『ロイヤルおみやげ』
「自室で何度も反芻しなきゃ…ん?」
『エッチなことしないと出られない部屋』
リッカ「えっ!?──わ、わぁあ!?」
(吸い込まれる!?この強制力、神霊クラスの──!)
「ふぁーーー!?」
〜
カーマ「ごめんなさい、リッカさん、グドーシさん。でも…私は全力で遂行したいリクエストを受け取ったのです」
『1500回記念!リッカとグドーシをくっつけろ!』
「愛の女神として、これほど奮起するべき願いはありません。盤石を期して…!王手をかけさせてもらいます!」
『マーラがかつて作った大奥の極小スケール版!私とグドーシさんとリッカさんだけの宇宙を其処に!カーマ必殺、サンサーラ・バケーション!これで末永く二人を幸せな道へ導いてみせますからね──!!』
フォウ(ん?)
キアラ『意味が解ると素敵な御話♥』
(なんだあいつ…)
『エア姫様へは命中率100%。リッカさんは愛する者へは一切の抵抗をなさいません。マシュさんは実は積極的にそういった知識を取り入れるつもりで、オルガマリーさんは尽くしたいタイプです ソース 千里眼(獣)』
フォウ(なんの話だあのアバズレェ!!藤丸君のカルデアで大人しくしとけよぉ!!)
「おや、いらっしゃいましたなリッカ殿。いや実にはっはっは。いやはや実にはっはっは」
「グドーシ!?なんでここに…!?もしかしてグドーシも!?」
エッチなことしないと出られない部屋。割とオブラートなのか直球なのか良くわからない部屋に強制的に招かれしリッカの目の前に現れた、というか放り込まれたのは我等がセイヴァー、救世主グドーシ。誰がどう見てもレジャーホテルの一室なその景観で、二人はピンクな再会を果たす。
「カーマだね!?」
「カーマ殿でしょうなぁ」
『ブーーーーーッ!!!?』
真名看破完了。こんなあからさまな関係促進の空間などカーマ以外にあり得ないと二人は頷く。魔王は確かに二人を招き入れた。しかし騙し通すには相手が悪すぎた。二人は即座に辺りを破壊し脱出を…
「まぁカーマが私達にやることが無理矢理な訳ないだろうし。せっかく二人きりなんだから、色んなコト話そうよグドーシ!互いに別れたあとの話とか、色んな事をさ!」
「えぇ。カーマ殿も粋な計らいをしてくださいます。日々多忙なリッカ殿を一時独り占めとは。これは男冥利に尽きますなぁ。ではリッカ殿、御話をお聞かせくだされば…──」
ベッドの淵に座りながら、二人は話し始める。互いにどんな旅路を歩んできたのか、どんな功徳を積み、どんな道を進んできたのか。笑顔にて肩を寄せ合いながら、生命の巡礼を振り返る──。
〜
「くっ!目論見通り行った筈なのにまるで手応えが無いのはきっと気の所為では無いはずです…!流石はグドーシさん、流石はリッカさん…!一つ屋根の下においてまるで劣情を互いに抱かないのはまさにマーラ絶対退けるボーイミーツガール!」
(しかし今、今しかチャンスは無いんです!リンボとかいう論外の男を退け、部員の方からリクエストが来た今しか…!こうなったら更に更に仕掛けを…!)
