人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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田村麻呂「なんだテメェは!袴にグラサンなんて和洋折衷かましやがって、かぶれか!」

亜門「フフフ…流石は日本に名を轟かす征夷大将軍、坂上田村麻呂。その力は紛れもなく日本の英傑の中でも最強クラスだろうな」

田村麻呂「アホ抜かせ。俺様は確かにすげぇが、上には上がいるんだよ。タケちゃん様や将門公とかな!」

亜門「いずれそれらの英傑も我が妖刀の糧としてくれよう…。この『夢龍砕』のな!」

桐生「亜門…やつもサーヴァントというのは本当なのか?」

サイの花屋「気、気をつけろ…桐生!」

桐生「花屋…!」

「そいつは新選組が活躍した幕末の時代、妖刀で数多の人を斬った恐ろしい妖刀使い、亜門玄丈斎だ…!お前が何度も戦った亜門一族の先祖と言っていい。ヤツの妖刀は、斬った相手の力を永遠に奪うと伝わっている…!」

スズカ「フニー!」

田村麻呂「スズカ!無事だったか!」

亜門「弱者と三味線弾きは殺さん。この街の何処かにある聖杯の在り処を調べてもらわねばならんからな。さぁ…御託は良かろう。二人の強者よ!我が刀の錆となれい!!」


男達の生き様

「しぇえぇあぁあぁ!!!」

 

サングラスをかけた侍、亜門の一撃が闘技場を襲う。邪気を纏った妖刀の一撃は、近くにいなくば斬れぬ刀の物理法則を大いに歪め、蹂躙する。

 

「────ッ!」

 

桐生と田村麻呂のいたリングが、仕切っていた金網が一瞬でズタズタに引き裂かれる。紅きソニックブームが巻き起こされ、瞬時に両断されたのだ。

 

「この剣技…確かに人間技じゃあねぇな…!」

 

「幕末だぁ!?そもそも日本出身英霊なのかよテメェ!剣からビームはブリテンの十八番じゃねぇのか!」

 

「フフフ…我は強者を喰らい、そして糧とする者!はぐれサーヴァントである身なれど我が野望が変わることはなし!即ち、無双の境地!強者の血肉!」

 

二人の狭間に入り、縦横無尽の乱舞にて襲いかかる。無数の残像と斬撃の軌跡はサーヴァントである事を加味しても常軌を逸した非常識さの極みだ。小次郎、沖田など魔剣を使うサーヴァントはいるが、紛れもなくそれに名を連ねるに相応しき技量を有している。

 

「ッ、これは…!」

 

坂上宝剣で受け止めた田村麻呂は、糧にすると謳うその言葉が真であることを見抜く。受け止めた刃に纏わった妖気が、ウイルスのように坂上宝剣を蝕む動きを見せる。サーヴァントはエーテルで編まれた霊体、それらを捕食していると彼は冷静に見極めた。

 

(魂魄を喰らう妖刀か!めんどくせぇイロモンだぜ…!)

 

「そうら!逃げ回るばかりでは勝てんぞ現代の斎藤一よ!」

 

「何の話だ…!俺は桐生一馬だ!」

 

妖刀にかまけているだけの存在であればまだ付け入るスキはあるが、彼自身も相当な剣客であることは防戦一方の桐生の状態からも見て取れた。残像が見えるかのような素早さと間合いを図らせぬ動きにて、桐生を思うままに翻弄している。

 

何より、二人は全力で戦っており余力など残すつもりは毛頭なかった。確実に力を奪うために、その間隙を狙ってきたのだとすれば。彼は戦闘狂というだけでなく狡猾な狩人であり暗殺者と言わざるを得ない。大将軍的に嫌なのが強い暗殺者であるのだ。おちおち寝ていられないからだ。

 

「予想通り、お前たちはいい具合に疲弊しているようだ。流石の私も大将軍に現代の斎藤一…坂本龍馬を相手にしては骨が折れる。機を見計らった我が策略に見事に嵌まるとは」

 

「ハッ。小賢しい手で粋がるんじゃねぇや。俺もカズマくんも元気いっぱいよ!なぁカズマくん!」

 

「フッ…当然だ。お前には、とびきりの喧嘩を台無しにしてくれた借りがある。それをコイツで返さなくちゃならねぇからな」

 

しかし、亜門という共通の敵は桐生と田村麻呂を同じ方向に向かわせ共闘させるという副産物を生んだ。飛び入り参加の最悪の敵に、二人の最強の伝説が結託したのだ。

 

