人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リサイクルショップ

エルキドゥ「はぁ・・・」

エレシュキガル「あら、溜め息だなんて珍しいのだわ。どうしたの?」

エルキドゥ「あぁ、ごめんよ。・・・今はネットで、大抵のものは買えてしまうだろう?今の子は、リサイクルショップを回る楽しみを知っているのだろうかと考えてしまって」

エレシュキガル「そ、それは確かに。足しげく通わなくても、発送を頼めば部屋に来てくれるのだわ」

エルキドゥ「どんどん便利になっていく文明。でも僕は手間のかかる風情も大事にしたい。友達と車で山を越え県外へ出て、リサイクルショップに並べられた見かけないおもちゃや掘り出し物を見て興奮する・・・そんな風情を楽しんでみたいんだ」

エレシュキガル(エルキドゥ・・・わ、私でよければお付き合いしてあげたいけれど・・・ここはやっぱり南極だから・・・)

エルキドゥ「ギルやエア、フォウ。エレシュキガルとリサイクルショップ巡り・・・シドゥリにナビを頼んで・・・楽しいだろうなぁ・・・」

エレシュキガル(と、とても楽しそう・・・!でもイシュタルは決して含まないところがエルキドゥなのだわ・・・)

「そんな機会、そんなイベント・・・ないかなぁ・・・」


コスモ・ギルガメスの憂鬱

「ふぅ・・・ありがとう。こんなに美味しい食料を食べれたのは、本当に久しぶり。素敵な救援、本当に感謝するわ」

 

目を覚ましたイシュタル(仮)。とりあえず生命に別状は無いとの事で、エアとリリィの提案でサンドイッチとシバの弁当をお裾分けし摂取したイシュタルなる少女は、規則正しく手を合わせ感謝を告げる。たったそれだけの動作で、もう王的には驚天動地であった。イシュタルという存在を名乗るには・・・慎ましすぎる・・・!

 

(これがイシュタルだと?我の知るイシュタルめは貢がれることを当然とし気にくわなければ村ごと滅ぼす破壊と災厄の女。愉快な女を依代にしまともにはなったがそれでも手を合わせるなど有り得ん。有り得んのだ。サーヴァントユニヴァース・・・何が起きている・・・?)

 

見たところ、未来的な黒いスーツに腰に差した刀以外に持っているものは無い。マーリン、ロマンの見立てでは相当に切羽詰まったワープ故の弊害にて記憶と宇宙船をダメにしてしまったのではということらしい。宇宙船は治せるが、彼女の記憶は・・・

 

「心配しないで、優しいギルガメス。私のやることは変わらないし、私の使命は覚えている。少し休んだら、また旅立つから。迷惑はかけないわ」

 

「ほう、トオサカの血筋と魂は勤勉かつ颯爽と生きるものだが貴様もやはり例には漏れんな。興味が湧いたぞ。我等に教えよ、貴様の掲げる使命はなんだ?」

 

王の問いかけに、毅然とイシュタルは答えた。当たり前の、格言のように。

 

「サーヴァントユニヴァースに善をもたらすの。悪逆無道を働く輩を成敗し、懸命に生きる者達を女神として守護する。それが私、善なるイシュタルの使命。セイバーを粗製乱造し、宇宙にセイバーシーズンをもたらした巨悪。『コスモ・ギルガメス』を討ち果たすことが今シーズンの私の使命。身体が覚えている・・・スペース新陰流の教えを力として」

 

「───────────────────────────────────お前もエアという至宝を手にしたのか?」

 

──いえいえいえいえいえ!?ワタシに人格漂白なんてファブリーズめいた効果はございません!ただちょっと、整理整頓が得意で風船のようにふよふよと・・・

 

(そうかな?(ズアッ))

 

「私にお礼を言ってくれたのは、アルトリアに続いて君だったんだよ?自信を持っていい。邪神も然り、君がいる限りどんな暴君だって綺麗なジャイアンさ!キャスパリーグもね!」

 

