revolさんが咲の世界に転移するだけのお話です。revolさんが解説できるアニメは無いかと探したので咲になりました。勢いだけで書きました。
 続きは未定です。書くとしたらeyesさん編ですが、LoLと違って麻雀は緩やかな実況になるので難しいですね。
 原作は、苦心の末にLoLではなく転移先になる咲にしました。
 僕はrevolさんのファンです。これだけは言いたかった。

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どうか怒られませんように




その男、revol

 

 Revol(敬称略)は、LoL(正式名称:League of Legends)というオンラインゲームの、日本大会・通称LJL(正式名称:League of Legends Japan League)の解説者だ。

 LoLはMOBAと呼ばれるタイプの対人ゲームで、5人vs5人で行われるチーム戦である。

 一秒一秒で状況が目まぐるしく変化していくのだが、revolは豊富な知識を存分に生かし、相方の実況者であるEyes(敬称略)と共に、時に面白おかしく視聴者を盛り上げ、時に目から鱗が落ちるような知識を披露し、時に選手達に強烈な毒を吐く黒レボルになりながらも、我々視聴者をLoLの世界に引き込んでくれる、LJL屈指の名物解説者としての地位を確立している人物だ。

 この人以上に、LJLを楽しませてくれる解説者は今後現れないだろうと、私は断言できる。(これがrevolのプレッシャーにならなければいいが……)

 それはさておき、revolは現在中国にて行われている世界大会の解説を終えたばかりである。

 彼が解説していた試合は、韓国代表のSKTという世界大会常連優勝候補チーム対、新進気鋭のEU代表・MSFによる準々決勝についてだった。

 MSFは優勝候補相手に奮闘したが、善戦虚しく2勝3敗という好成績で負けてしまった。一方のSKTは、格下だったハズのMSF相手に辛勝という不甲斐ない結果に終わり、ポケットピックやニューメタに着いていけないなどの課題点が多く見受けられた。

 

「いやぁ~、俺はMSFが勝つと思ったんだけどな~」

 

 仕事を終えて控え室に戻り、今日あった試合内容を楽しそうにrevolに語りかけているのは、相方の実況者であるeyesであった。

 彼はロッカーからロングコートをハンガーから取り出しつつ、実況はスーツ姿でしているのだが、冷え込んできたので通勤にはロングコートを着込んでいる。

 頬が痩けているので、その風貌からLoLのキャラクターであるカーサスに似ていると言われているが、ロングコートを着るとライズ教授スキンのように見える。深い意味はない。

 深い意味は無いが、彼の名誉の為に書き記すと――――30~60秒にも及ぶ長い長い集団戦を、声を掠れさせ裏返らせながら、早口で捲し立て、しかし要所要所を的確にピックアップする実況中継により、大勢の視聴者から『rap god』と称賛が送られることでも有名な、revolと並ぶLJL名物実況者である。

 

「僕は、やっぱり王者であるSKTが勝つと思っていましたが……、いやしかし、まさかフィーバーレオナで暴れるとは思いませんでしたよ」

 

 revol特有の初手逆張りコメントだが、最後に本心から同調する意見を述べて相手を不快な思いにさせない話術だ。

 eyesは「あれは凄かったよね!」と、見事に乗せられて話題を広げていく。

 序盤のトップサイドのジャングルにおける小競り合いから始まり、レオナによるプレッシャー、アイバーンジャングルによるアーデントセンサーメタに合わせるピック、結局最後に勝つのはSKTだったなど話題は尽きない。

 取り留めない雑談に花を咲かしつつも、時刻は22時。終電が近づいている。

 17時から22時まで実況を続けていたため、revolはクタクタに疲れていた。

 だがこれから帰って、後日行われるWEvsC9の予習をしなければならない。例え疲労困憊であったとしても、それがみんなの求める解説者としての仕事だからだ。

 

「この後どう? revol君。一杯やってく?」

 