「フフフ、それでいい。足掻いてみせろ!その強者の力を私が骨の髄まで食らってみせよう!」

 

(とは言っても、万全でもチクッと手こずるくらいの強敵と見たぜ。果たしてリッカのサポートのねぇサーヴァントと、オレが本気でボコったカズマくんで無傷で倒せる相手かどうか…)

 

田村麻呂はやかましく熱血であり馬鹿だが愚かではない。大将軍ならではの冷静な状況分析と戦力査定は微塵も翳らず発揮される。頭を使うのは鈴鹿任せなのでノリで生きているだけなのだ。

 

「参るぞ!二人の強者よ!!」

 

星三くらいにまで弱体化は抑えてぇな、などとおどけた考えを浮かべ冷汗をかいた──その時だった。

 

「シャアァアァァァァァァァァァ!!!」

 

「むぅ!?」

 

瞬間、桐生でも田村麻呂でもない気迫が亜門を穿つ。それは田村麻呂には『般若』に見えた。女が変生した、女の情念の化身。そして、紫の『気炎』。奔ったそれが、亜門を食い千切らんと駆け抜けたのだ。

 

「何奴!?」

 

突如の奇襲にも対応してみせるのは流石というべきだろう。刀身で弾かれたその人影は、空中で丸まった猫の如くに回転し桐生と田村麻呂の前に着地する。──その背中には、般若の入れ墨。

 

「──水臭いやないか!桐生チャーン!!カルデアっちゅう組からの喧嘩、俺に黙ってやらかすなんてイケずな真似やめや!」

 

眼帯、そして気炎の紋様が柄に掘られたドス。痩せ型なれど狂気を片目に宿した男。それは、この神室町にて桐生と双璧を為す男。──堂島の龍、そして『嶋野の狂犬』。

 

「真島の兄さん…!?」

 

真島吾朗。桐生とは何度も鎬を削り、硬い男の絆で結ばれたパートナー。彼もまた、ライバルの窮地にやってきたのだろう。

 

「花屋のおっさんに呼ばれてなぁ。カルデアに呼ばれた縁もあるから助けてやってくれっちゅう御題目よ。渡世に生きるもんなら、縁は大事にせなあかんなぁ、将軍様?」

 

「お。俺様も知ってるのか!」

 

「当たり前やがな。征夷大将軍、坂上田村麻呂…桐生ちゃんの後は俺とも喧嘩してもらうでぇ、将軍様。んならまず──」

 

縁と義理人情、そして喧嘩の匂い。男が男を助けるのはそれだけでいい。三人が肩を並べ──共通の敵を見定める。

 

「せっかくの喧嘩を邪魔しくさった、あのダサいグラサンをしばくとしようないか!!」

 

「ったく…アンタはホント、読めねぇな」

 

「オレはオレに気さくなヤツは大好きだぜ!卑怯だなんてほざくなよ、グラサン!テメェが仕掛けた喧嘩だからなぁ!」

 

「フッ…料理は並べれば並べられる程心が踊るというものよ!さぁ、始めるぞ!!」

 

亜門、そして桐生、真島、田村麻呂。神室町の頂点、そして英傑を交えた最後の戦いが幕を開ける!

 

「数の不利などこうすれば無きに等しい!亜門の暗殺術、とくと見るがいい!」

 

そう叫んだ亜門は影を伸ばし、なんと四人に分身してみせる。どれらが虚像というものはなく、どれらも真実本物という精度の恐ろしき技だ。

 

「NARUTOかよ!!」

 

「ほーん?せやったら…俺も増えたらええだけの話やないかぁ!!」

 

瞬間、真島も四人に分身する。真島吾朗は紛れもなく人間ではある。ならばなぜ分身が使えるのか?それは彼が、真島吾朗だからである。

 

「他の亜門は他の俺が引き受けたるわ!俺らはマジモンの亜門をやったるでぇ!!」

 

「あぁ!!」

 

「ヤクザってのはすげぇんだな…!さぁ、覚悟しやがれ!!」

 

「ぬぅう!!」

 

桐生の拳、真島のドスと足技、そして田村麻呂の凄絶豪快な剣技。それらに余裕を保てる者などそうはいない。それでも4分の不利に抑えながらも、亜門は確実に追い込まれていく。

 

「そうでなくては…!嬉しいぞ、古今東西の強者よ!」

 

「さっさとくたばりやがれ!テメェなんぞお呼びじゃねぇんだよ!!」

 

押しはするが、致命には至らぬ戦いが続く。妖刀夢龍砕の異様な魔力は三人の勘をもってして絶対回避に終始させるほどの異様さを放っているため、最後の一押しが決められない。亜門の技量も合わさり、三人がかりで千日手が精一杯なのが現状なのだ。

 

(なら仕方ねぇ、サーヴァントのオレ様がいっちょスキを作ってやるしかねぇな!)