そこは同意だ!と歴史的和解を行うマーリンとフォウ。割とエアの周りでは本気でいさかいが起こらない。『そもそも争い自体が無駄だよな』なんて思考にふわりと至るためである。世の中から争いを無くすということは、人類全体が争いという概念に生産性や意義を見出だすことが無くなることなのかもしれない。そうでないかもしれない。幸せそうに世界を見つめるエアの前に、ほぼ全ての生命は昇華されるのだった。本人は無自覚である。

 

「そ、それはつまり世直しの旅!あなたもまた世を憂う騎士だったのですね!ダークで、それでいて善玉!私のマスターそっくりです!」

 

「・・・マスター?そんな前時代の遺物をここは有しているの?もしかしてここは、外来種に人間の存在を示す慰霊碑の様な場所なのかしら」

 

「ははは冗談キツイな。獅子王が目指した理想だなんて私みたいな夢魔がいれるわけないじゃないか!」

 

「マーリンは黙っていてくれないかい話が進まないだろう?・・・まず、サーヴァントユニヴァースはこちらもビミョーに知っている。しかし、コスモ・ギルガメスやシーズンというのは聞きなれない。一体君の宇宙には今、何が起こっているんだい?」

 

ロマンに問われたそれを、イシュタルは速やかに説明し始める。無駄な前置きを挟まない辺り、心胆から真面目な女神らしい。ある意味、至宝クラスの奇跡だ。

 

サーヴァントユニヴァースの現状。そこにはある意味、ロストベルトめいたギルガメッシュの苦悩が描かれていたのだ──

 

 

サーヴァントユニヴァースは、サーヴァント達が悠々自適に暮らす面白空間。その時々に流行りが変わり、流行が変わり、環境が変わる。・・・学者じゃないから、説明が下手なのは大目に見て。

 

その時のサーヴァントの思い付きがあっという間にブームになったり、1クールのイベントになったりする。それはあくまで、愉快なアニメの放送枠。そして・・・そのシーズンの塗り替えを、コスモ・ギルガメスが行ってしまった。事の始まりは、コスモ・ギルガメスのセイバー召喚15063706314回目の挑戦。彼は全世界にガチャ動画を実況し盛大に爆死していたわ。

 

「おのれおのれおのれおのれおのれぇ!!この我が!この我がこれ程手を伸ばしても我が腕に抱かれぬかセイバーよ!なんというおしゃまさんか!何枚目のクレジットカード凍結だ!また資金集めのカジノが滅びるではないか!!えぇい忌々しい・・・!」

 

いつもならメシウマ動画で済んだんだけど、そこでどういう訳かギルガメスは気付いたわ。閃いてしまったの。

 

「・・・──待てよ?『いっそ全宇宙全てをセイバーにし選定すれば、最期に残るは我が愛すべきセイバーが残るのではないか』?だってあやつ口癖の様に最優って言ってたし。遅れをとることは無かったとか眉唾物の自慢してたし」

 

そう・・・全宇宙の生き物をセイバーにし、そして戦わせ、最終的に残ったセイバーこそがアルトリア。そしてアーチャークラスであるギルガメスがセイバーを倒すことで妃にしようと・・・思い立ってしまったの。

 

「よく考えればその手があったではないか!ガチャに外れなど容認するから爆死するのだ、『そもそも外れなど皆殺しにしてしまえばセイバーしか出てこないではないか』!ふふははははははは!!天才か!我天才か!!」

 

そうした馬鹿な目論見を実行してしまえるほどに、ギルガメスは強大なユニヴァースサーヴァント。彼は自分以外のアーチャーを全て抹殺、除外し『手にしたものをセイバーにする』バッチ・セイバーバッチを全サーヴァントユニヴァース中にばらまいたわ。そうすることで、猫も杓子も皆セイバー、今シーズンは、セイバーウォーズクールに塗り潰されてしまったの・・・

 

「我以外のアーチャーは全て滅した!後は虐げるセイバー、セイバーの餌たるランサーのみ!さぁ切磋琢磨するがいい雑種どもよ!最期に我が前に立つセイバーこそ!我が妃に相応しき金髪碧眼の騎士よ!ふふははははははははははははははは───!!!」

 

