デレマスに転生したと思ったらSAOだったから五輪の真髄、お見せしるぶぷれ~   作:ちっく・たっく

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再開しても……バレへんか。




叫べ少年よ

ディアベルは語った。

誰もが期待に胸を膨らませていたあの日に、デスゲームが始まったその時から、クリアを目指してやってきた事、その全てを。

 

彼は自責の表情で語っているが、俺は、心底からの感嘆に、胸のつまる思いだった。

……すごいな、ディアベルは本当にすごい。

 

少なくとも、俺はソロプレイヤーとして自分を生かすことで精一杯だった。

人と関わり、その責任を背負うことから、あの日の俺は逃げたのだ。

 

赤い髪のバンダナ男を思い出す。……きっと、この世界で最初の友達。

 

暗い森で出会った片手剣使いを思う。……すぐに別れて、二度と会えない。

 

そうだ、今までしてきた決断に後悔があるなんて、口が裂けても言えないけれど、後悔がないと言ったら、それも嘘になる。

 

ふと、ディアベルがこちらに目配せしてきた事に気づく。

 

何を問いかけているのかは、すぐに察しがついた。了承の意を込めて、頷いてみせる。

 

「……そもそも俺が今回、突出したのは、攻略の最前線を担う看板になるために、ボスのLAが欲しかった。……そのためには、キリトが邪魔だったんだ。彼がLA常連のベータだって、俺はほとんど確信してた」

 

(いいんだディアベル。……それでいいんだ)

 

もう嘘なんてたくさんなのは俺だって、きっと誰だって、同じだ。

 

「……これが、俺があの始まりの日から今日までやってきた事の大体の経緯だ。みんなには、騙してしまって本当にすまないと思ってる。……落とし前をつけろと言われれば返す言葉もないが……まずその前に別の落とし前がある」

 

小一時間、だろうか。

短いと言うには長く、長いと言うには短い時間、ディアベルは滔々と話をし、そう結んだ。

 

ボス部屋に佇むプレイヤー達の表情は様々だ。

了解したとばかりに頷くもの、まだ受け入れられないもの、怒りに震えるものもいれば……楽しげな者も、いる。

 

共通しているのは、誰もが一言一句、一挙動まで逃さないとばかりに見詰めていることか。あのキバオウでさえ、ムッツリとディアベルを睨みながら、黙っている。

 

「キリト、ムサシ、それと……」

「……アスナよ」

「ああ、ありがとうアスナ。……本当にキリトがベータテスターなのか、それはとりあえず今はどうでもいい。重要なのは、俺が彼とそのパーティを妨害した事実だ」

 

言葉通り、居並ぶプレイヤーや自身の仲間に目もくれず、俺達チーム「売れ残り」を見渡した。……断罪を求めるような、静かな瞳で。

 

そして、今やここに集った全ての人間の意識がここに集中している。……当たり前か。

 

まず間違いなく、ディアベルはリーダーとして一級の人物で、現状では無二のボス戦指揮経験者。

そして、俺はともかくムサシとアスナ、この二人は凄まじい才能の持ち主だ。すぐに攻略の中心になるに違いない。(ムサシは既に、だろうか)

 

ここでの話の流れ次第では、ディアベルだけではない。プレイヤーの誰かが激発して、この内の誰かを欠くことが十分有りうるのだから……。

 

ここが、大一番だ。

もしかしたら、ボス戦以上かもしれない。

 

しかし。

 

「謝罪とか、賠償とか、私はいーらない☆」

「……はぁ」

 

銀髪美貌のサムライは、こちらが呆けるくらい、軽く言ってのけた。

 

「私は楽しかったし、騙されたとも思ってない。謝られる理由がないわ」

「……アスナ、君はどうだ? 納得いかないんじゃないかな。俺の勝手な……独善的な判断で君達を配置したんだ」

 

ムサシがこういうスタンスなのは予想していたのだろう。

あまり動じずにディアベルはもう一人の……堅物女剣士に水を向けた。

 

俺も、今まで黙って成りゆきを見守っていたパーティメンバーに目をやる。……許してやれ、と耳打ちすべきかと俺が迷う暇もあればこそ。

 

アスナは待っていたとばかりに口を開いた。

 

「それの何がいけないのかしら」

「え……」

「リーダーは自分の判断でメンバーを配置して、仕事を与えるのが仕事でしょう。私達少数パーティに露払いを命じるのは、理にかなっていると、思う」

「……」

 

意外な事に、アスナの口から出たのは、ほとんど称賛に近い言葉。

……いや、意外でもないのか。

 

攻略会議で、広場に集まったプレイヤー達を見て、「こんなに」と、目を輝かせた彼女なら……はじまりのディアベルが今まで歩んで来た道程が、容易ならざるものであることが想像できるのだろう。

 

「ベータテスターだと明かさなかったのは確かに不義理かも知れないけど、私達パーティが貴方にそう明言されてない以上、それはそちらのパーティの問題に過ぎないのよね」

「それは……そうかも知れないが」

「だから、私から言える文句は一つあるとすれば……私達のリーダーの剣を買い取ろうとした件だけど……それだって無理矢理に盗もうとしたわけじゃないみたいだし、キリトが許すなら私からは何も」

 

……この場の全ての視線が、俺に注がれていくのを感じる。

 

ここで、俺が気軽に「許して遣わす」とか述べれば丸く収まるのか?

