人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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その頃

マナカ「楽園カルデアまた仲間が増えたの!?すごーい!これでリッカちゃんが擦りきれるくらい頑張らなくてもよくなったんだね!」

フォウ(その点は良かったよ。もう一度、手を取り合い一緒に戦う未来が迎えられるんだ。これからの未来、どうなっていくか楽しみだ)

マナカ「いいなぁ。楽しそう・・・ねぇ、私もマスターとして行ったりしちゃダメ?」

(全能捨てて脱臭したら考えてやるよ)

「ひどい!私全否定!?でもいいの、王子様が楽しいならそれで・・・」

ラインダフォウ!

マナカ「ん?ビーストLINE?先輩の?」

エアの声『フォウ?LINEだよ。確認を忘れないようにね』

(ボクのにも来てる。誰だ?)

題材 ノウム・カルデア終了のお知らせ♪

【着物を着たゴルドルフに酌をするビーストⅢ】

フォウ&マナカ「(・・・・・・はぁ!?)」


フレンド救済特異点・氾濫情愛大奥マーラ 仏敵調伏~相思相愛~
堕落の園・楽園迷宮大奥


【さぁ、てと・・・楽園カルデア攻略の前のデモンストレーションとして、犠牲と苗床になっていただくとしましょうか。脆弱な【こちら側】のカルデアの皆々様?うふふふふっ・・・】

 

別の世界より、楽園に宣戦布告を果たしたビーストⅢ、その片割れであるビーストⅢラプス。彼女は発足した事により自らの孵化、覚醒を行う為に行動を開始する。

 

・・・カーマ、そしてマーラの存在は共に『悟りを邪魔するもの』。シヴァに対するカーマ、ブッダに対するマーラ。故にカーマとマーラは同一視され、彼、或いは彼女は同じ霊基を持つ。本来ならばカーマの霊基が表立ち、マーラたる魔王の存在は表には出てこない。それにシヴァなどの神格が、マーラの出現に目を光らせている為に本来は決して現れない筈の人格なのだ。だが、彼女はこうして現れた。ならば彼女は暗躍するのみ。羽化し、世界の愛を焼き尽くす為の力を得る為に。既に、土台の一つの製作は完全に終了していた。

 

【何故この形態を取ったのかは自分でもよく解りませんが、まぁ些細な事でしょう。さて、仕込みは終わりましたし・・・後は・・・】

 

手始めに彼女は、たまたま偶然反応したものに従い『江戸時代日本の大奥』に自らの存在を核とした空間を作った。其処に当代の最高権力者──即ち『徳川』を誘い、招き入れ吸収。それを起点とし過去、未来の徳川・・・並びに縁深き全てを吸い上げた。そしてそれを、堕落させたい相手を招き入れ、『堕落にふける徳川』に変質させる宇宙に繋がる迷宮を形成したのだ。

 

【ふふっ。あっけない。時の権力者なんて、砂上の楼閣よりも脆いもの。甘く囁けば見る間に堕落の渦へ。愛すべきダメ人間の見本市で何よりです。・・・】

 

・・・それ故に、楽園に声を懸けた際の彼。彼には自身の誘惑の言葉がまるで凪のように受け止められた事実が気にかかったビーストⅢであったが、それらを彼女は【気のせい】と処理した。

 

【どうしようもないほどの頑固者か、はたまた苦しいのが好きなマゾか何かだったのでしょう。先の様な失態を起こさぬよう、次は吟味を重ねて・・・】

 

・・・或いは、ここで違和感を追及しておけば結末は違ったかもしれない。しかし彼女は容易く徳川たる世の中核を堕落させた自身の手際を確信し、今度こそ磐石に事を運ぶからよいと忘却した。今から攻めるカルデアと、楽園を危機レベルを同一としたのだ。

 

同じ様に、彼女は楽園ならざるカルデアに愛を囁いた。どれだけダメになってもいい。どれだけ堕落してもよい。あなたを招き、愛します。・・・その囁きは魔王の誘惑。本来通り、逆らえる人間などいるはずが無かった。

 