 

サーヴァントであるなら、弱体化しようが霊核が無事ならば何度でも立ち上がれる。強さが無くなったとしても不能でなければ構いはしない。鈴鹿を抱けるかどうかが田村麻呂にとっての強さの全てなのだから。妖刀に喰われて困るものは何もない。弱体化しようが自身はリッカの、カルデアのサーヴァントなのだから。

 

「やってや──うおっ!?」

 

「鳩尾もろたでぇ!!ヒィイィアァ!!!」

 

なんと、田村麻呂が決意を固めるより何倍も早くに亜門に致命を浴びせた男がいた。真島吾朗、気炎のドスが亜門の霊核を正確に貫いたのだ。それはまさに、数え切れぬ死地を何度も潜り抜けた狂犬の勝負強さであった。

 

「ぐぬぉおっ!!だが──貰ったのはこちらも同じよ!」

 

 

突き刺しバックステップを刻んだ真島に、驚異的な踏み込みを披露し唐竹割りをなさんと振り被る亜門。

 

「現代の沖田総司!その力貰ったぁ!!」

「うおぉっ!?」

 

「おおおぉぉぉおぉおぉお!!!」

 

だが、真島の窮地を桐生が打払う。龍が如き咆哮をあげ、亜門に横殴りのぶちかましタックルを叩き込んだのだ。

 

「桐生チャン!」

 

「坂本龍馬!貴様もまた死地に踏み込むか!!」

 

今度は桐生の首に一閃を叩きつける亜門。この一撃は紛れもなく絶命の領域に踏み込むものだ。

 

「カズマくん!!コイツを使えェ!!」

 

だが、田村麻呂はその窮地をひっくり返す。自身の宝剣を桐生に託し投げつけたのだ。

 

「!!」

 

同時に、桐生はドスを亜門から引き抜き真島に、本来の持ち主に放り投げる。ドスをキャッチした真島は、大将軍の刀を有した桐生に並び立つ!

 

「行くでェエ!!桐生チャァァアァン!!」

「おぉおらぁあぁあぁあっ!!!」

 

桐生、そして真島の乱舞が亜門を滅多斬りに切り刻む。ドスの紫と龍の蒼炎は、邪悪の紫を鮮やかに切り裂いて闘技場に彩り加える。

 

「ぐおおおおぉぉ!!こ、これが!現代の英傑の力か…!!」

 

「田村麻呂!」

「トドメ決めぇ!!」

 

「おうよっ!!!」

 

桐生と真島より、刀とドスが投げられそれを空中でキャッチする田村麻呂。奇しくもそれは太刀と小刀、汎人類史の武蔵が遺した二天一流にも通ずる構え。

 

「おおっ、宮本某の二天一流…!?」

 

「くたばりやがれぇえぇえぇ!!!!」

 

ドスを逆手に、刀を正面に。無数の乱舞が閃き、亜門の霊核はついに──砕け散る。

 

「こ、ここまでか──!しかし、我が野望は潰えぬ…!子々孫々続く我が一族が、必ずや悲願を果たそうぞ!」

 

「やってみろや。悪党全般に言える事だがよぉ…わざわざ負けるために蘇って御苦労なこったな!」

 

「む、無念────!!!」

 

亜門と、力を吸い上げる妖刀はエーテルの結びが解け消え去る。嶋野の狂犬、堂島の龍。そして──征夷大将軍が今、勝者となったのだ。

 

「よっしゃぁ!!俺等の勝ちだぜぇ!!」

 

「「「「「「うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!」」」」」」

 

勝ち名乗りを上げる田村麻呂に応える地下の大歓声。観客席にまで衝撃波は届いていたというのに、逃げ出さない客の豪胆さに桐生は若干呆れつつもあったのは無理からぬ話だろう。

 

「ニー!」

「うおっ!へへ、見てたかよスズカ!お前の田村麻呂は強かっただろぉ?」

 

スズカの勝利の抱擁を受け止める田村麻呂。どうやらサイの花屋は約束を護った。スズカを傷一つつけずに守り抜いたのだ。

 