形だけでも怒って見せた方が、プレイヤー達のガス抜きになるか?

……今でもアニールブレードをあの値段で買い取ってくれるか聞いてみるのは……駄目だろうな。

 

(いかん、思考が逸れてる)

 

でも、仕方ないだろう?

 

我ながら、今日の俺は結構頑張った。

集まってからも戦いはじめてからも、頭を回して仮想体を酷使して、キバオウに煽られアスナを思いディアベルに振り回され……ムサシに……。

 

(ムサシか……)

 

ディアベルは死ぬはずだった。

それをムサシは助け、崩れそうな戦線を一人で支えてみせた。

かと思えば彼女の言葉でディアベルが全てを告白し、当の本人は我関せずとばかりに「いーらない☆」とくる。

 

並べてみればどこの聖者か英雄かという活躍ぶりだが、振り回されるこちらの神経はかなりまいってきている。

 

(……それとも、彼女なら分かったりするのだろうか、ここでどう振る舞えば「正解」なのかを……)

 

視線を巡らすと、ムサシはいつの間にか広場の随分と奥、主亡き玉座の後ろ、第二層へと続く扉の傍にいた。

そこで特徴的な瞳を輝かせ、ディアベルやアスナ、そして俺を見ていたようだ。いい御身分だなコラ。

 

そこで彼女はようやく俺の視線に気づいたらしい。

「私?」というように自分を指差し、腕組みの動作を挟んでから、何を思ったか輝かんばかりの笑顔でサムズアップしてきた。

 

何も考えていませーん! とばかりのウィンク付きで。

 

(……)

 

ブチン、と、俺の中のナニかがキレた音がした……気がした。

 

(なんかもう、めんどくせーな)

 

「なんかもう、めんどくせーな」

「キリト?」

 

あ、思ったことがそのまんま口から出た。

 

「俺はベータテスターだ。ディアベルもベータテスターだ。……でも、それがなんだっていうんだ!」

 

僅かに残った理性が悲鳴を上げるが、一度流れ出した怒濤は止まらない。……それは、始まりのあの日から、溜め込んできた罪悪感や鬱憤、そして怒りの発露だろう。

 

みんなそうだ。

なんで元ベータってだけでアルゴみたいないいやつが、それこそ鼠みたいに見返りもない奉仕活動をしなくちゃいけないんだ。

なんで元ベータってだけで、今日、確かに勝利を掴んだディアベルがこんな、今すぐ刑に処される罪人みたいな態度なんだ。

 

「そもそも知識があるから全てを差し出せなんて馬鹿げてる! 仲間を集める人当たりのよさとか、リアルでの運動経験やネトゲ経験……フィールドに出てモンスター狩ろうと思える勇気! ここに集まったみんな、強みを持ってるはずで、今までの死人にも結構なベータテスターが含まれてる! 平等じゃないのは当然だろ、これは遊びじゃなくてもゲームなんだぜ、マナーに反さない範囲で利益追求して何が悪い!?」

 

……ふと、我にかえるとプレイヤー達は驚いたように凍りついてこっちを見ている。

 

……支離滅裂だ。

腹にためたドロドロを吐くだけ吐いてスッキリしたけど、よくないな。えっと、何が言いたいかというと……そうだな。

 

「ごめん……何が言いたいかというと……ディアベル、あんたは結果を出したんだ。胸を張ればいいんだ。……少なくとも、ソロの俺には出来なかったんだ。……尊敬する」

「……ああ」

 

そんな、救われたような顔をしないで欲しい。

……救われたような気分なのは、俺の方なんだから。

 

「あと、俺が言うのもなんだけど、肩の力抜いて、やりたいようにやった方が続くと思うぜ。……ゲームなんだから」

 

ここまで言って、俺の肥大化した羞恥心が限界に達した。……一秒だってこの空間にいたくない、引き際だ。

 

「行こうアスナ」

「え、あっちょっと!」

 

返事を待たずに走り出す。

リアルボッチにしてネトゲボッチはもう体面を気にする余裕などない。

 

ムサシと擦れ違い、そのまま第二層への扉を押し開いて、全力疾走で昇る。……当然、付いてきてるな。振り返らないぞ。ニヤニヤしてるのは見なくても分かるからな。




久しぶりに時間空いたぜ書こう→書けねえ、どうやって書いてたっけ→SAOP一巻を読む→書ける

結論、原作は神。
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