デレマスに転生したと思ったらSAOだったから五輪の真髄、お見せしるぶぷれ~   作:ちっく・たっく

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ランキングのってるやんけ! 書かな!(使命感)
書いた。(満足感)

もっと早く書けるようになりたい。


さあ旅立とう、不吉なコブ付きで!

やったー! 生リズベットちゃんだー!

わーい! やったぜ!

 

まだピンク色じゃないんやな、茶髪だ。

ちょっと残念だね。

 

「カタナ? あっはい。……いえ、そうじゃなくて、ムサシさん、ですか?」

「そだよー☆」

 

なにやら作業着の茶髪美少女が対応に困っておるわ。

街中で突然よく知らない有名人に会っちゃったみたいな感じ。

 

まあ、今やフレムサシちゃんってば、ちょっとしたタレントだからこんな対応も慣れたもんよ。

 

「ふつうに武器の注文に来た只のお客なんだから、大仰に構えないでほしいわね。ほら、タメ口、タメ口」

「……いや、お客様なら、タメ口はダメでしょうが」

「うんうん!」

 

流石の対応の速さ。惚れるぜ。

 

「でも、カタナ? 一応は造れま……造れるけど、まだ肝心のカタナスキルの修得者が出てないんじゃ……って」

「やっぱり、察しがいいわね。……そう、私ことムサシこそ、多分プレイヤー初のカタナスキル修得者よ! どんどんパフパフー♪」

「は、はあ」

「でね、稀にモンスタードロップすることは良くあるんだけど、今んとこ満足いくようなのは手に入んないのよ。……当たり前だよなー」

「なるほど、だからオーダーメイド、ですか。……うーん」

 

まだたどたどしいね。……そこもいいね!

 

「ここの職人のなかじゃ上の方ではありますけど、一番の鍛冶ってわけじゃ、ないわよ私。それでもいい?」

「ティンときたのよ。貴女じゃなきゃ、ヤ」

「いやティンとってなによ!?」

 

ふざけないで頂きたい。

こちとらフラりと来たように見えるでしょうが、そこそこ手間かけてんだぜ。

 

シンカーさんに恩と顔売って、ここの情報はほぼ筒抜けってくらいのとこまで持ってきてから頼んでるからね。今日こうしてモア……リズベットちゃんが店頭に立つのはあらかじめ把握済みよ。

 

「貴女はこうして雨の日も真面目にやってるじゃない。そんな人が仕事を掴む。至極当然なりよ」

「そんな……とってつけたような事言われても嬉しくないし。……あと、他のみんなが不真面目ってわけじゃないわよ。造った武器を商業部に卸してひたすら工房に籠ってるのが多いだけ」

「……効率的、なのかしらねそれ」

 

あと、ちょっと嬉しそうね貴女。

……逃がさんぞー、逃がさんぞー。

 

リズベットの将来性は保証付きだ。

お得意様になったら今後、武器に困ることはないだろう。可愛いし。

 

「よろこんで請けさせてもらいたいけど、いくつか条件があるわ」

「ん、聞きましょう」

 

おお、強い視線だ。……シリアス味あるね。

 

「カタナに最適な材料って噂されてる素材があるの。特殊なインスタントクエストのクリア報酬よ……名前は【玉鋼】」

「おお、いかにもねー……で、それをとってこいって? 場所はどこ? 条件は?」

「焦んないで……聞いても意味ないわよ。一人で行ってもフラグたたないクエストらしいから」

「……この私が知らないのはそれでかー」

 

此処までの階層は、全部自分の足でマッピング済みよ。(歌い踊りながら走って斬りながらだから、見落としがないとは言わない)

 

「そのクエストに一緒にいって、道中で私を鍛えてほしいの」

「……んへ?」

「なにも攻略組にしろなんて言わないわ。……一人で圏外に出て、確実に帰ってこれるくらいにしてほしい」

 

なんで見ず知らずの私に頼むのかは……同性だからだろうか。

 

圧倒的に少ない女性戦闘員がこの非戦闘主義ギルドにいるとも考え難い。

必然、本格的なレクチャーを頼むとなると男性プレイヤーになるだろうし、抵抗があるのもわからなくはない。

 