『でさー、それでね!あのね!』
『ふむふむ、なるほどなるほど。即ち…』
「………」
(…もう少し、このまま邪魔されない二人の姿を見ていても…バチは当たりませんよね)
〜
「本当に、お互い良い意味で見る影もありませぬ程に育ちましたな。人類の至難で成長するというのは中々な皮肉ではありますが、それもまた人の世の流れ。こうしてまた出会えたことも含め…」
「うん、そだね!私、本当に生きてて良かったって毎日思ってるからさ!」
そうして語り合い、互いの生きた日々を振り返るリッカとグドーシ。こうして何者も阻めない空間というのは、大いに貴重であるが故に。カーマの粋な計らいに、二人は感慨を抱く。
「カーマはずっと、見ててくれてたんだもんね。私達の事。神様にも見放されて、助けてくれる人なんていないと思ったけど…そんな事なかった」
「えぇ。カーマ殿は死に行く僕を見捨てず、拾い上げてくださった。まぁこう仰ると、カーマ殿は助けられなかったと泣いてしまうのですが」
「単なる生死の話じゃ、ないもんね」
「然り。ただ無に還るのみだった命に、資格を与えてくださった。一を救い、覚者の目に留まる資格を。かの愛の女神に、感謝しなかった日はありませぬ」
「カーマ〜!ありがとね〜!カーマは私達の、守護女神だよ〜!」
〜
『カーマ〜!ありがとね〜!』
「うぐふっっっ!!く、うっ…リッカさんとグドーシさんの感謝の気持ちが、私の愛の女神の部分を抉り貫いてきます…!私はもっとラブを捧げる事が出来るはずと…!」
(流石です二人共…申し訳ありませんが、私はやっぱり二人の関係を進展させたいんです!人生を添い遂げる関係である様な、素晴らしい生涯のパートナーに…!)
「ですから、ですから私の全身全霊を込めて…!二人を祝福させてください!私はあなた達の愛を、あの日出来なかった無念と後悔を昇華したいんですから…!」
〜
「多分カーマは私の交際関係を心配してくれてこういう事したんだと思う」
「えぇ。恐らく僕達の関係を後押ししたい、はたまた、あの日の無念のリベンジ…といった気持ちもあるかと」
「嬉しいね、グドーシ。私達の前途をこんなにも考えてくれる人がいて」
「ええ。僕等の事をこんなにも考えてくださる方がいる。これ程光栄な事はありますまい」
彼女らは閉じ込められたとは考えていない。ただ自分達の未来を、人生を真剣に考えられたが故にこうした一幕が与えられたのだと理解している。少なくとも楽園のカーマは最高の愛の女神だ。ならばこそ、二人がまた離別するなど考えたくない結末なのだろう。
「どうですかな、リッカ殿。殿方との交際は考えておられで?」
「ちょ、直球だね…!」
グドーシの答えに、リッカはしどろもどろに動揺しつつもその胸中を語る。数多無数の英雄英傑が集う楽園にて、いやそれより先の考えを、持ってはいるかと問われた答えを示す。
「もちろん考えてるよ。思い切り誰かを好きになって、家庭を持って、産まれてくる子供に生まれてきてくれてありがとうって言うのが私の人生の目標だからさ。ちゃんと相手を見つけて、ちゃんと心を通わせて…そういう恋愛を、ちゃんとしたいって思う」
「えぇ、とても素敵な夢です。どうですかな?意中のお相手はおりますかな?」
「え、えっとね。決められてないんだよね。なんていうか、誰も彼ものいいところを見るようになってから、逆にこの人!って決められる事もできなくて…優柔不断だって解ってる!すごく良くない、いけないことだって!」
「………そんなことはござらぬよ」
「ありがとう。でもね…今は、少なくとも大好きなものがあって、それを裏切るのだけはしたくないんだ」
「聞いても、よろしいでござるか?」
「うん。それはね…今、私の事を支えてくれる皆とその明日、そして皆が生きる世界が大好きなんだ。そんな世界を救う為に選んでくれた皆が、何よりそんな今を生きている皆が大好きなの!だから…皆の幸せを護れることが、何よりの幸せだから。今はまだ、誰かと付き合うとか…自分の幸せを追い求めるのは、考え無いようにしてるの」
「家庭や意中の相手を持ち、使命と家庭を天秤にかける事を良しとしないが為ですな」
