼ぶ友達はいたし、時には「ちゃん」付けで呼ぶ友達なんかもいたが、「殿」なんて時代錯誤な呼び方をする知り合いはちょっと記憶に無い。
だが俺の知らない、俺の知り合いらしき男の表情には緊張感が満ち溢れておれとてもじゃないが「あなたはどなたですか?」なんていえる雰囲気ではなんった。
「見たところ怪我は無いようだが…。どこが悪いところはないか?」
「え、えっと…。」
今自分自身がおかれている状況がまったく理解できていないため、何を話したらいいのかわからなくて、「あの…」とか「その…」みたいな曖昧な言葉しか出てこず、単語にすらならない。
そんな俺の様子に怪訝そうな表情を浮かべる目の前の男の表情が徐々に鋭いものへと変わっていく。
「まさか…。村上勢の間者だったのか?」」
「か、間者?」
元々ギリギリと張り詰めていた緊張感のある空気が、その一言をキッカケとして更に鋭いものとなり、目の前にいる男だけではなく周囲にいる兵士たちもが鋭い視線を自分に向ける。
間者…歴史の授業の成績はよくなかったけど、確か今の言葉で言うところの「スパイ」のようなものだったはず…。
今、自分が置かれている状況すべてを理解しているわけではないが、ただ一つハッキリしていることは今、自分は無実の罪で身の危険にさらされているということだ。
留まることなく垂れてくる雨水が無性に癇にさわり、額から頭にかけてさっと拭うと明らかに雨とは違う、粘ついた液体の感触がした。
思わずギョッとして自分の手を見ると少し雨で薄れてしまっているが、紛れも無い真っ赤な自分のであろう血が付着している。
「…怪我をしているのか?」
「そう…みたいだ…。」
「見せてみろ。」
そういう俺の頭を少し下げ、髪の毛を掻き分けて傷の様子を見る。
頭の血というのは元々、少しの傷で派手に血が出るらしいからそんな大した傷でもないだろう。
男もそう見たのか少し様子を見ると「…かすり傷だな。」と言ってボンポンと頭を叩いた。
「どこか他に具合の悪いところはないか?」
「いや…実は…」
「…どうしたのだ?」
頭の怪我、というキッカケで思いついた言い訳。
今自分は何が何だかまったく自体は理解できないがスパイだと疑われて、まず間違いなく危険な状態に置かれている、そんな状況でこんなことを口走っては更に疑いが深まるだろう。
---だが、自分ですら未だ己自身理解できていないこの事態を人に説明するにはこう話すしかない、俺は決死の思いで口を開いた。
「さっきから頭がジンジンと痛くて、意識と記憶がハッキリしないんだ…。俺やアンタは一体何者で、ここは一体どこなんだ?」
「------何?」
男の鋭い、俺の考えをすべて見通しているかのような鋭い目付きが突き刺さる。
俺が言ったことは半分本当のことで、半分が嘘だ。
俺は別に記憶喪失なんかにはなってはいないし昨日の晩御飯から、一番古い幼稚園のころの印象深い思い出まではっきりと覚えている。
だけど、俺は今の事態になったり過程を覚えていない、正確には知らない。
だからこの場を切り抜けるにはそういうしかなかったのだ。
だが俺はこの男を、この男の目を見たときに何故か「この人は信用できる」、そんな根拠の無い理由を見ず知らずのこの初対面の人間を、直感的に心の底から信用することができた。
男は俺の目をジッと見るとふぅ、と溜息をつく。
「そんな俺を信じきった目をする男、疑うなんて真似、できないな。」
「---なら…!?」
「今更こんな話をするのもなんだが馬鹿らしい話ではあるが、ここは日の本の国の信濃だ。君の名前は稲葉右京、信濃の国の武士の家の長男であり我が真田家に使えている武士の1人だ。」
「真田家…?」
「そう。そして俺は、君が仕える真田家現当主『真田幸隆』の弟にして長男、真田信幸という。」