夏草駅前
リッカ「まさか夏草でビルを見上げる日が来るなんてたまげたなぁ…」
マシュ「一年前は違ったのですか?」
リッカ「大きい建物なんてもっぱらデパートとかだったんだよ。遊びに行くなら商店街とか、電車でアキバとかそんな感じで…ホント、市長さん凄いなぁ…」
グドーシ「……」
〜
カーマ「はっきり言ってこの発展ぶりは異常です。私とアジーカさん、アンリマユさんで色々探ってみますから、リッカさんたちは楽しんでくださいね!」
〜
グドーシ(…穏便に済めば良いのですが)
早苗「これじゃあ守矢神社も入れる場所はありませんね…お引っ越しして正解でした…!」
じゃんぬ「摩天楼エリアってよく出来てたのねー…そっくりじゃない。大丈夫?田舎娘臭さ抜けてる?」
マシュ「イケイケのヤンキーでしょうか!」
じゃんぬ「うっさいいいとこのお嬢様!」
?「すみません、少しよろしいでしょうか?人を探していて…」
リッカ「あ、はー、い…」
縷々「すみません、髪が橙で金色の瞳、快活な印象の爽やかでカッコいい女の子、藤丸立香というのですが…」
ゆかな「〜〜(笑いをこらえている)」
リッカ「…私です。それ、私!」
ルル「え?だって身長とか顔が…、…!?…!?(見返してる)」
リッカ「久しぶり!ルル!」
早苗「ゆかなさん!!」
ゆかな「早苗!お前もいたとはな…!」
ルル「オレンジィィィィィィ!!?」
「あっはははっ!あはははは!全く、どれだけ女の子の扱いに疎いんだ。笑わせてくれるじゃないか坊や、久しぶりに腹の底から笑わせてもらったよ。くふふっ、くくっ…」
駅前にて落ち合った、リッカの同級にして友人、しぃしゆかな(漢字の表記は自身の意向によりまちまち)がファミレスの一角にて大笑いを相方に向ける。よりにもよってリッカをリッカと認識できない無様をやらかした相棒に、腹のよじれが収まらないといった様子だ。緑髪と金髪のけだるげな美人が涙を浮かべて笑う絵姿はそれだけで様になると言うものである。
「笑いすぎだ、ゆかな…!いや、本当にごめんよリッカ。その…見違えたからさ」
真面目で純朴、それでいて知略と知性に溢れた秀才、福山縷々は目頭を抑え己の不覚を恥じる。長身に黒髪の短髪、アメジストの瞳に甘いボイスは女子にもっぱらの注目の的である事は想像に難くない。しかし、彼は童貞である。童貞である。
「いいよいいよ、むしろ嬉しいから!紹介するね、こっちの緑髪の女の子はしぃしゆかなちゃん。アンニュイで気まぐれな猫みたいな子で、マスコット扱いされてたりするんだ。こっちは福山縷々!真面目でイケメン、残念さのギャップから女子に大人気!」
「うちのリッカがお世話になっているな。ゆかなでいい。見ての通り気怠げな美少女だ、仲良くしておいて損は無いぞ?」
男口調で、魔女のようにクスクスと笑う神秘的な女子、ゆかな。彼女は呪いで長寿…という訳ではなく、そういう話し方が好きなだけである。実家がシスターで懺悔を聞く立場なため、普段は悪い子でいたいというのが理由らしい。
「そしてこいつが私の玩具兼使い走り、福山縷々だ。真面目で頭は回るが女の扱いはからっきし。異性として見られない私とチェスで対等と認めるリッカとしか女子と話せないヘタレの駄目人間で童貞だ。よろしくしてやってくれ。私がいないと喪男の生涯独身まっしぐらなさもしい男なんだよ」
「どどどど童貞ちゃうわ!お前の様なピザシスターなぞこっちからお断りだ!…福山縷々です。リッカの御学友、どうぞよろしく」
日本を侵略した外国の皇子…ではない、日本生まれの黒がイメージカラーな純朴少年、縷々。ゆかなにからかわれながらも、人当たりのよい笑顔で臆することなく礼儀を交わす。絶対遵守の力…といったものは当然持たず、誰よりもモノを考える一般人なだけである。テトリスとチェスで戦術は学んだ。イレギュラー、或いはジョーカーに死ぬ程弱い甘ちゃんである。