「うん。私は今、今の自分をこれ以上なく誇りに思ってる。だからこそ、だからこそだよ?私は今、自分だけの幸せを追い求める事はしたくないんだ。一人の人間として、皆の笑顔や幸せを護りたい。それが出来ている今が、一番幸せだから」
「えぇ、分かります。ではリッカ殿が幸せを求めるのは…」
「うん。地球が平和になって、ギルと姫様が宇宙に旅立つその日から…私は素敵な、添い遂げたいと思う人を見つけたいなって思ってる。だから絶対負けないんだ。皆の今と、未来の私の幸せの為に!誰かのためと、自分の為!欲張りな女なの、私って!」
〜
「リッカさん……崇高にも程がありますよ…グドーシさんと同じくらい、無欲じゃないですか…」
(幸せを求める時は、幸せだけを求められるその日が来るまで。全く妥協しない、リッカさんらしい答えです。本当に…)
〜
「それでは──僕もリッカ殿に約束致しましょう。僕は絶対に、君を一人にはさせませぬ」
「えっ?」
「僕はリッカ殿を愛しています。誰よりも幸せを祈っております。あなたこそ、僕がこの世に懐く唯一の想いにして念。僕はそなたという人間の幸せを見守りたくて、ここにおります」
「グドーシ…」
「ですので…もし貴女が幸せを求める際、万が一にも相手の見当が付かなかったのならば。貴女を世界が拒否するならば。どうか貴女に言わせてください」
グドーシは唯一…彼の欲にして念である少女に告げる。きっとカーマは、後押しが目的であるだろうから。
「あなたに恋をしました。どうか傍にいさせてください…必ず、貴女に僕は伝えます。何があろうと」
「…ありがとう。ホントに、ホントにありがとね。グドーシ」
「どうか、未来への憂いなくお進みください。貴女の未来を祈り、願い、寄り添いたいと願う者はここにおります。貴女を絶対、独りにさせぬと誓う者はここにいますから」
グドーシの言葉に、リッカは頷き手を握る。そして、また言葉を返す。
「その時はさ、その時がきたら…私に言わせてよ、グドーシ。というか、男の人には私から言うって決めてるからさ!」
「ほう?」
「『大好きです、私と結婚してください』って!まだ誰に言うかは決まってないけど…私、グドーシには特に心を込めて言うつもりだから!心から、大好きだよって…!だから期待しててね、グドーシ!」
「えぇ、ではその為にこれからの日々を生きましょう。我等の未来を、奪わせぬ為に」
「うん!世界に生きる皆の幸せを、護るために!」
求めるはまだ、己の愛ではない。いや、きっと誰かの幸せと自分の幸せは等価値なのだろう。リッカはただ、ひたすらに駆け抜けるのだ。
だが…彼女は決して一人にはならない。平和を取り戻した際、彼女はきっと告げるだろう。
一人の少年に、平和という巣にて翼をたたみし龍はきっと…彼女の幸せを共に紡げる彼に告げるだろう。
いつか、平和が戻るその日を夢見て──彼女は未来の伴侶と生きる今を、護り続ける──。
リッカ「き、きき、気持ちは再確認したけれど…ホントに?ホントにエッチなことしないと開かないのかな…?」
グドーシ「ふむ、一つ問題があるのですが今の僕は人の七欲完全カットな霊基な為、リッカ殿を目の前にしても心に劣情が全く浮かばないのでござる」
リッカ「さ、さすがセイヴァークラス…!だって魅力的な人達に支えられた私が魅力的じゃないはずないもんね!」
グドーシ「えぇ。ですのでやはりここはカーマ殿に誠心誠意…おや?」
リッカ「…開いた?いいのかな、出て?」
外
カーマ「二人共…ありがとう、ございました。精神、魂におけるアルダー(男女合一)を見させていただきました。これには肉欲などただの児戯でしかないという程の…」
リッカ「なんかサラサラしてない!?」
カーマ「リッグドが結ばれる世界に、…幸あれ…(がく)」
リッカ「カーマーっ!?」
カーマ(リッカさんにとって、付き合う=一生を添い遂げる…まずは軽いお付き合いなんて概念が元からない事を失念していた私の負け、です…)
グドーシ「カーマ殿…どうか穏やかに…安らかに…」
カーマの尽力により…リッカとグドーシの魂は更に距離が縮まるのであった──。
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