人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ウラ「じゃあ杯持てー!此度の再会を祝してー!」

シュテン「ほな」

「「かんぱーい!」」

モモ「鬼も人も隔てなく。素晴らしい場所です。さ、ウラ。酌を致しましょう」

ウラ「サンキュー、モモ!いやぁ無事に戻って良かった良かった!リッカに楽園に感謝感謝!だな!」

シュテン「うふふっ。うちの旦那はん、ごっついやろ?ウラはんならよぉけ気に入るとおもたわぁ」

ウラ「アタシが男だったらなぁ!惜しいなー!むぁ同性だからって遠慮する事もないよなー!まずはお酒飲める歳まで待つかぁ!」

モモ「~。御二人は知り合い、なのでしょうか?」

シュテン「うんうん。知り合い。うちが大陸に遊びに行く時、船を漕いでくれたんよ。船旅で色々語った仲やわぁ」

ウラ「人類史の鬼の在り方を知りたくてな。最強の鬼と聞いてシュテンを尋ねた訳だ。そしたら尋ねる事もない。──生き様を見れば瞭然ってやつだ!」

シュテン「気遣いと、調和と、仲良しと。ほーんまにウラはんはおかしいと思たわぁ。勿論、頭の事やけんどね?」

ウラ「よく言われる!ま、鬼を突き詰めた先にシュテンがいるなら方向性変えるしか無いもんなぁ!敵わないと思ったもんなぁ!」

シュテン「もう、口が上手なんやから~。そんなに誉めても何も出ぇへんよ?」

「わっははははははは!」
「うふふっ・・・」

モモ(二人が一緒に鬼ヶ島にいなくて助かりました・・・)

ウラ「んぉ?そういやあの、大江山の優等生はいないのか?」

シュテン「あぁ、茨木の事?ほんにいつまで立っても姿見せんよって・・・何してはるんやろねぇ・・・」

モモ「茨木童子・・・大江山の大首領。・・・見た事はありませんが、やはり強大なのですか?」

シュテン「せやねぇ。モモはんが本気でやれば首、しゅぽんと飛ぶんちゃう?」

モモ「あれっ!?」

ウラ「かなり行儀のいい鬼なんだよ。母ちゃんの教えた鬼の在り方を真面目に守ってる。鬼らしくあれ・・・。ある意味、誰よりも真摯な鬼だ」

シュテン「まだほんに鬼の一番美味いものが何か分かっておらんのがもどかしいんやけど・・・今何処で、何してはるんやろか」

モモ「・・・茨木童子・・・」




改築コンプリート!そして──

「フッ、気づけばもう完遂が目前ではないか。かなり余裕も残したこの仕事ぶり、我ながらこの仕事ぶりが愉快かつ恐ろしいな」

 

再び挟んだ休憩時間。いよいよ以て目前に迫ったOK召喚の完遂。振り返って見れば眼前に迫る来客の完遂。屋敷を初めとした大掛かりな改築も行っているにはいるが、島や城を改築してのけた王の前には些かの問題では無いとばかりに優雅に聖杯にて酒・・・ではなくエーテルジュースを摂取する王。シンプルに言って大分余裕が残っていると余裕綽々だ。

 

──油断は禁物ですよ。画竜点睛で参りましょう!このエレちゃん特製麻婆を食べながら!

 

《ぬっ──。・・・いや、エレシュキガルの手製ならば問題はあるまい。全くあの聖女の形をしたモンスターめ。中華文明に深刻な風評被害をもたらしおって・・・》

 

エレシュキガルが持ってきた、差し入れ麻婆を二人一緒に戴く。ハフハフッとする熱さに、ピリッと病み付きになる辛さ。心地よい熱量と味付けの精気がみなぎる麻婆豆腐に二人は舌鼓を打つ。

 

『辛くすればいいってものじゃないの。辛さってつまるところ痛さだし。辛さには微妙なラインに『旨味に繋がる』辛さがあるのだわ。私は常にそれを研究しているから、意見は忌憚なくよろしくね』

 

「この勤勉さとマメさはどうだ・・・。やはり善のエレシュキガルと下した我の評価に間違いなど存在してはいなかったか・・・」

 

──ハフハフッ、ハムッ、ハフハフッ!