((凸凹コンビだ…))
じゃんぬとマシュが思い浮かべた感想は奇しくも同じであった。お互いあけすけだが険悪さは微塵もない。というか、傍から見れば全然いい感じのカップルである。そして何より美男美女であり、疑う余地はどこにもないほど顔面偏差値が高い。
「早苗もまさか拾ってくるとはな。緑髪連盟、思わぬところで復活だな?」
「覚えていてくれたんですか!ゆかなちゃん!?」
「忘れないさ。私はやらないだけで大体の事はできるハイスペックゆかなちゃんだぞ?面倒だからやらないだけなのさ」
「へぇ…でも、誠実で真面目ってところは好感持てるわね。ジャンヌよ、よろしく」
「シッダールタでございます。お見知りおきを」
「マシュ・キリエライトです!イエス・ユア・委員長!仲良くしてください!」
「あ、あぁ。よろしく頼むよ。リッカと仲良くしてくれて、ありがとう」
(流石はリッカだ…見たところフランス人に…名前からしてインド国籍か?あの紫髪の子はどことなく人間離れしているから読めないが…多国籍の人々と仲良くできている。持ち前のコミュニケーション能力、衰えていないな)
ピザを食べさせっこさせている早苗とゆかなを他所に、リッカの外国における懸念が杞憂であった事を知り、縷々は胸を撫で下ろす。
(言葉の壁とは厚いものだ。コミュニケーションが上手く取れず環境に馴染めず帰国、または身持ちを崩すなどよくある話…恐らく彼女達に日本語や日本の魅力を教えたのはリッカなんだろうな。流石は俺の対等にして無二のガールフレンド、世界に轟く逸材でなくては)
(始まったよ、福山名物脳内礼賛高速思考。少しでいいから口に出せと言うに)
ゆかなの呆れた目線に気付かず、腕組みにてしきりに頷く縷々。彼は人を褒め、美徳を見出し、人を活かすタイプの人間なのだが…コミュニケーションが苦手であり人を褒め称えるのに口に出さない。本人的にそんな事無いのにミステリアスキャラで通っているのを理解しているのはリッカ、ゆかな、妹、そしてもう一人の親友のみである。だが、その誠実さから彼を嫌うものはいないと言ってもいい。愛される残念なイケメンなのだ。彼女はいないし作れていない。
(そんなお前の為に俺は策を練った!お前がいつ帰ってきてもいいよう、進化した夏草の見処を纏めた帰郷・夏草のしおり!フフフハ、イラストは我が妹七梨に描いてもらった傑作、ありとあらゆる場所の楽しみ方やレポート、豆知識や来歴を俺が徹夜で纏めた王のしおりだ!)
「へー、外の世界のファミレスはこんな感じなのね。パフェの美味しさ、見せてもらおうかしら」
「先輩!フライドチキンの骨を食べてはいけませんよ!」
「食べる人がおかしいんだってね、アレ…肉汁美味しいのにな…」
(さぁリッカ!お前の歓迎、先手にして王手を俺がかけよう!これでチェス以外にもお前に少しは近づけ…──)
「ねぇねぇ、ルルは何か頼まないの?」
メニューを差し出してくるリッカ、その何気ない一言に…縷々は硬直を晒してしまう。一年前とはまるで違う、目の前の成長し帰郷してきた彼女の顔を、童帝縷々は目の当たりにし思う
(こんなに…可愛いかったか?君は…?見ればネイル、若さに奢らぬスキンケア、化粧、まつげ、二重まぶた、リップにヘアの手入れ…どれも一流モデルもかくやの出来栄えの仕上がりじゃないか…)
何故こんなに詳しいかと言うと、「俺だって本気を出せばモデルを娶れるぞフハハ」と背伸びしモデル雑誌を食い入るように見ていたからである。
「?どうしたの?」
(ッ…!!今のこう、髪をかきあげて首をクイッ、とするとこッ!!可愛い…もう動作からして可愛いぞリッカ!どういうことだ!性別リッカの君はどこに行ってしまった!?計算が、いつも俺がやる地形崩しばりに崩れてしまった…ッ!)