 しかしこの男、eyesはrevolを飲みに誘った。

 彼も勿論疲れていたし、明日の試合の実況のために勉強をしなければならないが、それも今日、少しだけお酒を飲んでリフレッシュして、明日に備えようという算段のつもりらしい。

 eyesは頬骨の浮き出たやせ細った体型をしており、revolによって健康的な標準体型まで太らせようという密かな計画すらも破綻させたことのある骸骨人間であったが、どうやらアルコールは別腹のようだ。

 

「そ、う、で、す、ね~……。良いですよ、近場なら行きましょうか」

 

 revolは逡巡したが、快くOKのサインを出した。

 これが誘われたのがeyesでなければ、恐らく拒否して直帰していただろう。

 二人はもう4年近くもLJLの実況・解説としてパートナーを組んでおり、二人を結ぶ絆は、もはや実況と解説という仕事のパートナーだけの枠組みに収まっていない。

 昔、実況・解説の席に座っている二人が画面に映し出されたときは、「この二人、何食わぬ顔で実況解説してるけど実は机の下で手を繋いでる」とか、ソッチ方面の噂がまことしやかに囁かされるほどの、気の置ける友人関係にまで成長していた。仲睦まじくて、大変良いことである。

 それに、飲みに行けばリフレッシュだけでなく、後日の試合の打ち合わせも兼用できるし、なにもデメリットばかりではないと考えているようだ。

 

「……あ、しまった。スマホがない」

 

 ゴソゴソとカバンの中に手を突っ込んで、何かを探していたrevolだったが、どうやらスマホが無くなっている事に気づいたようだ。

 スーツの内ポケットなども探すが見あたらない。トイレかケータリングか解説席か、どこかでスマホを落としてしまったらしい。

 

「もぉ~しっかりしてよレボルきゅん!」

「ハハ……。すみません、ちょっとスマホ探してきます。直ぐに見つかると思うんで待っててください」

 

 歳と見た目に似合わない、猫なで声でからかってくるeyesに苦笑いで返しつつ、revolはスマホを探しに行った。

 しかし、最後にスマホを触った場所を記憶を頼りに探しても、撤収の準備をしているスタッフに聞いても、どこにも自分のスマホは無かった。スマホは煙のように消えてしまった。

 

「あれぇ……おっかしいなぁ、盗まれたかなぁ……? ……おや?」

 

 すっかり照明も落ちてしまい、暗闇となった実況・解説ルームを血眼になってスマホを探している最中で、revolは違和感の塊を見つけた。

 そう、ヤンガンで大人気連載中で実写ドラマ・映画化もされ、なんとスピンオフまで実写化される麻雀漫画、咲-saki-の第一巻である。表紙では、茶髪ショートカットの咲さんがrevolに麻雀牌を突きつけていた。

 誰かスタッフの忘れ物か?

 そう勘ぐったrevolだったが、突如として表紙が光り出した――――。

 

「んん!? うわ、さっきまで暗闇だったから眩しい!」

 

 自分の感覚を伝わるよう適切な言葉を選んで解説したrevolだったが、誰もそれを聞く視聴者はいない。その光りはドンドン部屋を照らすほどにまで輝きを増し、遂にはrevolを包み込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううん……ここは……」

 

 目を覚ましたrevolは、何かの椅子に座っていた。目の前にはスタンドマイクと、ガラスの向こう側には大きな舞台にポツンと置かれた雀卓と、それを映し出すモニター――――。

 いつもの解説実況・解説席のように、机にモニターが埋め込まれているタイプではないし、LoL大会シーンのように観客席もない。

 

(ここは……どこだ?)