セイバーは粗製乱造により全世界を荒らし回り、セイバーを刈るアーチャーがいなくなった事によりランサーは絶滅寸前に・・・今やユニヴァース世界の九割がセイバーになってしまったわ。そして・・・私は、ギルガメスの追手から逃げてきた最後のアーチャー。家族も、仲間たちも、皆ギルガメスとセイバーにやられてしまった。私は皆の最後の力を受けて、別次元に・・・

 

・・・私はギルガメスを倒すわ。この命に代えても。でもそれは、恨みや憎しみなんかじゃない。これ以上、大切な人達を失う悲しみを味わう人達を産み出さないために。

 

正義と、自由と、平和の為に。亡くなっていった仲間達の魂の安らぎの為に。私は女神、イシュタルとして戦うの。

 

それが、私の生き残った意味──『善の女神』の使命だと信じているから──

 




イシュタル「・・・回想終了。ごめんなさい、ちゃんと伝わったかしら?」

ギル「よし、気が変わったぞ者共。イシュタル絡みで気が乗らなかったが、最早一秒でも早くギルガメスとやらを仕留めるのも吝かではない。たわけがッ!!ガチャを回して敗北を笑い飛ばせずしてなんとする!当たりだけのガチャなどただの自販機ではないか!!」

──イシュタル様っ!どうか、どうかお力添えをさせてください!

(一緒に頑張ろうイシュタル様・・・あなたがナンバーワンだ・・・!)

マーリン「これはチャンスだよリリィ!君がギルガメスを始末し名を上げれば君こそがサーヴァントユニヴァース最高のセイバー!コスモセイバーリリィとなれるんだ!宇宙に名を轟かす逸材に君がなれる!私も宇宙流行をしてみたいしね!」

リリィ「私の事などどうでもいいです!どうかその尊い願いに、我等楽園の力を託させてはもらえませんか!?」

ヒロインX「きたないユニヴァースは滅びなさい!!(アークライズ)」

イシュタル「・・・いいの?私、まだ出逢ったばかりで・・・」

ロマン「あはは、確かに戸惑うかもね。でも・・・(手を握り)」

イシュタル「ぁ・・・」

「僕たちは、人助けするのが楽しいから・・・ね?(ロマンスマイル)」

イシュタル「・・・ありがとう。優しいお医者様」

マーリン「抜け駆けだ!抜け駆けだぞキャスパリーグ!いけ!はかいこうせんだ!!」

フォウ(バッチは?ボクのレベルは1000000000だぞ)

マーリン「そんなもの、夢魔にはないよ!」

(死ねぇ!!)

マーリン「ぶはぁあ!?」

ギルガメッシュ「話と腹は決まったな!!我等はこれよりサーヴァントユニヴァースに赴き、下らぬ駄作アニメめいた1クールを終焉に導く!この尊きイシュタルめの顛末は必ず愉快なものとなろう!人類が遥か先に味わう愉しみ!一足先に味見と行こうではないか!」

「「「「おーっ!!!」」」」

ロマン「あ、レオナルドかい?ひとまずマスター達には内緒でさ、宇宙船直したいんだけど・・・」

イシュタル「・・・これが、どこかの次元にあるとされていた伝説の『楽園』・・・?」

──いいえ、本当はそのように尊きものではなかったりするのです。ワタシ達は、そう!

「?」

──誰よりも楽しい事が大好きな!愉快な仲間達なのです!

ギルガメッシュ「アルトリア、行くぞ!お前を差し置いて最強のセイバーなど言語道断!貴様を蔑ろにしたギルガメスとやらに地獄を見せてくれる!」

ヒロインX「はい、ギル!貴方以外のギルガメッシュなんて贋作、存在すら認めません!!」

イシュタル「皆・・・。ありがとう・・・」

こうして、彼等は様々な思惑を胸に旅立つ準備を行う

《一足早い宇宙旅行となったが、宇宙飛行士も訓練はするであろう。共に訓練がてらの漫遊といくぞ!エア!》

──はいっ!いつも頑張っているリッカちゃん達のために、銀河デパートでリラクゼーショングッズを買い漁りましょうね!フォウ、無限の彼方へ!

(さぁ行くぞーっ!!)

宇宙へ向かう、花の旅路が始まる!

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