お互いいつになったら付き合いが出来るんだろうな?と傷を舐めあっていたつもりの少女が、下手すれば一流ハリウッド俳優にすら貰われそうなメイクアップビフォーアフターぶりに人知れず驚愕を顕にする縷々。もちろん、そこに即座に気づける縷々は女性にとって嬉しい男性であるのだが…
「ちょっと、縷々ってやつ顔色と脂汗やばくない?具合悪いの?」
「お腹いたいいたいでしょうか?」
「いやいや、甘酸っぱいですなぁ…」
(落ち着け、落ち着け俺!いや見ればスタイルもずっとずっと凄くなっていないかあらゆる意味で高校生離れしていて何があったんだ本当に何がいや待て渡すんだ、しおりを渡すんだ…!リッカが帰ってきたんだ、帰ってくると楽しみにして作ったしおりなんだ、唯一のガールフレンドを蔑ろにしてたまるか──!)
「あ、あの、リッカ、こ、これ…」
リッカの進化ぶりに、童貞モード全力な縷々が、慌てながらしおりを手にしたその時──
「熱ある?ん〜、ちょっと熱い?」
「!!!!!!」
リッカ、縷々の額に自分の額を当て体温を確認する。それは一年前にも時々押し黙る縷々に度々やっていた仕草であり、お互いなんとも思っていなかったのだが。一年で飛翔した今のリッカが行ったなら…
「お──うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお……!!!!!」
「ルル!?」
「ふふっ、ダメだぞリッカ。今のそれは、男としてまるで変わらんこいつには劇薬だ。なぁ、童貞くん?」
「童貞ちゃうわぁあぁあぁあぁあ!!」
自身の遠い所に行ってしまったリッカの魅力の暴力に、突っ伏しながら叫ぶルルであったとさ…
夏草水族館
マシュ「おぉー!これがニコニコマナティ!ニコニコです!」
じゃんぬ「海の底ってこんなのがうじゃうじゃいるワケ?ちょっと引くかも…」
グドーシ「すみませぬ、朱雀殿。案内をお頼みしてしまい…」
櫻井朱雀「気にしないでください。彼、どうやら久しぶりの再会で舞い上がってしまっているようで」
早苗「ゆかなちゃん、この水族館を見て一言!」
ゆかな「今日はシーフードピザだな…」
ルル「………(ぽけー)」
リッカ「ホント、大丈夫?おーい?」
「えっ!?あ、あぁ、もちろんだよ、大丈夫さ!元気さ!」
リッカ「ほんとぉ?ならいいけどさ!しっかりしてよ、委員長!」
ルル(間近に来られると…目のやり場に困るだと…っ!?最早俺の知るリッカではないっ!バスケで追い上げ逆転してくる朱雀並の暴虐だっ…!)
「え、いや、その…えっと…」
ゆかな「〜。久しぶりに見て、お前達の立派さに感動しているんだよ、そいつは」
縷々(!)
「嫌いになったわけでも、付き合い方を忘れたわけでもない。…少しずつ話してやってくれ。お前達の話を」
リッカ「そういう事!それならもちろん!どれだけ時間が経ったって、皆は私の大事な友達だよ!縷々も!」
縷々「……」
(…壁を作ってしまっては、本末転倒、か)
「…すまない。君があまりにも…ミリキ的になって、戸惑ってしまった」
(噛むな、バカめ…)
((噛みました!))
(噛みましたな…)
「改めて…これから滞在の間、よろしくな。リッカ。いつもみたいに、フレンドリーで頼むよ」
リッカ「うん!色々回ろうね!」
二人は変わらぬ友誼の握手を交わし…
ルル「いだだだだだだだだだだ!!」
リッカ「えぇ!?全然強く握ってないよ!?」
ゆかな「気にするな、そいつは運動不足が酷いだけだ」
朱雀「あはは…」
悶絶する縷々を、苦笑いと呆れ顔で見つめる二人であった。その後、皆でイルカショーなどを存分に楽しんだ──
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