 

食べるだけで霊基が軋む事も、味覚が喪われることもエーテルが死滅することも幽体離脱する事もないやさしみ麻婆を休憩時間に味わう王と姫。流石はウルクが誇る麻婆の女神よなふはは、と王が笑えば・・・

 

『誰が麻婆の女神かっ!風評被害と悪ふざけで変な神性を付与するのホンット止めてほしいのだわ!』

 

──エレちゃん!お代わり!

 

『はーい。ピリ辛だから食べ過ぎには注意してね。ラストスパート、二人とも気を付けるのだわ!』

 

あくせく働く二人に、ウィーンと出されるAIエレシュキガル麻婆プリンタ製造機。エリクサーと同等の効果を持つ死なない方の麻婆を食べ、最後の一押しへと二人は赴く。

 

「フッ──さては貴様、冥界の紅き天使だな?」

 

『みょ、妙な事を口走るものでは無いのだわ!さっさとがんばってきなさーいっ!』

 

バイン、と背中を弾かれ、文字通り王は飛び出していくのでありましたとさ。

 

 

雪泉 善忍閃乱修行道場

 

雪泉「リッカさん。私はあなたに異議を唱えます」

 

リッカ「ほい」

 

雪泉「お聞きした所、あなたは人類の悪性を魔力に変換して戦うのだとか。善忍として、これは見過ごせません」

 

リッカ「ファッ。今此処に来て私のなけなしの魔術のダメだし!」

 

「いえ、ダメ出しという訳ではなく・・・。世界を救うために戦うあなたが何故【悪】の謗りを受けるのでしょう。此処は『希望』や『善性』といった名称にすべきでは無いでしょうか」

 

リッカ「う・・・うーん。でもね雪泉ちゃん。正義といって誰かと戦うのって、人類が昔からやってきた蛮行の元だよ?それを正義や善と言って正当化しちゃダメだと思う。暴力や戦いは悪であるべきだよ」

 

雪泉「・・・成る程・・・」

 

「でも、それを選ぶ・・・そうすると決めた心はいつだって『善』でありたい。『善』が素晴らしいものだと信じたい。戦って、勝ち取った未来に生きる人達の喜びや営みが『善』だって信じたい!だから暴力や戦いをする私は悪を名乗りたいの。だって、善悪あってこその人間だから!」

 

雪泉「──。・・・感服しました、リッカさん。悪を名乗り、戦う悪を背負い善を為す。あなたの心・・・それは間違いなく、善。それでは私も、あなたの善を支える手助けを致しましょう。具体的には・・・」

 

リッカ「忍転身のイメージ考えとか!?」

 

「いえ。可愛らしさで善を謳うため、私と一緒に魔法少女について勉強致しましょう。・・・するプリよ♪」

 

(あっ波長合う人を見つけたオタクみたいになった)

 

この後二人でメチャクチャプリキュア見た。『エフェクトで人殺せそう』という感想を漏らしたリッカへのオーダーメイド衣装の為の採寸が行われ・・・

 

「165の88・54・86かぁ・・・雪泉ちゃんの世界じゃ貧乳もいいとこだよねぇ」

 

「あちらは、その・・・発育がステータスな所がありますから・・・」

 

割ととんでもない成長期をリッカは迎えていた。

 

 

三日月宗近 雅な庭と茶室・畑・馬小屋

 

三日月「うむ、ありがとう。思い付いたんだが、農作業をしていれば何処にも行く事は無いと閃いた。馬の世話や野菜の栽培は本丸で勉強したぞ。任せてくれ」

 

ドゥン・スタリオン「ヒンッ(御手柔らかに御願いします、雅にして風流な御方)」

 

京極「ブルルヒンッ!(いつかリッカ殿と主君を乗せて駆け回る為!入念な毛繕いと手入れをよろしくお願いいたします!)」

 

クサントス「ブヒヒww(綺麗で美しいものが汚れるのってえも謂われぬ背徳感がありますよね。日本の国宝とかその最たるものですよ。馬糞飛んだらごめんなさいww)」

 

三日月「馬に好かれるのは得意技だ。皆から預かった馬、真心を込めて手入れをしよう」

 

ギルガメッシュ「・・・名だたる名刀に畑仕事や馬の世話とは。我とは違った意味で贅沢な輩だったようだな。貴様の主君と言うものは」

 

「はっはっは。そうかも知れんな。まぁ・・・斬り、殺すしか出来なかった刀がこうして、戦場以外で役に立つ。その出来事自体はとても得難きものだと俺は思う。主と空を見上げて飲む茶は本当に美味い。お前達と過ごす時間もそう在りたいものだ」

 

──三日月宗近さんは、日本刀の中で最も美しい雅な刀剣と伺いました。その美しさは、人の身体を得た事で精神と人格に表れているのですね!