「あー、んー、動機が知りたいわね」

「……動機?」

「このギルドの仕組み、素人目で見ても大したもんよ。……きっと社会経験豊富な人達が頑張ってるんでしょうね。……ぶっちゃけ、外に出る必要ないんじゃない?」

「それが嫌なのよ……独立したいの!」

「ほう」

 

リズベットはキュっと口を引き結んで、続ける。

 

「分かってるわよ、利口じゃないことなんて。なんだかんだこのギルド、嫌いじゃないし。……でも私はいつかは独立したい。私って根がいい加減だから、何でも誰かがやってくれるなんて腐っちゃうわ」

「……ちょっと分かる自分が悲しいわ」

 

人間、堕落するのは一瞬よね。

 

「鍛冶の経験値でレベルは上がってるし、見込みがなかったら途中でやめてもいいから、お願い!」

 

……正直、遠慮したい気持ちは大きい。

人に教えた経験なんて、小学生時代のガキ大将気味のやつだけなのだ。……だけど。

 

「……ダメなの?」

「……まっかせて☆」

 

そんな、すがるように見られちゃ断れないじゃんよ。

二人旅で手取り足取りレッスンして立派なアイドルにしてやるぜ!

 

「ありがとう! じゃ早速準備するからちょっと待っててね。必要な頭数はたしか最低三人だから、もう一人どっかから引っ張ってくるわ! 詳しいクエスト内容も調べてくるわね!」

 

……え、三人?

 

 

 

*****

 

 

 

非戦闘を旨とするギルド【MTD】の主な部署は五つ、管理部、生産部、芸能部、商業部、そして探索部。

 

この探索部というのが何をするところなのかというと、圏外に出る活動全般、というところだろうか。

今、市場に出回っていない素材を手に入れて来るための採掘やクエスト、圏外に出る非戦闘員の護衛などが主な仕事。

つまり、例外的に、武力を有する部署ということになる。

 

小一時間後。

 

金属製の鎖で編んだ頭巾のような頭防具、コイフで顔を半分以上覆った新メンバーを、リズベットはそこから引っ張ってきたらしい。

 

「ムサシ、こいつはウチの探索部のエースで今回のクエストに付き合ってもらうやつ……モルテ、挨拶!」

「あはははー、あいかわらずリズベットさんはキツいですねー。ま、そこが可愛いんですけどー。おっと、いきなり殴ることないでしょうー? あははぁ、ではでは、改めましてご紹介にあずかりましたー、モルテですぅ。あのムサシさんとクエストいけるとかもー光栄だなぁ、マジ、エンジン入れてくんで、よろよろー 」

 

無邪気さと軽薄さ、そして演技くささが入り交じる声でモルテはそう言ってきた。

 

かなり黒に寄った色合いのモンスター素材スケイルアーマー、同じ素材で造られたグローブとブーツが、狩りゲーの【シリーズ】っぽくて宜しい。

 

武装は片手直剣に、ラウンドシールド。

定番だけに、安定している。けど、曲者感バリバリ感じるし、隠し玉の一つや二つや三つは有るんだろうなぁ。

 

……なんか、軽くてアブない兄チャンだな、なんて印象は、パーティを組んで見えた彼の名前の綴り【Morte】を見て吹き飛ぶのであった。まさかの伊語・仏語ネタかい! なるほど、不吉な格好も頷ける。

 

やべぇ、こいつ隠れ中二野郎だ。……出来る!

 

勝手な親近感を覚えて好感度を急上昇させながら、私は【モート】くんに右手を差し出した。

 

「こちらこそ改めまして、お世話になるわ。短い間になると思うけど楽しい旅にしましょうね」

「……あはあ、はい。短い間ですけどー、あはははー」

 

ぎゅっと握手。

にこっと笑顔。

 

生憎の天気だけど、旅立ちよ。




モルテ、おめーの口調むずい、激サック。

当たり前かもですが、主人公の前世はシリーズ全部網羅していたわけじゃありませんし、読んだことを忘れていたり、思い出したりしながら頑張ってます。

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