「力を吸う妖刀…どうやら真実だったらしい。葉巻一本持つにもしんどいくらいだ。こりゃしばらく安楽椅子生活かもな」

 

「また肥えるで?おっさん」

 

「元々頭脳労働だ、覚悟の上だ。…三人とも、今回の戦いの報酬ってやつを受け取れ」

 

サイの花屋は、スズカの首輪にかかる鈴をそっと取り外す。すると──鈴が、杯にへと形を変える。

 

「今回カルデアと繋がった要因になったのが、こいつだ。聖杯…万能の願望機にはやや不足な莫大な魔力リソース。それがノラネコのこいつに運ばれてたわけだ」

 

「マジかよスズカ!?」

 

「にー?」

 

「皮肉なもんだ。誰も彼もがギラついて富や幸せを求めるこの神室町で、誰かを思いやるって心を持ってたヤツがコイツに辿り着けるって筋書きはよ。今回のホン書きはよっぽどのロマンチストと見たぜ、俺は」

 

「ハッ。カタギにヤクザに大将軍。誰が取るかなんてわかりきっとるやないか。とんだ出来レースやで」

 

「いいや…大将軍様は、そんなコップに興味はなさそうだぜ」

 

「流石スズカ!オレのスズカはナンバーワンだなぁ!流石スズカ!すげぇすげぇぞオレのスズカー!」

「にゃー!ふにゃ〜!」

 

「無欲の勝利っちゅうんか?とんちやのぉ。…で、や。大将軍に桐生チャン」

 

場の雰囲気が固まった…そんなムードに、狂気が待ったをかける。

 

「邪魔もんはおらんくなった。さっきの続き…俺も混ぜて再開しようやないか!」

 

「…アンタなら、そう言うと思ったぜ。構わねぇか?田村麻呂」

 

「ん?おぉ!あんな終わりじゃ誰も納得しねぇわな!おっちゃん、スズカを頼むぜ!」

 

「あ、おい。聖杯はいいのか?」

 

「んなもん後だ後!スズカがいりゃぁ、んなコップくれてやらぁ!」

 

「それじゃカルデアが困るだろうが…スズカよぅ、カルデアにコイツを届けてやってくれな」

「にゃっ!」

 

 

「さぁ行くでぇ!!桐生チャン!大将軍様よぉ!!」

 

「お前ぇら纏めて…かかってこい!!」

 

「日本で誰が一番すげぇやつか!教えてやるぜ!!」

 

 

聖杯と、過去からの刺客すらもついでにねじ伏せ三人はとことんまで戦い抜く。その在り方には──

 

 

──古き良き仁義と、今は無き、男達の生き様が在った。

 

 

 




楽園カルデア

スズカ「に〜」

田村麻呂「よーしよし、スズカ〜。ちゅーるとミルクは美味しいかぁ?」

鈴鹿御前「うっわ、ブランドモノこんなに!?おまけに最新のアクセサリとか、持ち合わせでも足りなくない!?」

サイの花屋『それは街を助けてくれたサービスってとこだ。神室町の幻霊としてスズカも聖杯と送れたし、めでたしってとこだな』

田村麻呂「これでいつでも神室町に行けるな!よろしく頼むぜおっちゃん!」

サイの花屋『あぁ。…しかし、クリア報酬とは言うがよ…』


リッカ「あれ?」

『プレゼントボックス』

「なんだろ、ガタガタしてるけど」

真島「久々に来たでぇ!!カルデアに殴り込みかましたったわぁ!」

リッカ「わぁあぁあぁあぁ!!?」

桐生「…死んだ扱いの俺はともかく、真島の兄さんは外していいのかよ?」

真島「ええんや、後のことは後の連中が上手くやらなアカン。そないなことより桐生チャン!ここでなら腕試し、し放題やでぇ!?」

リッカ「真島の兄さん!?桐生おじさん!?」

桐生「リッカ、久し振りだな。…その…」

真島「俺等、カルデアに厄介になりに来たんや。人類史のピンチもサクッと解決したるから期待しぃや?ささ、案内頼むでぇ〜?イーッヒヒヒヒ!!」

桐生「…よろしく頼むぜ」

リッカ「お…押忍!!」

アルク(プレゼントボックスから…おじさんが生えてる!?)


龍が如く特異点

幻霊『神室町の仁猫』
聖杯

配布サーヴァント
星5バーサーカー 真島吾朗
星5ルーラー 桐生一馬

『ポケサースタジアムが設立されました』
『楽園モード どこでも真島が開放されました』
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