【煩悩無量、誓願断。ようこそ、堕落と快楽が満ちる大奥の地へ。記念すべき初の歓待をあなたに──ふふっ、ふふふふ・・・】

 

そうして招いた魂を、堕落させるためにビーストⅢは『誓い』を用意した。護らせる為ではなく、破らせ堕落させるための何処ぞの反吐が出る禁欲と自制の誓いを。そしてそれらを一つ破る度に、その魂は堕落の渦にしてこの大奥の核たる徳川の間へ──

 

 

「う、うぅん?此処は、此処は一体何処だ?私は確か・・・何かに呼ばれたような・・・」

 

選ばれた魂は、ゴルドルフ・ムジーク。楽園では副所長を担い、この時空のノウム・カルデアと呼ばれる場所では新所長の役職に就いている、小心者にして取るに足らない人間として招かれた存在。ビーストⅢは彼の魂を、加速度的に堕落させる為の手順を踏ませた。

 

「ア、アァ、ア」

 

「ひぃっ!?」

 

「ウ、ァ、ア・・・」

 

「な、なんだ!?お前達はなんだ!?ち、近寄るな!近寄るなといっていよう!──スクロールも礼装もある!よし!!くらえゴッフパンチ!!」

 

【一つ・・・】

 

前後不覚に陥り、女中カラクリに襲われたゴルドルフは、躊躇いなく戦闘を選び魔術にてカラクリを蹴散らした。それは、女中達に大した戦闘態勢を取らせなかった故の圧倒ではあったが・・・

 

──殺生をしてはならない。

 

「フフ、フハハハハ・・・!弱い!弱すぎる!いや私が強すぎるのか?これだけの数をたった一人で!私も成長しているというのか?・・・目覚めて、しまったな・・・かなり遅咲きな、間に合わない感じの開花ではあるが・・・」

 

「ァアァ・・・」

 

「おっと出るか!だが愚かな、勝ち目は無いぞ!退け退けぃ!私は貴様たちの死そのものだァ!」

 

【(ニッコリ)】

 

彼は禁の一つを破り、大奥の奥へ奥へと向かっていく。自身の腕が、断じて間違っていない自信をマーラに捧げながら──

 

 

「むぅ、どこまで続くのかこの迷宮は・・・パンチで敵を砕くのも飽きてきたぞ・・・」

 

「ァ、ア」

 

「うぉお!?きゅ!急に出てくるのは止めたまえ!?」

 

「あなた、サマは。・・・『お殿様』デハ?」

 

「「「殿様!御待ちシテオリマシタ!ささこちらへ!楽園へと案内いたしマス!」」」

 

(と、殿様?明らかなる勘違い・・・だが!此処は一つ利用させてもらうとするか。いつも力で押し込むのも馬鹿げている。何処の平行世界の彼女かねそれは)

 

「よ、よし。楽園とやらに案内したまえ!」

 

「畏まりましタ。どうか土産話でも・・・」

 

「殿様、どうぞこちらへ・・・」

 

(ふ、所詮は人形。私の交渉術の前に骨抜きではないか。なんとも『気持ちがいい』くらいの騙されぶりだ──)

 

──怪しい誘いに乗ってはならない。

 

 

「ささ、盃が空ですヨ。お酒の代わりはいくらでも。ドウゾドウゾ」

 

「ササ、モット・・・」

 

「はは、うはははは!苦しゅうないぞ!着せられたこの服は最高級、この日本酒は実にうまい!ツマミは、ツマミは無いのか?」

 

「はい、どうぞ。あーん」

 

「うむうむうまうま」

 

「お酒もたくさんどうぞどうぞ~♪」

 

「うまうまかぱかぱ。うーむうまい!最高のもてなしだ!移動中のもてなしに見合わぬ歓待、大儀である!もっと、もっと振る舞うのだ!」

 

「ササ、ドウゾ」

 

「コチラへ、コチラへ」

 

(・・・む?だが私、私はなんのために、どこに行こうとしていたのだっけ・・・?)