 

 生憎、revolはあまりアニメを見ない。そんなのを見る暇があったら、TwitchでLoLの競技シーンを視聴者と一緒に観戦しながら、メモを取りつつ勉強するだろう。

 だからrevolは――――そこが咲-saki-の全国大会の解説席であることに気づけなかった。自分が、異世界転移をしたことにも。

 最も、アニメに精通している者が見ても、解説席から見える景色だけで、咲-saki-の世界であることを知覚するのは難しいだろう。

 しかし、奇しくも彼が座っているのはLJLと同じく解説席。

 

「どうしましたかrevolさん? ボーッとして」

「え……あぁ、すいません」

 

 つまり、彼の隣には当然のように実況者がいた――――。

 実況者は、とある局の女性アナウンサーなのだが、ボーッとしているrevolを怪訝そうにのぞき込んでいる。彼女の反応を見るに、唐突にrevolが解説席に現れたのではなく、前々からrevolが存在していたかのように思える。

 

「大丈夫ですかrevolさん。気分が優れませんか?」

「え……あぁ……多分、大丈夫ですけど……」

 

 revolは言いたかった。お前は誰で、ここはどこなのかと。そして自分は何を解説すればいいのかと。

 

「そろそろ休憩時間明けまーす」

 

 後ろでスタッフが本番開始の宣言をする。その瞬間――――。

 

「うッ!?」

 

 咲-saki-という漫画は聞いたことはあるが、一度も見たことのない漫画・アニメなのに――――咲の知識が急流のように雪崩れ込んでくる。ついでに麻雀の知識も。

 属に言う、異世界転移の特典という奴だ。

 これから始まる試合は全国大会一回戦。奈良・岡山・福島・富山の代表が闘う第2ブロック・グループCだ。

 スタッフの言うとおり、どうやらもう本番が始まるらしい。それぞれ、出身校の制服に身を包んだ先鋒の女子高生が、続々と雀卓に座っていく。

 全員が指定時刻通りに揃ったところで、スタッフがキューを入れる。膨大な麻雀と咲の知識に戸惑いながらも、revolは解説者という仕事柄か、無意識的にスタンドマイクのスイッチを入れた。

 

「さぁ、先鋒前半戦が終わり、これから後半戦が始まります。revolさん、前半戦は奈良県代表の阿知賀女子が、満貫以上の高い手を次々に上がっていましたね」

「いやぁ~凄かったですね」

「しかし阿知賀女子はあまり聞き覚えのないチームなのですが……」

「そうですね。奈良と言えば、全国常連校である名門・晩成高校が有名でしたが、彼女達は個人戦のみの出場になっています。しかし……ぃ……今から10年近くも前になりますかね~。実は一度だけ、阿知賀女子は全国大会に来ている実績があるんです。その時は、現阿知賀女子の監督である……えぇ~……ちょっと名前が出てきませんが……」

「赤土監督ですね」

「そうです。赤土晴絵監督が、当時の阿知賀女子を率いて全国に出場していました。彼女達は、どちらかといと『全国に帰ってきた』と表現するべきですかね」

 

 いつも通り早口だが、聞き取りやすいようにハキハキとした喋りでスラスラと解説を進めていく。

 revol特有の見聞の広さが光る解説だ。現高校メンバーだけでなく、過去に敗れ去った高校メンバーも議題にあげつつ、視聴者に「へぇ~」と言わせている。

 

「それにしても、点数差が一位と四位の間で5万点近くも離れているのですが……」

「これは阿知賀女子の松実選手が、これまで表舞台に出てこなかったことも相まって、他の選手が対処を遅れてしまったのが原因にあるように思えます」

「では、他の選手はこの休憩時間で対策を……?」

「恐らく対策できていると思います。実は……松実選手の上がりをよく見ると、どれもこれも必ずドラが六つ以上あるんです。ドラが彼女に集まっているので、自然と手が高くなってしまっているんですね。し・か・も、ドラが不要牌になってしまうケースも多々見受けられましたが、にも関わらずドラを捨てずに抱えたまま対局を終えたケースもあります。彼女はドラに執着する様子が見受けられますね」

「なるほど……。しかし松実選手にドラが集まるとは、そんなことが起こりうるんですか?」

「彼女の手牌からそうとしか言えませんから、僕には何とも(笑)」

 

 半笑いで呆れたように闘牌内容を解説するrevol。彼はこの世界においても、名物解説者として名を馳せるのにそう時間はかからなかった――――。

 





eyes「あれ? 俺は?」

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