 

「どうだ、茶室も作ってもらったからな。主から貰った茶を皆で飲まないか。声をかけて、集まって貰った方々がいるのだ。既にな」

 

ギルガメッシュ「ほう?それはどのような顔触れなのやら。我等と茶を嗜むのだ。それなりの気品と風格が──」

 

村正「茶か。悪くねぇ。かの三日月宗近様と飲める茶なんざ一生モノの体験じゃねぇか」

 

書文(老)「老骨には槍より茶が有り難い。楽園にいる間は、血の匂いからは遠ざかりたいものよ」

 

──あっ!おじいちゃん方です!これなら確かに

 

将門公『御霊と共に、茶柱を仰ぐ。その時分、得難き泰平の一時也』

 

──!?

 

山の翁【誘いを無下にするは無粋。この山の翁、此度は誘われる側に回るとしよう。晩鐘もそう告げている】

 

──!!?

 

オーマジオウ【我が忠実なる家臣に茶葉を取り寄せさせた。終わる平成、迎える新時代を語らうに相応しき茶・・・。それこそ、王の茶会──】

 

──!?!?!?

 

三日月「さ迷った俺を保護してくれた優しき御仁達だ。此度は作法を抜きにして存分に楽しむとしよう。如何かな、御機嫌王」

 

ギルガメッシュ「──面白い。聖杯問答ならぬ茶会問答・・・。その真意、見極めてくれるわ!!」

 

──し、式ちゃん!この方々のお口に合うお茶菓子の選別手伝ってぇ!

 

両儀式『そうね・・・。金平糖とか、どうかしら。私も大好きなの。カリっとして、甘くてコロコロして・・・』

 

──成る程!よーし!

 

・・・こうして、改築を終えた王は縁側に並び、茶と菓子を楽しんだ。

 

──金平糖となります・・・皆様、どうぞ御堪能・・・ください・・・

 

オーマジオウ【至宝なる姫よ。時には自らの労りも必要だ。私の分は、そなたにやろう】

 

将門公『ぷれしゃすもまた、楽園に不可欠也。我の金平糖もそなたに』

 

山の翁【いくばくかの安らぎ、そなたもまた休むがよい。若き身空には縁遠きやもしれぬが、休めるべきには休まねばならぬ】

 

──あ、ありが、ありがとうございます!

 

『ふふっ。わたわたしているあなたも素敵よ、エア』

 

ギルガメッシュ「──存外に苦い。が、茶柱に免じて許す」

 

村正「幸先良いな、大将。これから先もそうありてぇもんだ」

 

書文「茶請けも良好。歳を取れば見える娯楽もあるものよ」

 

三日月「はっはっは。こんな日が続く為にも、我等は今を生きる者達を護らなくてはな」

 

のんびりと過ぎる時間。青空に鳥が、地に馬の嘶きがいつまでも響き渡っていた──。

 




これにて、改築は一先ずの段落を迎える。1000回の節目を祝う行事は、まだ始まったばかりなのだが・・・

ギルガメッシュ「フッ、存外に苦さが癖になるな。次はエアやエルキドゥ、シドゥリらと楽しむも悪くない」

──結構な、お手前でした・・・

シドゥリ『王!姫!労働の後の火急の報を御許しください!』

──?シドゥリさん?

「何事か。楽園でまた麻婆が爆発したか?無論、聖女の方だぞ」

シドゥリ『いいえ!メソポタミア・ウルクにて再びの特異点反応!賢王がかつて召喚した『茨木童子』と酷似したサーヴァントが出現し、ウルク内にて暴虐を行っているとの報告が!』

──えっ!?ウルクに・・・!?

『現在賢王とキングゥが交戦中!王よ、速やかな助太刀と対処を・・・!』

ギルガメッシュ「──此度の祝い、随分と過激ではないか。警報を鳴らせシドゥリ!楽園総出にて、賢しき我並びに我が友の後継機を助勢する!!」

ウルクに突如現れた鬼。──楽園に、【まつろわぬ者達】が牙を剥く──

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