 

──飲酒をしてはならない。

 

 

「いつの間にかまた一人・・・私をチヤホヤしてくれるレディはどこに・・・?さみしい。・・・い、いやしかし!しかし私は先に進む!何故なら、何故なら其処には楽園が待っているのだからな!大奥とはそういう、この世の全てが用意された場所!なにもしなくてもいい、何でもできる!独り占めだ!早速・・・む?」

 

『鍵』

 

「鍵が落ちているではないか。・・・もしや目の前の扉に・・・、・・・やった!開いたぞ!さすが私、ついている!先に進み・・・また扉!?」

 

(い、いやパターンは読めている。近くにいるあのカラクリが・・・持っていた!あれを隠蔽魔術で・・・そっと・・・)

 

「・・・」

 

(・・・やった!ハハ、ハハハ!見よう見まねで良くできた!才能、才能だろうなこれは!)

 

「さぁ行こう、どんどん行こう!また扉があっても同じことをすればよい!あぁ気持ちいい!気持ちいい場所だ!大奥はやはり最高だ!・・・まあ、当然か。大奥は将軍のみを招き入れ将軍のみに快楽を与える場所。ならば──『ならばここにいる私だって将軍なのだし、気持ちよく感じて何の不思議も無い筈だ──』」

 

──盗みを働いてはならない。

 

 

「うふふふ・・・うふふふ・・・」

 

「うふふふ・・・」

 

「待て、焦るな押し付けるな。大丈夫だとも。ここは大奥。大奥にいる私はそうだ・・・もてなしを無下にはできん。だから、だから行くに決まっているではないか・・・奥へ・・・もっと、奥へ・・・」

 

「はい、来てください。私達はそのために」

 

「江戸城大奥とは徳川将軍への愛に満ちた場所。私達はそれを供給します。愛を、無限の愛をあなたに──」

 

──姦淫してはならない。

 

これらを全て破り、最奥に辿り着く頃には。彼は歓待を受けるべき立派な『徳川』と化しており──

 




大奥最深部

徳川ゴルドルフ「うわはは、うわははは。苦しゅうない、苦しゅうない。もっと酒を、もっとつまみを持て。私は将軍、徳川の将軍なるぞー・・・」

ビーストⅢ【はぁい。反吐が出るほど可愛いです♪本当にありがとうございます。あなたのお陰で──】

彼を堕落しきり、招いた瞬間。ゴルドルフを通じた『ノウム・カルデア』の縁の総てを彼女は手にした。縁さえ結ばれれば、『あちら』から『こちら』に招くなど獣には実に容易き事。

【それでは・・・最後の仕上げに参りましょうか】

彼女はノウム・カルデアより召喚する。大奥を拡張させる『材料』を──



ムニエル「な、なんだここ?う、うわぁ!?体が、体が床に!壁になっていく!?」

職員「うわあぁあぁ!なんだこれ、助けてくれぇ!?」

職員「これは敵襲!?ほ、報告しろ!カルデアに伝え、伝えるん──」

ムニエル「ふ、藤丸!マシュ!逃げ──!!」

・・・カルデア職員の九割。



エミヤ「これ、は・・・!」

ジャンヌ・オルタ「何よこれ、どうなって・・・!」

エドモン・ダンテス「──遅かったか。既に我等は敵に詰まれていた・・・!」

清姫「ますたぁ!立香様!逃げて──!」

次々と召喚され、成す術もなく迷宮の床や壁に成り果てていくサーヴァント達。際限なく逆召喚は行われていく。

マルタ「この、くらい・・・っ、なんてこと・・・っ!」

ゲオルギウス「まさか、耐えることすらも許されないとは・・・!」

清謐「マスター・・・逃げ・・・」

【うふふふ・・・御安心なさい。存分に再会出来る筈です。変わり果てたお互いの姿で、きっとね】

あらゆるサーヴァントを呑み込み、そして──

【・・・はい、おしまい。ようこそ、私の宇宙へ。無限に微睡む迷宮──大奥という楽園へ・・・──】

ノウム・カルデア所属サーヴァント、残存約数騎。カルデア職員、生き残り数約三名。

【そして、さようなら。取るに足りない、この世界の儚いカルデアの皆様】

──ノウム・カルデアは、戦わずして壊滅的被害を被る。組織運用観点からの、完全敗北が確定した──

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